利回りとは?不動産の利回りを解説

不動産の利回りとは?

不動産の利回りとは、賃貸マンションなどの投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標です。

ただし、利回りは満室であることを前提に計算されるため参考程度に捉えなければなりません。

不動産の利回りをわかりやすく解説し、表面利回りや実質利回り、グロス利回り、ネット利回り、想定利回り、現行利回りなど、不動産の利回りの種類をご説明しましょう。

目次

1. 利回りとは?

それでは、不動産の利回りをわかりやすく解説しましょう。

その前に、不動産投資という言葉を理解してください。

不動産投資の意味をご存じの方は、次の項目である「1-1. あらためて利回りを解説」まで読み飛ばしていただいて構いません。

不動産投資とは、マンションを一棟丸ごと購入しつつ各部屋を入居者に貸すなどして家賃を取り、その家賃が収入となる投資です。

不動産投資は、初期に不動産を購入する費用が掛かるものの次第に家賃による収入が追いつき、初期費用を回収した後に得る家賃収入が利益となります。

以上が不動産投資の意味です。

つづいて、不動産の利回りをわかりやすくご説明しましょう。

1-1. あらためて利回りを解説

先にご紹介したとおり、不動産投資を行うためには初期に賃貸マンションなどの投資用物件を購入する必要があり、販売されている物件の広告を見ると「利回り10%」や「利回り5%」などと書かれています。

この「利回り10%」などと書かれている数値が不動産の利回りであり、利回りとはその投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標です。

不動産の利回りとは?

不動産の利回りは、「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」を「その物件の販売価格」で割り算し、その答えに100を掛け算することにより計算します。

具体的な計算式は以下のとおりです。

不動産の利回りの計算式
その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入÷その物件の販売価格×100=利回り

以上が不動産の利回りの計算式です。

たとえば、5,000万円で売りに出されている賃貸用アパートがあったとしましょう。

その賃貸用アパートを購入し、各部屋を入居者に貸すことにより1年間に250万円の家賃収入が見込める場合は以下のように計算し、その利回りは5%です。

利回りの計算例
250万円(1年間の家賃収入)÷5,000万円(その賃貸用アパートの販売価格)×100=5%(利回り)

そして、利回りが高いほど得ると予想される儲けが多いことを意味します。

たとえば、5,000万円で販売されている年間の家賃収入が250万円の物件より、5,000万円で販売されている年間の家賃収入が500万円の物件の方が儲かることとなりますが、その場合は利回りも高くなります。

5,000万円で販売されている年間の家賃収入が250万円の投資用物件の利回りは5%ですが、年間の家賃収入が500万円であれば10%です。

利回りの計算例
500万円(1年間の家賃収入)÷ 5,000万円(その賃貸用アパートの販売価格)×100 = 10%(利回り)

このように利回りは、儲かる物件ほど高くなります。

ただし、利回りはあくまで予想値であり、必ずそのとおりに儲かるわけではないため留意してください。

利回りは、その投資用物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入を基に計算する指標であり、確実な指標ではありません。

賃貸アパートなどの投資用物件は満室になることもあれば、空室が多く思うように家賃が入ってこないこともあります。

利回りは、満室であることを前提に計算した指標です。

なお、利回りには、大まかな儲かり具合を表す表面利回りと、細かな儲かり具合を表す実質利回りがあります。

続いて、表面利回りと実質利回りをわかりやすく簡単にご説明しましょう。

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2. 表面利回りと実質利回り

不動産の利回りとは、賃貸マンションや賃貸アパート、貸店舗(家賃を取りつつ人に貸すお店)などの投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標です。

そして、利回りには、表面利回りと実質利回りが存在します。

不動産の利回りには表面利回りと実質利回りがある

ここから、表面利回りと実質利回りをわかりやすく簡単にご説明しましょう。

2-1. 大まかな利回りを表す表面利回り

表面利回りとは、その投資用物件の儲かり具合を大まかに表した指標です。

表面利回りは、利回りと同じく「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」を「その物件の販売価格」で割り算しつつ計算し、具体的な式は以下のとおりとなっています。

表面利回りの計算式
その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入÷その物件の販売価格×100=表面利回り

上記のように表面利回りは利回りと同じ式で計算しますが、投資用物件を所有すると定期的に修繕費用などを支払う必要があり、それらが大きな出費となります。

つまり、「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」を「物件の販売価格」で割り算するだけでは、その投資用物件の儲かり具合を正確に計算できないというわけです。

よって、表面利回りは、その投資用物件の儲かり具合を大まかに示した指標となります。

なお、投資用の不動産の広告を見ると「利回り5%」などと書かれていますが、その多くは表面利回りを意味します。

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2-2. 細かな利回りを表す実質利回り

表面利回りとは、その投資用物件の儲かり具合を大まかに表した指標です。

これに対して実質利回りは、その投資用物件の儲かり具合を細かに表しています。

表面利回りは「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」と「物件の販売価格」だけを参考に計算しますが、実質利回りは必要経費などを含めつつ以下のように計算します。

実質利回りの計算式
(1年間の家賃収入-1年間の必要経費)÷(物件の販売価格+物件を購入する際に必要となる諸費用)×100=実質利回り

上記のように実質利回りは、その投資用物件を所有することにより必要となる経費や、その物件を購入する際に必要となる諸費用を含めつつ計算するため、表面利回りより具体的な利回りを計算することが可能です。

不動産の実質利回りと表面利回りの違い

実質利回りを計算する式に含まれる「1年間の必要経費」には、以下のような経費を含めます。

  • その物件の修繕費用
  • その物件の管理を第三者に委託する場合は管理委託費
  • その物件を所有することにより毎年課せられる固定資産税
  • ローンを利用しつつ物件を購入した場合は返済額

また、実質利回りを計算する式に含まれる「物件を購入する際に必要となる諸費用」には、以下のような費用を含めます。

  • 物件を購入する際に不動産業者に支払う仲介手数料
  • 物件を購入する際に課せられる登録免許税や印紙税、不動産取得税などの税金

たとえば、1年間の家賃収入が500万円、必要経費が100万円、販売価格が5,000万円、購入する際に必要となる諸費用が500万円の投資用物件は以下のように計算し、その実質利回りは7.2%です。

実質利回りの計算例
(1年間の家賃収入500万円-1年間の必要経費100万円)÷(物件の購入価格5,000万円+物件を購入する際に必要となる諸費用500万円)×100=7.2%(実質利回り)

実質利回りは表面利回りより多くのデータを用いて計算するため、具体的な利回りが算出されます。

とはいうものの、実質利回りも表面利回りも満室であることを前提に算出するため確実な利益を計算することはできません。

賃貸マンションや賃貸アパートなどの投資用物件は、思うように入居者が集まらず空室が続くこともあります。

よって、満室であることを前提に計算する利回りは、あくまで想定される利益を表した指標であることを留意してください。

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3. 不動産の利回りの種類

不動産の利回りとは、その投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標であり、高いほど儲かると予想されます。

そして、利回には表面利回りと実質利回りがあることをご紹介しましたが、その他にもネット利回り、グロス利回り、想定利回り、現行利回りなどと呼ばれる利回りの種類があります。

不動産の実質利回りと表面利回りの違い

ここから、不動産の利回りの種類をまとめてわかりやすく解説しましょう。

表面利回りとは?

表面利回りとは、賃貸マンションや賃貸アパートなどの投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標です。

不動産の表面利回りは「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」を「その物件の販売価格」で除算し、その答えに100を乗算することにより計算します。

表面利回りの具体的な計算式は以下のとおりであり、表面利回りが高いほど儲かると予想される投資用物件であることを意味します。

表面利回りの計算式
その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入÷その物件の販売価格×100=表面利回り

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実質利回りとは?

実質利回りとは、投資用物件の儲かり具合を表面利回りより細かに表した指標です。

表面利回りは「その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入」と「その物件の販売価格」のみから計算しますが、実質利回りは必要経費などを加味しつつ計算するため、より具体的な利回りが算出されます。

とはいうものの、実質利回りも表面利回りもその投資用物件が満室であることを前提に計算します。

よって、実質利回りであっても表面利回りであっても、確実な収益率を算出することはできないため留意してください。

賃貸マンションや賃貸アパートなどの投資用物件は、いつも満室とは限りません。

実質利回りの具体的な計算式は以下のとおりであり、その答えが大きいほど儲かると予想される物件です。

実質利回りの計算式
(その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入-その物件を所有することにより必要と予想される1年間の必要経費)÷(物件の販売価格+その物件を購入する際に必要となる諸費用)×100=実質利回り

上記の式に含まれる必要経費とは修繕費用などであり、諸費用とはその投資用物件を購入する際に不動産業者に支払う仲介手数料などです。

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グロス利回りとは?

グロス利回りとは表面利回りを言い換えた言葉であり、表面利回りと同じ意味です。

表面利回りとは、賃貸マンションなどの投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標であり、以下の式で計算します。

表面利回り(グロス利回り)の計算式
その不動産を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入÷その不動産の販売価格×100=表面利回り

表面利回りの詳細は、この記事の「2-1. 大まかな利回りを表す表面利回り」にてご確認いただけます。

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ネット利回りとは?

ネット利回りとは実質利回りを言い換えた言葉であり、実質利回りと同義です。

実質利回りとは、賃貸マンションや賃貸アパートなどの投資用物件の儲かり具合を表面利回りより細かに示した指標であり、以下の式で計算します。

実質利回り(ネット利回り)の計算式
(その物件を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入-その物件を所有することにより必要と予想される1年間の必要経費)÷(物件の販売価格+その物件を購入する際に必要となる諸費用)×100=実質利回り

実質利回りの詳細は、この記事の「2-2. 細かな利回りを表す実質利回り」にてご確認いただけます。

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想定利回りとは?

想定利回りとは、投資用物件が満室であると仮定した場合の儲かり具合をパーセントで表した指標であり、表面利回りとほぼ同義です。

不動産の想定利回りは「その投資用物件が満室であった場合の1年間の家賃収入」を「その物件の販売価格」で除算しつつ計算し、具体的な計算式は以下のとおりとなっています。

想定利回りの計算式
その投資用物件が満室であった場合の1年間の家賃収入÷その物件の販売価格×100=想定利回り

利回りとは、その投資用物件の儲かり具合をパーセントで表した指標ですが、賃貸アパートや賃貸マンションは空室が出ることもあります。

投資用物件を所有しても空室が多ければ、予想通りの家賃収入を得られません。

よって、想定利回りという言葉が存在し、不動産の想定利回りとは、その投資用物件が満室である場合の利回りを意味します。

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現行利回りとは?

現行利回りとは、現在の入居者数から見た投資用物件の利回りです。

先にご紹介した想定利回りは、その投資用物件が満室であると想定しての利回りですが、現行利回りは現在の入居状況からみた利回りとなっています。

現行利回りは「その投資用物件の現在の入居者数からみた1年間の家賃収入」を「その物件の販売価格」で除算しつつ計算し、具体的な計算式は以下のとおりです。

現行利回りの計算式
その投資用物件の現在の入居者数からみた1年間の家賃収入÷その物件の販売価格×100=現行利回り

現行利回りは現在の入居状況からみた1年間の家賃収入を基に計算するため、想定利回りや表面利回りより具体的な利回りを算出できます。

とはいうものの、現行利回りは実質利回りのように修繕費用などを加味しつつ計算しません。

よって、現行利回りであっても確実な収益率を表すわけではないため注意してください。

投資用物件は築年数が経過するとともに修繕費用が嵩み、入居者数が多くとも思うように利益が上がらないことがあります。

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まとめ - 利回りは目安として考える

不動産の利回りの意味や種類をわかりやすく解説しました。

利回りとは、その投資用物件を所有することにより得ると予想される儲けをパーセントで表した指標です。

そして、表面利回り、実質利回り、グロス利回り、ネット利回り、想定利回り、現行利回りなどの種類があり、利回りが高いほどその投資用物件は儲かることを意味します。

ただし、利回りはあくまで予想値であり、満室であることを前提に計算した指標です。

実際に投資用物件を購入しても思うように入居者が集まらず家賃収入が得られないことや、予想以上に修繕費用が掛かり収益が上がらないことも珍しくありません。

よって、利回りは他の物件と比較する際の参考として役立てるのが良いでしょう。

私は不動産賃貸業を営みつつ投資信託(株や証券などをセットにした安価な投資商品)も購入しますが、投資信託に関する本を読むと「不動産投資などリスクが大きすぎて成功する人は極わずか」と揶揄しています。

反対に、不動産投資の本を読むと「株はリスクが大きく投資信託は儲からず、不動産投資の方が成功する確率が高い」と書かれています。

不動産投資と株式投資の本はどっちが本当?

つまり、投資に正解はなく、儲かる・儲からないという理論は予想の範囲であるということです。

そのため、利回りばかりを参考にしつつ不動産を購入することなどは避け、じっくりと本を読むなどして勉強し、人に言われるがままに投資用物件を購入しないように注意してください。

ご紹介した内容が、利回りをお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2021年3月
記事公開日:2018年7月

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