ワンルーム投資は儲からない

ワンルーム投資は儲からない

ワンルーム投資が儲からないのは、ローンの返済額が多すぎて、ビジネスとして成り立たないのが理由です。

しかし、ワンルーム投資は、絶対に儲からないというわけではありません。

ワンルーム投資が儲からない理由と、儲かるようにするための秘訣をご紹介しましょう。

目次

1. ワンルーム投資は、ローンの返済額が多すぎて儲からない

ワンルーム投資が儲からない1つめの理由は、家賃収入とローンの返済額がさほど変わらないことです。

ワンルーム投資は、ローンの返済額が多くて儲からない

ワンルーム投資はサラリーマンやOLの方に人気ですが、その理由は、マンション一棟やアパート一棟、ファミリー向けマンションの一戸より安く物件を購入できることにあります。

筆者がこの記事を作成する2022年6月現在、東京23区内の3LDK~4DKのファミリー向け中古マンション一戸の相場は6,067万円であるのに対し、1R~1Kのワンルーム中古マンション一戸の相場は2,385万円です。

ワンルームマンションは他の投資用物件より安価であり、はじめて不動産投資を行う方も購入しやすく、手軽にワンルーム投資を開始できます。

しかし、ワンルームマンションは安価であると同時に、家賃も安いという特徴があります。

2022年6月現在、東京都の家賃相場は、3LDK~4DKのマンションが21万1,400円であるのに対し、1R~1Kのワンルームマンションの相場は8万2,300円です。

そして、ワンルーム投資を開始する投資家の多くは、銀行から資金を借り入れつつ物件を購入しますが、金利2%、元利均等返済で2,385万円を借り入れつつ35年で返済する場合、月々の返済額は約7万9,000円です。

7万9,000円といえば、東京都のワンルームマンションの家賃相場である8万2,300円と3,300円しか差額がありません。

ワンルームマンションを購入するために借り入れたローンは、家賃収入を以て返済するため、実質、毎月3,300円しか儲からないこととなります。

ワンルーム投資は、ローンの返済額が多くて儲からない

首都圏のワンルームマンションの価格は、アベノミクス以降大きく値上がりしましたが、家賃の相場はさほど値上がりしていません。

であれば、地方のワンルームマンションを購入すれば儲かると考えがちですが、地方はワンルームマンションのターゲットとなる若年層の単身者が少なく、入居率が上がらずやはり儲かりません。

以上が、ワンルーム投資が儲からない1つめの理由です。

この問題は、できる限り多くの頭金を用意しつつ借り入れ額が少ない状態で物件を購入し、月々の返済額が少ない状態でワンルーム投資を開始することにより解決できます。

なお、日本全国各地の中古マンションの価格相場は「アットホーム:価格相場から中古マンションを探す」にて、家賃相場は「アットホーム:家賃相場から賃貸マンションを探す」にて調べることが可能です。

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2. ワンルーム投資は、設備投資費用が高くて儲からない

ワンルーム投資が儲からない2つめの理由は、設備投資費用が高く、家賃収入に見合わないことです。

ワンルーム投資は、設備投資費用が高くて儲からない

ワンルーム投資はワンルームマンションの入居者から支払われる家賃が収入となる投資ですが、ワンルームマンションの入居者とは、主に若年層の単身者です。

若年層の単身者は入退去が激しく、早ければ1回目の賃貸契約の更新となる2年後、遅くとも2回目の契約更新となる4年後には退去する傾向があります。

入居者が退去すれば、室内をクリーニングする、壁紙を張り替えるなどの原状回復費用が必要です。

原状回復費用は、預かった敷金や、毎月の家賃収入から一定の額をプールしつつ賄いますが、ワンルームマンションの家賃収入は少なく、思うようにプールできません。

また、若年層の単身者のワンルームマンションへのニーズは、刻一刻と変わり続けます。

たとえば、一昔前のワンルームマンションといえば、風呂とトイレと洗面台が一体になったユニットバスでしたが、最近の入居者はバスとトイレが独立した物件を求めます。

バブル期以降にみられる、入居者のワンルームマンションへのニーズの移り変わりは、以下のとおりです。

ワンルームマンションへのニーズの変遷

バブル期 現在
バスとトイレと洗面台が一体になったユニットバス 独立したバスとトイレ
電話回線 光回線によるネット接続サービス
テレビ回線 BS,またはCS,もしくはケーブルテレビ回線
靴箱 備え付けの収納や造り付けのテーブル
電気式コンロ 口が2つ以上のIHコンロ
屋外洗濯機置き場 室内洗濯機置き場
屋外洗濯物干し場 室内洗濯物干し場
郵便ポスト 宅配ボックス
音声式インターホン カメラ付きインターホンとオートロック
清潔なゴミ置き場 清潔であり、いつでもゴミを捨てられる24時間ゴミ置き場

以上のように入居者がワンルームマンションに求めるニーズは移り変わり、ワンルーム投資は、時代に合ったニーズを満たす設備投資が必要です。

そして、その設備投資にかかる費用は、毎月の家賃収入からプールしなければなりません。

しかし、ワンルームマンションは家賃収入が低い上に月々の返済額が高く、思うようにプールできず設備投資が疎かになり、入居率が下がり儲からないこととなります。

この問題は、借り入れ額が少ない状態、すなわち頭金が多い状態で物件を購入しつつ月々の返済額を減らし、毎月得る家賃収入から設備投資費用を多めにプールすることにより解決します。

なお、バブル期のワンルームマンションは、戸内の床面積が20平方メートル程度でしたが、最近の入居者は30平方メートル程度の広さを求めるとのデータがあります。

床面積が狭いワンルームマンションを購入しつつ広くすることは不可能ですが、築浅の物件を購入すれば、このニーズに対応できる可能性があります。

築年数が新しいワンルームマンションは、30平方メートル程度など、戸内の床面積が広く取られています。

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3. ワンルーム投資は、減価償却が終わると儲からない

ワンルーム投資が儲からない3つめの理由は、減価償却の期間が終了することにより、納税額が一挙に増えることです。

ワンルーム投資は、減価償却が終わると節税できずに儲からない

ワンルーム投資を含め、不動産投資は減価償却により節税になるといわれます。

ワンルーム投資を行う状況における減価償却とは、所有するワンルームマンションの建物部分の購入代金の一部を、毎年必要経費に計上することです。

必要経費に計上したワンルームマンションの建物部分の購入代金の一部を、減価償却費と呼びます。

そして、ワンルーム投資により得た所得を「不動産所得」と呼び、不動産所得には所得税と住民税が課され、不動産所得は「一年間の家賃収入-必要経費=不動産所得」と計算します

不動産所得の計算式

不動産所得を計算する式に含まれる「必要経費」に含められるのは、固定資産税や修繕積立金、管理費、返済したローンの利息などですが、最も多くの額を計上できるのが減価償却費です。

たとえば、築10年、建物部分の価格が2,000万円の中古のワンルームマンションを購入した場合は、39年にわたり毎年52万円を必要経費に計上、すなわち減価償却できます。

毎年52万円を減価償却できれば、必要経費が増えつつ不動産所得が減ります。

不動産所得が減れば、不動産所得に課される所得税と住民税も減ります。

この状況が、減価償却により所得税と住民税が節税された状況です。

ワンルーム投資の減価償却により節税された状況

しかし、先述のとおり、39年など、減価償却できる期間は限られています。

期間が終了すれば減価償却ができなくなり、必要経費が減り、不動産所得が増えます。

不動産所得が増えれば、不動産所得にかかる所得税と住民税も増えます。

所得税と住民税が増えれば支払いが増え、ただでさえ家賃収入が低いワンルーム投資がさらに儲かりません。

この減価償却の終了による所得税と住民税の増額を回避するためには、減価償却が終わるまでにワンルームマンションを売却するという出口戦略が必要です。

出口戦略を練りつつワンルーム投資を行えば、減価償却の終了による所得税と住民税の増額を防ぐことができます。

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3-1. 譲渡所得に所得税と住民税が課税されて儲からない

減価償却の終了による所得税と住民税の増額を回避するには、減価償却が終了するまでに物件を売却することが有効です。

ただし、減価償却した額は、譲渡所得を計算する際に、ワンルームマンションの取得費から差し引く必要があるため留意してください。

ワンルームマンションを売却し、売却することにより利益を得れば、得た利益に所得税と住民税が課されます。

ワンルームマンションを売却することにより得た利益を譲渡所得と呼び、譲渡所得の計算式を簡単にご紹介すると以下のとおりです。

譲渡所得の計算式
物件の売却額-(物件の取得費+物件の売却費用)=譲渡所得

上記の式に含まれる「物件の取得費」は、以下の式で計算します。

物件の取得費の計算式
物件の購入代金-物件を所有中に減価償却した額=物件の取得費

物件の取得費は上記の式で計算し、ワンルームマンションを所有中に減価償却した額を、購入代金から差し引きつつ計算しなければなりません。

たとえば、2,500万円で購入しつつ2,000万円を減価償却し、50万円の費用を掛けつつ1,000万円で売却したワンルームマンションがあったとしましょう。

その場合は以下のように計算し、購入額より大幅に下回る額で売却したものの、550万円の譲渡所得が発生したこととなります。

減価償却により譲渡所得が発生しつつ課税される

譲渡所得が発生すれば、譲渡所得に所得税と住民税が課されます。

よって、減価償却が終了することにより物件の売却を希望する場合は、減価償却した額と譲渡所得に課される所得税と住民税を計算し、売るタイミングを見極める必要があります。

減価償却には節税効果がありますが、課税の繰り延べともいえ、減価償却による減税分は、まるまる儲かるというわけではないため注意してください。

ワンルーム投資は出口戦略が重要ですが、減価償却した額と、譲渡所得に課される所得税と住民税を計算しつつ計画を練らなければ上手く儲かりません。

なお、不動産の譲渡所得の正確な計算式は「国税庁:土地や建物を売ったとき」にてご確認いただけます。

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まとめ - ワンルーム投資は、頭金が多ければ儲かる

ワンルーム投資が儲からない理由をご紹介しました。

ワンルーム投資が儲からない理由は様々ですが、主に以下の3つが挙げられます。

  • 1. 家賃収入とローンの返済額がさほど変わらない
  • 2. 設備投資費用が高く家賃収入に見合わない
  • 3. 減価償却が終われば所得税と住民税が増える

ただし、上記の3つのワンルーム投資が儲からない理由には、それぞれ対処法があり、本記事でご紹介した対処法を用いれば、ワンルーム投資は儲かる可能性があります。

ワンルーム投資を検討し、儲からないといわれる理由や、その対策をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、ワンルーム投資が儲からない理由として、家賃収入と返済額が同程度である、設備投資費用が高く家賃収入で賄えないとご紹介しましたが、月々のローンの返済額が少なければ問題になりません。

月々の返済額を少なくするには、返済期間を長く設定するなどの方法がありますが、最も有効なのは、借り入れ額が少ない状態でワンルーム投資を開始することです。

少ない借り入れでワンルーム投資を開始するためには、頭金を多く揃えつつワンルームマンションを購入しなければなりません。

よって、ワンルーム投資を検討しつつ失敗したくないと意気込む場合は、頭金が多く、借り入れ額が少なく、月々の返済額が少ない状態で物件を購入してください。

そうすれば、家賃収入と返済額がさほど変わらないような事態にならず、設備投資にも手が回り、ワンルーム投資は儲からないと嘆くことになりません。

そして、手元に残るお金を貯蓄しつつ一定の額を超えれば、それを頭金として2軒目のワンルームマンションを購入すれば、さらに儲かりやすくなります。

アベノミクスにより物件価格が大きく上昇したものの家賃が値上がりしていない昨今、ワンルーム投資は、頭金が多い状態で始めることが成功の秘訣です。

ご紹介した内容が、ワンルーム投資が儲からない理由をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年7月

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