表面利回りとは?計算する方法など解説

表面利回りとは、その不動産を所有することにより得る利益の目安であり、高ければ高いほどたくさん儲かると予想されます。
表面利回りを調べる方へ向けて意味をわかりやすく解説し、表面利回りと、利回りの一種である実質利回りを計算する方法を簡単にご説明しましょう。
なお、表面利回りの読み方は「ひょうめんりまわり」です。
目次
- 1. 表面利回りとは、その物件を購入すれば得ると予想される儲け
- 2. 表面利回りを計算する方法
- 3. 実質利回りを計算する方法
- まとめ - 表面利回りの相場は、5%から15%など
1. 表面利回りとは、その物件を購入すれば得ると予想される儲け
それでは、表面利回りの意味をわかりやすくご説明しましょう。
その前に、表面利回りという不動産用語に含まれる「利回り」の意味を理解してください。
利回りとは、その不動産を所有することにより得ると予想される儲けを%で表した数値です。

たとえば、各部屋を入居者に貸せる賃貸用アパートが、1棟まるごと5,000万円で販売されているとしましょう。
その賃貸用アパートを所有することにより得ると予想される家賃収入は、年間240万円です。
ようするに、その賃貸用アパートは、購入するために5,000万円の費用が掛かるものの、所有すれば毎年240万円の家賃収入が期待できるというわけです。

そして、その賃貸用アパートを所有することにより得ると予想される家賃収入を、販売価格で割り算して100を掛け算すれば、その賃貸用アパートの利回りが算出されます。
利回りを計算する式をわかりやすくまとめると以下のとおりです。
利回りを計算する方法
その不動産を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入 ÷ その不動産の購入価格 × 100 = 利回り
上記の式に、先にご紹介した賃貸用アパートを当てはめると以下のようになり、その利回りは4.8です。
利回りの計算例
240万円(1年間の家賃収入)÷ 5,000万円(賃貸用アパートの購入価格)× 100 = 4.8(利回り)
利回りは%で表現するため、賃貸用アパートの利回りは4.8%となります。
これが利回りであり、物件価格が安く、得ると予想される家賃収入が多い物件ほど利回りが高くなります。
つまり、利回りが高い物件ほど、その不動産を所有すれば儲かると予想されるというわけです。
そして、利回りには、以下の2つの種類が存在します。
- 表面利回り
- 表面利回りとは、先にご紹介した利回りのことであり、グロス利回りと呼ばれることもあります。
- 実質利回り
- 実質利回りとは、表面利回りより具体的な利回りであり、ネット利回りと呼ばれることもあります。
以上が2種類の利回りであり、表面利回りとは、2種類の利回りのうちのひとつで、利回りと同じ意味で扱われます。
賃貸用アパートや賃貸用マンションなどの投資用の不動産の広告を見ると「利回り5%」などと書かれていますが、実質利回りやネット利回りなどの記述がない場合は表面利回りを意味します。

2. 表面利回りを計算する方法
表面利回りとは、利回りと同じ意味で用いられる、その不動産を所有することにより得ると予想される利益を%で表した数値です。
そして、先にご紹介したとおり、利回りには表面利回り(別名グロス利回り)と実質利回り(別名ネット利回り)があります。
ここから、表面利回りを計算する方法をわかりやすくまとめましょう。
表面利回の計算式
表面利回りは、以下の式で計算します。

上記が表面利回りを計算する式です。
たとえば、その不動産を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入が500万円で、販売価格が1億円の不動産は以下のように計算し、表面利回りは5%となります。
表面利回りの計算例 1
500万円(得ると予想される1年間の家賃収入)÷ 1億円(その不動産の販売価格)× 100 = 5%(利回り)
また、その不動産を所有することにより得ると予想される1年間の家賃収入が1,000万円で、販売価格が5,000万円の不動産は以下のように計算し、表面利回りは20%です。
表面利回りの計算例 2
1,000万円(得ると予想される1年間の家賃収入)÷ 5,000万円(その不動産の販売価格)× 100 = 20%(利回り)
以上が表面利回りを計算する方法であり、安く購入することが可能で、得ると予想される1年間の家賃収入が多い不動産ほど表面利回りは高くなります。
ただし、表面利回りを計算する式には、その不動産を所有することにより得ると予想される年間の家賃収入と、その不動産の販売価格しか含まれていません。
しかし、不動産を購入するためには、物件価格の10%などの諸費用が必要です。
また、賃貸用アパートやマンションを所有すると、毎年のように修繕費用が掛かります。
そのため、表面利回りは、その不動産を所有することにより得ると予想されるおおまかな利益の目安であり、実際の利益を表した数値ではないことを留意してください。
なお、表面利回りの相場は、その不動産の立地条件や築年数によって異なりますが、おおよそ5%から15%程度などとなっています。
3. 実質利回りを計算する方法
利回りには、表面利回りと実質利回りがあります。
表面利回りとは、その不動産を所有することにより得ると予想される利益を%で表した数値ですが、その不動産を購入するために必要となる諸費用や、その不動産を所有することにより掛かる毎年の維持費用などが考慮されていません。
つまり、表面利回りは、具体的な数値ではないというわけです。
これに対して実質利回りは、その不動産を購入するために必要となる諸費用や、その不動産を所有することにより掛かる毎年の維持費用などを鑑みつつ算出します。
よって、実質利回りは、表面利回りより現実的な数値といえます。

ここから、実質利回りを計算する方法をわかりやすく簡単にご説明しましょう。
実質利回りの計算式
実質利回りは、以下の方法で計算します。
実質利回りを計算する式
・その不動産を所有することにより得る1年間の家賃収入 - その不動産の1年間の維持費 = A
・その不動産の購入価格 - その不動産を購入するための諸費用 = B
・A ÷ B × 100 = 実質利回り
以上が実質利回りを計算する方法です。
式に含まれるAを算出する項目にある「その不動産の1年間の維持費」とは、修繕費用や固定資産税、火災保険料、ローンを利用しつつ物件を購入した場合の返済額などです。
また、Bを算出する項目に含まれる「その不動産を購入するための諸費用」とは、仲介手数料(不動産を購入する際に不動産業者に支払う手数料)や、不動産取得税(不動産を取得することにより課せられる税金)などで、合計すると物件価格の10%程度になるのが通例となっています。
よって、その不動産を所有することにより得る1年間の家賃収入が500万円、1年間の維持費が100万円、諸費用を含めた購入価格が1憶1,000万円の不動産は以下のように計算し、実質利回りは3.6%です。
実質利回りの計算例
・500万円(その不動産を所有することにより得る1年間の家賃収入)- 100万円(その不動産の1年間の維持費)= 400万円(A)
・1億円(その不動産の販売価格)+1,000万円(その不動産を購入するための諸費用)= 1憶1000万円(B)
・400万円(A)÷ 1億1000万円(B)× 100 = 3.6%(実質利回り)
上記の計算例の正式な答えは3.6ですが、実質利回りは%で表すため、答えを「3.6%」と表記していることを留意してください。
なお、実質利回りは、その不動産を所有することにより掛かる毎年の維持管理費用などを含みつつ計算するため、表面利回りより低くなるのが通例となっています。
まとめ - 表面利回りの相場は、5%から15%など
イラストを交えつつ表面利回りの意味をわかりやすく解説し、表面利回りや実質利回りを計算する方法を簡単にご説明しました。
表面利回りとは、その不動産を所有することにより得ると予想される利益を%で表した数値であり、数値が高ければ高いほど儲かる物件であることを意味しています。
ただし、表面利回りは、あくまでその物件を所有することにより得ると予想される利益を表した数値であり、得る利益を正確に表しているわけではありません。
たとえば、賃貸用アパートの表面利回りは、全ての部屋に入居者が存在すると仮定されて算出された数値です。
しかし、実際に賃貸用のアパートを所有すると思うように入居者が集まらず、いくつかの部屋が空室になることもあります。
よって、表面利回りは、あくまで予想であり参考であると捉えてください。
なお、表面利回りの相場は、築年数や立地条件により異なるものの、おおむね5%から15%などとなっています。
5%から15%というとずいぶん差がありますが、表面利回りは販売価格が低く、得ると予想される利益が高い不動産ほど高くなります。
収益用不動産の販売価格や得ると予想される家賃収入は、築年数や立地条件によって大きく異なります。
そのため、表面利回りの相場は断言できず、おおむね5%から15%などとなります。
購入を希望する収益用不動産の表面利回りが適正であるか否かは、その不動産の周辺に所在する、立地条件や築年数が類似する収益用不動産の利回りを参考に考えるのが良いでしょう。
投資用の不動産の購入を希望しつつ表面利回りの意味を調べる方がいらっしゃいましたら、是非ご参考になさってください。失礼いたします。
記事公開日:2020年4月
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