サブリースとは?わかりやすく解説

サブリースとは、不動産業者が投資家から賃貸マンションなどを丸ごと借り上げ、又貸ししつつ投資家に利益を還元するサービスです。
サブリースをわかりやすく解説し、その注意点などもご紹介しましょう。
目次
- 1. サブリースとは?
- 1-1. あらためてサブリースをわかりやすく解説
- 2. サブリースの注意点
- まとめ - サブリースを案ずる前に事業価値を考える
1. サブリースとは?
それでは、サブリースをわかりやすく解説しましょう。
その前に不動産投資という言葉をご理解ください。
不動産投資の意味をご存じの方は、次の項目である「1-1. あらためてサブリースをわかりやすく解説」まで読み飛ばしていただいて構いません。
不動産投資とは、マンションやアパート、ビルを1棟丸ごと購入するなどして各部屋を入居者に貸し、得た家賃が利益となる投資です。
不動産投資はマンションやアパートなどを購入する必要があるため初期費用がかかりますが、いつかは家賃収入が初期費用を追い越し、それ以降に得る家賃が利益となります。
ただし、不動産投資を行うためには、所有する物件をメンテナンスしつつ管理し、入居者を募集するなどして経営しなくてはなりません。
経営が上手くいかなければ、初期費用を回収できず損益が出ることもあります。
以上が、サブリースの前に理解しておきたい不動産投資の意味です。
つづいて、サブリースをわかりやすく簡単にご説明しましょう。
なお、この記事ではこれ以降、不動産投資を行うために賃貸マンションや賃貸ビルなどを購入した方を投資家と呼ぶため留意してください。
1-1. あらためてサブリースをわかりやすく解説
サブリースとは、不動産投資を行う投資家が所有する賃貸マンションなどを業者が丸ごと借り上げ、入居者を募集しつつ管理と経営を行い、得た家賃収入の80%程度を投資家に還元するサービスです。
サブリースを行う業者をサブリース業者などと呼び、サブリース業者は入居者から得た家賃収入の80%程度を投資家に還元する一方、残りの20%程度をサービス料として受け取りつつ利益を得ます。

また、サブリース業者は、空き地を所有する地主に賃貸マンションや賃貸ビルの建設を促し、完成した物件を丸ごと借り上げつつ管理と経営を行い、その家賃収入の80%を投資家に還元することもあります。
これもサブリースの一種であり、この状況において地主が金融機関から資金を借り入れつつ賃貸マンションや賃貸ビルなどを建設する場合は、サブリース業者が借り入れ先を斡旋することも珍しくありません。

さらに、賃貸マンションや賃貸ビルなどを所有する投資家や空き地の地主にサブリース業者を紹介する者も存在し、その者を勧誘者などと呼びます。
不動産投資を行う投資家は、資金があっても入居者の募集や物件のメンテナンスが不得意なことがあり、その場合はサブリースが大いに役立ちます。
サブリースを行うのは主に不動産業者や建設会社であり、大手サブリース業者は以下のとおりです。
大手サブリース業者
- 東急リバブル
- 東急不動産グループの大手不動産会社「東急リバブル」です。 東急リバブルではマンションやビル一棟などのサブリースはもとより、転勤などにより空き家となったご自宅を短期間賃貸しする際に利用できる小規模なサブリースも実施中です。
- 大東建託
- 日本全国各地に220の支社を持つ大手建設会社「大東建託」です。 大東建託では入居者募集や家賃管理に加え、物件の修繕費用を負担するサブリースも実施しています。
- 積水ハウス
- テレビCMでお馴染みの大手建設会社「積水ハウス」です。 積水ハウスは40年にわたってサブリースを実施中であり、インターネットを通じて幅広く入居者を募集してくれます。
以上が主な大手サブリース業者です。また、サブリース業者が行う具体的な管理業務は以下のとおりとなっています。
サブリース業者が行う主な管理業務
- 物件の清掃
- 物件の定期的な点検と修繕
- 入居者の募集
- 入居者との賃貸借契約の締結
- 入居者から得た家賃、敷金、共益費などの金銭の管理
なお、サブリース業者は、全ての賃貸マンションや賃貸ビルのサブリース業務を請け負うわけではないため留意してください。
あまりに立地条件が悪い物件や老朽化するなどして入居者が集まる見込みがない物件は、サブリース業者にサブリースを依頼しても請け負ってくれない場合があります。
2. サブリースの注意点
サブリースをわかりやすく解説すると、サブリース業者が投資家から賃貸マンションや賃貸ビルなどを一括で借り上げ、入居者を募集しつつ賃貸経営し、得た家賃収入の80%などを投資家に還元するサービスです。
サブリースを利用すれば、はじめて不動産投資を行う方や相続税対策として臨時に賃貸用の不動産を購入する方も安心です。
しかし、サブリースには、サブリース問題などと呼ばれるいくつかの注意点とデメリットがあります。
ここから、サブリースの注意点をご紹介しましょう。
その1. 家賃保証は必ずではない
サブリースの広告を見ると「10年間家賃保証付き」などと書かれていることがあります。
サブリースにおける家賃保証とは、入居者が少なく家賃が集まらなくともサブリース業者が投資家に還元する家賃収入を保証することです。
たとえば、サブリース業者が「10年間家賃保証付き」と謳う場合は、サブリース開始から10年間にわたり、入居者がいなくとも満室であると仮定しつつその家賃収入の80%などを投資家に還元することを意味します。
つまり、家賃保証が付いていれば、その物件に空室があっても投資家は家賃収入を得ることができるというわけです。
この状況は投資家にとって望ましい状況ですが、あまりに空室が多い状況が続けば、サブリース業者から借地借家法の第三十二条に則って還元率の減額を請求されることがあるため注意してください。
サブリース業者は国や地方自治体などではなく民間の企業であり、財源に限りがあります。
よって、家賃保証があっても入居者が集まらない場合は撤回されることがあり、それがサブリースの一つめの注意点です。

なお、借地借家法とは建物や土地の貸し借りに関することを定めた法律であり、同法律の第三十二条をわかりやすく解説すると以下のようになります。
借地借家法 第三十二条(借賃増減請求権)
経済事情の変化などにより借り賃が不相応となった場合は、当事者は借り賃の増減を請求できる
その2. 契約期間中でも契約を解除されることがある
投資家がサブリース業者にサブリースを委託する際は契約を締結することとなり、いつまで契約するか期間が設定されます。
これにより投資家は契約期間中は安心できるという印象を受けますが、契約内容に「契約期間中でも契約を解除できる」などの約束が含まれている場合は、解除されることがあるため注意してください。
不動産経営のプロであるサブリース業者を以てしても入居者が集まらない場合や、サブリース業者の経営が破綻した場合などは契約期間中であっても契約が解除されることがあります。
契約が解除されればサービスが打ち切られることとなり、投資家に不動産経営に関する心得がない場合は入居者ともども困り果てることとなります。
また、サブリース業者が契約を解除するような入居者が少ない状況で他のサブリース業者を雇おうとしても、簡単には請け負ってくれません。
これがサブリースの二つめの注意点です。
その3. 投資家の都合だけで契約を解除できない
投資家がサブリース業者にサブリースを委託する際は、10年間などの期間を定めつつ契約をしますが、期間中は投資家の都合だけで契約を解除できません。
たとえば、契約期間中にサブリース業者から還元率の減額の請求を受け、それに納得できず契約の破棄を申し出ても解除できないなどです。
契約は、投資家とサブリース業者が協議し、両者が正当な理由があると判断した場合に限り解除されます。
これは、投資家がサブリース業者にサービスを委託する際に締結する契約に、借地借家法の第二十八条が適用されることが理由です。
借地借家法の第二十八条をわかりやすく解説すると以下のようになります。
借地借家法 第二十八条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物を貸す者が借りる者に対して行う契約の解除の申し入れは、建物を借りる者と協議しつつその時点における事情を考慮し、正当な理由があると判断された場合に限り認められる
このように投資家の都合だけで契約を解除できないことがサブリースの三つめの注意点であり、デメリットでもあります。
その4. 修繕費用を負担しなければならない場合がある
サブリース業者にサブリースを委託すれば、入居者の募集や物件のメンテンナンスなどを請け負ってくれます。
これにより、投資家は安心して投資用物件を保有しつつ家賃収入のみを得られるという印象を受けますが、物件に高額な修繕費用を要する不具合が発見された場合は、その費用を負担しなければならない場合があります。
どの程度の費用を負担する必要があるかは、サブリース業者と締結した契約の内容によって異なりますが、高額な修繕費用を要する不具合の修理費は概ね投資家が負担するのが通例です。
また、契約期間中であっても固定資産税は投資家が負担しなくてはなりません。
これがサブリースの四つめの注意点です。
その5. 重要事項説明書をよく読む
サブリース業者にサブリースを委託する際は、契約書に署名捺印しつつ契約を結びますが、その前にサブリース業者から重要事項説明を受けます。
この状況における重要事項説明とは、口頭によるサブリースに関する注意点の説明であり、重要事項説明が完了すればサブリース業者からその内容を書面にまとめた「重要事項説明書」が交付されます。
重要事項説明書には、契約期間中であっても契約が打ち切られる場合があることや、家賃保証付きでも還元率が低下する可能性があることなどが記されています。
以下は、国土交通省が公開するサブリース業者が交付する重要事項説明書のひな型です。
サブリース業者が交付する重要事項説明書のひな型

以下は、国土交通省が公開するサブリース業者と結ぶ契約書のひな型です。
サブリース業者と結ぶ契約書のひな型

重要事項説明書や契約書にはサブリースに関するたくさんの注意点が記され、契約書に署名捺印すればそれらを了承しつつ契約を結んだこととなります。
よって、サブリース業者とサブリース契約を結ぶ際は、重要事項説明書や契約書を熟読する必要があり、これがサブリースの五つめの注意点です。
なお、ご紹介した重要事項説明書や契約書のひな型は「国土交通省 賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて」よりダウンロードできます。
まとめ - サブリースを案ずる前に事業価値を考える
サブリースをわかりやすく解説し、注意点などもご紹介しました。
サブリースとは、投資家が所有する賃貸マンションやオフィスビルなどをサブリース業者が丸ごと借り上げ、入居者を集めつつ維持管理し、入居者から得た家賃の80%などを投資家に還元するサービスです。
サブリース業者に管理業務を委託すれば、入居者を募集しつつ物件を管理してくれるため、はじめて不動産投資を行う方も安心です。
とはいうものの、立地条件が悪い物件や老朽化した物件はサブリース業者が頑張っても入居者が集まらず、契約期間中であっても契約を解除されたり、家賃保証が付いていても家賃の減額を請求されることがあります。
よって、これから不動産投資を始めたいと希望する方は、サブリースを依頼するか案ずるより事業価値がある物件を購入することに注力してください。
不動産投資は事業価値がある物件を見極める力を養うことが大切であり、サブリースを案ずるのは二の次です。
ご紹介した内容が、不動産投資を志す方や、サブリースをお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2021年4月
記事公開日:2018年9月
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