不動産取得税の金額の目安はいくら?
不動産取得税は物件によって大きく異なるものの、消費税込み3,780万円の建売であれば45万1,500円程度、消費税込み3,800万円の新築マンションであれば40万5,000円程度が金額の目安です。
また、築10年で2,500万円の戸建ての中古住宅であれば39万3,750円程度、築15年で2,000万円の中古マンションであれば28万2,000円程度が金額の目安となります。
ただし、軽減措置が適用されるのであれば税額は大きく軽減され、場合によってはかかりません。
不動産取得税の金額の目安をご紹介し、軽減措置の適用条件や税額のシミュレーション方法など解説しましょう。
目次
- 1. 不動産取得税とは?
- 2. 不動産取得税をいくら払った?金額の目安
- 2-1. 建売の不動産取得税をいくら払った?
- 2-2. 新築マンションの不動産取得税をいくら払った?
- 2-3. 戸建ての中古住宅の不動産取得税をいくら払った?
- 2-4. 中古マンションの不動産取得税をいくら払った?
- 2-5. 土地のみの不動産取得税をいくら払った?
- 3. 不動産取得税はいつ払う?通知はいつ届く?
- 4. 不動産取得税の支払い方法
- 5. 不動産取得税の申告の必要性
- 6. 不動産取得税を払わなくてよい状況
1. 不動産取得税とは?
はじめに、不動産取得税とはどのような税金か解説し、税額の計算方法などご紹介しましょう。
手っ取り早く不動産取得税の金額の目安をお知りになりたい場合は、本記事の「2. 不動産取得税をいくら払った?金額の目安」をご覧ください。
不動産取得税とは、不動産を取得することにより課される税金であり、取得した不動産が所在する都道府県が徴収する地方税です。
不動産取得税が課される対象となる不動産とは「家屋」と「土地」であり、家屋を取得すると家屋を取得したことに対して、土地を取得すると土地を取得したことに対して不動産取得税が課されます。
これを理由に、家屋と土地が一対で売買される不動産を取得した場合は、合計2つの不動産取得税が課されます。
家屋と土地が一対で売買される戸建てを取得した場合は、家屋と土地にそれぞれに不動産取得税が課されるといった具合です。
多くのマンションは、「家屋」である一戸部分と、「土地」である敷地権(敷地権とは、そのマンションが建つ土地を利用する権利を指します)が一対で売買され、それに該当するマンションを取得した場合は、それぞれに不動産取得税が課されます。
1-1. 不動産取得税の計算方法と税率
家屋と土地の不動産取得税は、以下のように計算します。
家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額×不動産取得税の税率=家屋の不動産取得税
土地の不動産取得税の計算式
課税標準額×不動産取得税の税率=土地の不動産取得税
式に含まれる「課税標準額」とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。
家屋の不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、取得した家屋の固定資産税評価額です。
土地の不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、宅地であれば、取得した土地の固定資産税評価額の2分の1となります。
注釈
宅地とは、建物を建てるための土地、または既存の建物を維持するために必要となる土地を指します
家屋や土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋や土地の「適正な時価」です。
式に含まれる税率は4%ですが、令和9年3月31日までに住宅である家屋、または土地を取得すれば3%に軽減されます。
総じて、家屋や土地の不動産取得税は、以下のように計算します。
家屋の不動産取得税の計算式(詳細版)
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
土地(宅地)の不動産取得税の計算式(詳細版)
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
1-2. 不動産取得税の軽減措置
不動産取得税には、数多くの軽減措置が設けられています。
その中で最も適用されることが多いのが、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
「不動産取得税の課税標準の特例」は家屋に適用され、適用されれば、家屋を取得したことにより課される不動産取得税が軽減されます。
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」は、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される家屋が建つ土地に適用されます。
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、土地を取得したことにより課される不動産取得税そのものから一定の額が減額されます。
2つの軽減措置が住宅に適用されるイメージを図解でご紹介すると、以下のとおりです。
つづいて、2つの軽減措置の詳細と適用条件をご紹介しましょう。
1-2-1. 不動産取得税の課税標準の特例
「不動産取得税の課税標準の特例」は、一定の条件を満たす家屋を取得することにより適用され、適用されれば、家屋の不動産取得税が軽減されます。
具体的には、家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額が、「その家屋の固定資産税評価額」から、「その家屋の固定資産税評価額から一定の額を差し引いた額」に変更されます。
課税標準額が「その家屋の固定資産税評価額」から、「その家屋の固定資産税評価額から一定の額を差し引いた額」となれば、課税標準額が減ると共に不動産取得税が軽減されます。
軽減措置の適用前と適用後の不動産取得税の計算式を比較すれば、その効果がわかります。
軽減措置適用前の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
軽減措置適用後の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額から一定の額を差し引いた額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されることにより固定資産税評価額から差し引く額は、新築と中古住宅によって異なり以下のとおりです。
| 取得した家屋の種類 | 固定資産税評価額から差し引く額 |
|---|---|
| 新築の家屋 | 1,200万円 |
| 中古住宅の家屋 | 築年数によって異なり、最高で1,200万円 |
「不動産取得税の課税標準の特例」の主な適用条件は、以下のとおりとなっています。
- 新築の戸建てであれば、「床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋」を取得した
- 中古住宅の戸建てであれば、「昭和57年1月1日以降に新築された、床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋」、または「耐震リフォームが行われるなどして現行の耐震基準を満たす、床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋」を取得した
- 新築のマンションであれば、「戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件」を取得した
- 中古マンションであれば、「昭和57年1月1日以降に新築された、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件」、または「耐震リフォームが行われるなどして現行の耐震基準を満たす、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件」を取得した
- 新築、中古住宅、戸建て、マンションを問わず、家屋を取得後に税事務所に軽減措置の適用を希望することを申告した
1-2-2. 住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」は、特例適用住宅が建つ土地を、一定の条件を満たしつつ取得することにより適用されます。
特例適用住宅とは、先にご紹介した「不動産取得税の課税標準の特例」の適用条件を満たす家屋であり、新築、中古住宅、戸建て、マンションを問いません。
加えて、以下の条件を満たせば、特例適用住宅が建つ土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
- 新築後1年以内の建売や新築マンションを取得した場合は、家屋と土地を併せて取得した
- 新築後1年が経過した未使用の建売や新築マンションを取得した場合は、家屋と土地を同時に取得し、なおかつ取得した者が家屋に居住している
- 戸建ての中古住宅や中古マンションを取得した場合は、家屋と土地を併せて取得した、または家屋と土地を前後1年以内に取得した
- 新築、中古住宅を問わず、土地を取得後に税事務所に軽減措置の適用を希望することを申告した
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、課されることとなる土地の不動産取得税そのものから一定の額が減額されます。
減額されるのは、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- 取得した土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2×200㎡を上限とする、その土地に建つ特例適用住宅の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、大抵は「2」の額の方が多くなります。
よって、最低でも4万5,000円が減額されるなどとお考えください。
2. 不動産取得税をいくら払った?金額の目安
不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくら払ったという統計はありません。
とはいうものの、消費税込み3,780万円の建売であれば45万1,500円程度、消費税込み3,800万円の新築マンションであれば45万7,500円程度が金額の目安です。
また、築10年で2,500万円の戸建ての中古住宅であれば39万3,750円程度、築15年で2,000万円の中古マンションであれば28万2,000円程度が目安となります。
ただし、一定の条件を満たす住宅を取得すると2つの軽減措置が適用され、それらの税額は大きく軽減されます。
不動産取得税をいくら払った?金額の目安
| 不動産の種類と価格 | 不動産取得税の目安 | 軽減措置適用後の税額 |
|---|---|---|
| 3,780万円(消費税込)の建売 | 45万1,500円程度 | 1万8,000円程度 |
| 3,800万円(消費税込)の新築マンション | 45万7,500円程度 | 5万2,500円程度 |
| 2,500万円、築10年の戸建ての中古住宅 | 39万3,750円程度 | 8万6,250円程度 |
| 2,000万円、築15年の中古マンション | 28万2,000円程度 | 0円 |
| 2,000万円の宅地 | 21万円程度 | 住宅を建てることにより4万5,000円程度が還付される |
つづいて、ご紹介した建売、新築マンション、戸建ての中古住宅、中古マンション、土地のみの不動産取得税の金額の目安の詳細と、売り出し中の物件の不動産取得税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
なお、住宅を取得すると、多くの場合は家屋と土地を取得したこととなり、それぞれに不動産取得税が課され、その合計が最終的な不動産取得税となるため留意してください。
これは、マンションも同じです。
多くのマンションは「家屋」である一戸部分と、「土地」である敷地権が一対で売買され、それに該当する物件を取得した場合はそれぞれに不動産取得税が課され、その合計が最終的な不動産取得税となります。
注釈
マンションを購入することにより取得する敷地権とは、そのマンションが建つ敷地を利用する権利を指します
したがって、住宅の不動産取得税をシミュレーションするためには、家屋と土地の不動産取得税をそれぞれ計算し、合計しなければなりません。
前置きが長くなりましたが、建売、新築マンション、戸建ての中古住宅、中古マンション、土地のみの不動産取得税の金額の目安の詳細と、不動産取得税のシミュレーション方法をご紹介します。
2-1. 建売の不動産取得税をいくら払った?金額の目安
建売の不動産取得税をいくら払ったという統計は、残念ながらありません。
とはいうものの、消費税込み3,780万円、消費税別3,500万円、そのうち家屋の販売価格が2,800万円、土地の販売価格が700万円であれば、不動産取得税の金額の目安は45万1,500円程度です。
ただし、軽減措置が適用されるのであれば、その税額は1万8,000円程度まで軽減されます。
つづいて、売り出し中の建売の不動産取得税がいくらになるか、金額の目安をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
2-1-1. 家屋と土地の販売価格を区分する
はじめに、不動産取得税をシミュレーションする建売の販売価格に占める、家屋と土地の販売価格を区分します。
区分方法は簡単であり、消費税額の10倍が家屋の販売価格、消費税抜きの販売価格から家屋の販売価格を差し引いた額が土地の販売価格です。
たとえば、消費税込みの販売価格が3,780万円、うち消費税が280万円、消費税別の販売価格が3,500万円であれば以下のように計算し、家屋の販売価格は2,800万円、土地の販売価格700万円です。
- 280万円(消費税額)×10=2,800万円(家屋の販売価格)
- 3,500万円(消費税別の販売価格)-2,800万円(家屋の価格)=700万円(土地の価格)
建売を含め、新築は家屋のみに10%の消費税が課され、土地には課されません。
よって、消費税額の10倍が家屋の販売価格であり、消費税別の販売価格から、家屋の販売価格を差し引いた額が土地の販売価格となります。
2-1-2. 家屋の固定資産税評価額を想定する
家屋と土地の販売価格が区分できれば、家屋の販売価格から、その家屋の固定資産税評価額を想定します。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の「適正な時価」です。
家屋の不動産取得税は、以下のように「その家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として税額を計算します。
家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
よって、家屋の不動産取得税を計算するために、家屋の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
家屋の固定資産税評価額は物件によって異なり、いくらになると断言することは不可能です。
とはいうものの、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額は、家屋の建築費のおおむね75%程度になります。
また、家屋の建築費は「家屋の販売価格」より低くなるのが通例であり、おおむね「家屋の販売価格」の60%程度になります。
難解ですが、以下のように計算すれば、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額を想定することが可能です。
想定式
家屋の販売価格×60%(家屋の販売価格に占める建築費の割合の目安)×75%(家屋の建築費に占める、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額の割合の目安)=固定資産税評価額
たとえば、家屋の販売価格が2,800万円であれば以下のように計算し、固定資産税評価額を1,260万円と想定します。
想定例
2,800万円(家屋の販売価格)×60%(家屋の販売価格に占める建築費の割合の目安)×75%(新築の家屋の建築費に占める、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額の割合の目安)=1,260万円(家屋の固定資産税評価額)
2-1-3. 家屋の不動産取得税の金額の目安を計算する
家屋の固定資産税評価額が想定できれば、想定した固定資産税評価額を課税標準額として、家屋の不動産取得税の金額の目安を計算します。
たとえば、想定した固定資産税評価額が1,260万円であれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税の金額の目安は37万8,000円です。
計算例
課税標準額(想定した家屋の固定資産税評価額である1,260万円)×不動産取得税の税率(3%)=37万8,000円
ただし、不動産取得税には「不動産取得税の課税標準の特例」という軽減措置が設けられています。
建売を取得した場合は、その家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であれば同軽減措置の適用条件を満たします。
軽減措置が適用されれば、以下のように「その家屋の固定資産税評価額から1,200万円を差し引いた額」を課税標準額として不動産取得税を計算することとなります。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額-1,200万円)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
したがって、不動産取得税の金額の目安をシミュレーションする建売の床面積が50㎡以上240㎡以下であれば、上記の式で家屋の不動産取得税を計算し直してください。
先に不動産取得税を37万8,000円と計算した、固定資産税評価額が1,260万円の家屋であれば以下のように計算し直し、不動産取得税は1万8,000円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1,260万円-1,200万円=60万円)×3%=1万8,000円
なお、「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けるためには、建売を取得後速やかに、税事務所へ同軽減措置の適用を希望することの申告をする必要があるため留意してください。
2-1-4. 土地の固定資産税評価額を想定する
家屋の不動産取得税が計算できれば、建売が建つ土地の固定資産税評価額を想定します。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の「適正な時価」です。
建売が建つ土地の不動産取得税は、以下のように「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として税額を計算します。
建売が建つ土地の不動産取得税の計算式
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
よって、建売が建つ土地の不動産取得税を計算するために、その土地の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
土地の固定資産税評価額は物件によって異なり、いくらになると断言することは不可能です。
とはいうものの、都市部、およびその周辺に位置する土地の固定資産税評価額は、売買価格の70%程度になるのが通例となっています。
建売の多くは、都市部、およびその周辺に位置します。
したがって、以下のように計算すれば、建売が建つ土地の固定資産税評価額を想定できます。
土地の固定資産税評価額の想定式
土地の販売価格×70%(土地の売買価格に占める固定資産税評価額の割合の目安)=固定資産税評価額
たとえば、土地の販売価格が700万円であれば以下のように計算し、固定資産税評価額は490万円です。
想定例
700万円(土地の販売価格)×70%(土地の売買価格に占める固定資産税評価額の割合の目安)=490万円
2-1-5. 土地の不動産取得税の金額の目安を計算する
土地の固定資産税評価額が想定できれば、想定した固定資産税評価額の2分の1を課税標準額として、土地の不動産取得税の金額の目安を計算します。
想定した土地の固定資産税評価額が490万円であれば以下のように計算し、土地の不動産取得税の金額の目安は7万3,500円です。
計算例
課税標準額(想定した土地の固定資産税評価額である490万円の2分の1である245万円)×不動産取得税の税率(3%)=7万3,500円
ただし、一定の条件を満たすのであれば、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」という軽減措置が適用され、土地の不動産取得税が減額されます。
同軽減措置の適用を受けるためには、まずは、家屋が「不動産取得税の課税標準の特例」の適用条件を満たしていなければなりません。
加えて、以下のいずれかの条件を満たせば、土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
- 新築後1年以内の建売を取得した場合は、家屋と土地を併せて取得した
- 新築後1年が経過した建売を取得した場合は、家屋と土地を同時に取得し、なおかつ取得した者が家屋に居住している
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」により減額されるのは、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、大抵は「2」の額の方が多くなります。
たとえば、土地の固定資産税評価額が490万円、敷地面積が82.5㎡(約25坪)、家屋の床面積が99㎡(約30坪)であれば以下のように計算し、「2」の答えは17万6,400円です。
- 490万円(土地の固定資産税評価額)÷82.5㎡(敷地面積)÷2=2万9,696.969697円(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)
- 99㎡(家屋の床面積)×2=198(200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍)
- 2万9696.969697円(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)×198㎡(200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍)×3%=17万6,400円
本来の不動産取得税が7万3,500円、減額される額が17万6,400円であれば、土地の不動産取得税はかかりません。
以上で、建売が建つ土地の不動産取得税の金額の目安が計算できました。
最後に、これまでに計算した家屋と土地の不動産取得税を合計します。
その答えが、建売の不動産取得税の金額の目安のシミュレーション結果です。
計算例を挙げると、家屋の不動産取得税が37万8,000円、土地の不動産取得税が7万3,500円であれば以下のように計算し、不動産取得税の金額の目安は45万1,500円です。
計算例
37万8,000円(家屋の不動産取得税)+7万3,500円(土地の不動産取得税)=45万1,500円
一方、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されるのであれば以下のように計算し、税額は1万8,000円まで軽減されます。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
1万8,000円(軽減措置適用後の家屋の不動産取得税)+0円(軽減措置適用後の土地の不動産取得税)=1万8,000円
2-2. 新築マンションの不動産取得税をいくら払った?金額の目安
新築マンションの不動産取得税は、いくら払ったという統計はありません。
とはいうものの、販売価格が消費税込み3,800万円、消費税別3,500万円、うち家屋(一戸部分)の販売価格が3,000万円、土地(敷地権)の販売価格が500万円であれば、不動産取得税の金額の目安は45万7,500円程度です。
ただし、軽減措置が適用されれば、5万2,500円程度まで軽減されます。
つづいて、売りに出されている新築マンションの不動産取得税の金額の目安をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
2-2-1. 家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の販売価格を区分する
はじめに、売り出し中の新築マンションの販売価格に占める、「家屋」である一戸部分の販売価格と、「土地」である敷地権の販売価格を区分します。
多くの新築のマンションは家屋と土地が一対で売買され、消費税が課されるのは家屋のみであり税率は10%です。
したがって、以下のように計算すれば、家屋と土地の販売価格を区分できます。
- 消費税額×10=家屋の販売価格
- その新築マンションの消費税別の販売価格-家屋の販売価格=土地の販売価格
たとえば、消費税込みの販売価格が3,800万円、うち消費税が300万円、消費税別の販売価格が3,500万円の新築マンションであれば以下のように計算し、家屋の販売価格は3,000万円、土地の販売価格は500万円です。
- 300万円(消費税額)×10=3,000万円(家屋の販売価格)
- 3,500万円(消費税別の販売価格)-3,000万円(家屋の販売価格)=500万円(土地の販売価格)
2-2-2. 家屋(一戸部分)の固定資産税評価額を想定する
家屋の販売価格と土地の販売価格が区分できれば、家屋の固定資産税評価額を想定します。
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の「適正な時価」です。
家屋の不動産取得税は、以下のように「その家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として税額を計算するため、家屋の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
家屋の固定資産税評価額は物件によって異なり、いくらになると断言できません。
よって、ここでは、家屋の建築費の75%を家屋の固定資産税評価額と想定しましょう。
ただし、ここでいう建築費は、家屋の販売価格ではなくあくまで建築費です。
新築の家屋の販売価格は、建築費に、建築に携わっていない不動産会社などが得る利益が上乗せされた額となっています。
新築の家屋の販売価格に占める建築費の割合は、物件によって異なるものの60%程度になるといわれます。
したがって、以下のように計算しつつ家屋の固定資産税評価額を想定します。
新築の家屋の固定資産税評価額を想定する式
家屋の販売価格×60%(家屋の販売価格に占める、家屋の建築費の割合の目安)×75%(家屋の建築費に占める、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額の割合の目安)=固定資産税評価額
たとえば、家屋の販売価格が3,000万円であれば以下のように計算し、固定資産税評価額は1,350万円です。
想定例
3,000万円(家屋の販売価格)×60%(家屋の販売価格に占める、家屋の建築費の割合の目安)×75%(家屋の建築費に占める、新築の家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となる固定資産税評価額の割合の目安)=1,350万円
ちなみに、新築マンションの家屋の固定資産税評価額は、物件完成後に行われる市町村役場の調査によって決定します。
2-2-3. 家屋(一戸部分)の不動産取得税の金額の目安を計算する
家屋の固定資産税評価額が想定できれば、それを課税標準額として家屋の不動産取得税を計算しましょう。
たとえば、想定した家屋の固定資産税評価額が1,350万円であれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税の金額の目安は40万5,000円です。
計算例
課税標準額(想定した家屋の固定資産税評価額である1,350万円)×不動産取得税の税率(3%)=40万5,000円
以上で、新築マンションの家屋の不動産取得税の金額の目安が計算できました。
ただし、不動産取得税には「不動産取得税の課税標準の特例」という軽減措置が設けられ、適用されれば家屋の不動産取得税が大きく軽減されます。
同軽減措置は、新築のマンションであれば、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件を取得すれば適用条件を満たします。
よって、不動産取得税をシミュレーションする新築マンションの戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下であれば、軽減措置の要素を加味しつつ税額を計算し直してください。
具体的には、以下のように計算し直します。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額-1,200万円)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
計算例を挙げると、先に不動産取得税40万5,000円と計算した、固定資産税評価額が1,350円の家屋であれば以下のように計算し、税額は4万5,000円まで軽減されます。
計算例
課税標準額(1,350万円-1,200万円=150万円)×不動産取得税の税率(3%)=4万5,000円
なお、そもそもの固定資産税評価額が1,200万円以下の状況で「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、課税標準額が0円となり家屋の不動産取得税はかかりません。
2-2-4. 土地(敷地権)の固定資産税評価額を想定する
家屋の不動産取得税の金額の目安が計算できれば、土地の不動産取得税を計算するために、土地の固定資産税評価額を想定します。
土地の不動産取得税は、以下のように「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として税額を計算するため、固定資産税評価額を想定しなければなりません。
土地不動産取得税の計算式
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の「適正な時価」を指します。
土地の固定資産税評価額は、物件によって異なりいくらになると断言できません。
とはいうものの、都市部、およびその周辺に位置する土地であれば、売買価格の70%程度になるのが通例です。
したがって、以下のように計算すれば、土地の固定資産税評価額を想定できます。
土地の固定資産税評価額の想定式
土地の販売価格×70%(土地の売買価格に占める、土地の固定資産税評価額の割合の目安)=固定資産税評価額
たとえば、区分した土地の販売価格が500万円であれば以下のように計算し、土地の固定資産税評価額は350万円です。
計算例
500万円(土地の販売価格)×70%(土地の売買価格に占める、土地の固定資産税評価額の割合の目安)=350万円
2-2-5. 土地(敷地権)の不動産取得税の金額の目安を計算する
土地の固定資産税評価額が想定できれば、想定した固定資産税評価額の2分の1を課税標準額として、土地の不動産取得税を計算します。
計算例を挙げると、想定した土地の固定資産税評価額が350万円であれば以下のように計算し、土地の不動産取得税の金額の目安は5万2,500円です。
計算例
課税標準額(想定した土地の固定資産税評価額である350万円÷2=175万円)×不動産取得税の税率(3%)=5万2,500円
ただし、不動産取得税には「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」という軽減措置が設けられています。
同軽減措置が適用されれば、課されることとなる土地の不動産取得税そのものから一定の額が減額されます。
新築マンションを取得して同軽減措置の適用を受けるためには、まずは、家屋が「不動産取得税の課税標準の特例」の適用条件を満たす必要があります。
加えて、以下などの条件を満たせば、土地に「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。
- 完成後1年以内の新築マンションを取得した場合は、家屋(一戸部分)と土地(敷地権)を併せて取得した
- 完成後1年が経過した新築マンションを取得した場合は、家屋(一戸部分)と土地(敷地権)を同時に取得し、取得した者が家屋に居住している
不動産取得税をシミュレーションする新築マンションが「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」の適用条件を満たすのであれば、課されることとなる土地の不動産取得税から一定の額を減額してください。
減額するのは、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- 新築マンションが建つ土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、取得した家屋(一戸部分)の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、大抵は4万5,000円より多くなります。
したがって、最低でも4万5,000円が減額されるとお考えになれば良いでしょう。
たとえば、本来課されることとなる土地の不動産取得税が5万2,500円であれば以下のように計算し、軽減措置適用後の税額は7,500円です。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
5万2,500円(本来の税額)-4万5,000円(軽減措置による減額)=7,500円
以上で、家屋と土地の不動産取得税が計算できました。
最後に、これまでに計算した家屋と土地の不動産取得税を合計します。
その答えが、新築マンションの不動産取得税のシミュレーション結果です。
計算例を挙げると、軽減措置適用前の家屋の不動産取得税が40万5,000円、土地の不動産取得税が5万2,500円であれば以下のように計算し、不動産取得税は45万7,500円です。
計算例
40万5,000円(家屋の不動産取得税)+5万2,500円(土地の不動産取得税)=45万7,500円
一方、軽減措置が適用され、家屋の不動産取得税が4万5,000円、土地の不動産取得税が7,500円となるのであれば以下のように計算し、税額は5万2,500円となります。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
4万5,000円(軽減措置適用後の家屋の不動産取得税)+7,500円(軽減措置適用後の土地の不動産取得税)=5万2,500円
なお、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」の適用を受けるためには、新築マンションを取得後速やかに、税事務所に軽減措置の適用を希望することの申告をする必要があるため注意してください。
2-3. 戸建ての中古住宅の不動産取得税をいくら払った?金額の目安
戸建ての中古住宅の不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくら払ったという統計はありませんが、築10年で2,500万円であれば39万3,750円程度が金額の目安です。
ただし、軽減措置が適用されるのであれば、税額は8万6,250円程度まで軽減されます。
つづいて、売りに出されている戸建ての中古住宅の不動産取得税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
2-3-1. 「家屋の売買価格」と「土地の売買価格」を想定する
はじめに、不動産取得税をシミュレーションする戸建ての中古住宅の売買価格に占める、「家屋の売買価格」と「土地の売買価格」を想定します。
中古住宅は、築年数が古いほど物件の売買価格に占める「家屋の売買価格」の比率が小さくなります。
よって、築10年など築浅であれば「5(家屋の売買価格):5(土地の売買価格)」などと想定してください。
たとえば、築10年、売買価格が2,500万円の中古住宅であれば以下のように計算し、家屋の売買価格は1,250万円、土地の売買価格も1,250万円と想定するといった具合です。
- 2,500万円(物件の売買価格)×50%=1,250万円(家屋の売買価格)
- 2,500万円(物件の売買価格)×50%=1,250万円(土地の売買価格)
一方、築20年などであれば「3(家屋の売買価格):7(土地の売買価格)」などと想定してください。
計算例を挙げると、築20年、売買価格が1,500万円の中古住宅であれば以下のように計算し、家屋の売買価格は450万円、土地の売買価格は1,050万円と想定するといった具合です。
- 1,500万円(物件の売買価格)×30%=4,50万円(家屋の売買価格)
- 1,500万円(物件の売買価格)×70%=1,050万円(土地の売買価格)
2-3-2. 家屋と土地の固定資産税評価額を想定する
物件の売買価格に占める、家屋と土地の売買価格が想定できれば、それらの価格から、家屋と土地の固定資産税評価額を想定します。
家屋や土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋や土地の「適正な時価」を指します。
中古住宅である家屋の固定資産税評価額は物件によって大きく異なり、いくらになると正確に想定することは不可能です。
そのため、ここでは、家屋の売買価格の70%を固定資産税評価額と想定しましょう。
たとえば、家屋の売買価格が1,250万円であれば以下のように計算し、その固定資産税評価額は875万円です。
家屋の固定資産税評価額の想定例
1,250万円(家屋の売買価格)×70%(家屋の売買価格に占める固定資産税評価額の割合)=875万円
また、土地の固定資産税評価額も物件によって大きく異なり、いくらになると正確に想定することはできません。
したがって、土地の売買価格の70%を固定資産税評価額と想定しましょう。
計算例を挙げると、土地の売買価格が1,250万円であれば以下のように計算し、その固定資産税評価額は875万円です。
土地の固定資産税評価額の想定例
1,250万円(土地の売買価格)×70(土地の売買価格に占める固定資産税評価額の割合)=875万円
なお、家屋と土地の固定資産税評価額、家屋の床面積、土地の面積、その家屋が新築された日などを税事務所に伝えれば、不動産取得税を計算してくれます。
よって、売り出し中の中古住宅の不動産取得税をより正確に把握したいと希望する場合は、それらの情報を不動産業者に問い合わせ、入手した情報を税事務所に伝えつつ税額の計算を依頼してください。
ちなみに、東京都では、不動産取得税をシミュレーションするツールを公開中です。こちらも併せてご活用ください。
2-3-3. 家屋と土地の不動産取得税を計算する
家屋と土地の固定資産税評価額が想定できれば、その額を課税標準額として家屋と土地の不動産取得税を計算します。
ここで、家屋と土地の不動産取得税の計算式をご紹介します。
家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=家屋の不動産取得税
土地の不動産取得税の計算式
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=土地の不動産取得税
家屋と土地の不動産取得税は、上記のように「その家屋の固定資産税評価額」、および「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として税額を計算します。
したがって、先に想定した家屋と土地の固定資産税評価額を計算式に当てはめ、それぞれの不動産取得税を計算してください。
たとえば、家屋と土地の固定資産税評価額を875万円と想定したのであれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税は26万2,500円、土地の不動産取得税は13万1,250円です。
家屋の不動産取得税の計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である875万円)×3%=26万2,500円
土地の不動産取得税の計算例
課税標準額(土地の固定資産税評価額である875万円の2分の1である437万5,000円)×3%=13万1,250円(土地の不動産取得税)
家屋と土地の不動産取得税が計算できれば、それらを合計します。
その答えが、売り出し中の中古住宅の不動産取得税です。
家屋の不動産取得税が26万2,500円、土地の不動産取得税が13万1,250円であれば以下のように計算し、不動産取得税は39万3,750円程度となります。
計算例
26万2,500円(家屋の不動産取得税)+13万1,250円(土地の不動産取得税)=39万3,750円
ただし、以下の条件を満たすのであれば2つの軽減措置が適用され、不動産取得税が軽減されます。
- 昭和57年1月1日以降に新築された中古住宅を取得した、または、耐震リフォームが行われるなどして現行の耐震基準を満たす中古住宅を取得した
- 家屋と土地を同時に取得した、もしくは、家屋と土地を前後1年以内に取得した
上記の条件を満たす場合は、軽減措置の要素を加味しつつ税額を計算し直します。
つづいて、軽減措置適用後の税額の求め方をご紹介しましょう。
2-3-4. 軽減措置適用後の不動産取得税を計算する
先にご紹介した条件を満たせば、2つの軽減措置が適用されます。
適用される軽減措置の名称は、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されるのであれば、以下のように家屋の不動産取得税を計算し直します。
軽減措置適用後の家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(家屋の固定資産税評価額から「一定の額」を差し引いた額)×不動産取得税の税率(3%)=家屋の不動産取得税
式に含まれる「一定の額」は、その中古住宅が新築された日によって異なり以下のとおりです。
| 新築日 | 一定の額 |
|---|---|
| 平成9年4月1日~ | 1,200万円 |
| 平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
| 昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
| 昭和57年1月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
たとえば、先に家屋の不動産取得税を26万2,500円と計算した、固定資産税評価額が875万円の家屋が平成25年に新築されたのであれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税はかかりません。
軽減措置適用後の家屋の不動産取得税の計算例
課税標準額(875万円-1,200万円)×不動産取得税の税率(3%)=0円
また、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されるのであれば、課されることとなる土地の不動産取得税そのものから一定の額を差し引いてください。
その額が、軽減措置適用後の土地の不動産取得税です。
差し引くのは、以下の2つのうちの多い方の額となっています。
- 4万5,000円
- 土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、大抵は「2」の額の方が多くなります。
したがって、最低でも4万5,000円が差し引かれるとお考えになれば良いでしょう。
計算例を挙げると、先に土地の不動産取得税を13万1,250円と計算した中古住宅であれば以下のように計算し、税額は8万6,250円程度まで軽減されます。
軽減措置適用後の土地の不動産取得税の計算例
13万1,250円(本来の税額)-4万5,000円(軽減措置による減額)=8万6,250円
軽減措置適用後の家屋の不動産取得税と土地の不動産取得税の合計額が、その中古住宅の軽減措置適用後の不動産取得税となります。
たとえば、軽減措置適用後の家屋の不動産取得税が0円、土地の不動産取得税が8万6,250円であれば以下のように計算し、最終的な税額は8万6,250円です。
軽減措置適用後の不動産取得税の計算例
0円(家屋の不動産取得税)+8万6,250円(土地の不動産取得税)=8万6,250円
なお、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」は、中古住宅を取得後に速やかに、税事務所に軽減措置の適用を希望することの申告をすることによって適用されるため留意してください。
2-4. 中古マンションの不動産取得税をいくら払った?金額の目安
中古マンションの不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくら払ったという統計は残念ながらありません。
とはいうものの、築15年で2,000万円の中古マンションであれば、28万2,000円程度が不動産取得税の金額の目安です。
ただし、軽減措置が適用されるのであればその税額は大きく軽減され、場合よってはかかりません。
つづいて、売り出し中の中古マンションの不動産取得税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
2-4-1. 家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の売買価格を想定する
はじめに、不動産取得税をシミュレーションする中古マンションの売買価格に占める、「家屋(一戸部分)の売買価格」と「土地(敷地権)の売買価格」を想定します。
中古マンションの売買価格に占める「家屋の売買価格」と「土地の売買価格」の比率は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
とはいうものの、中古マンションの売買価格は、そのほとんどが「家屋の売買価格」です。
したがって、ここでは、家屋の売買価格を8割、残り2割を土地の売買価格と想定しましょう。
たとえば、売買価格が2,000万円の中古マンションであれば以下のように計算し、「家屋の売買価格」を1,600万円、「土地の売買価格」を400万円と想定するといった具合です。
- 2,000万円(中古マンションの売買価格)×80%=1,600万円(家屋の売買価格)
- 2,000万円(中古マンションの売買価格)×20%=400万円(土地の売買価格)
2-4-2. 家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の固定資産税評価額を想定する
家屋と土地の売買価格が想定できれば、家屋と土地の売買価格から、家屋と土地の固定資産税評価額を想定します。
家屋や土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋や土地の「適正な時価」です。
家屋や土地の固定資産税評価額は物件によって異なるため、正確に想定することはできません。
よって、ここでは、家屋の売買価格の50%を家屋の固定資産税評価額と想定しましょう。
また、土地の売買価格の70%を土地の固定資産税評価額と想定することとします。
たとえば、「家屋の売買価格」が1,600万円、「土地の売買価格」が400万円であれば以下のように計算します。
家屋の固定資産税評価額の想定例
1,600万円(家屋の売買価格)×50%=800万円(家屋の固定資産税評価額)
土地の固定資産税評価額の想定例
400万円(土地の売買価格)×70%=280万円(土地の固定資産税評価額)
2-4-3. 家屋(一戸部分)と土地(敷地権)の不動産取得税を計算する
家屋と土地の固定資産税評価額が想定できれば、その額を課税標準額として家屋と土地の不動産取得税を計算します。
家屋や土地の不動産取得税は、以下のように「その家屋の固定資産税評価額」、もしくは「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として税額を計算します。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
土地(敷地権)の不動産取得税の計算式
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
たとえば、家屋の固定資産税評価額を800万円、土地の固定資産税評価額を280万円と想定したのであれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税は24万円、土地の不動産取得税は4万2,000円です。
家屋(一戸部分)の不動産取得税の計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である800万円)×不動産取得税の税率(3%)=24万円
土地(敷地権)の不動産取得税の計算例
課税標準額(土地の固定資産税評価額である280万円の2分の1である140万円)×不動産取得税の税率(3%)=4万2,000円
家屋と土地の不動産取得税が計算できれば、それらを合計します。
その答えが、売り出し中の中古マンションの不動産取得税のシミュレーション結果です。
家屋の不動産取得税が24万円、土地の不動産取得税が4万2,000円であれば以下のように計算し、その中古マンションの不動産取得税は28万2,000円です。
計算例
24万円(家屋の不動産取得税)+4万2,000円(土地の不動産取得税)=28万2,000円
ただし、軽減措置が適用されるのであれば、その税額は大きく軽減されます。
つづいて、軽減措置の適用条件と、軽減措置適用後の不動産取得税の計算方法をご紹介しましょう。
2-4-4. 軽減措置適用後の不動産取得税の計算方法
軽減措置が適用されれば、中古マンションの不動産取得税は大きく軽減されます。
その軽減措置とは、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
それらの軽減措置は、中古マンションを取得した場合は以下の条件を満たせば適用されます。
- 戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の中古マンションを取得した
- 昭和57年1月1日以降に新築された中古マンション、または耐震リフォームが行われるなどして現行の耐震基準を満たす中古マンションを取得した
- 家屋(一戸部分)と土地(敷地権)を同時に取得した
- 中古マンションを取得後速やかに、税事務所に軽減措置の適用を希望することの申告をした
上記の条件を満たすことにより「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、家屋の不動産取得税は、以下のように「その家屋の固定資産税評価額から一定の額を差し引いた額」を課税標準額として税額を計算することとなります。
軽減措置適用後の家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額から一定の額を差し引いた額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
固定資産税評価額から差し引く「一定の額」は、その中古マンションが新築された日によって異なり以下のとおりです。
| 新築日 | 一定の額 |
|---|---|
| 平成9年4月1日~ | 1,200万円 |
| 平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
| 昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
| 昭和57年1月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
たとえば、先に家屋の不動産取得税を24万円と計算した、家屋の固定資産税評価額が800万円の中古マンションが平成20年に新築されたのであれば以下のように計算し、家屋の不動産取得税はかかりません。
軽減措置適用後の家屋の不動産取得税の計算例
課税標準額(家屋の固定資産税評価額である800円-1,200万円)×不動産取得税の税率(3%)=0円
また、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されれば、課されることとなる土地の不動産取得税そのものから一定の額が差し引かれます。
差し引かれるのは、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- そのマンションが建つ土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、家屋(一戸部分)の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、大抵は「2」の額の方が多くなります。
したがって、最低でも4万5,000円が差し引かれるとお考えになれば良いでしょう。
計算例を挙げると、先に土地の不動産取得税を4万2,000円と計算した中古マンションであれば以下のように計算し、税額は0円となります。
軽減措置適用後の土地の不動産取得税の計算例
4万2,000円(本来の税額)-4万5,000円(軽減措置による減額)=0円
家屋と土地の不動産取得税がそれぞれ0円であれば、その中古マンションは不動産取得税がかかりません。
2-5. 土地のみの不動産取得税をいくら払った?金額の目安
土地のみの不動産取得税は、いくら払ったという統計はありません。
とはいうものの、都市部、およびその周辺に位置する3,000万円の宅地であれば31万5,000円程度、2,000万円の宅地であれば21万円程度、1,000万円の宅地であれば10万5,000円程度が金額の目安です。
ただし、令和8年3月31日までに宅地を取得し、取得した日から3年以内に床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅である家屋を新築すれば、納めた土地の不動産取得税の一部、または全額が還付されます。
宅地とは、建物を建てるための土地、または、既存の建物を維持するために必要となる土地を指します。
つづいて、売り出し中の土地の不動産取得税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。
なお、ご紹介するのは、令和9年3月31日までに取得した、都市部、およびその周辺に位置する宅地の不動産取得税の金額の目安をシミュレーションする方法のため留意してください。
山奥の荒れ地などは、ご紹介する方法では不動産取得税をシミュレーションできません。
2-5-1. 固定資産税評価額を想定する
令和9年3月31日までに取得した宅地は、以下のように「その土地の固定資産税評価額の2分の1」を課税標準額として不動産取得税を計算します。
土地の不動産取得税の計算式
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の2分の1)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
したがって、売り出し中の土地の不動産取得税をシミュレーションするためには、その土地の固定資産税評価額を想定しなければなりません。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の「適正な時価」を指します。
土地の固定資産税評価額は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できません。
とはいうものの、都市部、およびその周辺に位置する土地であれば、売買価格の70%程度になるのが通例です。
たとえば、売買価格が2,000万円の土地であれば以下のように計算し、固定資産税評価額は1,400万円程度になるといった具合です。
固定資産税評価額の想定例
2,000万円(売買価格)×70%(売買価格に占める固定資産税評価額の割合の目安)=1,400万円
2-5-2. 不動産取得税を計算する
固定資産税評価額が想定できれば、その額の2分の1を課税標準額として不動産取得税を計算します。
たとえば、固定資産税評価額が1,400万円であれば以下のように計算し、不動産取得税は21万円です。
不動産取得税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1,400万円の2分の1である700万円)×3%=21万円
ただし、令和8年3月31日までに土地を取得し、取得した日から3年以内などに一定の条件を満たす家屋を新築すれば軽減措置が適用され、納めた土地の不動産取得税の一部、または全額が還付されます。
その軽減措置の名称は「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」であり、同軽減措置の適用条件は以下のとおりです。
- 令和8年3月31日までに土地を取得し、取得した日から3年以内などに、床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅である家屋を新築した
- 家屋の完成後、速やかに税事務所に軽減措置の適用を希望することの申告をした
「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されることにより還付される額は、以下の2つのうちの多い方の額です。
- 4万5,000円
- 土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1×200㎡を上限とする、新築した家屋の床面積の2倍×3%
「2」の計算方法が複雑ですが、固定資産税評価額が1,400万円、敷地面積が82.5㎡(約25坪)、新築した家屋の床面積が115.5㎡(35坪)であれば以下のように計算し、答えは50万9,090円です。
- 1,400万円(固定資産税評価額)÷82.5㎡(敷地面積)÷2=84848.4848485(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)
- 84848.4848485(土地の1㎡あたりの固定資産税評価額の2分の1)×200㎡(200㎡を上限とする、新築した家屋の床面積の2倍)×3%=50万9,090円
3. 不動産取得税はいつ払う?通知はいつ届く?
不動産取得税は金額の目安が気になりますが、いつ払うかも気になります。
不動産取得税をいつ払うかは、取得した不動産の種類によって異なります。
新築であれば取得した年の翌年の4月以降など、中古住宅や土地であれば取得から2~3ヶ月後などです。
ここから、不動産取得税はいつ払うか、納税通知書が届く時期をご紹介しましょう。
なお、不動産取得税は都道府県が徴収する地方税であり、都道府県によって納税通知書が届く時期が異なります。
よって、ここでは、納税通知書が届く一般的な時期をご紹介するため留意してください。
3-1. 新築の不動産取得税はいつ払う?通知はいつ届く?
新築の不動産取得税は、新築を取得した年の翌年の4月以降などに払います。
たとえば、令和6年6月に新築を取得した場合は、令和7年4月以降に納税通知書が届き、同封されている納付書を以て不動産取得税を払うといった具合です。
納付書に記されている納期限は、都道府県によって異なるものの主に納付書が届いた月の月末であり、納付書を以て納付する場合は分納はできません。
分納を希望する場合は、本記事の「4. 不動産取得税の支払い方法」にてご紹するクレジットカードなどで納付する方法を選択する必要があります。
なお、都道府県によっては、納税通知書が届く前に「不動産取得税の課税のお知らせ」などの名称のハガキが届くことがありますが、そのハガキでは納付できないため注意してください。
そのハガキは、不動産取得税が課されることの事前通知です。
また、家屋と土地が一対になった建売などを取得した場合は、取得から2~3ヶ月後に土地のみの不動産取得税の納税通知書が届き、取得した年の翌年の4月以降に家屋の不動産取得税の納税通知書が届く場合があるため留意してください。
土地のみの不動産取得税の納税通知書が先に届いた場合は、土地のみの不動産取得税を先に納める必要があります。
また、軽減措置が適用されるなどして不動産取得税がかからない場合は、一部例外を除きハガキも納税通知書も届きません。
3-1-1. 新築の不動産取得税の通知が届くのが遅い理由
先にご紹介したとおり、新築の不動産取得税は、新築を取得した年の翌年の4月以降などに納税通知書が届きます。
新築を取得した年の翌年の4月以降といえば、ずいぶん遅いという印象を受けますが、その理由は家屋の不動産取得税を計算する仕組みにあります。
家屋の不動産取得税は、以下のように「その家屋の固定資産税評価額」を課税標準額として税額を計算します。
家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(3%)=不動産取得税
家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の「適正な時価」を指します。
家屋には販売価格や売買価格、引き渡し価格がありますが、それらの額は売り主と買い主の希望によって決定し、本来の価値より高く設定されることがあれば、低く設定されることもあります。
そのように売り主と買い主の希望によって決定する額を課税標準額として不動産取得税を計算しては、税の公平性が保たれません。
したがって、家屋の不動産取得税は、市町村によって公平に評価された「適正な時価」である固定資産税評価額を課税標準額として税額を計算します。
その家屋の固定資産税評価額ですが、新築されて間もない家屋は評価が完了していません。
評価が完了するのは、早くとも新築の完成後、または新築の取得後3~4ヶ月が経過したころであり、遅ければ数ヶ月が経過したころになります。
固定資産税評価額の評価が完了していなければ、課税標準額、ならびに税額を計算できません。
よって、新築の不動産取得税の納税通知書は、届くのが遅くなります。
3-2. 中古住宅や土地の不動産取得税はいつ払う?通知はいつ届く?
中古住宅や土地の不動産取得税は、早ければ不動産を取得後1~2ヶ月などで、遅ければ数ヶ月などで納税通知書が届き、同封されている納付書を以て納付することとなります。
納付書には納期限が記され、その期限は都道府県によって異なるものの主に納付書が届いた月の月末です。
また、納付書を以て納付する場合は、分納はできません。
分納を希望する場合は、この記事の「4. 不動産取得税の支払い方法」でご紹介するクレジットカードなどで納付する方法を選択する必要があります。
なお、軽減措置が適用されることにより不動産取得税が0円となる場合は、納税通知書は届きません。
4. 不動産取得税の支払い方法
不動産取得税は、不動産を取得後に届く納付書を以て金融機関で支払うのが通例ですが、一部の都道府県では、PayPayなどのスマホアプリやクレジットカードで支払うことも可能です。
ここからは、不動産取得税の支払い方法をご紹介しましょう。
4-1. 金融機関やコンビニで不動産取得税を支払う
不動産取得税には様々な支払い方法がありますが、最も利用されるのが金融機関や郵便局、コンビニなどでの納付です。
不動産を取得して不動産取得税が課されることが決定すると、都道府県役場や税事務所から納付書が同封された納税通知書が届きます。
届いた納付書を以て、金融機関や郵便局、コンビニなどで不動産取得税を支払うといった具合です。
納期限は都道府県によって異なるものの主に納付書が届いた月の月末であり、納付書を以て金融機関や郵便局、コンビニで不動産取得税を払う場合は分納できません。
4-2. PayPayなどのスマホアプリで不動産取得税を支払う
一部の都道府県では、PayPayなどのスマホアプリで不動産取得税を支払うことができます。
PayPayなどで不動産取得税を支払えば、場合によってはポイントが貯まってお得で、クレジットカードで引き落とすのであれば、カード会社によっては分納も可能です。
以下は、私がこの記事を作成する2024年5月の時点において、PayPayで不動産取得税を支払える都道府県の一例です。
- PayPayで不動産取得税を払える都道府県
- 北海道、青森県、宮城県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
※ 2024年5月時点の情報
4-3. クレジットカードで不動産取得税を支払う
栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、山梨県、静岡県、愛知県、京都府、熊本県、沖縄県などの都道府県では、VISAやJCBなどのクレジットカードで不動産取得税を支払えます。
ただし、いずれの都道府県も金融機関の窓口でクレジットカードを提示して支払うわけではなく、「地方税お支払サイト」を経由して納付するため注意してください。
「地方税お支払サイト」とは、2023年5月にオープンした、スマートフォンやパソコンで不動産取得税や固定資産税などの地方税を支払えるサイトです。
地方税お支払サイトを経由してクレジットカードで不動産取得税を支払う際は、納税額5万円あたりにつき350円程度の手数料が必要ですが、カード会社によっては任意の回数で納付できます。
5. 不動産取得税の申告の必要性
不動産を取得すると、不動産取得税に関する申告が必要か気になりますが、不動産を取得後速やかに(60日以内などに)登記をするのであれば、一部の都道府県を除き申告は不要です。
不動産を取得後に行う登記とは、その不動産の所有権を取得したことなどを、法務省の地方支部局である法務局に設置されている登記簿という帳簿に記す行為を指します。
不動産業者や建築業者から不動産を購入する、または不動産業者を中介させつつ不動産を購入した場合は、購入直後に登記を行うのが通例です。
したがって、事実上、不動産取得税に関する申告は不要といえるでしょう。
不動産を購入後に登記をすると、その情報が法務局から都道府県に伝わり、都道府県はその情報を以て納税義務者に不動産取得税を課します。
ただし、この記事で幾度もご紹介する「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」の適用を希望する場合は、申告が必要となるため注意してください。
それらの軽減措置の適用を希望する場合は、不動産を取得後速やかに、税事務所に「不動産を取得したこと」と「軽減措置の適用を希望すること」の申告が必要です。
多くの都道府県では、その申告は1つの申告書を提出することによって完了します。
詳細は、取得した不動産が所在する都道府県のホームページ内に設置されている検索窓に、「不動産取得税 軽減 申告」などと入力しつつ検索することにより表示されるページにてご確認いただけます。
6. 不動産取得税を払わなくてよい状況
不動産取得税の金額の目安は高額ですが、軽減措置が適用される、免税点未満であるなどすれば課税されず、払わなくてよいこととなります。
ここからは、不動産取得税を払わなくてよい状況をご紹介しましょう。
6-1. 軽減措置が適用され、不動産取得税がかからない場合
不動産取得税には、「不動産取得税の課税標準の特例」や「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」などの軽減措置が設けられています。
それらの軽減措置は、一定の条件を満たしつつ不動産を取得した上で、税事務所に申告をすることによって適用されます。
そして、適用されることにより不動産取得税が0円となる場合は、不動産取得税を払わなくて良いこととなります。
6-2. 不動産を相続した場合
不動産を相続した場合は不動産取得税が課されず、払わなくてよいこととなります。
ただし、相続時精算課税制度を利用して不動産の贈与を受けた場合は、不動産取得税が課されるため注意してください。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから生前贈与を受けたことにより課される贈与税を、相続税に置き換える制度です。
不動産などの財産の贈与を受けると贈与税が課されますが、贈与税の税率は相続税より高く納税するのが大変です。
そこで利用されるのが、相続時精算課税制度です。
同制度を利用すれば、財産の生前贈与を受けたことにより課される贈与税を、贈与者(生前贈与を行った者)が亡くなった後に課される相続税に置き換えることができます。
贈与税を相続税に置き換えれば節税になり、納税する時期も先延ばしできます。
しかし、相続時精算課税制度を利用しつつ不動産の贈与を受けた場合は、不動産を相続したとはみなされず、贈与を受けた直後に不動産取得税が課されることとなります。
6-3. 不動産を取得して免税点未満となる場合
不動産を取得したものの免税点に満たない場合は、不動産取得税が課されず払わなくてよいこととなります。
不動産取得税の免税点とは、課税標準額が一定の額に満たなければ、不動産取得税が課されないという制度です。
不動産取得税は、以下のように「取得した不動産の固定資産税評価額」を課税標準額として税額を計算します。
不動産取得税の計算式
課税標準額(取得した不動産の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=不動産取得税
取得した不動産の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その不動産の適正な時価です。
そして、土地を取得した場合は10万円、新築の家屋を取得した場合は23万円、新築以外の家屋を取得した場合は12万円に課税標準額が満たなければ免税点未満となり、不動産取得税が課されません。
免税点未満で不動産取得税が課されなければ納税通知書が届かず、不動産取得税を払わなくてよいこととなります。
ちなみに、免税点未満となる固定資産税評価額が10万円未満の土地とは、山奥の荒れ地などが挙げられます。
免税点未満となる固定資産税評価額が23万円未満の新築の家屋とは、物置などです。
免税点未満となる固定資産税評価額が12万円未満の新築以外の家屋とは、築年数が15年以上の小屋などが挙げられます。
つまり、一般的な不動産を購入した場合は、免税点未満となることは期待できないというわけです。
まとめ
不動産取得税の金額の目安をご紹介しました。
不動産取得税は物件によって大きく異なり、いくらになると断言できず、いくら払ったという統計もありません。
とはいうものの、消費税込み3,780万円の建売であれば45万1,500円程度、消費税込み3,800万円の新築マンションであれば45万7,500円程度が金額の目安です。
また、築10年で2,500万円の戸建ての中古住宅であれば39万3,750円程度、築15年で2,000万円の中古マンションであれば28万2,000円程度が目安となります。
ただし、軽減措置が適用されるのであれば、それらの税額は大きく軽減されます。
ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2024年5月
記事公開日:2018年8月
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