ワンルーム投資とは?ワンルーム投資ならではの注意点を解説

ワンルーム投資とは?

ワンルーム投資とはいわゆる不動産投資であり、1Rや1Kなど、独身者向けのワンルームマンションの一戸を購入しつつ賃貸し、入居者から支払われる家賃が収入となる投資です。

ワンルーム投資はサラリーマンやOLの方に人気ですが、ワンルーム投資ならではの注意すべき点があり、投資ではなく「不動産経営」をモットーに行わなければ、高確率で赤字になります。

ワンルーム投資をわかりやすく解説し、ワンルーム投資の特徴と注意点をご紹介しましょう。

目次

1. ワンルーム投資とは、ワンルームマンションの一戸を賃貸する投資

冒頭でご紹介したとおりワンルーム投資とは、ワンルームマンションの一戸を購入し、家賃を取りつつ入居者に貸し、得た家賃が収入となる投資です。

ワンルームマンションとは、間取りが1R(ワンルーム)や1K(ワンケー)であり、戸内の床面積が30平方メートル程度のマンションを指し、独身、単身者向けのマンションを指します。

ワンルームマンションとは?

ワンルーム投資を行うためにはワンルームマンションの一戸を購入しなければなりませんが、入居者が付けば毎月家賃が支払われ、収入を増やすことができます。

ワンルーム投資の特徴やメリットは、以下のとおりです。

1-1. 物件が安価で購入しやすく、不動産投資をはじめやすい

ワンルーム投資を開始するためには、ワンルームマンションの一戸を購入しなければなりませんが、ワンルームマンションは床面積が狭いことを理由に、ファミリータイプのマンションより安く購入できます。

アットホームによれば、2022年6月の時点において、東京都内に所在する2LDK~3DKのファミリー向け中古マンションの相場は約5,951万円であるのに対し、1R~1Kのワンルーム中古マンションの相場は約2,385万円です。

また、大阪市内の2LDK~3DKのファミリー向け中古マンションの相場は約3,123万円ですが、1R~1Kのワンルーム中古マンションの相場は1,231万円と安くなっています。

東京都と大阪市の中古ワンルームマンションの相場

価格が安ければ物件を購入しやすく、不動産投資をはじめやすくなります。

ワンルーム投資は、最も現実的な不動産投資であり、サラリーマンやOLの方に人気です。

ただし、ワンルームマンションはファミリータイプのマンションより安く購入できるものの、得られる家賃も少ないため注意してください。

ライフルホームズによれば、2022年6月の時点において、東京都渋谷区に所在する築5年の2LDK~3DKのファミリー向け中古マンションの家賃の相場は35万3,300円であるのに対し、同じく渋谷区に位置する築5年の1R~1Kのワンルーム中古マンションの家賃の相場は11万8,900円です。

また、大阪市淀川区に所在する築5年の2LDK~3DKのファミリー向け中古マンションの家賃の相場は11万2,500円ですが、同じく淀川区に位置する築5年の1R~1Kのワンルーム中古マンションの家賃の相場は6万1,800円と安くなっています。

家賃が低ければ思うように収益が上がらず、ローンで物件を購入した場合は返済に苦労します。

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1-2. ワンルームマンションの購入費用は銀行から借り入れる

ワンルームマンションはファミリー向けのマンションより安く、ワンルーム投資は初期費用を抑えつつ開始できるのがメリットです。

とはいうものの、ワンルームマンションを購入するためには1,000万円を超える費用を用意しなければなりません。

よって、どのように資金を調達するか気になりますが、多くの投資家は銀行から借り入れ、ワンルーム投資により得る家賃収入を以て返済します。

借り入れ先の銀行は、投資家が探すこともできますが、ワンルームマンションを販売、または仲介する不動産業者から斡旋されることが多く、不動産業者が斡旋する銀行のローンは、一般的なローンより審査に通りやすいのが通例です。

ちなみに、不動産業者が斡旋する銀行が用意するローンを「提携ローン」などと呼びます。

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1-3. ワンルームマンションの管理は賃貸管理会社に委託する

ワンルーム投資は、ワンルームマンションの入居者から支払われる家賃が収入となる投資です。

よって、ワンルーム投資を行う際は、所有するワンルームマンションを管理しつつ入居者との関係を維持しなければなりません。

そのため、サラリーマンやOLの方は管理ができるか心配になりますが、多くの投資家は、賃貸管理会社に管理を委託します。

賃貸管理会社とは、投資家が所有する賃貸用不動産を管理する会社です。

賃貸管理会社に管理を委託するためには、賃貸住宅管理委託契約を結びつつ家賃の5%程度の管理料を毎月支払う必要がありますが、物件を管理しつつ入居者との関係を取り持ってくれます。

賃貸管理会社の主な管理業務は、以下のとおりです。

  • 家賃の徴収、および未払い家賃の督促
  • 入居者から貸し主、または貸し主から入居者へのクレームの対応
  • 近隣住民から入居者、または入居者から近隣住民へのクレームの対応
  • 入居者が賃貸契約を延長する際の対応と手続き
  • 入居者が退去する際の対応と手続き
  • 貸し主への不動産経営に関するアドバイス

賃貸住宅管理委託契約の内容によっては、上記の業務以外にも、入居者の募集や清掃業務を請け負うこともあります。

なお、中古のワンルームマンションを購入した場合は、売り主が管理を委託していた賃貸管理会社との契約を継承するのが通例ですが、継承から一定の期間が過ぎれば、契約を解除しつつ他の管理会社に管理を委託することが可能です。

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1-4. ワンルームマンションは流動性が高く、損切りしやすい

ワンルーム投資はサラリーマンやOLの方に人気であり、ワンルームマンションの購入希望者は跡を絶ちません。

よって、ワンルームマンションは売却しやすく、上手く黒字にならない場合や、急にキャッシュが必要となった際に現金化しやすく、リスクをマネージメントしやすいのがメリットです。

また、ワンルームマンションは安価なため、2軒や3軒など複数の物件を購入しつつ所有することが可能であり、3軒のうちの1軒の赤字を他の2軒の黒字で補うなど、不動産投資のリスクを分散できます。

ワンルーム投資はリスクを分散しやすい

ただし、2軒目や3軒目は、1軒目が黒字の状態で購入するのが理想です。

1軒目が赤字であり、その赤字を補填するために2軒目や3軒目を購入するという行為は、2軒目や3軒目を現金で購入する場合は別として、大きなリスクを伴います。

1軒目が赤字であるにもかかわらず、2軒目が容易に黒字になるとは考えられません。

1軒目が赤字の状態で2軒目を購入しつつ2軒目も赤字になれば、大きな負債を抱えることとなります。

1軒目が赤字の状態で2軒目の購入を検討する場合は、まずは1軒目の赤字を解消、または損切りを優先するのが賢明です。

この考え方は疑いようのない正論なのですが、ワンルーム投資で失敗する投資家の中には、1軒目の赤字を解消するために2軒目、3軒目を買い足す方が多くいらっしゃいます。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンが基本であり、他の物件の赤字を解消するために物件を買い足すのは、不動産投資の理念に反します。

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2. ワンルーム投資ならではの注意点

ワンルームマンションはファミリータイプのマンションや一戸建てより安価で購入しやすく、はじめて不動産投資を行うサラリーマンやOLの方に人気です。

しかし、ワンルーム投資には、ワンルーム投資ならではの注意点があり、他の不動産投資とは異なる戦略が必要です。

ここから、ワンルーム投資の注意点をご紹介しましょう。

2-1. 立地条件に妥協しない

ワンルーム投資は、入居者から支払われる家賃が収入となる投資です。

そのため、空室の期間を極力短くする必要がありますが、立地条件が良い物件は空室率が低い傾向があります。

また、ワンルームマンションに入居を希望するのは、主に若年層の独身者です。

よって、ワンルーム投資を行うためにワンルームマンションを購入する際は、立地条件が良く、なおかつ若年層の独身者が多い地域に所在する物件を選ばなくてはなりません。

立地条件が良く、若年層の独身者が多い地域とは、東京23区や大阪市などです。

さらにいえば、東京23区であっても渋谷区や港区、千代田区、中央区、台東区、墨田区など、大阪市内であれば中央区、浪速区、北区、西区、天王寺区、福島区、阿倍野区など、最近の人口増加率が高い地域に所在する物件を購入するのが理想となります。

なお、東京都の人口に関する情報は「東京都の統計:人口の動き」にて、大阪市の人口に関する情報は「大阪市:人口」にて確認できます。

ワンルーム投資を行うためにワンルームマンションを購入する際は、一般の投資用物件を購入する際より人口などに関するデータを多く収集しつつ分析し、戦略的に物件を探さなければなりません。

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2-2. 中古のワンルームマンションを購入する

ワンルーム投資を行う際はワンルームマンションを購入する必要がありますが、中古物件を購入するのが理想です。

もちろん、新築を購入すれば、それだけ長く物件を所有しつつ賃料を得られますが、皆さんもご存じのとおり、新築は中古物件より大幅に高額です。

ところが、新築のワンルームマンションと中古のワンルームマンションの家賃の差は、さほどではありません。

たとえば、筆者がこの記事を作成する2022年6月現在、東京都千代田区に所在する、床面積が25平方メートルから30平方メートルの新築のワンルームマンションの家賃の相場は、13万5,700円です。

これに対して、同条件の築5年から築10年の中古のワンルームマンションの家賃の相場は12万9,700万円であり、その差はわずか6,000円しかありません。

つまり、新築として購入しつつ5年にわたり賃貸した状況においては「6,000円×60ヵ月=36万円」と計算し、36万円しか家賃収入の差がないというわけです。

しかし、新築のワンルームマンションと築5年のワンルームマンションの価格の差は、間違いなくそれ以上です。

ワンルーム投資は、新築より中古物件を購入した方が、効率よく家賃収入を得ることができます。

ワンルーム投資は中古のワンルームマンションを購入しつつ開始する

ただし、ワンルームマンションの家賃の相場は、築20年を超えると大きく下がるというデータがあるため注意してください。

東京23区内に所在するにもかかわらず、500万円程度で売りに出されている格安の中古のワンルームマンションを見かけますが、それは築年数が20年を超えるなどして、思うように家賃収入を得ることができないのが理由です。

ちなみに、日本全国のワンルームマンションの家賃の相場は「ライフルホームズ:家賃相場」にてお調べいただけます。

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2-3. トレンドを追い続ける必要がある

ワンルーム投資は、独身者をターゲットとする不動産投資ですが、独身者は家族でお住まいの方より短いスパンで入退去を繰り返す傾向があります。

一般に、ファミリータイプのマンションは4年以上の入居期間が期待できますが、ワンルームマンションは短ければ2年、長くとも4年で退去するといわれます。

入居者が退去すれば、次の入居者を募集するために戸内をリフォームしなくてはなりませんが、独身者がワンルームマンションに求める設備は、刻々と変化します。

たとえば、バブル期のワンルームマンションといえば電話回線しか引き込まれていませんでしたが、最近の入居者は高速インターネットの接続を希望します。

また、バブル期のワンルームマンションは、ベランダに洗濯機を設置するのが通例でしたが、最近の入居者は室内に洗濯機置き場を求めます。

独身者がワンルームマンションに求めるニーズの移り変わりは、以下のとおりです。

ワンルームマンションへの需要の変化

過去の需要 最近の需要
バス、トイレ、洗面台一体型のユニットバス 独立したバスとトイレ
電気コンロ IHクッキングヒーター
電話やUSENなど 光回線による高速インターネット接続サービス
カーペット フローリング
屋外洗濯機置き場 室内洗濯機置き場
音声式のインターホン カメラ付きのインターホンとオートロック、宅配ボックス

上記のように、ワンルームマンションの入居者のニーズは刻々と移り変わります。

よって、入居者が退去すれば、最近のニューズにあった設備を導入する工事が必要となりますが、原則として、その費用は家賃収入から捻出しなくてはなりません。

資金を借り入れつつローンによりワンルームマンションを購入した場合は、家賃収入を以て返済するため、設備の入れ替え費用をプールすると、ほとんど手元にお金が残りません。

ワンルームマンションは、ファミリータイプのマンションより安く購入できますが、得られる家賃も少額であり、入居者のニーズに答え続けるのが大変です。

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まとめ - ワンルーム投資は、投資ではなく不動産経営をモットーに

ワンルーム投資をわかりやすく解説しました。

ワンルーム投資とは、ワンルームマンションの一戸を購入しつつ入居者に貸し、入居者から支払われる家賃が収入となる投資です。

ワンルームマンションはファミリータイプのマンションより安く購入することが可能であり、ワンルーム投資はサラリーマンやOLの方に人気です。

ワンルーム投資を開始する際は、ワンルームマンションを購入する必要がありますが、購入資金は銀行から融資を受けつつ調達するのが通例です。

ワンルームマンションを取り扱う不動産業者の多くは銀行と提携し、ワンルーム投資を行う投資家にローンを斡旋してくれます。

よって、資金の借り入れ先が決まらない場合は、提携ローンを利用するのが良いでしょう。

ワンルーム投資にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、ワンルーム投資に関することをネットで調べると、「サラリーマンには節税効果がある」などの情報や、「相続税対策になる」などの情報を見かけます。

もちろん、それらの情報に偽りはなく、ワンルーム投資はときには節税効果を発揮し、相続税対策にもなりますが、ワンルーム投資は、不動産経営を行うつもりではじめなくてはなりません。

ワンルーム投資など、不動産投資を行うことにより得る所得を「不動産所得」と呼びます。

そして、サラリーマンやOLの方がワンルーム投資をはじめれば、給与所得と不動産所得を得ることとなり、不動産所得に赤字が発生すれば給与所得と相殺しつつ節税になります。

しかし、不動産所得が赤字の状況は、一部例外除き、好ましい状況とはいえません。

いつかは黒字になる見込みがあれば問題はありませんが、赤字の状態でワンルーム投資を続けると、自己資金を持ち出すこととなる虞があります。

そのため、ワンルーム投資を検討する際は、まずは本を読むなどして不動産経営に関する知識を身に着け、不動産所得が黒字になる自信が付いた時点で資金を借り入れ、ワンルームマンションをご購入ください。

不動産経営に関する知識が不足している状態で節税効果を期待しつつワンルーム投資をはじめるのは、明らかに準備不足です。

ご紹介した内容が、ワンルーム投資をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年6月

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