宅地や現状宅地とは?更地、雑種地、農地との違いなど解説

宅地とは?図解・イラスト付きで解説

宅地とは、建物を建てるための土地です。

不動産を売買される方へ向けて、宅地や現状宅地の意味をわかりやすく解説し、宅地と土地、更地、雑種地、農地との違いなどもご説明しましょう。

なお、ご紹介するのは、不動産を売買される方へ向けての宅地の意味であり、宅地建物取引業法を学ぶ方には該当しないためご注意ください。

目次

1. 宅地とは、建物を建てるための土地

冒頭でご紹介したとおり、宅地とは建物を建てるための土地です。

宅地とは?

土地の購入を希望しつつ資料を取り寄せると、「地目・宅地」と書かれていることがありますが、その土地は建物を建てるための土地であることを意味しています。

また、一戸建ての購入を希望しつつ資料を取り寄せると、「地目・宅地」と書かれていることがありますが、その戸建てが建つ土地は宅地であることを表しています。

なお、宅地とは建物を建てるための土地ですが、地目の一種でもあります。

地目とはその土地の使い道を意味し、不動産を売買する際は以下の地目を目にすることが多く、建築できる地目とできない地目に分かれます。

不動産を売買する際に目にすることが多い地目

地目 用途 建築や再建築できるか
宅地 建物を建てるための土地 できる
山林 木や竹を育てるための土地 できる
原野 低木や雑草を育てるための土地 できる
水を用いて穀物や野菜などを育てるための土地 できない
水を用いず野菜などを育てるための土地 できない
雑種地 どの地目にも該当しない土地 できる

以上が不動産を売買する際に目にすることが多い地目であり、宅地は建物を建てるための土地となっています。

よって、住宅を建てるための土地を探しつつ資料を取り寄せ、地目・宅地と書かれている場合は、建築不可などの注意書きがない限り、その土地は建築することが可能であるとお考えになれば良いでしょう。

また、一戸建てを探しつつ資料を取り寄せ、地目・宅地と書かれている場合は、その一戸建ては建物を建てるための土地に建ち、再建築不可などの注意書きがない場合は、老朽化すれば建て替えできるとお考えください。

ただし、以下に該当する場合は、宅地であっても建築できず、既存の住宅がある場合でも建て替えできないため注意が必要です。

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市街化調整区域に位置する

市街化調整区域とは、都市計画法という法律に則って都道府県が指定した市街化を抑制する地域です。

その土地が市街化調整区域に位置する場合は、原則として宅地であっても住宅を建てることができません。

また、その一戸建てが市街化調整区域に位置する場合は、原則として建て替えできないため留意してください。

市街化調整区域内の宅地は建築できない

よって、不動産の資料を取り寄せ、「市街化調整区域、地目・宅地」などと書かれている場合は、宅地であっても原則として建築や建て替えができないため注意が必要です。

なお、誰でもわかる不動産売買では、市街化調整区域をわかりやすく解説するコンテンツも公開しています。

同コンテンツでは、市街化調整区域に建築できる条件などもご紹介中です。

お時間のある方は、ぜひご覧ください。

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工業専用地域に指定されている

工業専用地域とは、工業の生産性と利便性を向上させることを目的に都道府県知事が指定した特別な地域です。

購入を希望する土地が工業専用地域に指定されている場合は、宅地でも住宅を建築できず、既存の住宅があっても建て替えできません。

宅地であっても工業専用地域に位置する場合は建築できない

工業専用地域は用途地域という名目で指定され、不動産の資料に「用途地域・工業専用地域、地目・宅地」などと書かれている場合は、原則として建築や建て替えができないためご注意ください。

なお、誰でもわかる不動産売買では、用途地域をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

同コンテンツでは、Googleのストリートビューを用いて工業専用地域の様子をご紹介しています。

お時間のある方は、ぜひご覧ください。

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2. 地目・宅地とは?

土地の情報を確認したり、土地の固定資産税の納税通知書を見ると「地目・宅地」などと記されていることがあります。

地目・宅地の冒頭にある地目とはその土地の使い道であり、宅地とは建物を建てるための土地です。

よって、土地の情報や納税通知書に地目・宅地と書かれている場合は、その土地は建物を建てるための土地であることを意味します。

地目・宅地とは?

なお、地目は23種に分かれ、主な地目と用途は以下のとおりです。

主な地目とその用途

地目 用途
宅地 建物を建築するための土地
山林 竹木を育成するための土地
原野 かん木(低木)や雑草を育てるための土地
水を用いて耕作するための土地
水を用いず耕作するための土地
牧場 家畜を放牧するための土地
池沼(ちしょう) 田に供給する目的ではない水を溜める池
鉱泉地 温泉などの湧き出し口
雑種地 どの地目にも該当しない土地

以上が、主な地目と使い道です。

なお、一戸建ての資料を請求し「地目・宅地」と記されている場合は、その戸建ては宅地(建物を建てるための土地)に建つことを意味するため留意してください。

ちなみに、誰でもわかる不動産売買では、地目の意味をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

地目にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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3. 現況宅地とは?

土地の資料を見ると「地目・山林、現状・宅地」などと書かれていることがあります。

また、土地を所有しつつ固定資産税の納税通知書を見ると、現状地目などの名目で宅地と記されている場合もあります。

地目とは、その土地の使い道を意味し、宅地や山林、原野、田、畑、雑種地などに分類され、それぞれの詳細は以下のとおりです

主な地目一覧

地目 使い道
宅地 建物を建てるための土地
山林 木や竹を育てるための土地
原野 低木や雑草を育てるための土地
水を用いて耕作するための土地
水を用いず耕作するための土地
雑種地 どの地目にも該当しない土地

以上が、主な地目です。

そして、現状宅地とは、その土地は本来は宅地(建物を建てるための土地)ではなかったものの、現状は宅地として利用されている土地であることを意味します。

たとえば、本来は山林(木や竹を育てるための土地)であったものの、住宅を建てつつ宅地として利用している場合は、現状宅地となります。

また、本来は雑種地(どの地目にも該当しない土地)であったものの宅地として利用している場合なども現状宅地です。

現状宅地とは、宅地以外の土地が宅地として利用されている状態を意味します。

現状宅地とは?

なお、現状宅地など、地目と現状が異なる土地を購入しても特に問題はありません。

建物が建っている場合は、そのまま住み続けることが可能です。

ただし、地目が田や畑(耕作するための土地)であるにもかかわらず、住宅を建てつつ宅地として利用している土地を購入すると、正式な所有者になれないことがあるため注意してください。

地目が田や畑の土地は農地であり、農地は一般の方は取得できず、正式な所有者となるためには複雑な手続きが必要となります。

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4. 宅地と土地の違い

土地とは、地面です。

これに対して宅地とは、その土地の地目を意味します。

地目とは、その土地の使い道であり、主に以下に分類されます。

主な地目一覧

地目 用途
宅地 建物を建てるための土地
山林 竹木を育てるための土地
原野 低木などを育てるための土地
水を用いて耕作するための土地
水を用いず耕作するための土地
雑種地 どの地目にも該当しない土地

以上が、主な地目です。

よって、宅地と土地の違いは、宅地は地目(その土地の使い道)であり、土地は地面そのものとなります

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5. 更地と宅地の違い

宅地とは建物を建てるための土地であり、一部例外を除き、制限されることなく住宅などを建築することが可能です。

また、宅地に建つ建物が老朽化した場合は、一部例外を除き、建て替えできます。

これに対して更地とは、建物がない単なる空き地です。

更地は空き地のため物理的には建築することが可能ですが、法的な制限により建築できない場合があります。

たとえば、更地であっても都道府県知事が建築できないと指定している場合は建築できません。

ネットで土地を探しつつ不動産業者に問い合わせると「更地です」との説明を受けることがありますが、それは建物がない状態であることを意味し、必ずしも建築できるわけではないため注意してください。

更地と宅地の違いは、更地は単なる空き地であり、宅地は建物を建てるための土地であることです。

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6. 雑種地と宅地の違い

宅地とは、建物を建てるための土地であり、一部例外を除き、建物を建てたり、既存の建物がある場合は建て替えることが可能です。

これに対して雑種地とは、特に使い道が定められていない土地を意味します。

雑種地と宅地との違いは、その土地の用途です。

なお、宅地は建物を建てるための土地であり建築することが可能ですが、雑種地も建築することが可能です。

雑種地に建築した場合は、地目変更という手続きを行わない限り現状宅地などと呼ばれる土地になります。

現状宅地の詳細は、この記事の「3. 現況宅地とは?」にてわかりやすくご説明中です。 お時間のある方は、ぜひご覧ください。

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7. 宅地と農地の違い

宅地とは、建物を建てるための土地であり、法的な制限を受けない限り建築したり建て替えることが可能です。

一方、農地とは、田や畑などの穀物や野菜を栽培するための土地であり、原則として建築することなどはできません。

宅地と農地の違いは、その土地の用途です。

なお、農地は500坪で200万円など、宅地より大幅に安く売りに出されていることがありますが、原則として住宅などの建物を建築できないことが理由です。

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まとめ - 現状宅地になると固定資産税が高くなる

宅地や現状宅地の意味、宅地と土地、更地、雑種地、農地との違いなどをご説明しました。

宅地とは、建物を建てるための土地です。

土地の購入を希望しつつ資料を取り寄せ「地目・宅地」などと書かれている場合は、その土地は建物を建てる土地であることを意味します。

また、一戸建ての資料を見ると「地目・宅地」と書かれていることがありますが、その建物は宅地に建てられていることを意味します。

宅地は建物を建てるための土地ですが、建物を建てた後も宅地であり続けます。

なお、この記事の「3. 現況宅地とは?」にて、山林や雑種地などの宅地以外に建築すると現状宅地になるとご紹介しましたが、現状宅地になると土地の価値が上がったと見なされ固定資産税が高くなります。

高くなるといってもさほど高くならず、安ければ数千円程度ですが、心配される場合は、その土地が所在する市町村役場の資産税課に差分をお問い合わせください。

ちなみに、私は雑種地に住宅を建てて現状宅地となりましたが、それまでより7千円だけ固定資産税が上がりました。

ご紹介した内容が、宅地をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年10月

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