中古住宅を現金で購入。確定申告による税務署への届け出は必要?
現金で一戸建ての中古住宅や中古マンションを購入した場合は、確定申告は不要です。
ただし、中古住宅を購入後に一定の条件を満たすリフォームを行った場合は、確定申告によって所得税が控除されます。
また、前の住宅を売却をしつつ利益を得ている場合は、そのことに対する確定申告と所得税の納付が必要ですが、多くの場合は特例により所得税が0円となります。
さらに、確定申告とは関係ありませんが、昭和57年1月1日以降に新築された中古住宅を購入した場合は、不動産取得税が軽減や還付される特例の適用も期待できます。
現金一括払いのキャッシュで中古住宅を購入した方へ向けて、それらの詳細をわかりやすく解説しましょう。
目次
- 1. 現金一括で中古住宅を購入した場合は確定申告は不要
- 2. 中古住宅を購入後に特定のリフォームをすれば確定申告により減税される
- 3. 前の住宅を売却して利益を得た場合は確定申告が必要
- まとめ - 現金で中古住宅を購入後は不動産取得税の軽減措置の申告を忘れずに
現金一括で中古住宅を購入した場合は確定申告は不要
現金一括のキャッシュで一戸建ての中古住宅や中古マンションを購入した場合は、確定申告は不要です。
確定申告とは、過去の所得と、その所得に課される所得税の額を自ら計算しつつ確定させ、税務所長に届け出る申告です。
所得とは、勤労や事業などによって得た収入から、その収入を得るために必要となった経費を差し引いた額を指します。
一戸建ての中古住宅や中古マンションを現金で購入しても、所得はありません。
よって、中古住宅を現金で購入した場合は、確定申告は不要です。
確定申告が必要な状況は「国税庁|確定申告が必要な方」に記され、主に以下のいずれかに該当する場合です。
- 給与所得と他の所得があり、それらの所得の合計額から各種控除額を差し引きつつ所得税を計算すると、納めるべき所得税がある場合
- 公的年金のみを所得とし、受け取った公的年金の合計額から各種控除額を差し引くと残額がある場合
- 外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収の対象とならない所得があった場合
以上などが確定申告が必要となる例であり、一戸建ての中古住宅や中古マンションを現金で購入した場合は含まれません。
中古住宅を購入しつつ確定申告が必要となるのは、住宅ローンを利用して物件を購入し、住宅ローン控除の適用を希望する場合です。
中古住宅に適用される住宅ローン控除とは、返済期間が10年以上のローンを利用して一定の条件を満たす物件を購入し、確定申告を行うことにより適用される軽減措置です。
中古住宅を購入して住宅ローン控除が適用されれば、ローンの返済開始から10年にわたり、年末のローン残高の0.7%の額が所得税から控除されます。
中古住宅に住宅ローン控除が適用される条件は「国税庁タックスアンサーNo.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」に記されていますが、現金で物件を購入した場合は適用条件を満たしません。
したがって、現金で中古住宅を購入した場合は、やはり確定申告は不要です。
ただし、現金で中古住宅を購入して一定の条件を満たすリフォームをしたのであれば、確定申告により「リフォーム促進税制」が適用され、所得税から最大62万5,000円(状況によっては最大130万円)が控除されます。
つづいて、リフォーム促進税制の詳細をご紹介しましょう。
中古住宅を購入後に特定のリフォームをすれば確定申告により減税される
中古住宅や中古マンションを現金で購入した場合は確定申告は不要ですが、購入しつつ一定の条件を満たすリフォームを行った場合は、確定申告を行うことによりリフォーム促進税制が適用されます。
リフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税が最大で62万5,000円(状況によっては最大で130万円)控除されます。
リフォーム促進税制が適用されるのは、一定の条件を満たす耐震リフォーム、バリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、同居対応リフォーム、長期優良住宅化リフォーム、子育て対応リフォームのいずれかです。
ここからは、リフォーム促進税制の主な適用条件をご紹介しましょう。
なお、筆者がこの記事を作成する令和7年12月の時点においてリフォーム促進税制の適用を受けるためには、令和7年12月31日までにリフォームを完了させる必要がありますが、その期間は毎年延長されています。
また、リフォーム促進税制は、適用条件と控除額が目まぐるしく見直されます。
よって、リフォーム促進税制の適用を希望する場合は、「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」または「国土交通省:リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」にて、最新の適用条件などをご確認ください。
それらのサイトには、リフォーム促進税制に関する詳細がわかりやすく記されています。
耐震リフォーム(確定申告により所得税最大62.5万円が控除)
昭和56年5月31日以前に新築された中古住宅を現金で購入し、現行の耐震基準に適合させる耐震リフォームをして確定申告を行えば、リフォーム促進税制が適用されます。
耐震リフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税から最大62万5,000円が控除されます。
現金で中古住宅を購入し、耐震リフォームによるリフォーム促進税制が適用される主な条件は以下のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に新築された、自らが居住する「現行の耐震基準を満たさない中古住宅」に、現行の耐震基準を満たすための耐震リフォームを行った
- 耐震リフォームが完了した年の翌年に、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書などの必要書類を添付しつつ確定申告を行った
上記には、「増改築等工事証明書を添付しつつ確定申告を行った」という条件が含まれます。
増改築等工事証明書とは、リフォーム促進税制が適用される条件を満たすリフォームが行われたことを証明する書面であり、建築士事務所に所属する建築士など一部の有資格者、または一部の業者のみが発行することが可能です。
したがって、リフォーム促進税制の適用を希望しつつこれからリフォームをする場合は、増改築等工事証明書を発行できる有資格者、もしくは業者に依頼するのが良いでしょう。
なお、中古マンションを購入しつつ耐震リフォームによるリフォーム促進税制の適用を受けるためには、マンション全体の耐震リフォームが必要となるため注意してください。
バリアフリーリフォーム(確定申告により所得税最大60万円が控除)
床面積が50㎡以上の中古住宅や中古マンションを現金で購入し、50万円以上の費用をかけて通路を拡幅する、浴室やトイレを改良するなどのバリアフリーリフォームをして確定申告をすれば、リフォーム促進税制が適用されます。
バリアフリーリフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームをした年の所得に課される所得税から最大60万円が控除されます。
現金で中古住宅を購入し、バリアフリーリフォームによるリフォーム促進税制が適用される主な条件は以下のとおりです。
- 60歳以上の方、要介護の認定を受けている方、障がいのある方などが住む中古住宅にバリアフリーリフォームを行った
- 床面積が50㎡以上の中古住宅に、通路や階段を拡幅する、階段の勾配を緩和する、浴室や便所を改良する、手すりを取り付けるなどのバリアフリーリフォームを行った
- 費用の総額が50万円を超えるバリアフリーリフォームを行った
- バリアフリーリフォームが完了した年の翌年に、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書、リフォームを行った中古住宅に居住する方の介護保険の被保険者証の写しなどの必要書類を添付しつつ確定申告を行った
なお、リフォーム促進税制の適用条件を満たす耐震リフォーム、バリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、長期優良住宅化リフォームのいずれかを行って市町村役場に申告をすれば、リフォームが完了した年の翌年の家屋に課される固定資産税が減額されます。
固定資産税が減額される条件の詳細は、現金で購入した中古住宅が所在する地域を管轄する市区町村役場のホームページに設置されている検索窓に、「リフォーム 固定資産税 減税」などと入力しつつ検索することにより確認することが可能です。
省エネリフォーム(確定申告により所得税最大62.5万円が控除)
戸建ての中古住宅や中古マンションを現金で購入し、既存の窓を断熱窓に交換するなど一定の条件を満たす省エネリフォームをして確定申告をすれば、リフォーム促進税制が適用されます。
省エネリフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税から最大62万5,000円が控除されます。
現金で中古住宅を購入し、省エネリフォームによるリフォーム促進税制が適用される主な条件は以下のとおりです。
- 自らが購入しつつ居住する中古住宅に、既存の窓を断熱窓に交換する、床や天井、壁の断熱工事を行う、太陽光発電設備を設置するなどの省エネリフォームを行った
- 費用の総額が50万円を超える省エネリフォームを行った
- 省エネリフォームの完了後6ヶ月以内に中古住宅に入居している
- 省エネリフォーム完了後の建物の床面積が50㎡以上である
- 省エネリフォームが完了した年の翌年に、リフォームを行った中古住宅の登記事項証明書、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書などの必要書類を添付しつつ確定申告を行った
上記には「登記事項証明書」という書類が含まれます。
登記事項証明書とは登記簿を写した書面であり、最寄りの法務局で入手できますが、中古住宅を購入して登記が完了した際に司法書士から手渡されることもあります。
以下は、法務省が公開する登記事項証明書の見本です。
※ 出典:法務省
同居対応リフォーム(確定申告により所得税最大62.5万円が控除)
中古住宅を現金で購入し、キッチンや浴室、トイレ、玄関を増設するなど一定の条件を満たす同居対応リフォームをして確定申告をすれば、リフォーム促進税制が適用されます。
同居対応リフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税から最大62万5,000円が控除されます。
現金で購入した中古住宅に、同居対応リフォームによるリフォーム促進税制が適用される主な条件は以下のとおりです。
- 自らが居住する中古住宅に、キッチンや浴室、トイレ、玄関などを増設する同居対応リフォームを行った
- 費用の総額が50万円を超える同居対応リフォームを行った
- 同居対応リフォームの完了後6ヶ月以内に中古住宅に入居している
- 同居対応リフォームが完了した年の翌年に、購入した中古住宅の登記事項証明書、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書などの必要書類を添付しつつ確定申告を行った
長期優良住宅化リフォーム(確定申告により所得税最大62.5万円が控除)
市町村などの所管行政庁から、一般の住宅より耐久性に優れると認定された住宅を「長期優良住宅」と呼びます。
そして、現金で購入した中古住宅を長期優良住宅化する「長期優良住宅化リフォーム」をして確定申告をすれば、リフォーム促進税制が適用されます。
長期優良住宅化リフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税から最大62万5,000円が控除されます。
現金で購入した中古住宅に、長期優良住宅化リフォームによるリフォーム減税が適用される主な条件は以下のとおりです。
- リフォーム促進税制の適用条件を満たす「耐震リフォーム」または「省エネリフォーム」と共に、小屋裏の換気性を高める、床下の防湿性を高める、雨樋や軒を取り付けるなど 、一定の条件を満たす長期優良住宅化リフォームを行った
- 費用の総額が50万円を超えるリフォームを行った
- 長期優良住宅化リフォームを行うことにより、現金で購入した中古住宅が「長期優良住宅」となったことを市町村役場などの所管行政庁から認定され、「長期優良住宅の認定通知書」の発行を受けた
- リフォームが完了した年の翌年に、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書、長期優良住宅の認定通知書の写しなどの必要書類を添付して確定申告を行った
なお、現金で購入した中古住宅に長期優良住宅化リフォームを行い、その中古住宅が長期優良住宅となれば、おそらくは以前より固定資産税が高くなるため注意してください。
固定資産税は、対象となる資産の時価を基に税額を計算し、時価が高い資産ほど税額が高くなります。
購入した中古住宅が長期優良住宅となれば、多くの場合は時価が上がることとなり、それに伴い固定資産税も高くなるはずです。
ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「固定資産税をパパッと解説」では、長期優良住宅の固定資産税の詳細を解説する記事を公開中です。
長期優良住宅の固定資産税が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ちリンク
長期優良住宅の固定資産税は高くなる。なおかつ下がりにくい
子育て対応リフォーム(確定申告により所得税最大62.5万円が控除)
現金で購入した中古住宅や中古マンションを対面式キッチンにする、子供部屋や収納設備を増設する、防音性を高めるなどの子育て対応リフォームをして確定申告をすれば、リフォーム促進税制が適用されます。
子育て対応リフォームによりリフォーム促進税制が適用されれば、リフォームが完了した年の所得に課される所得税から最大62万5,000円が控除されます。
現金で購入した中古住宅に、子育て対応リフォームによるリフォーム促進税制が適用される主な条件は以下のとおりです。
- 19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯が居住する中古住宅に、対面式キッチンを設置するなどの子育て対応リフォームを行った
- 費用の総額が50万円を超える子育て対応リフォームを行った
- 子育て対応リフォームの完了後6ヶ月以内に中古住宅に入居している
- 子育て対応リフォーム完了後の中古住宅の床面積が50㎡以上である
- 子育て対応リフォームが完了した年の翌年に、リフォームを行った中古住宅の登記事項証明書、工事請負契約書の写し、増改築等工事証明書などの必要書類を添付しつつ確定申告を行った
前の住宅を売却して利益を得た場合は確定申告が必要
現金で一戸建ての中古住宅や中古マンションを購入した場合は、確定申告は不要です。
しかし、居住していた住宅を売却しつつ利益を得て、現金で中古住宅を購入した場合は、住宅を売却して利益を得たことに対する確定申告と所得税の納付が必要となるため注意してください。
たとえば、以前住んでいた住宅を購入額より高く、または長年住んでいたにもかかわらず購入額と同程度の額で売却し、得た物件代金で中古住宅を購入したとしましょう。
その状況においては、住宅を売却しつつ利益を得たこととなり、住宅を売却して利益を得たことに対する確定申告と所得税の納付が必要です。
ただし、所得税には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という特例が設けられています。
同特例は、居住していた住宅を売却しつつ利益を得た場合に適用され、適用されれば、得た利益が3,000万円以下であれば、確定申告は必要となるものの所得税は課されません。
ここからは、以前居住していた住宅を売却しつつ現金で中古住宅を購入した方へ向けて、利益を得たか計算する方法と、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用される主な条件をご紹介しましょう。
特に「利益を得たか計算する方法」は要チェックです。
利益が出ていないと思っていても、実は出ている場合があります。
なお、同特例の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3302 マイホームを売ったときの特例」にてご確認いただけます。
売却した住宅の取得費を計算する
はじめに、売却した住宅の建物部分の取得費と、土地部分の取得費を計算しつつ合計します。
この状況における建物部分の取得費とは、売却した住宅の建物部分を取得する際に支払った物件代金と、建物部分を取得するために要した費用の合計から、「償却費相当額」という額を差し引いた額です。
また、この状況における土地部分の取得費とは、売却した住宅の土地部分を取得する際に支払った物件代金と、土地部分を取得するために要した費用の合計となります。
- 建物部分の取得費とは?
- 売却した住宅の建物部分を取得するために支払った物件代金と、建物部分を取得するために要した費用の合計から、償却費相当額を差し引いた額
- 土地部分の取得費とは?
- 売却した住宅の土地部分を取得するために支払った物件代金と、土地部分を取得するために要した費用の合計
具体的には、建物部分の取得費は以下のように計算します。
建物部分の取得費の計算式
建物部分の取得価額-償却費相当額=建物部分の取得費
上記の式に含まれる「建物部分の取得価額」とは、建物部分を取得する際に支払った建物部分の物件代金、建物の登記費用、建物の不動産取得税など、建物部分を取得するために要した費用の合計です。
また、式に含まれる「償却費相当額」は、自らが居住する建物(非事業用建物)を売却した場合は以下のように計算します。
償却費相当額の計算式
建物部分の取得価額×0.9×償却率×経過年数(建物の所有期間)=償却費相当額
上記の式に含まれる「償却率」は、建物の構造によって異なり以下のとおりです。
非事業用建物の償却率
| 構造 | 償却率 |
|---|---|
| 木造 | 0.031 |
| 木造モルタル | 0.034 |
| 鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造 | 0.015 |
| 骨格材の肉厚が3mm以下の鉄骨造 | 0.036 |
| 骨格材の肉厚が3mm超4mm以下の鉄骨造 | 0.025 |
たとえば、建物部分の取得価額が1,500万円、木造、所有期間が10年であれば以下のように計算し、その建物部分の取得費は1,081万5,000円です。
建物部分の取得費の計算例
1,500万円(建物部分の取得価額)-418万5,000円(償却費相当額)=1,081万5,000円(建物部分の取得費)
償却費相当額の計算例
1,500万円(建物部分の取得価額)×0.9×0.031(木造の償却率)×10年=418万5,000円(償却費相当額)
一方、土地部分の取得費は、以下の式で計算します。
土地部分の取得費の計算式
土地部分を取得するために支払った物件代金+仲介手数料など土地部分を取得するために要した費用+造成費用など土地部分を使用するために要した費用=土地部分の取得費
計算例を挙げると、土地部分を取得するために支払った物件代金が450万円、仲介手数料が50万円、造成費用が50万円であれば以下のように計算し、その土地部分の取得費は550万円です。
土地部分の取得費の計算例
450万円(土地部分を取得するために支払った物件代金)+50万円(仲介手数料)+50万円(造成費用)=550万円(土地部分の取得費)
そして、建物部分の取得費と、土地部分の取得費の合計が、売却した住宅の取得費となります。
たとえば、建物部分の取得費が1,081万5,000円、土地部分の取得費が550万円であれば以下のように計算し、売却した住宅の取得費は1,631万5,000円です。
計算例
1,081万5,000円(建物部分の取得費)+550万円(土地部分の取得費)=1,631万5,000円(売却した住宅の取得費)
なお、相続したなど、いくらで取得したかわからない住宅を売却した場合は、物件の売却額の5%を取得費とすることが可能です。
譲渡所得を計算する
住宅を売却しつつ得た利益を「譲渡所得」と呼び、現金で中古住宅を購入するために以前住んでいた住宅を売却して譲渡所得を得たのであれば、確定申告をして所得税を納めなければなりません。
譲渡所得は、以下の式で計算します。
譲渡所得の計算式
譲渡価額-(売却した住宅の取得費+譲渡費用)=譲渡所得
上記の式に含まれる譲渡価額とは、以前住んでいた住宅を売却した額です。
また、式に含まれる「売却した住宅の取得費」は、本記事の「売却した住宅の取得費を計算する」にて計算した額となります。
くわえて、式に含まれる「譲渡費用」とは、以前住んでいた住宅を売却する際に不動産業者に支払った仲介手数料など、売却するために要した費用の合計を指します。
たとえば、現金で中古住宅を購入するために、「売却した住宅の取得費」が1,631万5,000円の住宅を、100万円の譲渡費用をかけて1,500万円で売却したとしましょう。
であれば以下のように計算し、譲渡所得は0円となり確定申告は不要です。
譲渡所得の計算例
1,500万円(譲渡価額)-1,731万5,000円(売却した住宅の取得費と譲渡費用の合計)=0円(譲渡所得が0円のため確定申告は不要)
一方、現金で中古住宅を購入するために、「売却した住宅の取得費」が1,631万5,000円の住宅を、100万円の譲渡費用をかけて2,000万円で売却したとしましょう。
であれば以下のように計算し、譲渡所得は268万5,000円となり確定申告と所得税の納付が必要です。
譲渡所得の計算例
2,000万円(譲渡価額)-1,731万5,000円(「売却した住宅の取得費」と譲渡費用の合計)=268万5,000円(譲渡所得が発生し、確定申告と所得税の納付が必要)
しかし、譲渡所得が発生したとしても、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されれば、3,000万円以下の譲渡所得はなかったものとみなされ所得税は課されません。
つづいて、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用条件をご紹介しましょう。
確定申告の必要性と特例の適用条件
ここまでにご紹介した計算方法を用いれば、以前居住していた住宅を売却したことによって譲渡所得(利益)を得たか計算できます。
譲渡所得を得たのであれば、以前住んでいた住宅を売却した年の翌年などに確定申告を行いつつ所得税を納めなければなりません。
しかし、一定の条件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用され、譲渡所得から3,000万円が差し引かれることとなります。
譲渡所得が3,000万円以下の状況において同特例が適用されれば、譲渡所得はなかったものとみなされ所得税を納める必要はありません。
同特例の主な適用条件は、以下のとおりです。
- 自らが住んでいた建物、または自らが住んでいた建物とその建物が建つ土地を売却した
- 建物や土地を売却した年の前年、および前々年に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」など、住宅を売却や買い換えることによって適用される所得税の特例の適用を受けていない
- 建物や土地を売却した相手が、親子や夫婦など特別な間柄ではない
以上が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の主な適用条件であり、詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3302 マイホームを売ったときの特例」にてご確認いただけます。
なお、同特例の適用を受けるためには、住宅を売却した年の翌年などに、同特例の適用を受けるための確定申告が必要であるため注意してください。
また、同特例により所得税を納める必要がなくなるのは、以前住んでいた住宅を売却することにより得た譲渡所得にかかる所得税のみです。
給与所得など、その他の所得にかかる所得税は課されることとなります。
- 以前住んでいた住宅を売却しつつ譲渡所得がなかったのであれば、確定申告は不要
- 以前住んでいた住宅を売却しつつ譲渡所得があったのであれば、譲渡所得があったことの確定申告が必要
- 以前住んでいた住宅を売却しつつ譲渡所得があり、特例の適用を受けるためには、特例を適用するための確定申告が必要
- 特例の適用を受けることにより所得税を納める必要がなくなるのは、以前住んでいた住宅を売却することにより得た譲渡所得にかかる所得税のみ。給与所得など別の所得に課される所得税は納めなければならない。
くわえて、先述のとおり、相続した住宅を売却するなどして、いくらで取得したかわからない物件を売却した場合は、売却額の5%を取得費として譲渡所得を計算できます。
しかし、その方法を用いれば、明らかに取得費より安く売却した場合であっても譲渡所得が発生したこととなる場合があります。
そのような状況においても「居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用は可能であり、譲渡所得が3,000万円以下であれば所得税は課されません。
相続した住宅を売却し、現金で中古住宅を購入した方がいらっしゃいましたら、ぜひ同特例の適用を受けてください。
まとめ - 現金で中古住宅を購入後は不動産取得税の軽減措置の申告を忘れずに
現金で中古住宅や中古マンションを購入すると確定申告が必要かご紹介しました。
現金で中古住宅や中古マンションを購入した場合は、確定申告は不要です。
ただし、購入しつつ一定の条件を満たすリフォームをした場合は、確定申告を行うことによりリフォーム促進税制が適用されます。
また、以前住んでいた住宅を売却しつつ譲渡所得(利益)を得た場合は、譲渡所得があったことに対する確定申告が必要です。
しかし、所得税には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が設けられ、同特例が適用されれば、3,000万円までの譲渡所得に所得税が課されません。
現金で中古住宅を購入し、確定申告の必要性をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
余談ですが、昭和57年1月1日以降に新築された、床面積が50㎡以上240㎡以下の中古住宅や中古マンションを現金で購入した方は、不動産取得税の軽減措置の申告はお済みでしょうか?
その条件に該当する中古住宅や中古マンションを購入した場合は、税事務所に申告をすることにより1つ、または2つの不動産取得税の軽減措置が適用されます。
適用される軽減措置の名称は、「不動産取得税の課税標準の特例」と「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」です。
それらの軽減措置が適用されれば、これから不動産取得税を払うのであれば、払うべき税額が軽減されます。
すでに不動産取得税を払ったのであれば、払いすぎた額が還付されます。
軽減措置の詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開中の記事にてご紹介中です。ぜひご覧ください。
お役立ち記事
不動産取得税を軽減する措置の申請を忘れたときの対処法
本記事の内容が、現金で中古住宅を購入した皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2025年12月
記事公開日:2019年10月
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