不動産取得税はいくら?4000万円の建売と新築マンションの目安
4000万円の建売の不動産取得税は51万円程度が目安ですが、軽減措置が適用されれば4万5000円程度まで軽減されます。
4000万円の新築マンションの不動産取得税52万5000円程度が目安ですが、同じく軽減措置が適用されれば12万円程度まで軽減されます。
4000万円の建売と新築マンションの不動産取得税がいくらになるかご紹介し、軽減措置の適用条件など解説しましょう。
目次
- 1. 4000万円の建売の不動産取得税はいくら?
- 2. 4000万円の新築マンションの不動産取得税はいくら?
- 3. 不動産取得税の軽減措置の申請方法
- 4. 不動産取得税とは?税額の計算方法
- 5. 不動産取得税の主な軽減措置
- まとめ - 不動産取得税は、都道府県でルールが異なるのが厄介
1. 4000万円の建売の不動産取得税はいくら?
4000万円の建売の不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
とはいうものの、4000万円という販売価格に占める家屋の価格が消費税別3000万円、土地の価格が1000万円であれば、不動産取得税は51万円程度が目安です。
51万円といえば高額ですが、一定の条件を満たす4000万円の建売を購入すれば2つの軽減措置が適用され、4万5000円程度まで不動産取得税が軽減されます。
4000万円の建売を購入して2つの軽減措置の適用を受けるためには、まずは前提として、床面積が50㎡以上240㎡以下の物件を購入する必要があります。
加えて、以下などのいずれかの条件を満たさなければなりません。
- 新築後1年以内の建売を購入した場合は、家屋と土地を併せて購入した
- 新築から1年を超えた建売を購入した場合は、家屋と土地を併せて購入し、なおかつ、建売を購入した者がその物件に居住する
そして、上記の条件を満たした4000万円の建売を購入した上で、都道府県の税事務所に申請をすれば2つの軽減措置が適用され、先述のように不動産取得税が軽減されます。
適用される2つの軽減措置の名称は、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
- 不動産取得税の課税標準の特例
- 住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額
つづいて、売り出し中の4000万円の建売の不動産取得税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
ご紹介する方法を用いれば、あらゆる建売の不動産取得税をシミュレーションできます。
4000万円の建売の購入を希望し、不動産取得税がいくらになるか案ずる方がいらっしゃいましたら、是非ご活用ください。
4つのデータを揃え、不動産取得税の計算方法を知る
はじめに、不動産取得税をシミュレーションする4000万円の建売のデータを揃えます。
揃えるべきデータは、以下の4つです。
- 消費税込みの販売価格
- 消費税額
- 家屋の床面積
- 土地の面積
いずれのデータも、その4000万円の建売の広告を見るなどすれば把握できます。
データが揃えば、建売を購入することにより課される不動産取得税の仕組みと、税額を計算する方法を知ってください。
理解する必要はなく、知るだけで構いません。
4000万円の建売を購入すると、借地権などである場合は除き家屋と土地を取得したこととなり、それぞれに不動産取得税が課されます。
家屋の不動産取得税は、以下のように計算します。
家屋の不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までに建売を購入すれば3%、それ以降は4%)=不動産取得税
式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。
家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額は、その家屋の固定資産税評価額です。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価を指し、家屋の販売価格や建築費より低くなるのが通例となっています。
一方、建売が建つ土地の不動産取得税は、以下のように計算します。
土地の不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までに建売を購入すれば3%、それ以降は4%)=不動産取得税
土地の不動産取得税を計算する際の課税標準額は、令和9年3月31日までに建売が建つ土地を購入した場合は、その土地の固定資産税評価額の2分の1です。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価を指し、土地の販売価格より低くなるのが通例となっています。
総じて、4000万円の建売の家屋と土地の不動産取得税は、以下のように計算します。
家屋の不動産取得税の計算方法(詳細版)
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
土地の不動産取得税の計算方法(詳細版)
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
4000万円という販売価格に占める、家屋と土地の価格を計算する
不動産取得税をシミュレーションする建売のデータを揃え、不動産取得税の計算方法を知れば、4000万円という販売価格のうち、家屋と土地の価格がいくらか計算します。
建売の販売価格は「家屋の価格」と「土地の価格」の合計であり、ここでは、家屋の価格がいくらか、土地の価格がいくらか計算するというわけです。
まずは、家屋の価格がいくらか計算しましょう。
家屋の価格は、消費税額の10倍です。
たとえば、課される消費税が300万円であれば以下のように計算し、家屋の価格は3000万円です。
家屋の価格の計算例
300万円(消費税額)×10=3000万円(家屋の価格)
建売を購入する際は、家屋のみに10%の消費税が課され、土地には課されません。
よって、消費税額の10倍が、4000万円という販売価格に占める家屋の価格となります。
つぎに、土地の価格がいくらか計算しましょう。
土地の価格は、消費税込みの販売価格から、消費税額と家屋の価格を差し引いた額です。
計算例を挙げると、消費税込みの販売価格が4300万円、うち消費税が300万円、家屋の価格が3000万円であれば以下のように計算し、土地の価格は1000万円となります。
土地の価格の計算例
4300万円(消費税込みの価格)-300万円(消費税)-3000万円(家屋の価格)=1000万円(土地の価格)
家屋の固定資産税評価額を想定する
家屋の価格と土地の価格がいくらか計算できれば、家屋の価格から、家屋の固定資産税評価額を想定します。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価です。
家屋の不動産取得税は、以下のように「家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として計算するため、家屋の不動産取得税を計算するために、その家屋の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
家屋の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
新築の家屋の固定資産税評価額は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できませんが、その家屋の建築費より低くなるのが通例です。
よって、ここでは、建築費の75%を家屋の固定資産税評価額と想定しましょう。
ただし、ここでいう建築費は、家屋の価格を指すわけではなく、あくまで建築費です。
家屋の価格は、建築費に、建築に携わっていない不動産業者などが得る利益が上乗せされた額であり、建築費より高くなっています。
どの程度高くなっているかは物件によって大きく異なりますが、一般には、新築の家屋の建築費は、家屋の価格の60%程度といわれます。
難解ですが、つまるところ、以下のように計算すれば売り出し中の4000万円の建売の家屋の固定資産税評価額を想定できます。
家屋の固定資産税評価額の想定式
家屋の価格×60%(家屋の価格に占める建築費の割合の目安)×75%(建築費に占める、新築の家屋の固定資産税評価額の割合の目安)=家屋の固定資産税評価額
たとえば、先に計算した家屋の価格が3000万円であれば以下のように計算し、その家屋の固定資産税評価額は1350万円程度と想定できます。
想定例
3000万円(家屋の価格)×60%×75%=1350万円(家屋の固定資産税評価額)
4000万円の建売の家屋の不動産取得税をシミュレーションする
4000万円の建売の家屋の固定資産税評価額がいくらか想定できれば、想定した額を課税標準額として、家屋の不動産取得税を計算します。
先述のとおり、家屋の不動産取得税は以下のように計算します。
家屋の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
たとえば、想定した家屋の固定資産税評価額が1350万円であれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税は40万5000円です。
計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である1350万円)×3%=40万5000円(家屋の不動産取得税)
しかし、その4000万円の建売の家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であれば、その家屋には「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されます。
同軽減措置が適用されれば、その課税標準額は「家屋の固定資産税評価額」から、「家屋の固定資産税評価額から1200万円(長期優良住宅を取得した場合は1300万円)」が差し引かれた額となります。
つまり、軽減措置が適用されれば課税標準額が大きく減り、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する家屋の不動産取得税が軽減されるというわけです。
計算例を挙げると、先に不動産取得税を40万5000円と計算した家屋であれば以下のように計算し、軽減措置適用後の税額は4万5000円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1350万円から1200万円が差し引かれた150万円)×3%=4万5000円(軽減措置適用後の家屋の不動産取得税)
なお、固定資産税評価額が1200万円や1300万円に満たない家屋に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、課税標準額が0円となります。
すなわち、家屋の固定資産税評価額が1200万円や1300万円以下の建売を購入すれば、家屋の不動産取得税はかからないというわけです。
家屋の固定資産税評価額が1200万円や1300万円以下の新築の家屋とは、おおむね建築費が1600万円程度の家屋と考えられます。
建築費が1600万円程度の新築の家屋とは、以下のように計算し、おおむね価格が2666万円程度の家屋です。
計算例
1600万円(家屋の建築費)÷60%(家屋の価格に占める建築費の割合の目安)=2666万円(家屋の価格が2666万円程度以下であれば、軽減措置により家屋の不動産取得税がかからない)
ただし、上記はあくまで試算であり、家屋の固定資産税評価額は物件によって大きく異なるため注意してください。
建売の家屋の固定資産税評価額は、家屋の取得後に市町村役場の担当者によって行われる、固定資産税の家屋調査にて評価されます。
ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税評価額をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。
4000万円の建売の不動産取得税がいくらになるかシミュレーションすることを希望し、固定資産税評価額がよくわからないという方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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固定資産税評価額とは?調べ方や目安などわかりやすく解説
土地の固定資産税評価額を想定する
家屋の不動産取得税がいくらになるか計算できれば、その家屋が建つ土地の固定資産税評価額を想定します。
4000万円の建売が建つ土地の不動産取得税は、以下のように「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として計算します。
土地の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
したがって、4000万円の建売が建つ土地の不動産取得税がいくらになるか計算するためには、その土地の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価を指します。
土地の固定資産税評価額は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
しかし、都市部に位置する宅地(宅地とは、建物を建てるための土地、または、既存の建物を維持するために必要となる土地を指します)であれば、取り引き価格の70%程度になるのが通例です。
すなわち、以下のように計算すれば、4000万円の建売が建つ土地の固定資産税評価額を想定できます。
土地の固定資産税評価額の想定式
土地の価格×70%(土地の価格に占める固定資産税評価額の割合の目安)=土地の固定資産税評価額
たとえば、事前に計算した土地の価格が1000万円であれば以下のように計算し、土地の固定資産税評価額は700万円程度です。
想定例
1000万円(土地の価格)×70%=700万円(土地の固定資産税評価額)
4000万円の建売が建つ土地の不動産取得税をシミュレーションする
4000万円の建売が建つ土地の固定資産税評価額が想定できれば、土地の不動産取得税がいくらになるか計算します。
4000万円の建売が建つ土地の不動産取得税は、以下のように「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として計算します。
土地の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
たとえば、先に想定した4000万円の建売が建つ土地の固定資産税評価額が700万円であれば以下のように計算し、不動産取得税は10万5000円です。
計算例
課税標準額(固定資産税評価額である700万円の2分の1である350万円)×3%=10万5000円(土地の不動産取得税)
しかし、家屋に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用され、なおかつ、家屋と土地を同時に取得するなどすれば、土地には「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、課されることとなる土地の不動産取得税から一定の額が減額されます。
ここで気になるのが、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されることにより、土地の不動産取得税がいくら減額されるかという点です。
減額される額は、以下の2つのうちの多い方です。
- 4万5000円
- 土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍×3%
2番目の計算方法が複雑ですが、多くの場合は4万5000円より多くなります。
計算例を挙げると、先に想定した土地の固定資産税評価額が700万円、土地の面積が75㎡(約23坪)、家屋の床面積が90㎡(約27坪)であれば以下のように計算し、その答えは25万1999円です。
- 700万円(先に想定した土地の固定資産税評価額)÷75㎡(土地の面積)=9万3333円(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額)
- 9万3333円(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額)÷2=4万6666.5円(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)
- 90㎡(家屋の床面積)×2=180㎡(200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍)
- 4万6666.5円(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)×180㎡(200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍)×3%=25万1999円
軽減措置適用前の不動産取得税が10万5000円、軽減措置が適用されることにより減額される額が25万1999円であれば以下のように計算し、その4000万円の建売が建つ土地の不動産取得税は0円です。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
10万5000円(軽減措置適用前の税額)-25万1999円(軽減措置により差し引かれる額)=0円(土地の不動産取得税はかからない)
4000万円の建売の不動産取得税をシミュレーションする
最後に、これまでに計算した4000万円の建売の家屋の不動産取得税と、土地の不動産取得税を合計します。
その答えが、売り出し中の4000万円の建売の不動産取得税のシミュレーション結果です。
たとえば、家屋の不動産取得税が40万5000円、土地の不動産取得税が10万5000円であれば以下のように計算し、不動産取得税は51万円です。
不動産取得税のシミュレーション結果
40万5000円(家屋の不動産取得税)+10万5000円(土地の不動産取得税)=51万円(不動産取得税)
一方、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されるのであれば、以下のように計算して不動産取得税は4万5000円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税のシミュレーション結果
4万5000円(家屋の不動産取得税)+0円(土地の不動産取得税)=4万5000円(不動産取得税)
ここまで長くなりましたが、皆さん、売り出し中の4000万円の建売の不動産取得税がいくらになるかシミュレーションできましたでしょうか。
ちなみに、東京都では、不動産取得税をシミュレーションするツールを「東京主税局|不動産取得税計算ツール」にて公開中です。
同ツールを使用するためには、家屋と土地の固定資産税評価額を入力する必要があり、やはり自分で固定資産税評価額を想定しなければなりませんが、一応ご紹介しておきます。
4000万円の建売の購入を希望し、不動産取得税がいくらになるか案ずる方がいらっしゃいましたらご活用ください。
また、軽減措置の適用を受けるためには、適用条件を満たした上で税事務所に申請をしなければなりません。
申請方法は、本記事の「3.不動産取得税の軽減措置の申請方法」にてご紹介中です。ぜひご覧ください。
2. 4000万円の新築マンションの不動産取得税はいくら?
4000万円の新築マンションの不動産取得税物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
とはいうものの、家屋(一戸部分)の価格が消費税抜き3500万円、土地(敷地権)の価格が500万円であれば、52万5000円程度が目安です。
また、一定の条件を満たす4000万円の新築マンションを購入すると2つの軽減措置が適用され、不動産取得税は12万円程度まで軽減されます。
2つの軽減措置の名称は、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
それらの軽減措置は、適用条件を満たしつつ4000万円の新築マンションを購入し、税事務所に申請をすることによって適用されます。
満たすべき主な条件は、以下のとおりです。
- 築1年以内の新築マンションを購入した場合は、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の一般的なファミリー向けの物件を購入した
- 築1年が経過した新築マンションを購入した場合は、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の一般的なファミリー向けの物件を購入し、なおかつ、購入した者がその物件に居住している
つづいて、売り出し中の4000万円の新築マンションの不動産取得税がいくらになるか、シミュレーションする方法をご紹介しましょう。
ご紹介する方法を用いれば、様々な4000万円の新築マンションの不動産取得税をシミュレーションできます。
ぜひ、ご活用ください。
4000万円の新築マンションに不動産取得税が課される仕組みを知る
はじめに、4000万円の新築マンションを購入することにより不動産取得税が課される仕組みと、不動産取得税の計算方法を知ってください。
4000万円の新築マンションを含め、マンションを購入すると、一部例外を除き「家屋」である一戸部分と、「土地」である敷地権を取得することとなります。
この状況における敷地権とは、その4000万円の新築マンションが建つ土地を利用する権利です。
そして、家屋と土地に個別に不動産取得税が課され、その合計が売り出し中の4000万円の新築マンションの不動産取得税となります。
したがって、売り出し中の4000万円の新築マンションの不動産取得税がいくらになるかシミュレーションするためには、家屋と土地の不動産取得税をそれぞれ計算しなければなりません。
4000万円の新築マンションを含め、マンションの家屋の不動産取得税は以下の式で計算します。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までは3%、それ以降は4%)=家屋の不動産取得税
式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。
家屋の不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、家屋の固定資産税評価額です。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価を指します。
また、4000万円の新築マンションを含め、マンションの土地(敷地権)の不動産取得税は以下の式で計算します。
土地(敷地権)の不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までは3%、それ以降は4%)=土地の不動産取得税
土地の不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、令和9年3月31日までに4000万円の新築マンションを購入した場合は、土地(敷地権)の固定資産税評価額の2分の1です。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価を指します。
総じて、4000万円の新築マンションの家屋と土地の不動産取得税は、以下のように計算します。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
土地(敷地権)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
3つのデータを揃え、家屋と土地の価格を計算する
マンションに不動産取得税が課される仕組みと、不動産取得税の計算方法を知れば、不動産取得税がいくらになるかシミュレーションする売り出し中の4000万円のマンションのデータを揃えます。
揃えるべきデータは2つのみであり、以下のとおりです。
- 消費税込みの販売価格
- 消費税額
上記のデータは広告を見る、その4000万円の新築マンションを販売する不動産業者に問い合わせるなどすれば把握できます。
データが揃えば、そのデータから、その4000万円の新築マンションの「家屋(一戸部分)」の価格と、「土地(敷地権)」の価格を計算します。
家屋の価格は、消費税額の10倍です。
たとえば、消費税額が350万円であれば以下のように計算し、家屋の価格は3500万円となります。
家屋(一戸部分)の価格の計算例
350万円(消費税額)×10倍=3500万円(家屋の価格)
新築マンションは、家屋(一戸部分)のみに10%の消費税が課され、土地(敷地権)に消費税は課されません。
よって、消費税額の10倍が家屋の価格となります。
土地の価格は、消費税込みの販売価格から、消費税額と家屋の価格を差し引いた額です。
計算例を挙げると、消費税込み4350万円、うち消費税が350万円、家屋の価格が3500万円であれば以下のように計算し、土地の価格は500万円となります。
土地(敷地権)の価格の計算例
4350万円(消費税込みの販売価格)-350万円(消費税額)-3500万円(家屋の価格)=500万円(土地の価格)
家屋(一戸部分)の固定資産税評価額を想定する
データが揃い、家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の価格が計算できれば、家屋の固定資産税評価額がいくらになるか想定します。
先述のとおり、マンションの家屋の不動産取得税は「家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として計算します。
家屋の不動産取得税の計算方法をおさらいすると、以下のとおりです。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
よって、売り出し中の4000万円の新築マンションの家屋(一戸部分)の不動産取得税がいくらになるか計算するためには、その家屋の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価を指し、物件によって大きく異なり、全ての家屋の固定資産税評価額を正確に想定することは不可能です。
とはいうものの、新築の家屋の固定資産税評価額は、その建築費より低くなるのが通例となっています。
したがって、ここでは家屋の建築費の75%を固定資産税評価額と想定しましょう。
ただし、ここでいう建築費は、先に計算した「家屋の価格」を指すわけではありません。
ここでいう建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために必要となる資材費と労務費、設計費、建築会社が得る利益の合計です。
これに対して家屋の価格は、建築費に、建築に携わっていないディベロッパーなどが得る利益が上乗せされた額となっています。
そして、正確な根拠はないものの、新築の家屋の建築費は、家屋の価格の60%程度になるといわれます。
難解ですが、つまるところ、以下のように計算すれば売り出し中の4000万円の新築マンションの家屋の固定資産税評価額を想定できます。
家屋(一戸部分)の固定資産税評価額の想定式
家屋の価格×60%(家屋の価格に占める建築費の割合の目安)×75%(新築の家屋の建築費に占める固定資産税評価額の割合の目安)=家屋の固定資産税評価額
たとえば、先に計算した家屋の価格が3500万円であれば以下のように計算し、家屋の固定資産税評価額は1575万円です。
家屋(一戸部分)の固定資産税評価額の計算例
3500万円(家屋の価格)×60%(家屋の価格に占める建築費の割合の目安)×75%(新築の家屋の建築費に占める固定資産税評価額の割合の目安)=1575万円
家屋(一戸部分)の不動産取得税をシミュレーションする
売り出し中の4000万円の新築マンションの家屋(一戸部分)の固定資産税評価額がいくらか想定できれば、家屋の不動産取得税をシミュレーションします。
先述のとおり家屋の不動産取得税は、以下のように「家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として計算します。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(家屋の固定資産税評価額)×3%=家屋の不動産取得税
よって、先に想定した家屋(一戸部分)の固定資産税評価額を用いれば、家屋の不動産取得税を計算できます。
計算例を挙げると、想定した家屋の固定資産税評価額が1575万円であれば以下のように計算し、その4000万円の新築マンションの家屋の不動産取得税は47万2,500円です。
計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である1575万円)×3%=47万2500(家屋の不動産取得税)
しかし、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の4000万円の新築マンションを購入すれば、多くの場合は、その家屋には「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されます。
同軽減措置が適用されれば、課税標準額は「固定資産税評価額から1200万円(長期優良住宅を購入した場合は1300万円)」が差し引かれた額に軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算式は、以下のとおりです。
軽減措置適用後の家屋(一戸部分)の不動産取得税を計算する式
課税標準額(家屋の固定資産税評価額から1200万円が差し引かれた額)×3%=家屋の不動産取得税
たとえば、家屋の固定資産税評価額が1575万円であれば以下のように計算し、不動産取得税は11万2500円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である1575万円から1200万円が差し引かれた375万円)=11万2500円(軽減措置適用後の家屋の不動産取得税)
土地(敷地権)の固定資産税評価額を想定する
売り出し中の4000万円の家屋(一戸部分)の不動産取得税がいくらになるか計算できれば、土地(敷地権)の固定資産税評価額を想定します。
先述のとおり、マンションの土地の不動産取得税は、以下のように「土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として計算します。
土地(敷地権)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
よって、売り出し中の4000万円の新築マンションの土地(敷地権)の不動産取得税がいくらになるかシミュレーションするためには、その土地の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価を指します。
土地の固定資産税評価額は物件によって大きく異なりますが、都市部に位置する宅地であれば、売買価格の70%程度になるのが通例です。
宅地とは、建物を建てるための土地、または、既存の建物を維持するために必要な土地を指します。
そして、4000万円の新築マンションの多くは都市部に位置し、そのマンションが建つ土地は宅地です。
したがって、以下のように計算すれば、売り出し中の4000万円の新築マンションの土地の固定資産税評価額を想定できます。
土地(敷地権)の固定資産税評価額の想定式
土地の価格×70%(土地の価格に占める、土地の固定資産税評価額の割合の目安)=土地の固定資産税評価額
たとえば、事前に計算した土地の価格が500万円であれば以下のように計算し、土地の固定資産税評価額は350万円です。
計算例
500万円(土地の価格)×70%=350万円(土地の固定資産税評価額)
土地(敷地権)の不動産取得税をシミュレーションする
4000万円の新築マンションの土地(敷地権)の固定資産税評価額がいくらになるか想定できれば、土地の不動産取得税を計算します。
土地の不動産取得税は、以下のように「土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として計算します。
土地(敷地権)の不動産取得税の計算方法
課税標準額(土地の固定資産税評価額の2分の1)×3%=土地の不動産取得税
したがって、先に想定した土地(敷地権)の固定資産税評価額を用いれば、土地の不動産取得税がいくらになるか計算できます。
計算例を挙げると、土地の固定資産税評価額が350万円であれば以下のように計算し、土地の不動産取得税は5万2500円です。
計算例
課税標準額(土地の固定資産税評価額である350万円の2分の1の175万円)×3%=5万2500円(土地の不動産取得税)
しかし、家屋(一戸部分)に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、多くの場合は、土地(敷地権)には「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、課されることとなる土地の不動産取得税から、一定の額が差し引かれます。
差し引かれる額は、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5000円
- 土地(敷地権)の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋(一戸部分)の床面積の2倍×3%
2番目が難解ですが、計算するためには、その4000万円の新築マンションを購入することにより取得する土地(敷地権)の面積を把握しなければなりません。
売り出し中の新築マンションを購入することにより取得する土地の面積を把握するのは、極めて困難です。
よって、ここでは、最低でも4万5000円が差し引かれるとお考えください。
軽減措置適用前の不動産取得税が5万2500円、軽減措置が適用されることにより差し引かれる額が4万5000円であれば以下のように計算し、土地の不動産取得税は7500円です。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
5万2500円(本来の税額)-4万5000円(軽減措置により差し引かれる額)=7500円(軽減措置適用後の土地の不動産取得税)
ちなみに、2番目の答えは、大抵は4万5000円より多くなります。
4000万円の新築マンションの不動産取得税をシミュレーションする
家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の不動産取得税がいくらになるか計算できれば、それらを合計します。
その額が、売り出し中の4000万円の新築マンションの不動産取得税のシミュレーション結果です。
たとえば、家屋の不動産取得税が47万2500円、土地の不動産取得税が5万2500円であれば以下のように計算し、その4000万円の新築マンションの不動産取得税は52万5000円です。
計算例
47万2500円(家屋の不動産取得税)+5万2500円(土地の不動産取得税)=52万5000円(その4000万円の新築マンションの不動産取得税)
一方、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば以下のように計算し、不動産取得税は12万円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
11万2500円(家屋の不動産取得税)+7500円(土地の不動産取得税)=12万円(その4000万円の新築マンションの不動産取得税)
以上で、売り出し中の4000万円の新築マンションの不動産取得税がいくらになるかシミュレーションできました。
なお、復唱になりますが、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」の適用を受けるためには、税事務所への申請が必要です。
つづいて、税事務所への申請方法をご紹介しましょう。
3. 不動産取得税の軽減措置の申請方法
一定の条件を満たす4000万円の建売や新築マンションを購入すれば、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
ただし、それらの2つの軽減措置の適用を受けるためには、一部例外を除き、適用条件を満たした4000万円の建売や新築マンションを購入した後に、税事務所に申請をしなければなりません。
申請は、必要書類を添付した申請書を提出することによって完了し、4000万円の建売や新築マンションを購入した場合は、多くの場合は1つの申請で2つの軽減措置が適用されます。
申請書は、都道府県のホームページからダウンロードする、または、税事務所の窓口にて入手することが可能です。
ダウンロードページは、その都道府県のホームページ内に設けられている検索窓に、「不動産取得税 軽減 申請」などと入力しつつ検索すれば見つかります。
申請書に添付すべき必要書類は都道府県によって異なりますが、建売や新築マンションを購入した場合は、主に以下のとおりです。
申請書に添付すべき主な必要書類
必要書類 | どこで入手する? |
---|---|
4000万円の建売を購入した場合は、家屋と土地の登記事項証明書 | 法務局 |
4000万円の新築マンションを購入した場合は、その登記事項証明書 | 〃 |
新築後1年が経過した建売や新築マンションを購入した場合は、その物件に居住することを証明できる住民票の写し | 市町村役場 |
長期優良住宅を取得した場合は、長期優良住宅の認定通知書のコピー | 建売や新築マンションを購入する際に販売業者から原本が手渡される |
上記には「登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)」が含まれます。
登記事項証明書とは、法務局に設置されている「登記簿」という帳簿を写した書面です。
建売や新築マンションを購入した後は、その物件の所有権を取得したことを登記簿に記すのが通例であり、その行為を「登記」と呼びます。
そして、登記事項証明書は、登記を行った後に法務局にて発行を請求することが可能です。
また、司法書士に登記の手続きを代行させた場合は、登記完了後に司法書士から登記事項証明書が手渡されることもあります。
つづいて、4000万円の建売や新築マンションを購入し、不動産取得税の軽減措置の申請をする際の注意点
をご紹介しましょう。
不動産取得税の軽減措置の申請期限は、都道府県によって異なる
4000万円の建売や新築マンションを購入して軽減措置の適用を受けるためには、税事務所への申請が必要です。
ここで気になるのが申請期限ですが、都道府県によって設けられている場合と、設けられていない場合があります。
たとえば、東京都や愛知県などでは条例によって申請期限が設けられ、軽減措置の適用条件を満たす4000万円の建売や新築マンションを取得した日から60日です。
一方、大阪府や神奈川県など、その他の多くの都道府県では申請期限は設けられていません。
申請期限が設けられていなければ、4000万円の建売や新築マンションを購入した日の翌日から5年以内であれば、申請は受け付けられます。
とはいうものの、申請期限の有無にかかわらず、軽減措置の適用を希望する場合は、4000万円の建売や新築マンションを購入後に速やかに申請をするのが理想です。
そうすれば、スムーズに軽減措置が適用されます。
ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、不動産取得税の軽減措置の申請を忘れたときの対処法を解説するコンテンツを公開中です。
4000万円の建売や新築マンションの購入を希望し、不動産取得税がいくらになるか気になり、軽減措置に関することをお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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不動産取得税を軽減する措置の申請を忘れたときの対処法
軽減措置の申請は、不動産を取得したことの申請とまとめて行う
4000万円の建売や新築マンションを含め、家屋や土地を取得した場合は、30日以内(都道府県によっては20日や10日以内)に、不動産を取得したことを税事務所に申請をしなければなりません。
ただし、家屋や土地を取得したことを登記するのであれば、多くの都道府県では、不動産を取得したことの申請は不要です。
4000万円の建売や新築マンションを購入した後は登記を行うのが通例ですから、事実上不動産を取得したことの申請は不要といえるでしょう。
しかし、不動産取得税の軽減措置の申請を行う場合は、状況は異なります。
多くの都道府県では、不動産を取得したことの申請と、軽減措置の適用を希望することの申請をまとめて行うこととなります。
その状況における申請書は、多くの都道府県では一通にまとめられます。
- 不動産を取得すると、30日以内などに税事務所に「不動産を取得したことの申請」を行う必要があるが、取得後に登記するのであれば、「不動産を取得したことの申請」は不要となる
- ただし、軽減措置の適用を希望する場合は、多くの都道府県では「不動産を取得したことの申請」と「軽減措置の適用を希望することの申請」を併せて行う必要がある
- 「不動産を取得したことの申請」と「軽減措置の適用を希望することの申請」は一つの申請書で申請でき、4000万円の建売や新築マンションを購入した場合は、一部例外を除き必要書類も変わらない
4. 不動産取得税とは?税額の計算方法
ここからは、そもそも不動産取得税とはどのような税金か、わかりやすく簡単に解説しましょう。
不動産取得税とは、不動産を取得することにより課される税金であり、取得した不動産が所在する都道府県が徴収する地方税です。
不動産取得税の対象となる不動産とは家屋と土地であり、不動産取得税は、家屋や土地を取得した後に一度だけ課されます。
また、不動産取得税は、取得した不動産の一つにつき一つずつ課されます。
たとえば、家屋を購入した場合は家屋を取得したことに、土地を購入した場合は土地を取得したことに課されるといった具合です。
これを理由に、多くの4000万円の建売や新築マンションは家屋と土地が一対で販売されていますが、家屋と土地が一対で販売されている不動産を購入した場合は、合計2つの不動産取得税が課されることとなります。
つづいて、不動産取得税の計算方法をわかりやすく簡単に解説しましょう。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税は、以下の式で計算します。
不動産取得税の計算式
課税標準額×不動産取得税の税率=不動産取得税
式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。
家屋を取得することにより課される不動産取得税を計算する際の課税標準額は、その家屋の固定資産税評価額です。
土地を取得することにより課される不動産取得税を計算する際の課税標準額は、その土地の固定資産税評価額となります。
家屋や土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋や土地の適正な時価を指します。
家屋や土地には売買価格がありますが、売買価格は売り主と買い主の希望によって決定し、その家屋や土地の本来の価値を上回る、または下回る額で取り引きされることがあります。
そのように個人の希望によって変更される額を課税標準額としては、不動産取得税が公平に課されません。
したがって、不動産取得税は、市町村によって公平に評価された「適正な時価」である、家屋や土地の固定資産税評価額を課税標準額として計算します。
式に含まれる不動産取得税の税率は原則として4%ですが、令和9年3月31日までに住宅である家屋や土地を取得すれば3%に軽減されます。
まとめると、不動産取得税は以下のように計算します。
不動産取得税の計算式(詳細版)
課税標準額(家屋、または土地の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(原則として4%、令和9年3月31日までに住宅である家屋や土地を取得すれば3%)=不動産取得税
なお、上記のとおり、不動産取得税の課税標準額は、その家屋や土地の適正な時価である固定資産税評価額です。
ただし、軽減措置が適用される場合は、固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額が課税標準額となるため留意してください。
軽減措置が適用されることにより課税標準額が「固定資産税評価額」から「固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」に減額されれば、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する不動産取得税も減額されることとなります。
5. 不動産取得税の主な軽減措置
不動産取得税には、数多くの軽減措置が設けられています。
それらの軽減措置は、一定の条件を満たす不動産を取得することにより適用され、適用されれば不動産取得税が軽減や減額されます。
ここからは復唱となりますが、4000万円の建売や新築マンションに適用される、不動産取得税の主な軽減措置をご紹介しましょう。
4000万円の建売や新築マンションの家屋に適用される主な軽減措置
4000万円の建売や新築マンションの家屋に適用される不動産取得税の主な軽減措置は、「不動産取得税の課税標準額の特例」です。
同軽減措置は、4000万円であるないにかかわらず、一定の条件を満たす住宅である家屋を取得することにより適用されます。
同軽減措置が4000万円の建売や新築マンションの家屋に適用される主な条件は、以下のとおりです。
- 4000万円の建売であれば、床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋を取得した
- 4000万円の新築マンションであれば、家屋(一戸部分)の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件を取得した
「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額が、「固定資産税評価額」から「固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」に軽減されます。
本来であれば、家屋の不動産取得税は以下のように「その家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として計算します。
家屋の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までに住宅である家屋を取得すれば3%)=不動産取得税
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価を指します。
そして、その家屋に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、以下のように「その家屋の固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」を課税標準額として不動産取得税を計算することとなります。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算方法
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額)×不動産取得税の税率(令和9年3月31日までに住宅である家屋を取得すれば3%)=不動産取得税
課税標準額が「固定資産税評価額」から「固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」に軽減されれば、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する不動産取得税も軽減されます。
4000万円の建売や新築マンションに「不動産取得税の課税標準の特例」が適用された状況において、固定資産税評価額から差し引かれる額は、一般的な建売や新築マンションを購入した場合は1200万円です。
長期優良住宅である建売や新築マンションを取得した場合は、差し引かれる額は1300万円となります。
ちなみに、「不動産取得税の課税標準額の特例」が適用される家屋を「特例適用住宅」と呼びます。
不動産取得税の軽減措置に関することを都道府県のホームページで調べると、「特例適用住宅がホニャララ…」など、特例適用住宅という言葉が幾度も登場します。
その特例適用住宅とは、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される住宅を指します。
4000万円の建売や新築マンションの土地に適用される主な軽減措置
4000万円の建売や新築マンションが建つ土地に適用される不動産取得税の主な軽減措置は、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
同軽減措置は、4000万円であるないにかかわらず、特例適用住宅が建つ土地を、一定の条件を満たしつつ取得することにより適用されます。
同軽減措置が適用されれば、課されることとなる不動産取得税そのものから一定の額が減額されます。
特例適用住宅とは、先にご紹介した「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される家屋です。
4000万円の建売や新築マンションを購入して「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されるには、まずは前提として、その土地に建つ家屋が特例適用住宅である必要があります。
加えて、以下などの条件を満たせば、その土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
- 新築から1年以内の4000万円の建売や新築マンションを購入した場合は、家屋と土地を併せて購入した
- 新築から1年が経過した4000万円の建売や新築マンションを購入した場合は、家屋と土地を同時、または、前後1年以内に購入し、購入した者がその家屋に居住している
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されることにより差し引かれる額は、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 45000円
- 土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍×3%
まとめ - 不動産取得税は、都道府県でルールが異なるのが厄介
4000万円の建売と新築マンションの不動産取得税がいくらになるかご紹介しました。
4000万円の建売や新築マンションの不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
とはいうものの、家屋の価格が3000万円、土地の価格が1000万円、合計4000万円の建売であれば、軽減措置適用後の不動産取得税は4万5000円程度と試算できます。
また、家屋(一戸部分)の価格が3500万円、土地(敷地権)の価格が500万円、合計4000万円の新築マンションであれば、軽減措置適用後の不動産取得税は12万円程度と試算することが可能です。
4000万円の建売や新築マンションの購入を希望し、不動産取得税がいくらになるか案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、本記事では、不動産取得税の軽減措置の申請方法をご紹介しました。
その中で幾度も「都道府県によって申請の期限が異なる」「都道府県によって必要書類が異なる」など、申請に関する規定が都道府県によって違うことをご紹介しました。
これは、不動産取得税が都道府県が徴収する地方税であることが理由です。
たとえば、皆さんがご存じの所得税は国が徴収する国税であり、都道府県によって申告に関する規定が異なるようなことはありません。
一方、不動産取得税は都道府県が徴収する地方税だけに、各都道府県が条例によって独自の申請規定を定めることが可能です。
これを理由に、不動産取得税は都道府県によって申請のルールが多少異なります。
よって、軽減措置の適用を希望しつつ4000万円の建売や新築マンションを購しようとする方がいらっしゃいましたら、物件を購入する前に税事務所に電話で問い合わせ、申請に関する詳細を必ずご確認ください。
私が本記事でご紹介した申請方法は、一般的な方法であり、都道府県によっては異なる申請が求められる場合があります。
ご紹介した内容が、不動産の購入を希望する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2024年3月
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