不動産屋の選び方ってどうすれば良い?

良い不動産屋の選び方や見分け方を解説

私は、不動産賃貸業を営んでいます。

また、都会から田舎に移住し、移住先の田舎でも引っ越しを経験しているため、少なくとも過去に300件以上の不動産屋に問い合わせを行い、150件以上の物件を見学しています。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、初めて不動産を売買するために不動産屋の選び方に迷う方へ向けて、私なりの良い不動産会社の見分け方をご紹介しましょう。

目次

1. 免許があるか確認する

不動産屋は、不動産の売買を仲介する際などに高額な手数料を取りますが、その代わり、仲介した取引に不備があった場合はその責任を負います。

そのため、不動産屋は無免許では営業できません。

不動産屋を営むためには、国土交通大臣、または都道府県知事から受けた宅地建物取引業の免許が必要です。

よって、不動産屋の選び方として、まずは免許があるか確認してください。

その不動産屋に免許があるか否かは、会社情報を見れば確認できます。

会社情報に以下のような免許番号に関する記載があれば、その不動産屋は免許があることを謳っています。

不動産屋が掲げる免許に関する情報

しかし、上記のような記載があっても、必ずしも免許があるとは限りません。

免許が既に失効している場合や、免許番号が偽りの可能性もあります。

したがって、免許番号が実在するか確かめる必要があります。

その免許番号が実在するか否かは、国土交通省のホームページ「建設業者・宅建業者など企業情報検索システム」にて、その不動産屋が掲げる免許番号などを入力しつつ検索することで確認できます。

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2. 免許の更新回数を確認する

その不動産屋の免許番号が実在することが確認できれば、その免許番号に含まれている「カッコ内」の数字に注目してください。

具体的には、以下の赤い個所です。

不動産屋の選び方として、免許番号に含まれるカッコ内の更新回数を確認する

上記の赤いカッコ内の数字は、その数字から1を引いた数が免許の更新回数を意味しています。

不動産屋を営業するために必要となる免許は、正式には「宅地建物取引業の免許」と呼びますが、同免許は5年に1度更新しなくてはなりません。

そして、不当な売買の取引を斡旋した不動産屋などは、免許を更新できません。

そのため、カッコ内の数字が2の場合は、少なくとも免許を1回更新し、5年以上不動産屋を営業し続けていることを意味しています。

また、カッコ内の数字が3の場合は、少なくとも免許を2回更新し、10年以上不動産屋を営業し続けている証です。

つまり、カッコ内の数字が大きければ大きいほど、その不動産屋は真っ当に営業している期間が長いというわけです。

私が推奨するカッコ内の数字は、少なくとも2以上です。

不動産屋の選び方として、カッコ内の数字が2以上の不動産業者を選ぶのが良いでしょう。

2-1. なぜカッコ内の数字は2以上が良い?

カッコ内の数字は免許の更新回数を意味しますが、更新回数が多ければ良いというわけではありません。

免許の更新回数が少ない不動産屋と、多い不動産屋の特徴や違いは以下のとおりです。

免許の更新回数が少ない不動産屋の特徴
更新回数が少ない不動産屋は、若いスタッフが多く営業が熱心です。

メールで問い合わせても返事が早く、何事も臨機応変に対応してくれます。

ただし、「是非買ってください」「早く売りましょう」と急かされることが多く、落ち着いて物件を売買できません。

なお、免許の更新回数が少ない不動産屋が取り扱う不動産の値段は、適正価格、または相場より多少安く設定されている傾向があります。

そのため、適正価格、または相場より安い不動産を探す場合は、免許の更新回数が少ない不動産屋を選ぶのが良いでしょう。

反対に、不動産を相場より高く売りたいと希望する場合は、免許の更新回数が少ない不動産屋に売却を依頼するのは好ましくないかもしれません。

理由は、免許の更新回数が少ない不動産屋は、不動産を適正価格、または相場より安く売りたがる傾向があるためです。
免許の更新回数が多い不動産屋の特徴
更新回数が多い不動産屋はベテランであり、総じて親切で売り急ぎません。

ただし、スタッフがベテランであるためメールで問い合わせても返事が遅い、または返事自体がないこともあります。

また、ベテランの不動産屋は宣伝力が弱く、不動産の売却を依頼しても買い手が付くまで時間が掛かることも珍しくありません。

そして、更新回数が多い不動産屋は、良くも悪くも老獪で適当です。

とはいうものの、不動産を売買する場においては、適当が良い結果を招くこともあるため、更新回数が多いベテランの不動産屋の手腕は侮れません。

なお、免許の更新回数が多い不動産屋が取り扱う不動産の値段は、相場より高く設定されている傾向があります。

これはベテランの不動産屋が売り急がないことの表れであり、リフォーム店の工事費用なども同じです。

たとえば、若いスタッフが多いリフォーム店は工事費用が安く、地域に根付いた老舗のリフォーム店は工事費用が高いといった具合です。

以上が更新回数が少ない不動産屋と多い不動産屋の違いです。

どちらにも良し悪しがあるため、更新回数だけで不動産屋は判断できません。

しかし、私はカッコ内の数字が1の不動産屋は、できれば避けるように心掛けています。

理由は、不動産屋を立ち上げた当初から免許を更新する気がなく、いい加減な売買を斡旋しつつ利益を上げ、そのまま失踪する不動産業者が稀に存在するためです。

よって、私はカッコ内の数字が1の不動産屋は避けています。

ただし、その不動産屋が大手の企業が出資する場合などは話は別です。

たとえば、家電量販店として大手であるヤマダ電気は、最近不動産業界に進出しましたが、進出して間もないことを理由に免許の更新回数は少なめです。

このように大手の企業が出資する不動産屋であれば、少なくとも失踪するようなことはなく、ある程度は信頼できる取引が期待できます。

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3. 経歴と違反行為を確認する

不動産屋の免許の有無や更新回数が確認できれば、その不動産屋が行政処分を受けたことがないか調べてください。

行政処分に関する経歴は、国土交通省のホームページ内に設けられた「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」に設置されている検索窓に、不動産屋の名称などを入力しつつ検索すれば調査できます。

また、同じく国土交通省のホームページ内に設けられた「宅地建物取引業者:都道府県知事が行った監督処分情報」も確認してください。

同ページでは、各都道府県で営業する不動産屋が行った違反行為や、都道府県知事から受けた監督処分を確認できます。

なお、同ページでは、その不動産屋が監督処分を受けた理由も公開されています。

たとえば、「東京都の○○不動産は、不動産の売買を仲介する際に、買主に重要となる情報を伝えなかった。ゆえに30日間の業務停止を命じられた。」といった具合です。

そのため、不動産屋の選び方に迷い、不動産屋がどのような違反行為を行う可能性があるか把握したい場合は、同ページから具体的な違反例を確認するのが良いでしょう。

そうすれば、不正な不動産売買を斡旋されるリスクを減らすことができます。

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4. ハトやウサギのマークが付いているか確認する

不動産屋の店頭や事務所に出向くと、以下のようなハトやウサギのマークのステッカーが貼られていることがあります。

不動産屋の店頭や事務所で見かけるハトやウサギのマーク

上記のようなハトやウサギのマークのステッカーがある不動産屋は、不動産保証協会の会員であることを謳っています。

不動産保証協会とは、会員である不動産屋が仲介した売買に不備があった場合に保証する協会です。

たとえば、不動産屋を仲介しつつ土地を購入したものの、事前に聞いていた情報と物件が異なる場合などは、不動産屋とトラブルになります。

しかし、その不動産屋が不動産保証協会の会員であれば、不動産保証協会が仲裁してくれます。

具体的には、ハトのマークは「全国宅地建物取引業協会連合会」、ウサギのマークは「公益社団法人全日本不動産協会」という不動産保証協会の会員である証です。

それらの不動産保証協会の会員になるためには審査が必要であり、不当な売買の取引を斡旋した不動産屋などは加入できず、会員であり続けることもできません。

よって、不動産屋の選び方に迷う場合は、その不動産屋にハトやウサギのマークが付いているか確認するのが良いでしょう。

ただし、これらのマークが付いていても必ず会員とは限らず、場合によっては、以前は会員であったものの現在は資格が失効していることもあります。

そのため、不動産保証協会のホームページで、その不動産屋が間違いなく会員であるか確認することが大切です。

「全国宅地建物取引業協会連合会」の会員は「ハトマークサイト:不動産会社を探す」にて、「公益社団法人全日本不動産協会」の会員は「会員検索で登録会員を探すことができます | 公益社団法人 全日本不動産協会」にて検索できます。

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まとめ - 態度の悪さは関係ない

初めて不動産を売買する方へ向けて、数々の不動産を見学し、多数の不動産屋と出会った経験がある筆者から、良い不動産屋の選び方や見分け方をご紹介しました。

不動産を売買する際は、免許の有無、更新回数、経歴、不動産保証協会の会員であることなどを確認しつつ不動産屋を選ぶのが良いでしょう。

ただし、ご紹介した内容が不動産屋の選び方の全てではありません。

良い不動産屋を選ぶ最大の秘訣は、1件でも多くの不動産屋をまわりつつ多数の不動産業者と会話し、自分なりの不動産屋を見る目を鍛えることです。

なお、 不動産屋にメールや電話で問い合わせを入れ、返事がなかったり応対が悪いことがありますが、それは関係ありません。

たとえば、メールで問い合わせを入れたものの返事がなく、電話で問い合わせると、こちらが名乗っていないにもかかわらず、「あっ、メールをいただいた倉田さんですね。忙しくて返事ができませんでした、大変申し訳ありません。」など、丁寧に詫びられることがあります。

また、電話で問い合わせを入れると対応が悪く、大丈夫かと心配しつつ会ってみると、実に人柄の良い不動産屋の方が何人もいらっしゃいました。

不動産屋の選び方として態度の悪さは関係ない

反対に、電話で問い合わせを入れると愛想が良く、高速道路に乗り宿泊費を掛けつつ遠方まで物件を見学に行ったものの、事前に聞いていた内容と物件の条件が全く異なることもありました。

電話の態度の良い不動産屋が決して信用できるわけではない

つまり、不動産屋は、メールの返事や電話の態度の良し悪しは関係ないというわけです。

よって、不動産屋を探す際は、メールや電話での応対が悪いといってその不動産屋を切り捨てず、実際に顔を合わせつつ会話し、不動産屋の人柄を感じることが大切です。

記事公開日:2020年3月

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