中古住宅は値引きできる?値下げしやすい物件の特徴

中古住宅は値引きできる?

中古住宅は値段交渉が可能であり、売主が納得すれば値引きできます。

値引き率は1割~2割などといわれますが、ときには500万円引きなど、限界を超えた価格で購入することも可能です。

しかし、しつこく値下げ交渉をすると売主の機嫌を損ね、その中古住宅を買いそびれることもあります。

中古住宅の購入を希望する方へ向けて、どれくらい値切れるか、おすすめの交渉術、交渉に失敗するとどうなるか、値引きしやすい物件の特徴、値引き交渉に失敗した筆者の体験談をご紹介しましょう。

目次

1. 値引き率は1~2割が通例

冒頭でご紹介したとおり、中古住宅は値引きが可能です。

どれくらい値下げできるかは売主によって異なりますが、一般的な値引き率は1割~2割程度です。

中古住宅の値引き率は1~2割程度

売主が応じればそれ以上の値引きが可能ですが、限界を超えた値引き交渉は失敗のもとであり、売主の機嫌を損ねると購入自体を断わられることも珍しくありません。

よって、本気で購入したい中古住宅の値引き交渉は、1割~2割引き程度に抑えるのが良いでしょう。

反対に、安ければ買いたいと希望する中古住宅であれば、500万円引きや1,000万円引きなど、限界を超えた値下げを迫るのも悪くはありません。

なお、値下げ交渉は、その中古住宅を仲介する不動産業者に購入希望価格を伝え、不動産業者が売主と交渉するのが通例です。

そして、あまりに限界を超えた値下げ交渉を依頼すると不動産業者に愛想を尽かされることがあるため注意してください。

特に、住宅ローンでの決済を希望し、資金を借り入れることができるか判明しない状態で限界を超えた値引きを迫っても、不動産業者が本腰を入れて売主と交渉をしてくれないことがあります。

限界を超えた値引きを希望する場合は、現金一括払いなど、手持ちの資金が多い状態で行うのが理想です。

そうすれば、不動産業者も本腰を入れて売主と値引き交渉を行ってくれます。

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2. 値引き交渉術

中古住宅には様々な値引き交渉術がありますが、その中古住宅の瑕疵(欠陥)を発見し、それを材料に交渉するのが有効です。

たとえば、中古住宅の天井を確認しつつ雨漏りの跡が発見されれば、それを理由に修理費用分の値下げを交渉するのが良いでしょう。

中古住宅によくある瑕疵は以下のとおりです。

中古住宅の値引き交渉の材料となる瑕疵

  • 屋根材や雨どいの破損
  • 天井や壁、サッシの隙間などからの雨漏り
  • 外壁材の剥がれやひび割れ
  • 壁紙からのタバコやペットのにおい
  • 湿気やシロアリによる床材の腐朽
  • 地震や経年劣化による基礎のひび割れ
  • 換気ダクトの接続不良
  • 中古マンションの場合は上階からの漏水
  • 中古マンションの場合は自室の給排水管からの漏水

中古住宅を見学する際は上記の瑕疵を探し、修繕費用を必要とする箇所が見つかればそれを値下げ交渉の材料にしてください。

一時金を請求される大規模修繕が間近に迫った中古マンションを購入する場合は、それを理由に値引きを迫るのも悪くはありません。

また、中古住宅の値引き交渉は、その物件を仲介する不動産業者に購入希望額を伝え、不動産業者が売主と交渉するのが通例です。

よって、最大の値引き交渉術は、値下げ交渉を得意とする不動産業者が仲介する中古住宅を探すことにあります。

中古住宅の値引き交渉術

値下げ交渉を得意とするのは、どちらかというと年季が入ったベテランの不動産業者です。

その不動産業者がベテランであるか否かは、会社情報に記されている宅地建物取引業の免許の更新回数を見れば確認できます。

不動産業者の会社情報を確認すると、以下のようなカッコに囲まれた数字が記されていますが、その数字が更新回数であり、数字が大きいほどベテランです。

ベテランの不動産業者を見分ける方法

ただし、その不動産業者が取り扱う中古住宅の価格が、どの物件も相場より高い場合は注意してください。

相場より高く中古住宅を仲介する不動産業者は、品質が高い物件を適正価格で仲介することをモットーとし、安易な値下げ交渉を請け負ってくれないことがあります。

そして、中古住宅の値引きを希望する際は、その物件を見学する際に不動産業者に「どれくらい値切れそうですか?」などと質問しつつ様子を伺ってください。

できる不動産業者は売主の性格を知り、どの程度の値引き交渉に応じるか把握し、予め売主から値下げ可能額を聞いていることもあります。

そして、「1,500万円なら購入する」など、不動産業者に具体的な購入希望額を伝えてください。

「もう少し安ければ購入する」などの抽象的な表現は、値引き交渉術として効果的ではありません。

なお、具体的な購入希望額を不動産業者に伝えるのは、購入申し込みを行う際が理想です。

購入申し込みとは、その不動産を購入する意思があることを売主に伝える申し込みであり、不動産業者を通しつつ購入希望額などを記入した書面を売主に提出することにより完了します。

購入申し込みはキャンセルが可能であり、キャンセル料も発生しません。

中古住宅を購入する流れと、購入申し込みを行うタイミングは以下のとおりです。

中古住宅を購入する流れと購入申し込みのタイミング

  • 1. 物件探しと見学
  • 2. 理想の物件が見つかれば、その物件を仲介する不動産業者を通しつつ売主に購入申し込みを行う
  • 3. 売主が購入申し込みに承諾すれば、不動産業者と仲介契約を結ぶ
  • 4. 不動産業者から重要事項説明を受ける
  • 5. 売主と売買契約を結び、売主に手付金を支払う
  • 6. 銀行に住宅ローンの仮審査を申し込む
  • 7. 仮審査が通れば本審査を申し込む
  • 8. 本審査に通れば融資が実行される
  • 9. 売主への残金と不動産業者への仲介手数料を支払う
  • 10. 中古住宅が引き渡され所有権移転登記(名義変更)が行われる

現金で中古住宅を購入する場合は6、7、8の手順は不要

中古住宅は上記の流れで購入し、購入申し込みを行うのは2の時点となっています。

中古住宅の値引き交渉は、不動産業者による売主への説得が欠かせません。

よって、最大の値引き交渉術は、値引き交渉を得意とする不動産業者を探すことにあります。

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3. 値引きに失敗するとどうなる?

中古住宅は値引きできますが、限界を超えた値下げを迫りつつ交渉に失敗すると、その物件を購入できなくなる場合があるため注意してください。

多くの売主は、自分が売りに出す中古住宅の状態を把握し、価値に見合った価格を付けていますが、中には新築が建つほどの値段を付ける方もいらっしゃいます。

中古住宅に新築が建つほどの値段を付ける売主の方はプライドが高いことがあり、過度の値引きを迫ると機嫌を損ね、値下げ交渉はおろか購入自体が危うくなることも珍しくありません。

このような理由による値引き交渉の失敗を防ぐには、その中古住宅を仲介する不動産業者と相談しつつ値下げ交渉をすることが大切です。

中古住宅を仲介する不動産業者は、売主の性格や気性を把握し、どの程度の値引きであれば交渉できるか把握しています。

また、不動産業者によっては、予め売主から値引きに応じる額を聞いている場合もあります。

よって、中古住宅の値引き交渉を行う際は、その物件を仲介する不動産業者と相談しつつ交渉するように心がけてください。

そうすれば、値引き交渉に失敗するリスクを減らすことが可能です。

値引きできるか否かは、その中古住宅を仲介する不動産業者の腕前次第といっても過言ではありません。

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4. 値引きしやすい中古住宅

中古住宅は、値引きが可能です。

しかし、限界を超えた値下げ交渉は失敗のもとであり、売主の機嫌を損ねると中古住宅を買いそびれることもあります。

ここから、限界を超えた交渉ができるなど、思い切った値下げ交渉ができる中古住宅の特徴をご紹介しましょう。

長く売りに出されている中古住宅

アットホームなどの不動産検索サイトで中古住宅を探すと、いつまでも売りに出されているなかなか売れない物件を見かけます。

売れない中古住宅は値引きしやすい

そのような中古住宅は人気がないことの表われであり、値下げ交渉が容易で値引きしやすいのが通例です。

ただし、長く売りに出されている中古住宅は、相応の瑕疵(欠陥)が隠れていることがあるため注意してください。

たとえば、法的な理由により再建築できない、近隣に好ましくない施設があるなどの理由が考えられます。

なかなか売れない中古住宅は、細心の注意を払いつつ購入しなければなりません。

出戻りの中古住宅

3~4年など長く不動産を探し続けると、一度売れたにもかかわらず再び売りに出されている「出戻りの中古住宅」を見かけます。

そのような中古住宅は、誰かが購入したものの何らかの瑕疵(欠陥)が見つかり再び売りに出されている物件です。

そのような出戻りの中古住宅は値引き交渉がしやすく、限界を超えた値引きが期待できます。

ただし、出戻りの中古住宅は、再び売りに出されるだけの理由があります。

その理由が売主の一身上の都合などであれば問題はありませんが、建物や土地に瑕疵がある場合は見過ごせないため注意してください。

たとえば、田や畑を埋め立てつつ建築された中古住宅は、晴れの日は見栄えが良くても雨が降ると大きな水たまりができるなどの瑕疵があることがあります。

出戻りの中古住宅は、再度売りに出される理由を調査しつつ慎重に購入しなくてはなりません。

売主が売り急ぐ中古住宅

売主が何らかの理由で売り急ぐ中古住宅は、値引き交渉が容易です。

また、売主が住みながらにして売りに出す中古住宅も売り急いでいることが多く、値段交渉しやすい物件といえます。

ただし、限界を超えた値引きを迫ると失礼であり、売主の方のプライドを傷つけることがあるため注意してください。

再建築できない中古住宅

市街化調整区域(都市計画法により建築できないと指定された区域)に建築された一戸建ての中古住宅は、一部例外を除き建て替えできません。

また、市街地に位置する接道していない土地に建てられた中古住宅も緊急車両が出入りできないことなどを理由に再建築できないことがあります。

このような中古住宅を「再建築不可」などと呼び、再建築不可の物件は買い手が付きにくく、値引き交渉が容易で限界を超えた値下げが期待できます。

なお、再建築できない中古住宅は建て替えできませんが、リフォームは可能です。

最近のリフォーム技術は優秀であり、老朽化した中古住宅を新築のように再生できるため、再建築不可の中古住宅を値引きしつつ購入してリフォームするのも悪くはありません。

ただし、銀行が独自に商品化する住宅ローンで中古住宅を購入したいと希望する場合は、再建築できない物件は要注意です。

理由は、銀行が独自に商品化する住宅ローンは、再建築できない中古住宅を購入する場合は審査に落ちる可能性が高くなるためです。

銀行が住宅ローンを貸し出す際は、購入する物件を担保に取り、借主が返済を滞らせれば物件を売却しつつ返済金に充当します。

しかし、再建築できない中古住宅は人気が低く、貸し出した金額と同等の額で売却できない虞があります。

再建築できない中古住宅は住宅ローンの審査にとおりにくい

よって、再建築できない中古住宅を購入することを目的に銀行が独自に貸し出す住宅ローンの審査を受けても、通らない可能性があるため注意してください。

住宅ローンを利用しつつ市街化調整区域に建つ中古住宅や、再建築できない中古住宅の購入を希望する場合は、フラット35を検討するのが良いでしょう

フラット35とは、銀行と住宅金融支援機構が協調して貸し出す国民的な住宅ローンであり、市街化調整区域に建つ中古住宅や、再建築できない物件を購入する場合も比較的審査に通りやすくなっています。

借地権の中古住宅

借地権とは、土地を借り、借りた土地に家を建てるなどして利用できる権利です。

借地権の土地は定期的に地代(借り賃)を支払う必要があるため、どちらかというと不人気です。

そのため、借地権付きの中古住宅は値引き交渉しやすいといえます。

ただし、立地条件が良い場所に建つ借地権付きの中古住宅は人気が高いことがあり、それに該当する物件は値引きが難しいため注意してください。

ちなみに、誰でもわかる不動産売買では、借地権をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

借地権により建築された中古住宅の購入を検討される方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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借地権とは?わかりやすく解説

築年数が古い中古マンション

鉄筋コンクリート造りの中古マンションの法定耐用年数は47年です。

この耐用年数は減価償却費を計算するために設けられた税制上の耐用年数であり、実際は60年程度は居住できますが、築年数が古い中古マンションは建て替え時期が迫っていることに変わりはありません。

マンションの建て替えは、大多数の住人の同意と莫大な費用が必要なため困難を極めます。

よって、築年数が古い中古マンションの購入を希望する場合は、建て替え時期が近いことを訴えれば比較的容易に値段交渉ができます。

ただし、築50年などを超える中古マンションを購入すると、住んで早々に建て替えを迫られる可能性があるため注意してください。

また、あまりに築年数が古い中古マンションの購入を希望すると、住宅ローンの審査に通らないことがあるため重ねて注意してください。

傷みが激しい中古住宅

中古住宅を見学すると「このままでは住めない」と感じるほど傷んでいる物件があります。

傷みが激しい中古住宅は、物件価格と同額程度のリフォーム費用が掛かることも珍しくありません。

特に水回りのリフォームは50万円を超える費用が掛かるなど高額になりがちです。

そのような傷みが激しい中古住宅は、売主に「老朽化が激しくリフォーム費用が高く付く」と伝えれば値段交渉が容易です。

売主に思い入れがない中古住宅

親が住んでいた住宅を離れて暮らす子が相続し、持て余すなどの理由で売りに出されている中古住宅は、売主が不動産に対する思い入れがありません。

思い入れがない中古住宅は値引き交渉がしやすく、限界を超えた値下げが期待できます。

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5. 値引きが難しい中古住宅

中古住宅は値引き交渉が可能であり、時には限界を超えた値下げも期待できますが、交渉自体を避けた方が良い物件もあります。

ここから、値引き交渉が難しい中古住宅をご紹介しましょう。

人気の中古住宅

築浅で傷みが少なく、適正価格の中古住宅は間違いなく人気物件です。

また、立地条件が良い中古住宅や、日当たりが良い物件なども人気であり、大抵は問い合わせが殺到しています。

そのような中古住宅は競争しつつ購入することとなるため、値引きはおろか値段交渉すら難しいといえます。

売りに出されて間もない中古住宅

売りに出されて間もない中古住宅は、売主が自分の物件に人気があるか把握できず、様子を窺っています。

そのような中古住宅に限界を超えた値引きを迫ると売主が動揺し、大抵の場合は断られてしまいます。

そのため、売りに出されて間もない中古住宅の購入を希望する場合は、値引き交渉は控えめにすることが大切です。

売主が売り急いでいない中古住宅

売主に経済的な余裕があり、「売れるなら売れたら良い」などの気持ちで売りに出す中古住宅は値引きが難しいといえます。

とはいうものの、まったく値下げ交渉ができないというわけではありません。

値引き率を1割程度に抑え、「仲介手数料が浮けば助かる」くらいの気持ちで値下げ交渉すれば値引きに応じてくれることもあります。

売主のプライドが高い中古住宅

バブルの頃に不動産は「持っていれば値段が上がり続け、必ず買ったときより高く売れる」といわれ、投資対象として売買されました。

バブルが弾けて不動産の価値は大きく下落しましたが、「それでもまだまだ高く売れる」と信じる売主の方が大勢いらっしゃいます。

そのような方が売りに出す中古住宅は、値引きはおろか値下げ交渉すら危険であり、値引きを迫ると売主が機嫌を損ねてしまい、売却自体を断られることもあります。

売主がどのような趣旨で中古住宅を売りに出しているかは、その物件を仲介する不動産業者に聞けばわかります。

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まとめ - 値下げ交渉に失敗した筆者の苦い思い出

中古住宅の購入を希望する方へ向けて、どれくらい値切れるか、おすすめの交渉術、交渉に失敗するとどうなるか、値引きしやすい物件の特徴などをご紹介しました。

大抵の中古住宅は、1割程度の値引きが可能です。

値引きされることを考慮しつつ、一割程度を上乗せした価格を設定している中古住宅も珍しくありません。

そのため、中古住宅を購入する際は、余程人気がある物件ではない限り値引き交渉をするのが良いでしょう。

ただし、限界を超えた値下げ交渉は売主の方に失礼であり、売主のプライドを傷つけると値引きはおろか、購入すら危うくなるため注意してください。

ちなみに、私も不動産を購入する際は必ず値引き交渉を行いますが、中古住宅を半額程度で購入した経験があります。

反対に、限界を超えた値引き交渉により売主の方を怒らせてしまい、物件を購入できず不動産業者の方に迷惑をかけた苦い思い出もあります。

皆さん、限界を超えた値引き交渉は是非ご注意ください。

最終更新日:2021年2月
記事公開日:2019年4月

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