造成宅地防災区域とは?場所の調べ方、東京都の指定状況など解説

造成宅地防災区域とは?調べ方などわかりやすく解説

造成宅地防災区域とは、地震による大規模な地滑りを防止するための工事を必要とする区域です。

不動産の購入を検討される方や、既に不動産を所有する方へ向けて造成宅地防災区域をわかりやすく解説し、同区域の場所の調べ方、東京都の指定状況などご説明しましょう。

目次

1. 造成宅地防災区域とは、地滑り対策工事が必要な区域

それでは、造成宅地防災区域をわかりやすく解説しましょう。

その前に「大規模盛土造成地(だいきぼもりどぞうせいち)」という言葉を理解してください。

大規模盛土造成地とは、谷を埋めたり、高台に土を盛るなどして造られた大規模な土地であり、主に住宅地として存在します。

大規模盛土造成地とは?

大規模盛土造成地は谷を埋めたり高台に土を盛るなどして造られているため、施工方法に不備があれば地震の際に大規模な地滑りを起こす可能性があります。

大規模盛土造成地は地滑りが起きる可能性がある

過去に起きた地震による大規模盛土造成地の地滑りといえば、2004年10月23日に発生した新潟県長岡市高町の滑動崩落(読み方は「かつどうほうらく」であり、地盤が崩れる現象のことです)が有名です。

新潟県長岡市高町の大規模盛土造成地の滑動崩落の様子

大規模盛土造成地の地滑りの様子

出展:国土交通省 大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン

以上が、大規模盛土造成地の意味です。

つづいて、造成宅地防災区域をわかりやすくご説明しましょう。

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1-1. あらためて造成宅地防災区域をわかりやすく解説

造成宅地防災区域とは、地震による地滑りを防止するための工事を必要とする大規模盛土造成地(谷を埋めたり、高台に土を盛るなどして造られた大規模な土地)です。

造成宅地防災区域とは?

所有する不動産が位置する場所が造成宅地防災区域に指定されれば、都道府県知事から擁壁などの設置を命じられることがあります。

その際に必要となる費用は、国から3分の1、または2分の1の補助金が支給されることもありますが、原則として不動産の所有者が負担しなければなりません。 補助金の詳細は「国土交通省 宅地耐震化推進事業」にてご確認いただけます )

また、都道府県や市町村の主導により、その造成宅地防災区域一帯に地滑りを防止するための大規模な工事が行われることもあります。

この場合の費用は、都道府県や市町村が負担するのが通例ですが、不動産の所有者が一部を負担することもあるため留意してください。

都道府県や市町村による地滑りを防止するための工事が完了すれば、造成宅地防災区域の指定が解除されます。

なお、造成宅地防災区域の指定は都道府県知事が行いますが、指定基準は以下のとおりです。

造成宅地防災区域の指定基準

  • 盛り土(土を盛る工事)の面積が3,000㎡以上であり、なおかつ、盛り土の内部に地下水が侵入している盛土造成地
  • 盛り土を行う前の斜面の角度が水平面に対して20度以上であり、なおかつ、盛り土の高さが5m以上である盛土造成地
  • 盛り土、または切土(斜面を削る工事)を行いつつ設置された擁壁が沈下したり、部分的ながけ崩れなどが生じている盛土造成地

都道府県知事が造成宅地防災区域と指定する基準は「宅地造成等規制法施行令」の第四章 造成宅地防災区域の指定の基準に記されている

また、全ての大規模盛土造成地が造成宅地防災区域に指定されているわけではありません。

大規模盛土造成地であり、なおかつ地震による地滑りが懸念される盛土造成地のみが造成宅地防災区域に指定されるため留意してください。

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2. 造成宅地防災区域の調べ方

造成宅地防災区域とは、地震による地滑りを防止するための工事を必要とする大規模盛土造成地です。

しかし、全ての大規模盛土造成地が造成宅地防災区域に指定されているわけではありません。

そのため、大規模盛土造成地に位置する不動産を所有する方や、同造成地に位置する不動産の購入を希望する方は、その場所が造成宅地防災区域ではないか気になりますが、以下の3つの方法で同区域の場所を調べることができます。

造成宅地防災区域の調べ方

都道府県や市区町村のホームページで調べる
所有する、または購入を希望する不動産が位置する区域を管轄する都道府県や市区町村の公式サイト内に設置されている検索窓に「○○市 造成宅地防災区」などと入力しつつ検索することにより、その都道府県の造成宅地防災区域の場所を調べることができます。
都道府県や市区町村役場に問い合わせる
所有する、または購入を希望する不動産が位置する区域を管轄する都道府県などに電話やメールで問い合わせることにより、その都道府県の造成宅地防災区域の場所を調べることができます。
不動産業者に問い合わせる
造成宅地防災区域に位置する不動産を販売、または仲介する不動産業者は、その場所が同区域に指定されていることを購入者に伝えなければなりません。

よって、大規模盛土造成地に位置する不動産を購入する場合は、その不動産を仲介、または販売する不動産業者に問い合わせることにより、その不動産が造成宅地防災区域に位置するか確認することが可能です。

以上の3つが、造成宅地防災区域の調べ方です。

なお、この記事の「1-1. あらためて造成宅地防災区域をわかりやすく解説」でもご紹介しましたが、都道府県や市区町村による地滑りを防ぐ大規模な工事が完了すれば、造成宅地防災区域の指定は解除されます。

よって、造成宅地防災区域に指定されている箇所は非常に少数であり、国土交通省が公開する資料によれば、平成30年の時点で同区域が存在するのは熊本県のみです。

国土交通省が公開する資料によれば、平成30年の時点で造成宅地防災区域が存在するのは熊本県のみ

造成宅地防災区域の調べ方

出展:国土交通省 第1回 令和元年度大規模盛土造成地防災対策検討会参考資料集の21ページ

ただし、都道府県や市町村の調査が進むにつれて、造成宅地防災区域に指定されていない大規模盛土造成地であっても、同区域に指定される可能性があるため注意してください。

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3. 造成宅地防災区域は東京都にあるか

造成宅地防災区域とは、地震による地滑りを防ぐための工事を必要とする大規模盛土造成地であり、工事が完了すれば指定が解除されます。

そして、筆者がこの記事を作成する2020年11月現在、島しょ部を除く東京都には1,584箇所の大規模盛土造成地が存在しますが、造成宅地防災区域に指定されている箇所は存在しません。

その根拠は「東京都都市整備局|宅地造成」にてご確認いただけます。

なお、東京都都市整備局では、造成宅地防災区域に指定される可能性がある、東京都内の大規模盛土造成地の位置を「東京都都市整備局|大規模盛土造成地マップ」にて公開中です。

東京都内の大規模盛土造成地に位置する不動産の購入を希望する方や、同造成地内の不動産を所有しつつ造成宅地防災区域が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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まとめ - 擁壁の設置費用は、極めて高額

造成宅地防災区域をわかりやすく解説し、同区域の調べ方、東京都に同区域は存在するかなどご紹介しました。

造成宅地防災区域とは、地震による大規模な地滑りを防止する工事を必要とする大規模盛土造成地です。

大規模盛土造成地とは、谷を埋める、または高台に土を盛りつつ造られた大規模な住宅地を意味し、諸島部を除く東京都には1,584箇所の同造成地が存在します。

所有する不動産が位置する場所が造成宅地防災区域に指定されれば、都道府県知事から擁壁などの設置を命じられることがあり、その費用は、補助金が出ることもありますが原則として自己負担です。

都道府県、市区町村が主体になり、その造成宅地防災区域一帯に地滑りを防止する工事が行われる場合は、費用は主に都道府県などが負担しますが、一部の負担を求められることもあります。

なお、擁壁の設置費用は、高さや幅、構造などによって異なり、いくらになるかなど断言できませんが、高くつく場合は数百万円以上です。

私は、傾斜地を購入しつつ擁壁と鉄骨による基礎を作り、その上に家を建てようと見積もりを取ったことがあるのですが、基礎部分だけで高級車が2~3台買えるほどの値段で断念しました。

ご紹介した内容が、造成宅地防災区域をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年11月

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