その中古住宅はなぜ安い?憂慮すべき5つの理由を解説

アットホームなどで中古住宅を探すと、相場より大幅に安い物件を見かけます。
思わずお気に入りに登録してしまいますが、必ず安い理由があるため注意が必要です。
はじめて中古住宅を購入する方へ向けて、安値で売りに出される物件の理由をご紹介しましょう。
目次
- 1. 売主が売り急ぐ
- 2. 安いなりの傷みがある
- 3. 再建築できない
- 4. 借地権である
- 5. 部屋数が少ない
- まとめ - 安い中古住宅は値引きが期待できる
1. 売主が売り急ぐ
相場より安い中古住宅は、売主が売り急いでいることを理由に安値が付いていることがあります。
中古住宅は、安ければ安いほど購入希望者からの問い合わせが殺到し、早く売れます。

よって、安い中古住宅は、何らかの理由で売主が売り急いでいる可能性があるとお考えになれば良いでしょう。
ただし、安いにもかかわらず長く売れ残る中古住宅は、他の理由があると考えられます。
たとえば、相応の傷みがあり、居住するために200~300万円などの高額なリフォームが必要であるなどの理由です。
また、その中古住宅を取り扱う不動産業者の経営方針で安値が付けられていることもあります。
不動産業者を仲介させつつ不動産を売却する際は、不動産屋が売り主に売値を提案しますが、安値での売買を推奨する不動産屋は、どのような物件であっても相場より安い値段を付けます。
その不動産屋が安値での売買を推奨するか否かは、その不動産屋が取り扱う他の中古住宅の売値を見れば把握することが可能です。
その不動産業者が取り扱う中古住宅の多くが相場より安い値段で売りに出されている場合は、その不動産屋は安値での売買を推奨する方針であると察してください。
反対に、その不動産業者が取り扱う他の中古住宅が高値でありつつも、その物件だけが安い場合は、余程の瑕疵(欠陥)があると考えられます。

2. 安いなりの傷みがある
相場より安い中古住宅は、傷みが激しく現状のままでは居住できず、住むためには高額なリフォームを必要とすることを理由に安いと考えられます。
特に水回りのリフォームは高額になりがちであり、キッチンや浴室の傷みが激しい中古住宅は、相場より安い値段で売りに出されるのが通例です。
また、田舎暮らし向けの中古住宅を探すと50万円などと驚くほど安い物件を見かけますが、空き家の期間が長く老朽化が激しく、そのままでは居住できないことが理由です。
あまりに安い中古住宅を購入すると、多くの場合、物件価格以上のリフォームが必要となるため留意してください。

田舎暮らしを題材とする雑誌を見ると、格安で購入した古民家に移住しつつ笑顔でインタビューに答えている方を見かけますが、おそらく物件価格の数倍、または十数倍のリフォーム費用を投入しつつ居住されています。
なお、田舎暮らし向けの安い中古住宅には、300万円や400万円などと安いにもかかわらず、敷地面積が1,000坪などの物件を見かけますが、その土地はほぼ間違いなく農地です。
農地とは、畑や田など耕作するための土地であり、農家の方以外は正式な所有者になれず、仮登記という方法を用いて売買が行われます。
別荘として利用するなど、趣味を楽しむために購入するのであれば問題ありませんが、居住するために仮登記で不動産を購入するのは好ましくありません。
正式な所有者になれない不動産を購入しつつ定住すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
3. 再建築できない
相場より大幅に安い値段で売りに出されている郊外に位置する中古住宅を見かけますが、再建築(建て替え)できないことが理由と考えられます。
市街地や市街地の周辺の区域は、都市計画法という法律に則り、都道府県が市街化区域と市街化調整区域に線引き(区分け)しています。
市街化区域とは既に市街化されている区域、または今後10年以内に市街化が図られる区域であり建築が可能です。
これに対して市街化調整区域は市街化が抑制される区域であり、その地域に貢献する人が居住する住宅や、一定の条件を満たす建物しか建築や再建築できません。
そして、市街化調整区域は、郊外に位置します。

よって、郊外に位置する中古住宅が相場より安く売りに出されている場合は、市街化調整区域に位置することが理由の可能性があると考えられます。
その中古住宅が市街化調整区域に位置するか否かは、その物件を取り扱う不動産業者に問い合わせることにより確認できます。
なお、誰でもわかる不動産売買では、市街化調整区域の意味や同区域で再建築できる条件をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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市街化調整区域とは? 建築できる条件などわかりやすく解説
4. 借地権である
都市部に位置する中古住宅を探すと、綺麗でありつつも相場より安い物件を見掛けることがありますが、借地権により建築された物件であることが理由と考えられます。
借地権とは、土地を借りつつ建物を建てるなどして利用できる権利です。
たとえば、地主であり、土地を貸したいと希望するAさんがいらっしゃったとしましょう。
Aさんは、定期的に地代が支払われれば、借り主は建物を建てつつ居住するなどして構わないという条件を提示しています。
そこに、住宅を建てる土地を探すBさんが現れ、Aさんと借地契約(土地を借りる契約)を結びつつ土地を借りました。
この状況においてBさんは、土地を借りつつ建物を建てるなどして利用できる権利を手に入れたことになります。
このBさんが手に入れた権利が借地権です。

借地権により建てられた住宅は、借り地に建築しているため土地の購入費用が不要です。
よって、借地権により建てられた中古住宅は、相場より安い値段で売りに出されるのが通例となっています。
ただし、借地権により建てられた中古住宅を購入すると、定期的に地主に地代を支払う必要があるため留意してください。
地代は、立地条件が良く敷地面積が広い土地ほど高くなります。
また、借地権により建築された建物を売却する際は、地主の承諾が必要です。
承諾が得られない場合は、裁判所に借地権譲渡承諾に代わる許可の申し立てを行うことにより売却することが可能ですが、大変な労力を要するため注意してください。
5. 部屋数が少ない
中古マンションを探すと、相場より安い物件を見かけます。
安い理由は、築年数が古いことなどが候補に挙げられますが、床面積が狭く部屋数が少ないことも理由であると考えられます。
最近のマンションは床面積が70㎡以上などと広くなっていますが、昭和50年ごろに建築されたマンションは45~50㎡などでした。
また、最近のマンションは部屋数が多い傾向がありますが、築年数が古い中古マンションは少ないのが通例です。
部屋数が少なく床面積が狭い中古住宅は、購入希望者に使い勝手が芳しくないという印象を与えることが多く、一戸建て、マンション問わず相場より安く売りに出されます。
また、マンションは10年に1度など、数千万円を要する大規模修繕(外壁を塗りなおすなどの大規模なリフォーム)を行う必要があります。
そのため、住人は修繕積立金という名目で修繕費用を毎月積み立てるのが通例であり、その相場は月々1万円~1万5,000円などですが、時折5,000円などの中古マンションを見かけます。
それに該当する中古マンションは、大規模修繕の際に50~100万円などの一時金を求められることがあるため注意してください。
足りない修繕費用は、やはり住民が補わなければなりません。
なお、月々の修繕積立金が安い中古マンションは、大規模修繕の際に一時金を請求されるため、売買価格も安い傾向があります。
まとめ - 安い中古住宅は値引きが期待できる
安い中古住宅に考えられる、5つの理由をご紹介しました。
多くの安い中古住宅は、売り主が売り急いでいる、傷みが激しく居住するために高額なリフォームが必要となるなどの理由で安値で売りに出されています。
また、法的な理由により再建築できない、借地権により建築された、部屋数が少なく床面積が狭いなども安い理由です。
中古住宅を探しつつ安い物件に目が留まり、その理由を案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、相場程度、または相場以上で売りに出されている中古住宅は、今回ご紹介した5つの理由に該当しないのが通例です。
たとえば、売り主が売り急がない、傷みが少ない、再建築できる、借地権ではない、部屋数が多く床面積が広い中古住宅は売値が高いといった具合です。
よって、安価な中古住宅の購入を希望する場合は、今回ご紹介した5つの安い理由に合致する物件をお探しになるのが良いでしょう。
余談ですが、中古住宅は交渉次第で値引きが可能であり、安い中古住宅は相応の理由があるため値引きも期待できます。
誰でもわかる不動産売買では、中古住宅を値引きする方法を解説するコンテンツも公開中です。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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ご紹介した内容が、中古住宅をお探しになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2020年11月
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