重要事項説明書とは?不動産売買の重要事項説明を解説

重要事項説明書とは、不動産を購入する際などに不動産業者から交付される、その不動産の詳細がまとめられた書面です。
重要事項説明書をわかりやすく解説し、事前にもらうことができるか、ない場合の対処法、再発行は可能かなどご紹介しましょう。
なお、重要事項説明書は不動産を借りる際にも交付されますが、ご紹介するのは、不動産を購入する際の重要事項説明書に関することのため注意してください。
目次
- 1. 重要事項説明書とは、不動産の詳細がまとめられた書面
- 重要事項説明書の見本
- 2. 事前にもらうことはできる?
- 3. 重要事項説明書がない、再発行できる?
- 4. もらってない時の対処法
- まとめ - 重要事項説明書は、売主も請求できる
1. 重要事項説明書とは、不動産の詳細がまとめられた書面
それでは、重要事項説明書をわかりやすく解説しましょう。
その前に、重要事項説明書という不動産用語に含まれる「重要事項説明」を理解してください。
売りに出されている不動産は、以下の2つに大きく分類されます。
- 1. 不動産業者が直接販売する不動産(新築の一戸建てや分譲マンションなど)
- 2. 不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す不動産(中古住宅や土地など)
そして、重要事項説明とは、1の不動産を購入する場合は売主である不動産業者から、2の不動産を購入する場合は仲介する不動産業者から受ける、その不動産に関する説明です。
重要事項説明は、不動産が引き渡された後に「聞いた・聞いていない」「言った・言わない」など、買主と売主、その不動産を販売、または仲介した不動産業者が争いになることを防ぐために実施されます。

重要事項説明は口頭にて行われ、場合によっては60分から90分など長時間に及び、主な説明事項は以下のとおりです。
重要事項説明の主な説明事項
- 購入する不動産の現時点での所有者に関すること
- 土地を購入する場合は建築できる・できない、建物を購入する場合は建て替えできる・できないなど、その不動産が受ける法的な制限に関すること
- 公道に接する・私道に接するなど、その不動産の接道状況に関すること
- 水道管や下水道管、電気、ガスの引き込み状況に関すること
- 造成中の土地を購入する場合は、造成完了後の形状に関すること
- マンションの一戸を購入する場合は、そのマンションが建つ敷地を利用する権利に関すること
- 中古住宅を購入する場合は、その建物の現状に関すること
- 中古住宅を購入する場合は、設計図や点検記録の有無に関すること
- その不動産の売買価格に関すること
- その不動産の売買契約を解除する方法に関すること
- その不動産の売買契約を解除する場合における違約金に関すること
- 売主と手付金をやり取りしつつ不動産を購入する場合は、手付金の使用用途に関すること
- 購入する不動産の品質が売買契約の内容に適合しない場合における保証に関すること
以上が重要事項説明の主な内容であり、どれも重要です。
そして、この記事のテーマである重要事項説明書とは、重要事項説明をまとめた書面です。

不動産の買主が重要事項説明に納得すれば、その内容をまとめた重要事項説明書に署名捺印し、重要事項説明は完了します。
国土交通省が公開する、重要事項説明書の見本は以下のとおりです。
重要事項説明書の見本

なお、先にご紹介したとおり重要事項説明は、不動産が売買された後に「聞いた・聞いていない」「言った・言わない」などと当事者が争いになることを防ぐために実施されます。
そのため、重要事項説明は、買主と売主が売買契約を締結する前に行われるため留意してください。
不動産を購入する主な流れは以下のとおりです。
不動産を購入する主な流れ
- 1. 理想の不動産を探す
- 2. 理想の不動産が見つかり次第、売主に購入を申し込む
- 3. 売主が購入の申し込みに承諾すれば、その不動産を販売、または仲介する不動産業者から重要事項説明を受け、内容に納得すれば重要事項説明書に署名捺印する
- 4. その不動産の売主と売買契約を結び、場合によっては手付金を支払う
- 5. 住宅ローンを利用する場合は、審査に申し込む
- 6. 審査に通るなどして物件代金が用意できれば、売主に支払う
- 7. 名義変更などを行いつつ不動産が引き渡される
※ 上記は主な流れであり、状況によって順序や内容が変更されることがある
上記が不動産を購入する主な流れであり、重要事項説明や重要事項説明書への署名捺印は、その不動産の売主と売買契約を締結する前に行います。
2. 事前にもらうことはできる?
重要事項説明書は、その不動産を販売、または仲介する不動産業者に請求することにより、事前にコピーをもらうことが可能です。
重要事項説明書とは、不動産の売買後に売主と買主、不動産を販売、または仲介した不動産業者が、聞いた・聞いていないなどと争いになることを防ぐために作成される重要な書面です。
そのため、重要事項説明書の内容は複雑であり、不動産をはじめて購入される方が、初見で全ての内容を把握するのは不可能です。
よって、重要事項説明を受ける際は、1週間前などに重要事項説明書のコピーを請求するのが当然であり、大抵の不動産業者は、郵送やFAX、メールへのPDFファイルの添付などにより応じます。
多忙などを理由に不動産業者が重要事項説明書のコピーの事前交付を拒否する場合は、重要事項説明を延期するのが良いでしょう。

重要事項説明書に署名捺印しつつ不動産を購入すれば、重要事項説明書の内容に全て同意した上で購入したこととなります。
このため、重要事項説明を受ける際は、その時にはじめて重要事項説明書を見るようなことは避け、事前にコピーをもらうなどしつつ内容を熟読し、全てに納得した場合に限り署名捺印してください。
不動産売買で失敗する方の多くは、重要事項説明書への署名捺印を軽んじています。
3. 重要事項説明書がない、再発行できる?
重要事項説明書とは、不動産を購入する際などに不動産業者から交付される、その不動産の詳細がまとめられた書面です。
そして、住宅ローンを利用する際や、住宅ローンを借り換える際は、審査時に重要事項説明書のコピーの提出を求められます。
そのような理由で重要事項説明書を必要とするものの紛失するなどして見当たらない場合は、重要事項説明書を交付した不動産業者にご相談ください。
重要事項説明書は、不動産を売買した当事者と、その不動産を販売や仲介した不動産業者が後にトラブルになることを防ぐために作成されます。
よって、多くの不動産業者は、買主に交付した重要事項説明書を5年、または10年間などにわたり保管しています。
重要事項説明書の再発行は難しいものの、大抵の不動産業者はコピーであれば交付に応じてくれるはずです。

不動産業者が重要事項説明書を保管していない場合は、重要事項説明書の提示を求める相手に紛失したことを伝え、代替手段がないか相談するのが良いでしょう。
なお、重要事項説明書が交付されるのは、公に営業する不動産業者から不動産を購入した場合、または公に営業する不動産業者を仲介させつつ不動産を購入した場合のみです。
そのため、不動産業者を仲介させない個人間売買などで不動産を購入した場合は、そもそも重要事項説明書がないため留意してください。
4. もらってない時の対処法
重要事項説明書とは、不動産を購入する際に不動産業者から交付される、その不動産の詳細がまとめられた書面です。
重要事項説明書は、不動産の引き渡し後に売主と買主、不動産業者が「聞いた・聞いていない」「言った・言わない」と争いになることを防ぐために交付されます。
よって、重要事項説明書は大切ですが、もし不動産を売買したものの重要事項説明書が交付されなかった、もらってないと戸惑う場合は、以下に該当しないかご確認ください。
重要事項説明書をもらっていないときの確認事項
- 売主ではないか?
- 不動産が売買される際の重要事項説明書は、一部例外を除き、不動産の買主のみに交付されます。
よって、重要事項説明書をもらってないと戸惑う場合は、ご自身が売主ではないかご確認ください。 - 個人間売買ではないか?
- 重要事項説明書は、宅地建物取引士のみが交付することが可能であり、宅地建物取引士は主に不動産業者として活動しています。
よって、不動産を売買したものの重要事項説明書をもらってないと戸惑う場合は、不動産業者が販売、または不動産業者が仲介する不動産を購入したかご確認ください。
不動産業者や宅地建物取引士が関わらない個人間売買などで不動産を購入した場合は、重要事項説明書は交付されません。
不動産を売買したものの重要事項説明書をもらってないと戸惑う場合は、上記の2つに該当しないかご確認ください。
もし、上記の2つに該当しない場合は、不動産業者に重要事項説明書を交付したか問い合わせるのが良いでしょう。
なお、不動産業者が販売や仲介する不動産を購入したものの重要事項説明書が交付されなかった場合は、その不動産業者が所属する「公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会」や「公益社団法人全日本不動産協会」などの不動産協会、またはその不動産業者の事務所が所在する地域を管轄する都道府県役場にご相談ください。
良いアドバイスが期待できます。
これは、不動産業者が販売する、または仲介する不動産を購入したものの重要事項説明を受けてないと戸惑う場合も同じであり、その不動産業者が所属する不動産協会などに相談することにより、良いアドバイスを受けることが可能です。
まとめ - 重要事項説明書は、売主も請求できる
重要事項説明書をわかりやすく解説しました。
不動産を購入する際は、その不動産を販売、または仲介する不動産業者から、その不動産に関する説明を受けます。
これを重要事項説明と呼び、重要事項説明書とは、重要事項説明をまとめた書面です。
重要事項説明は、重要事項説明書に署名捺印することにより完了し、署名捺印すれば、その内容に同意しつつ不動産を購入することとなります。
よって、重要事項説明が行われる当日に重要事項説明書を初めて見るようなことは避け、コピーを入手するなどして、事前に内容を把握しておくことが大切です。
重要事項説明書を紛失した場合は、再発行は難しいものの、重要事項説明を行った不動産業者に問い合わせることによりコピーを入手できる可能性があります。
ただし、不動産業者が関わらない個人間売買などで不動産を購入した場合は、そもそも重要事項説明書が存在しないため注意してください。
重要事項説明書を交付できるのは宅地建物取引士のみであり、宅地建物取引士は主に不動産業者として活動しています。
なお、重要事項説明書は、宅地建物取引業法という法律の第三十五条に則りつつ交付されますが、同法律では、買主への重要事項説明書の交付のみが義務付けられています。
よって、不動産を売買する際は、買主のみに重要事項説明書が交付されるのが通例ですが、売主の方が重要事項説明の実施や、重要事項説明書の交付を希望しても構いません。
重要事項説明書は、不動産が引き渡された後に当事者が、聞いた・聞いていないなどと争いになることを防ぐために交付されるため、売主の方も内容を把握しておくのが理想です。
重要事項説明の実施や重要事項説明書の交付を希望される売主の方がいらっしゃいましたら、不動産業者にご請求ください。
ご紹介した内容が、不動産を売買される皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2020年8月
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