都市計画法とは?わかりやすく解説

都市計画法とは?わかりやすく解説

誤解を恐れずに解説すると、都市計画法とは、土地の無秩序な開発を抑制するための法律です。

イラストや図を交えつつ、わかりやすく簡単に都市計画法を解説しましょう。

目次

1. 都市計画法とは、土地の無秩序な開発を抑制する法律

冒頭でご説明したとおり、わかりやすく簡単に解説すると、都市計画法とは土地の無秩序な開発を抑制するための法律です。

都市計画法とは?

なぜ、無秩序な土地の開発を抑制する必要があるのでしょうか。

それは、土地が無秩序に開発され方々に住宅が点在すると、福祉などの公共サービスが行き届かなくなることが理由です。

たとえば、伊豆・小笠原諸島を除く東京都は東西に約100キロメートルの幅がありますが、方々に住宅が点在すると、浄水場(河川などの水を水道水に処理する施設)から、各住宅まで水道管を敷くのに莫大な費用が掛かります。

そして、莫大な費用が掛かる割には、少数の人にしか水道水を供給できません。

また、各住宅まで道路を敷くためにも巨額の費用を必要とし、税金から捻出する必要があります。

さらに、方々に住宅が点在すると、病院から救急車が、消防署から消防車が到着するまでに時間が掛かり、困っている人を迅速に救助できません。

土地が無秩序に開発され住宅が方々に点在すると公共サービスが行き届かない

そのため、都市計画法は、無秩序な土地の開発を抑制しています。

また、都市計画法は、効率的な都市開発を促す法律でもあります。

都市を効率的に開発し人口を集中させれば、費用を抑えつつ、公共のサービスが行き届きやすいコンパクトで高品質な都市が完成するためです。

都市を効率的に開発し人口を集中させればコンパクトで高品質な都市が完成する

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2. 都市計画法の具体的な内容

都市計画法をわかりやすく解説すると、無秩序な土地の開発を抑制し、効率的な都市開発を促す法律です。

そして、都市計画法では、具体的に以下の4つのことなどを定めています。

  • 1. 都市計画に関すること(第一条など)
  • 2. 土地の利用に関すること(第七条など)
  • 3. 都市施設に関すること(第十一条など)
  • 4. 市街地開発事業に関すること(第一二条など)

ここから、上記の4つをわかりやすく簡単にご説明しましょう。

なお、都市計画法の内容は「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)都市計画法」にてご覧いただけます。

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2-1. 都市計画に関すること(第一条など)

都市計画法は、無秩序な土地の開発を抑制するための法律であると共に、都市の計画的な開発を促す法律でもあります。

都市を計画的に発展させるためには、綿密な計画が必要です。

都市計画法では、この計画を都市計画と呼び、都市計画法の第一条などには、都市計画は一定の開発制限を設けつつ、機能的な都市生活を確保するための計画であるべきと記されています。

都市計画とは?

つまり、都市計画法は、理想の都市計画の在り方も制定しているというわけです。

また、都市計画法には、都市計画が制定されれば、それを達成するために国や都道府県、都市の住民は協力し合うべきであるとも記されています。

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2-2. 土地の利用に関すること(第七条など)

無秩序に土地を開発しつつ方々に人が住めば、公共のサービスが行き届きません。

それを防ぐために制定されたのが都市計画法ですが、同法律の第七条などでは、計画的に都市を開発する必要がある場合は、都市計画を制定する「都市計画区域」を指定し、さらにその区域を市街化区域と市街化調整区域を区分けできると規定しています。

市街化区域とは、既に市街地である、または今後10年以内などに市街化が図られる区域であり、市街化調整区域とは、市街化が抑制される区域です。

都市計画法による都市計画区域の区分け

市街化区域は建築しつつ開発できますが、市街化調整区域は、原則として住宅を建てるなどの開発はできません。

なお、誰でもわかる不動産売買では、市街化区域と市街化調整区域をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

お時間のある方は、ぜひご覧ください。

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2-3. 都市施設に関すること(第十一条など)

無秩序な土地の開発を防ぐためには、都市計画が必要です。

そして、都市計画法の第十一条などには、道路や鉄道、駐車場、公園、学校、病院、住宅用団地、水道や電気、ガスの供給施設、下水処理場やゴミ焼却場などの位置を鑑みつつ都市計画を構想できると記されています。

つまり、都市計画法は、効率のよい都市を形成する上で欠かせない重要な施設を鑑みつつ、都市計画を構想することを促しているというわけです。

これは、それらの施設の設置や、それらの施設を設置する位置を鑑みつつ都市計画を構想すれば、公共のサービスが行き届きやすい効率的な都市が完成することが理由です。

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2-4. 市街地開発事業に関すること(第一二条など)

都市計画法の第一二条などには、都市計画区域内においては、新たな区画を開発する事業、既存する区画を整理する再開発事業、新しい住宅地を開発する事業などを含めつつ、都市計画を構想できると記されています。

これは、それらの事業を行うことを含めつつ都市計画を構想すれば、公共のサービスが行き届きやすい、理想の都市が完成することが理由です。

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まとめ - 都市計画法は、経済の発展を促進する効果も併せ持つ

都市計画法をわかりやすく解説しました。

都市計画法とは、無秩序な土地の開発を防ぐための法律であり、計画的な都市の開発を促す法律でもあります。

無秩序に土地が開発され方々に人が住めば、公共のサービスを提供するために莫大な費用が掛かり、効率のよい都市を作ることができません。

そのため、都市計画法では無秩序な土地の開発を抑制しつつ、計画的な都市の開発を促しています。

また、都市に人口が集中すれば、経済も効率よく発展します。

たとえば、人がまばらに住む場所に出店するより、人口が集中する都市部に出店する方が、たくさんの来客があり利益が上がりやすくなります。

このように都市計画法は、経済の発展を促進させる側面も併せ持っています。

ご紹介した内容が、都市計画法をお調べになる皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年7月

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