登記とは?費用・義務化・手続きを図解でわかりやすく解説

登記とは?費用・義務化・手続きを図解でわかりやすく解説

「登記とは何か、わかりやすく知りたい」と調べている方も多いのではないでしょうか。不動産の購入や相続の手続きを進めるなかで、見積書や書類に「登記」という言葉が出てきて戸惑った経験をお持ちの方は少なくありません。

この記事では、登記の意味と目的、種類、必要になる場面、費用の相場と内訳、手続きの流れを図解や表を交えて解説します。2024年に施行された相続登記の義務化と、2026年4月に施行された住所変更登記の義務化についても取り上げます。

不動産に初めて関わる方でも理解できる内容ですので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 登記とは?登記簿に記録する公示制度のこと

不動産の売買や相続の場面で必ずといっていいほど登場する「登記」という言葉ですが、その意味を正確に理解している方は多くありません。

はじめに、登記とは何か、なぜ登記が必要なのか、そして混同されやすい「登録」との違いについて解説します。

登記の基本的な意味と目的を把握しておけば、不動産を売買する際の手続きや費用に関する理解が深まります。

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1-1. 登記が必要な理由を図解でわかりやすく解説

登記とは、不動産の所有者などに関する情報を公の登記簿という帳簿に記録し、誰でも確認できる状態にする行為です。

土地や建物は品物とは異なり、所有者の名前を直接書き記すことができません。財布や時計であれば名前を刻んだり、レシートを保管したりすることで「自分のものだ」と示せますが、土地に直接名前を刻むことは不可能ですし、建物に表札を出しただけでは、法的な所有権の証明にはなりません。

そこで、国が管理する帳簿に「この土地の所有者は誰で、どのような権利関係にあるか」を記録し、誰もが確認できるようにする仕組みが整備されました。これこそが「登記制度」という仕組みです。

登記していない場合に生じる問題

登記をしていないと、たとえ実際の所有者であっても第三者に対して所有権を主張できないケースがあります。

登記が重要となる場面は様々ですが、たとえば、二重売買が起きた場合などが挙げられます。

不動産の二重売買とは、売主が1つの物件を2人の買主(たとえばAさんとBさん)の両方に売ってしまうことを指します。その行為は常識を逸脱していますが、民法の第176条の規定により、この行為が可能です。

しかし、先に売買契約を結んで代金の支払いを済ませた買主がきちんと登記をすれば、二重売買を防ぐことができます。登記は「権利を守るための公的な宣言」とお考えください。

なお、登記簿は法務省の管轄のもと法務局が管理しており、手数料を支払えば誰でも内容を閲覧・取得できます。登記とは、不動産の所有者が自らの権利を法的に守るために欠かせない制度です。

不動産登記がある場合とない場合の所有権主張の違いを図解した比較イラスト

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1-2. 登記と登録の違いとは?

「登記」と混同される言葉に「登録」があります。「登記」と「登録」は、目的と管轄機関が異なる別々の制度であり、法律上は明確に区別されています。

登記とは、私法上の権利(所有権・抵当権など)を第三者に公示することを目的とする制度を指します。管轄は法務省であり、手続きは法務局で行われます。

一方、登録とは、行政上の管理や許可を目的とするものを指します。自動車登録(国土交通省)・商標登録(特許庁)・医師登録(厚生労働省)などが代表例です。

簡潔に整理すると、登記は「誰がこの不動産の権利を持っているか」を公に示すものであり、登録は「この物や資格が正式に認められているか」を行政が管理するものとお考えください。

不動産や会社については「登記」という制度で権利を守り、自動車や知的財産などは「登録」という制度で管理や権利の保護が行われています。一部の登録(自動車など)には登記と同様の権利保護の仕組みがありますが、一般的に不動産に関しては「登記」という言葉が使われます。

「登記」は権利の公示、「登録」は行政上の管理が主な目的です。

登記と登録の違い一覧

比較項目 登記 登録
主な目的 私権(所有権・抵当権など)の公示 行政上の管理・許可・資格の認定
管轄機関 法務局(法務省) 各省庁・都道府県など(対象により異なる)
主な対象の例 不動産・船舶・法人・商業など 自動車・商標・医師・宅地建物取引士など
根拠法の例 不動産登記法・商業登記法など 道路運送車両法・商標法・医師法など

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2. 不動産登記の種類と内容をわかりやすく解説

不動産登記にはいくつかの種類があり、状況に応じて行うべき登記が異なります。「どの種類の登記が、どのような場面で必要になるのか」を把握しておくと、実際の手続きの際に慌てずに済みます。

ここからは、売買・相続・新築などシーン別に必要な登記の種類と、登記記録の構造(表題部・甲区・乙区)を解説します。

それらを理解しておけば、登記が必要となる状況において、「自分はどの登記をすればよいのか」判断できるようになります。

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2-1. 表示に関する登記(表題登記)とは

表題登記とは、不動産の物理的な状況(所在・構造・面積など)を、登記記録の「表題部」という箇所に記録する登記です。

不動産登記は「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2種類に大別されます。表題登記はそのうちの「表示に関する登記」にあたり、その不動産がどこにあり、どのような形状・規模・用途の土地や建物であるかを記録するものです。

表題登記は、新築された建物や、造成されるなどして完成した土地などの不動産に関する情報を記録する手続きであるため、「不動産の出生届」などとお考えになれば良いでしょう。

表題部に記録される情報

表題部に記録される情報は土地と建物で異なり、土地は主に以下のとおりです。

  • 所在: 土地が位置する市区町村・丁目
  • 地番: 土地に割り振られた番号(住所の「番地」とは異なる場合があります)
  • 地目: 土地の用途の区分(宅地・田・畑・雑種地など)
  • 地積: 土地の面積(㎡で表示)

建物の場合に記録される主な情報は以下のとおりです。

  • 所在・家屋番号: 建物が位置する場所と建物の番号
  • 種類: 建物の用途(居宅・店舗・事務所など)
  • 構造: 建物の建築方法・材料と階数(木造2階建など)
  • 床面積: 各階の床面積(㎡で表示)
  • 新築年月日: 建物が完成した年月日
土地の登記事項証明書の表題部の見方を図解(所在・地番・地目・地積の意味と位置を説明) 建物の登記事項証明書の表題部の見方を図解(種類・構造・床面積の意味と位置を説明)

申請義務と罰則

表題登記には、申請義務があります。新築した建物については、完成した日から1か月以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。

費用と依頼先の専門家

表題登記は測量や図面の作成を伴うことが多いため、主に土地家屋調査士が代行します。費用の相場はおおむね8万〜12万円程度です。自分で申請することも法律上は可能ですが、専門的な図面の作成が必要になるため難易度は高めです。

私も住宅を新築して自分で建物の表題登記を行った経験がありますが、その際は合計3回ほど法務局に通いました。地方在住のため法務局まで車で片道1時間ほどかかり、往復で合計6時間も移動に費やしたのです。

今となっては良い思い出ですが、当時は疲れ果てました。

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2-2. 権利に関する登記(甲区・乙区)とは

権利に関する登記とは、不動産の所有権やその他の権利関係を「権利部(甲区・乙区)」に記録する登記です。

本記事の2-1で解説した表題登記が不動産の「形状・規模・用途」を記録するものであるのに対し、権利に関する登記は「その不動産が誰のものか」「どのような権利が設定されているか」を記録するものです。

多くの場合は申請義務がありませんが(相続登記および住所・氏名変更登記を除く)、登記をしなければ第三者に権利を主張できなくなるため、事実上必須の手続きといえます。

権利部は「甲区」と「乙区」の2つに区分されており、それぞれ記録される内容が異なります。

甲区|所有権に関する情報

甲区には所有権に関する情報が記録されます。具体的には、所有者の氏名・住所・不動産を取得した日・取得の原因(売買・相続・贈与など)が明記されます。

過去の所有権の変遷もすべて記録されるため、「誰から誰に、いつ渡ったか」という所有権の履歴を確認できます。

なお、ローンの返済が滞った場合などに裁判所の命令によって不動産を強制的に換価処分できる状態にする「差押え」が行われた場合も、その内容が甲区に記録されます。購入を検討している不動産に差押えが入っていないかは、事前に必ず確認すべき事項です。

乙区|所有権以外の権利に関する情報

乙区には、抵当権・地上権・地役権・賃借権など、所有権以外の権利が記録されます。

なかでも最もよく登場するのが「抵当権」です。抵当権とは、住宅ローンを利用するなどして資金を借入れて不動産を購入した際に、資金の貸主が「ローンの返済が滞った場合には不動産を売却して回収する」という権利を設定するものを指します。資金を借入れて住宅を購入すると金融機関によって抵当権が設定され、その内容が乙区に記録されます。

ちなみに、住宅ローンを利用して住宅を購入した状況においては、完済した後も抵当権の記録が残ります。これは、抵当権抹消登記という登記を行うことにより記録を消すことができますが、忘れずに抹消してください。

抵当権が記録されたままでは、不動産を売却しようとしても「買主がローンを組めない」「権利関係が不明確で買い手がつかない」といった事態になり、実質的に売却が不可能になります。

不動産登記の登記記録の構造(表題部・権利部甲区・乙区)をダミーデータ付きで図解

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2-3. 登記が必要になる具体的なシーン一覧

登記は「権利関係の変化を公示する制度」であるため、不動産の所有者や権利関係に変化が生じたときは、原則として登記が必要になります。具体的には、以下のような場面が該当します。

  • 新築を建てたとき: まず表題登記(義務)を行い、続いて所有権保存登記を行う
  • 中古住宅・土地を購入したとき: 所有権移転登記を行い、新しい所有者として記録する
  • 相続で不動産を取得したとき: 相続登記を行う(2024年4月から義務化)
  • 贈与で不動産を取得したとき: 所有権移転登記を行う
  • 住宅ローンを借り入れたとき: 金融機関が抵当権設定登記を行う
  • 住宅ローンを完済したとき: 抵当権抹消登記を行い、乙区の抵当権を消す
  • 引越しなどで住所が変わったとき: 住所変更登記を行う(2026年4月から義務化)

そして、登記が完了すると「登記識別情報通知」という書面が交付されます。登記識別情報通知とは、2005年の不動産登記法改正によって「登記済証(いわゆる権利証)」に代わって発行されるようになった書面を指し、12桁の英数字(登記識別情報)が記載されています。

12桁の英数字はシール(目隠しシール、または保護シール)で隠された状態で交付されますが、このシールは売却時まで剥がしてはいけない(または、剥がしてメモしたら厳重に管理する必要がある)ため注意してください。

詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開中の記事「登記識別情報通知とは?見本とイラスト付きでわかりやすく解説」をご覧ください。

登記は、権利関係が変わるたびに必要になります。自分がどの場面に該当するかを確認しておきましょう。

シーン別・必要な登記の種類まとめ

場面 必要な登記の種類 申請義務 主な申請者 代行できる専門家
新築を建てたとき 表題登記 あり(完成後1か月以内) 所有者 土地家屋調査士
新築を建てたとき 所有権保存登記 なし(事実上必須) 所有者 司法書士
中古住宅・土地を購入したとき 所有権移転登記 なし(事実上必須) 買主 司法書士
相続で不動産を取得したとき 相続登記 あり(3年以内)※1 相続人 司法書士
贈与で不動産を取得したとき 所有権移転登記 なし(事実上必須) 受贈者 司法書士
住宅ローンを借り入れたとき 抵当権設定登記 なし(金融機関が要求) 金融機関・所有者 司法書士
住宅ローンを完済したとき 抵当権抹消登記 なし(事実上必須) 所有者 司法書士
住所・氏名が変わったとき 住所変更登記 あり(2年以内)※2 所有者 司法書士

※1 2024年4月1日施行。相続を知った日から3年以内
※2 2026年4月1日施行。変更が生じた日から2年以内

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3. 登記しないとどうなる?義務化の内容と罰則を解説

不動産の登記を放置すると、所有権を第三者に主張できなくなるリスクがあります。さらに2024年以降は、登記を怠ることで罰則(過料)が科される可能性も生じました。

この章では、登記を放置した場合のシーン別リスクを整理したうえで、2024年4月に施行された相続登記の義務化と、2026年4月に施行された住所変更登記の義務化の内容・罰則・対応期限を解説します。

それらを把握しておけば、登記が必要となる方は過料のリスクを回避し、適切なタイミングで手続きを進めることができます。

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3-1. 登記を放置するとどうなる?シーン別リスク一覧

登記を放置すると、不動産の売却・相続・担保設定など、あらゆる不動産取引に深刻な支障が生じる可能性があります。

登記は「やらなくても直ちに何か起きるわけではない」と思われがちな手続きです。しかし、問題が生じたときに取り返しがつかなくなるケースが少なくありません。具体的なリスクをシーン別に確認します。

売却しようとしたとき

未登記のままでは、買主が購入を避けるケースがあります。権利関係が不明確な不動産は買主にとってリスクが大きく、住宅ローンを利用して購入しようとしても、金融機関が担保として認めにくい場合があります。

次の相続が発生したとき

登記されていない不動産が残っている状態で次の相続が発生すると、相続人の数が増え、権利関係がさらに複雑になります。たとえば、数十年にわたって相続登記を放置した結果、権利者が数十人にのぼるケースも実際に発生しています。

住所変更を放置したとき

登記簿上の住所と現住所が一致しない状態では、不動産の売却や相続の手続きで住所の変遷を証明する追加書類が必要になります。転居のたびに放置していると、過去の住所をさかのぼって証明する作業が困難になります。

二重売買が発生したとき

先に売買契約を結んで代金を支払っても、相手方が先に登記を済ませてしまうと所有権を失うリスクがあります。よって、登記を後回しにすることは、権利保全の観点からも危険です。

2024年以降:義務化による過料のリスク

2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科される可能性が生じました。義務化の詳細は次の「3-2」で解説します。

登記しない場合のシーン別リスク一覧

場面 登記しない場合に生じるリスク 深刻度
売却しようとしたとき 買主が購入を避ける・金融機関が担保として認めない
次の相続が発生したとき 権利者が増え、手続きが複雑化・長期化する
住所変更を放置したとき 売却・相続の手続きで追加書類が必要になる
二重売買が発生したとき 先に登記した相手方に所有権を失うリスクがある
相続登記を怠ったとき(2024年以降) 10万円以下の過料が科される可能性がある
住所変更登記を怠ったとき(2026年以降) 5万円以下の過料が科される可能性がある

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3-2. 相続登記の義務化(2024年4月)と罰則

2024年4月1日から、相続で不動産を取得した場合の登記申請が法律上の義務となりました。正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

これまで相続登記は任意の手続きであり、行わなくても直接の罰則はありませんでした。しかし、登記がされないまま放置された不動産が増え続け、所有者不明土地として公共事業や災害復興の妨げになっていたことを受け、不動産登記法が改正されました。

義務化の内容

  • 相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない
  • 遺産分割協議が成立した場合は、成立した日から3年以内に登記を申請しなければならない
  • 正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性がある

過去の相続分も対象

義務化の施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続についても、相続登記がされていない場合は義務化の対象となります。この場合の猶予期限は2027年3月31日です。長年放置していた相続不動産をお持ちの方は、早めの対応が必要です。

過料が科されるまでの流れ

申請義務に違反しても、直ちに過料が科されるわけではありません。法務局が義務違反を把握した場合、まず相続人に対して申請を行うよう催告します。催告を受けても正当な理由なく申請しなかった場合に、裁判所へ通知され、過料が決定されます。

すぐに登記できない場合の「相続人申告登記」制度

遺産分割協議がまとまらない、相続人が多く書類収集に時間がかかるなど、3年以内の登記申請が難しい場合は「相続人申告登記」を活用できます。相続人申告登記とは、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、登記申請義務を果たしたとみなされる制度を指します。

ただし、相続人申告登記はあくまでも暫定的な措置です。所有権を確定させるものではないため、遺産分割が成立した後は改めて正式な相続登記を行う必要があります。

登録免許税の免税措置(2027年3月31日まで)

相続登記を促進するため、以下の条件を満たす場合は土地の登録免許税が免除されます。この措置は2027年3月31日までの時限措置のため、該当する方は早めの申請を心がけてください。

  • 相続により土地を取得した者が、相続登記をしないまま亡くなった場合の登記
  • 市町村が作成する「固定資産課税台帳」に記されている価格(固定資産税評価額)が100万円以下の土地に係る相続登記

相続登記は2024年4月から義務化されています。施行前の相続分も2027年3月31日が猶予期限です。早めの確認と対応をお勧めします。

相続登記義務化の申請期限と過料発生までの流れを示したタイムライン図(2027年3月31日の猶予期限も記載)

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3-3. 住所変更登記の義務化(2026年4月)と罰則

2026年4月1日から、住所や氏名に変更があった場合の変更登記申請が義務化されました。変更から2年以内に申請しなければ、5万円以下の過料が科される可能性があります。

引越しや婚姻などで住所・氏名が変わった場合、登記簿上の情報を更新する「住所変更登記」または「氏名変更登記」が必要になります。これまでは任意の手続きでしたが、2026年4月1日の施行により法律上の義務となりました。

義務化の内容

  • 住所または氏名に変更が生じた場合、変更が生じた日から2年以内に変更登記を申請しなければならない
  • 正当な理由なく申請を怠った場合、5万円以下の過料が科される可能性がある

施行前の未登記分も対象

施行日(2026年4月1日)より前に住所変更をしていて登記を行っていない場合も対象となります。施行日から2年以内、すなわち2028年3月31日までに変更登記を行う必要があります。過去に引越しをしていて登記を放置している方は、早めに確認してください。

手続きの負担を軽減する「スマート変更登記」

住所変更のたびに申請する負担を軽減するため、「スマート変更登記(職権変更制度)」が2026年4月1日から導入されました。スマート変更登記とは、事前に法務局へ必要情報を登録しておくことで、引越し後に自分で変更登記を申請しなくても法務局が自動的に登記を更新する制度を指します。同制度を利用すれば、登録免許税はかかりません。

スマート変更登記の仕組みと利用する流れは、以下のとおりです。

  1. 事前に法務局へ氏名・生年月日・メールアドレスなどの「検索用情報」を登録する
  2. 引越し等で住所が変わる
  3. 法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と照合し、変更を検知する
  4. 法務局から所有者へ意思確認の連絡が届く(メールまたは書面)
  5. 所有者が承諾する(個人の場合のみ。法人は承諾不要で更新される)
  6. 法務局が職権で変更登記を実施(登録免許税不要)

なお、上記のとおり、スマート変更登記の利用には事前に「検索用情報」の申出が必要です。

申出の受付は2025年4月21日から開始されており、一定の登記申請の際に同時に申し出ることも、すでに登記名義人である方が別途申し出ることも可能です。申出は任意ですが、活用することで将来の手続きの負担を大幅に軽減できます。

スマート変更登記(職権変更制度)の仕組みを6ステップで示したフロー図

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3-4. 相続登記の義務化・あなたはどのケース?

相続登記の義務化は「いつ相続が発生したか」「遺産分割協議が成立しているか」によって、対応期限と手続きが異なります。

「自分はどのケースにあたるのか」と戸惑う方に向けて、状況別に対応期限と手続きを整理します。

ケース①:2024年4月1日以降に相続が発生した場合

相続の開始を知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請してください。遺産分割協議が成立した場合は、成立日から3年以内に登記が必要です。

ケース②:2024年4月1日より前に相続が発生し、未登記の場合

過去の相続分も義務化の対象となります。2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。数十年前の相続が未登記のままになっている場合も対象ですので、早めに確認してください。

ケース③:遺産分割協議が未完了の場合

遺産分割がまとまっていない場合でも、相続人申告登記によって暫定的に申請義務を果たすことができます。相続の開始を知った日から3年以内に相続人申告登記を行い、遺産分割が成立した後に改めて正式な相続登記を行ってください。

自分がどのケースに当てはまるかわからない場合や、手続きに不安がある場合は、司法書士または法務局の相談窓口に確認することをお勧めします。

いずれのケースも、早めの確認と対応が重要です。放置すると手続きがより複雑になります。

相続登記の義務化・ケース別の対応期限まとめ

あなたのケース 申請期限 暫定措置 備考
2024年4月1日以降に相続が発生した 相続を知った日から3年以内 相続人申告登記 遺産分割成立後は別途3年以内に正式登記が必要
2024年4月1日より前に相続が発生し未登記 2027年3月31日まで 相続人申告登記 過去の相続も対象
遺産分割協議が未完了 相続を知った日から3年以内に申告登記 相続人申告登記 協議成立後3年以内に正式登記が必要

登記義務化の内容・罰則・期限まとめ

登記の種類 施行日 申請期限 罰則(過料) 過去の未登記への適用
相続登記 2024年4月1日 相続を知った日から3年以内 10万円以下 対象(猶予期限:2027年3月31日)
住所・氏名変更登記 2026年4月1日 変更が生じた日から2年以内 5万円以下 対象(猶予期限:2028年3月31日)

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4. 不動産登記の費用はいくら?相場と内訳を解説

登記費用は「登録免許税」と「司法書士報酬」の2つで構成されます。どちらも金額が大きくなりやすく、資金計画に直結する情報です。

この章では、登録免許税の計算方法と具体的な計算例、司法書士報酬の目安、費用を支払うタイミングについて解説します。

内訳と相場を把握しておくことで、資金計画を立てる際の参考になるとともに、司法書士に依頼すべきかどうかの判断材料にもなります。

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4-1. 固定資産税評価額とは?登録免許税の計算方法

登録免許税とは、不動産の登記申請の際に国に納める税金であり、原則として以下のように「課税標準×税率」と計算します。

登録免許税の計算方法
課税標準×税率=登録免許税

式に含まれる課税標準とは、なんらかの税金が課される状況において税率を掛けるもととなる額であり、税目によって定義が異なる場合もあれば、共通している場合もあります。

登録免許税を計算する際の課税標準額は、既存の建物や土地であれば固定資産税評価額、新築建物の場合は「新築建物課税標準価格認定基準表を用いて計算した額」です。

登録免許税の計算方法「課税標準×税率=登録免許税」を図解で解説

つづいて、固定資産税評価額と「新築建物課税標準価格認定基準表を用いて計算した額」の詳細を解説します。

固定資産税評価額とは?

固定資産税評価額とは、市区町村が決定する不動産の評価額を指します。固定資産税や登録免許税などを計算する際の課税標準となる金額であり、実際の売買価格(時価)とは異なります。一般的に時価の6〜7割程度になることが多いとされています。

例を挙げると、市場で3,000万円で売買されている不動産であっても、固定資産税評価額は1,800万円〜2,100万円程度になるケースが多くなっています。

既存の建物や土地の固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。

  • 固定資産税・都市計画税納税通知書の課税明細書: 毎年4〜6月頃に市区町村から送付される通知書に「価格」や「評価額」などの名目で固定資産税評価額が記載されています
  • 固定資産税評価証明書: 固定資産税評価証明書とは所有する建物や土地の固定資産税評価額が記された書面であり、市区町村の窓口で取得できます。同証明書は、登記申請の際に必要書類として提出するのが通例です。

たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を売買により取得した場合、その所有権移転登記にかかる登録免許税は以下のように計算して40万円です。

登録免許税の計算例
課税標準(固定資産税評価額である2,000万円)×売買による所有権移転登記の税率(2.0%)=40万円

「新築建物課税標準価格認定基準表を用いて計算した額」とは?

新築の建物は、その固定資産税評価額がまだ評価されていません。固定資産税評価額の評価が完了して公示されるのは、その新築が完成した状態ではじめて迎えた1月1日が属する年の4月ごろです。

よって、新築建物の所有権保存登記にかかる登録免許税を計算する際の課税標準は、各管轄法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準表」に基づいて計算された額となります。

「新築建物課税標準価格認定基準表(これ以降「認定基準表」と略します)」とは、建物の種類・構造ごとに1㎡あたりの単価が定められた表です。

1㎡あたりの単価は管轄法務局によって異なり、3年ごとに改訂され、各管轄法務局の認定基準表は「法務局:不動産登記における評価額のない建物の課税標準の検索結果」よりご確認いただけます。

新築の建物の所有権保存登記にかかる登録免許税を計算する際の課税標準は、以下のように計算します。

新築建物の課税標準の計算方法
延べ床面積(㎡)× 認定基準表に記された1㎡あたりの単価(円/㎡:1,000円未満切り捨て)=課税標準

たとえば、認定基準表において木造居宅の1㎡あたりの単価が11万1,000円/㎡と定められている場合、延べ床面積100㎡の木造居宅であれば、以下のように計算して課税標準は1,110万円です。

課税標準の計算例
延べ床面積(100㎡)× 認定基準表に記された1㎡あたりの単価(111,000円)=課税標準(1,110万円)

そして、新築の建物の所有権保存登記にかかる登録免許税の標準税率は0.4%です。であれば以下のように計算し、その登録免許税は4万4,400円です。

登録免許税の計算例
課税標準(1,110万円)×建物の所有権保存登記にかかる登録免許税の標準税率(0.4%)=4万4,400円

なお、登録免許税の税率は登記の種類によって異なり、一定の要件を満たせば軽減税率が適用されます。その詳細は、次の「4-2. 登記の種類別・登録免許税の税率と計算例」で詳しく解説します。

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4-2. 登記の種類別・登録免許税の税率と計算例

登録免許税の税率は不動産登記法、および租税特別措置法によって定められ、登記の種類によって異なります。また、一定の要件を満たす住宅用家屋や土地には、軽減税率が適用される場合があります。

自分が行う登記に対応する税率を正確に把握することが、資金計画を立てるうえで重要です。特に注意が必要な点として、相続と贈与による所有権移転の税率の違いが挙げられます。

相続による所有権移転登記の税率は0.4%であるのに対し、贈与による所有権移転の税率は2.0%です。つまり、同じ「不動産を受け取る」行為でも、贈与による移転の方が登録免許税が高くなるというわけです。

また、売買による所有権移転では、土地と建物で軽減税率が異なります。

土地は売買による所有権移転登記に対して標準税率2.0%のところ、別途1.5%という軽減税率が設けられており、建物(住宅用家屋)については新築なら0.15%、中古住宅なら0.3%の軽減税率が適用される場合があります。

実際の手続きでは土地と建物をあわせて登記申請することが多いため、それぞれの税率を確認したうえで登録免許税を見積もることが大切です。

軽減税率の適用期限は2027年3月31日までのものが多く、条件を満たす場合は積極的に活用することをお勧めします。詳細な適用条件は、法務局または司法書士に確認してください。

登録免許税の税率と計算例一覧(評価額2,000万円の場合)

登記の種類 標準税率 軽減税率(条件あり) 計算例(評価額2,000万円)
所有権保存登記(新築・建物) 0.4% 0.15%※1 8万円(軽減時:3万円)
所有権移転登記(売買・建物) 2.0% 0.3%※2 40万円(軽減時:6万円)
所有権移転登記(売買・土地) 2.0% 1.5%※3 40万円(軽減時:30万円)
所有権移転登記(相続) 0.4% 免税あり※4 8万円
所有権移転登記(贈与) 2.0% なし 40万円
抵当権設定登記 0.4% 0.1%※5 8万円(軽減時:2万円)
抵当権抹消登記 不動産1個につき1,000円 なし 土地・建物各1個の場合:2,000円

※1 新築住宅で床面積50㎡以上などの要件を満たす場合(2027年3月31日まで)
※2 中古住宅(建物)で一定の耐震基準等の要件を満たす場合(2027年3月31日まで)
※3 土地の売買による所有権移転登記に対する軽減税率(2027年3月31日まで)
※4 不動産価額100万円以下の土地など(2027年3月31日まで)
※5 住宅ローン利用で床面積50㎡以上などの要件を満たす場合(2027年3月31日まで)

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4-3. 司法書士報酬の目安と登記費用を払うタイミング

司法書士に登記を依頼する場合、登録免許税とは別に司法書士報酬が発生します。不動産売買の場合は、物件代金決済日(残代金支払い日)に登記費用を一括で用意する必要があります。

司法書士報酬の目安

司法書士の報酬には法定の上限はなく、事務所によって具体的な額が異なり、都道府県による相場の違いもありますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 所有権移転登記(売買): 5万〜10万円程度
  • 相続登記: 5万〜8万円程度
  • 抵当権設定登記: 3万〜6万円程度
  • 抵当権抹消登記: 1万〜3万円程度

登記費用の総額イメージ

たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の中古住宅を売買で取得し、住宅ローンを利用した場合の登記費用の概算は、以下のようになります。

  • 所有権移転登記の登録免許税:6万円(建物部分に軽減税率0.3%適用時)〜40万円(標準税率2.0%)
  • 抵当権設定登記の登録免許税:2万円(軽減税率0.1%適用時)〜8万円(標準税率0.4%)
  • 司法書士報酬(移転+設定):8万〜16万円程度

合計すると、軽減税率が適用される場合で16万〜30万円程度、標準税率の場合で56万〜64万円程度が目安です。軽減税率の適用条件を事前に確認しておくことが、費用を抑える秘訣です。

費用を払うタイミング

不動産売買の場合、登記申請は物件代金決済(残代金の支払い)と同日に行うのが一般的です。よって、決済日までに登記費用(登録免許税+司法書士報酬)を準備しておかなければなりません。

決済日に費用を準備できなければ、取引が滞る原因になるため注意してください。司法書士から事前に費用の見積もりが提示されますので、その金額を決済日までに用意しておきましょう。

なお、相続登記の場合は不動産の売買決済がありません。手続き開始時に報酬の一部または全額を支払うケースが多くなっています。

登記費用は「登録免許税+司法書士報酬」の合計です。売買の場合は決済日に一括で準備が必要です。事前に見積もりを確認しておきましょう。

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5. 不動産登記の手続きの流れと必要書類

登記の意味・種類・費用の概要を把握したうえで、次に気になるのは「実際にどのように手続きを進めるのか」という点です。

この章では、不動産登記の手続きの流れを5つのステップで解説するとともに、自分で登記を行う場合と司法書士に依頼する場合の違いをまとめます。

手続きの全体像を把握しておくことで、実際に登記をする際に何を準備すればよいか、どこに相談すればよいかが明確になります。

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5-1. 手続きの流れを5ステップで図解

不動産登記の手続きは、「書類収集」「申請書作成」「登録免許税の納付」「法務局への申請」「完了確認」という5つのステップで進行します。準備から完了までにかかる期間は、概ね2〜4週間が目安です。

登記の内容によって必要書類は異なりますが、基本的な流れは以下の通り共通しています。

ステップ1. 必要書類の収集(目安:1〜2週間)

まずは、登記の内容に応じた書類を揃えます。複数の機関から取り寄せる必要があるため、全工程の中で最も時間を要するフェーズです。売買による所有権移転登記の場合、主な必要書類は以下のようになります。

売主が用意する書類

  • 登記識別情報通知(または登記済証)
  • 印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 固定資産税評価証明書

買主が用意する書類

  • 住民票
  • 本人確認書類

売主・買主が共通して必要な書類

  • 登記申請書(司法書士へ依頼する場合は、代行して作成・用意されるのが一般的です)
  • 登記原因証明情報(売買の事実を証明する書類。売買契約書の原本、あるいは司法書士が作成する報告書形式の書面を使用します)

相続登記の場合は、これらに加えて被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本や、相続人全員の戸籍・住民票、遺産分割協議書など、より広範な書類が求められます。

ステップ2. 登記申請書の作成

登記申請書の雛形は、「法務局:不動産登記の申請書様式について」から入手可能です。司法書士に依頼する場合は作成を任せられますが、トラブル防止のため、事前に記載事項に目を通しておくことをお勧めします。

また、申請書の様式は登記の目的(売買、贈与、抵当権設定など)ごとに異なるため、必ず正しいものを使用してください。

ステップ3. 登録免許税の納付

司法書士へ依頼する際は、報酬とともに税額分も預けるのが通例です。自身で納付する場合は、主に以下の2つの方法があります。

  1. 収入印紙による納付:郵便局や法務局で購入した印紙を申請書に貼付します(税額が少額な場合などによく利用されます)
  2. 電子納付(Pay-easy):オンライン申請を行う場合、インターネットバンキングやATMから納付可能です

ステップ4. 法務局への申請

申請方法には、次の3つの選択肢があります。

  1. 窓口申請:管轄の法務局へ直接持参します。その場で形式的な不備を指摘してもらえるメリットがあります。
  2. 郵送申請:必要書類一式を「書留郵便」で送付します。
  3. オンライン申請:パソコンやスマホから「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。2026年現在、マイナンバーカードがあれば専用のWebインターフェースを通じて自宅から申請が可能です。

なお、司法書士へ依頼した場合は、すべての申請手続きを司法書士が代理で行います。

ステップ5. 登記完了後の確認(申請から数日〜2週間程度)

無事に登記が完了すると、申請人に「登記完了証」が交付されます。また、新たに不動産を取得した方には、従来の「権利証」に代わる「登記識別情報通知」が発行されます。

この通知に記載された12桁の英数字(登記識別情報)は、将来の売却や融資の際に「本人確認のためのパスワード」として機能する極めて重要な情報です。

登記識別情報は一度しか発行されず、紛失しても再発行はできません。盗難を懸念して「不発行(発行を希望しない)」を選択される方も稀にいますが、将来の売却時に司法書士による本人確認情報の作成費用(数万円程度)が別途発生するなどのデメリットが生じます。そのため、基本的には「発行」を選択し、目隠しシール(または保護シール)を剥がさずに(番号を他人に知られない状態で)厳重に保管してください。

万が一、情報を紛失したり不発行としていたりした場合は、「事前通知制度」などの複雑な代替手続きが必要になります。

詳細は、当サイトの記事「登記識別情報通知とは?見本とイラスト付きでわかりやすく解説」にて詳しく紹介しています。

以上の5ステップを経て手続きは完了します。余裕を持って2〜4週間程度のスケジュールを組んでおきましょう。

不動産登記の手続きの流れを5ステップで示したフローチャート(工程を色分けし、所要期間の目安を解説)

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5-2. 自分で登記できる?種類別の難易度と判断基準

登記は本人申請が法律上可能であり、自分ですることができます。自分ですれば、司法書士へ支払う報酬を節約することが可能です。

しかし、登記の種類によっては他人から印鑑証明書を取り付ける必要があるなど、難易度が跳ね上がります。よって、はじめて不動産を取得する場合は、司法書士への依頼を検討しましょう。

登記の種類別の難易度

  • 表題登記(難易度:高): 測量・図面の作成が必要で専門知識が求められます。土地家屋調査士への依頼を推奨します。
  • 所有権保存登記(難易度:中): 必要書類は比較的少なめですが、住宅ローンを利用する場合は金融機関指定の司法書士が担当することがほとんどです。
  • 所有権移転登記・売買(難易度:高): 決済日に同時処理が必要なため、実務上は司法書士への依頼が前提となっています。
  • 相続登記(難易度:高): 戸籍収集など必要書類が多く、相続人の状況によっては手続きが複雑になります。司法書士への依頼を推奨します。
  • 抵当権抹消登記(難易度:低): 住宅ローン完済後に金融機関から必要書類が送付されるため、本人申請に挑戦しやすい登記の一つです。

なお、本人申請に挑戦する場合は、事前に法務局の窓口相談(予約制)を活用することをお勧めします。専門家を探す場合は、日本司法書士会連合会または各都道府県の司法書士会の紹介制度を利用できます。

初めて不動産を取得する場合は司法書士への依頼が安心です。費用を抑えたい場合は、抵当権抹消登記など難易度の低い登記から本人申請を検討してください。

自分で登記する場合と司法書士に依頼する場合の比較

比較項目 自分で登記する場合 司法書士に依頼する場合
費用 登録免許税のみ(報酬不要) 登録免許税+報酬(1万〜10万円程度)
時間・手間 多い(書類収集・申請書作成・法務局対応) 少ない(書類収集の一部も依頼できる場合あり)
書類不備のリスク 高い(補正・再申請の可能性あり) 低い(専門家が事前確認)
向いているケース 抵当権抹消登記など難易度が低い登記 初めての登記・売買・相続など複雑な案件

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6. 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得方法と費用

登記の内容を確認したい場合や、住宅ローン控除の申告・相続手続きなどで提出書類として必要になるのが「登記事項証明書」です。

この章では、登記事項証明書の取得方法と手数料、混同されやすい「登記情報提供サービス」との違いについて解説します。

取得方法と用途の違いを把握しておくことで、必要な場面で迷わず対応できます。

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6-1. 法務局窓口・郵送・オンライン申請の比較

登記事項証明書とは、登記簿に記録されている情報を写した、法的証明力のある公的書面を指します。法務局の窓口のほか、郵送やオンラインでも取得できます。

登記事項証明書は不動産の所有者でなくても取得できます。手数料を支払えば誰でも取得可能なため、不動産の購入前に権利関係を調べたい場合にも活用できます。

登記事項証明書の主な利用場面は、以下のとおりです。

  • 住宅ローン控除の確定申告(添付書類として提出)
  • 相続手続き(相続財産の確認・手続きの添付書類として提出)
  • 不動産売却時の現状確認
  • 購入前の権利関係の調査(抵当権や差押えの有無を確認)

登記事項証明書の取得方法は、主に以下の3つです。

①法務局窓口での申請(書面請求)**

最寄りの法務局や証明サービスセンターの窓口で直接申請する方法です。その場で登記事項証明書を受け取れるため、急ぎの際に向いています。

窓口にある申請書を提出することにより手続きが完了し、管轄外の法務局でも取得できます。なお、手数料は1通につき600円です。

②郵送での申請(書面請求)

法務局のホームページから申請書を入手・記入し、手数料分の収入印紙と返信用封筒(切手貼付済み)を同封のうえ、郵送で登記事項証明書の交付を申請する方法です。受け取りまでに数日〜1週間程度かかり、窓口と同じく1通につき600円の手数料がかかります。

③オンライン申請

法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して登記事項証明書の交付を請求する方法です。平日であれば午後9時まで申請ができるのが最大のメリットです。受け取り方法は郵送、または最寄りの法務局窓口から選択することが可能で、書面請求より手数料が安く(490円~520円)、自宅から申請できます。

登記事項証明書の交付請求は、急ぎの場合は窓口、費用を抑えたい場合や自宅から申請したい場合はオンライン申請が適しています。

登記事項証明書の取得方法と手数料の比較

取得方法 手数料 受取方法 所要日数の目安 特徴・向いているケース
窓口申請(書面請求) 600円/通 窓口で即日受取 当日 急ぎで必要な場合
郵送申請(書面請求) 600円/通 郵送で受取 数日〜1週間程度 法務局に行けない場合
オンライン申請(郵送受取) 520円/通 郵送で受取 数日〜1週間程度 平日8:30~21:00(または「システム稼働時間内」)
オンライン申請(窓口受取) 490円/通 窓口で受取 申請翌日以降 費用を最も抑えたい場合・24時間申請可能

手数料は令和7年(2025年)4月1日改定後の金額

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6-2. 登記情報提供サービスとの違い

「登記情報提供サービス」とは、インターネットで登記の内容を手軽に確認できるサービスを指しますが、取得したデータは法的証明力がなく、公的書類として提出することはできません。

登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営するサービスです。インターネット上で登記記録の内容をPDF形式で閲覧・印刷できます。

法的証明力がない理由は、取得できるのが電子データであり、法務局が発行する原本とは異なるためです。したがって、確定申告や相続手続きの添付書類など、公的書類としての提出が求められる場面では使用できません。

利用料金と利用方法

  • 不動産登記情報(全部事項): 330円
  • 不動産登記情報(所有者事項): 140円
  • 支払い方法: クレジットカードまたはインターネットバンキングによる決済
  • 利用時間: 平日8時30分〜23時00分、土日祝日8時30分〜18時00分( 地図・図面情報は平日8時30分〜21時00分まで、年末年始(12月29日〜1月3日)は休業)

内容の確認だけなら登記情報提供サービス、提出書類として使う場合は登記事項証明書、という使い分けが基本です。

なお、先にご紹介した利用料金は令和8年(2026年)4月1日改定後の金額です。定期的に改定されますので、利用前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

登記事項証明書と登記情報提供サービスの違い

比較項目 登記事項証明書 登記情報提供サービス
法的証明力 あり(公的書類として提出可) なし※(内容確認のみ)
費用 490〜600円/通(取得方法による) 140〜330円(種類による)
取得・閲覧方法 法務局窓口・郵送・オンライン申請 インターネット(平日・土日祝日)
主な用途 確定申告・相続・売買手続きの添付書類 購入前の権利確認・内容チェック
運営 法務局 一般財団法人民事法務協会

電子データの印刷物であり原本性がないため、法的証明力を持つ書類とはみなされない

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まとめ

この記事では、登記とは何かという基本的な意味から、登記の種類・義務化の内容・費用の相場・手続きの流れ・登記事項証明書の取得方法まで解説しました。

記事の要点を、以下に整理します。

  • 登記とは、不動産の所有者などに関する情報を公の帳簿(登記簿)に記録し、権利を公に示す制度。
  • 登記記録は、表題部・権利部(甲区・乙区)の3つに区分され、それぞれ異なる情報が記録される。
  • 登記が必要になる場面は、新築・売買・相続・贈与・住宅ローンの借入と完済・住所変更など多岐にわたる。
  • 2024年4月から相続登記が義務化。相続を知った日から3年以内の申請が必要で、2024年4月より前の相続分については2027年3月31日が猶予期限。
  • 2026年4月から住所変更登記も義務化。スマート変更登記の申出を活用することで、手続きの負担を軽減できる。
  • 登記費用は、「登録免許税+司法書士報酬」が基本。売買の場合は、一部例外を除き決済日に一括で費用を用意する必要がある。
  • 手続きは「書類収集→申請書の作成→登録免許税の納付→法務局への申請→登記完了」の5ステップで進み、登記完了まで2〜4週間程度の日数がかかる。
  • 登記事項証明書は法的証明力のある公的書類で、窓口・郵送・オンラインで取得できる。内容確認だけなら登記情報提供サービス(利用料金140〜330円)が便利。

登記は、不動産の権利を守るための大切な手続きです。2024年・2026年の義務化により、対応が必要な方の範囲は大きく広がっています。手続きに不安がある場合は、司法書士または法務局の相談窓口に早めに相談することをお勧めします。

不動産登記の全体像を示したまとめ図(種類・義務化・費用・手続き・証明書の5つの観点を図解)

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。最後に、登記に関するよくある質問とその答えをまとめます。

Q1|登記しないとどうなりますか?
登記を放置すると、不動産の所有権を第三者に主張できなくなるリスクがあります。たとえば売主が別の買主に先に登記をした場合、先に代金を支払っていても所有権を失う可能性があります。また、2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。2026年4月からは住所変更登記も義務化され、違反した場合は5万円以下の過料の対象となります。
Q2|登記費用は誰が払いますか?
登記の種類によって異なります。所有権移転登記(売買)は原則として買主が費用を負担します。相続登記は相続人が負担します。抵当権設定登記は住宅ローンを借り入れる所有者が負担するのが一般的です。抵当権抹消登記はローンを完済した所有者が負担します。なお、費用の負担については売買契約の内容によって異なる場合がありますので、契約前に確認することをお勧めします。
Q3|登記は自分でできますか?
法律上は本人申請が可能です。ただし、登記の種類によって難易度は大きく異なります。比較的挑戦しやすいのは抵当権抹消登記で、住宅ローン完済後に金融機関から必要書類が送られてきます。一方、所有権移転登記(売買)は決済日に同時処理が必要なため実務上は司法書士への依頼が前提となっており、相続登記も必要書類が多く難易度が高くなっています。したがって、初めて不動産を取得する場合は、司法書士への依頼を推奨します。
Q4|相続登記の期限はいつですか?
2024年4月1日以降に相続が発生した場合は、相続の開始を知り、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内が期限です。2024年4月1日より前に発生した相続で未登記の場合は、2027年3月31日が猶予期限です。遺産分割協議が成立した場合は、成立日から3年以内に登記が必要です。なお、すぐに登記が難しい場合は「相続人申告登記」によって暫定的に義務を果たすことができます。
Q5|登記識別情報を紛失した場合はどうなりますか?
登記識別情報通知は再発行ができません。紛失した場合でも不動産の権利(所有権)そのものを失うわけではありませんが、不動産の売却や担保設定の際には「事前通知制度」または「資格者代理人による本人確認情報の提供」という代替手続きが必要になります。事前通知制度とは、法務局から本人へ「本人限定受取郵便」等で通知を送り、本人が間違いなく申請した旨を回答することで完了する手続きです。ただし、通知の往復に時間がかかるため、売買決済など急ぎのケースでは、司法書士が本人と面談して作成する「本人確認情報」を利用するのが一般的です。
Q6|住所変更は自動でされると聞きましたが?
法務局による職権更新(自動変更)には、マイナンバー制度を活用した事前の情報登録や、法務局からの確認に対する「承諾」が必要です。法人の登記や海外在住者は対象外となるため、注意しましょう。
著者・監修情報
誰でもわかる不動産売買(fudousan-wakaru.net)編集部。不動産の購入・売却・活用に関する情報を、はじめて不動産を検討する方にもわかりやすく伝えることを目的として運営しています。本記事の作成にあたっては、法務省、および法務局、国税庁など公的機関の情報を参照しました。
参照した情報の一覧
法務省所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)法務省 登記手数料について国税庁タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表一般財団法人民事法務協会 登記情報提供サービス日本司法書士連合会 司法書士の報酬
注意点
本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。登記を行う際は、その時点の最新の情報をご確認ください。

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