地上権と区分地上権とは?賃借権との違いなどわかりやすく解説

地上権と区分地上権とは?賃借権との違いなどわかりやすく解説

地上権とは、建物などの工作物や樹木などの竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

区分地上権とは、トンネルや高架線などの工作物を所有するために、他人の土地の地下や上空を使用する権利を指します。

地上権と区分地上権、さらに法定地上権をわかりやすく解説し、地上権と賃借権、借地権、地役権との違いなどもご紹介しましょう。

目次

1. 地上権とは?

地上権とは、建物や道路、駐車場、太陽光発電設備などの工作物や、樹木や竹などの竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

地上権は、土地の所有者と借り主が「地上権設定契約」という契約を結びつつ土地を貸し借りすることにより、土地の借り主が取得します。

地上権を取得した土地の借り主は、その土地に住宅を建てつつ居住する、店舗を設置して営業する、ソーラーパネルを置きつつ発電して売電する、竹木を育てて商売をするなどして使用することが可能です。

地上権とは、工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利

たとえば、コインパーキングを設置し、駐車料金による利益を得たいと希望するAさんがいらっしゃったとしましょう。

Aさんは土地を所有しておらず、土地を借りてコインパーキングを設置したいと考え、土地を探しています。

そして、Aさんは、Bさんが所有するコインパーキングにちょうど良い土地を見つけ、Bさんに土地を借りたいと伝えたところ承諾を得ることができました。

しかし、Aさんは、口約束だけでは安心して土地を使用できません。

そのような際に結ばれるのが「地上権設定契約」であり、地上権設定契約を結びつつ土地を貸し借りすれば、土地の借り主であるAさんは地上権を取得し、安心して土地を使用できます。

地上権を有する者を「地上権者(ちじょうけんしゃ)」と呼び、地上権者の意味は民法の第二百六十五条に記され、その部分をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のようになります。

民法 第二百六十五条(地上権の内容)
地上権者は、他人の土地に工作物、または竹木を所有するために、その土地を使用する権利を有する

地上権者の意味は民法に記され、地上権の意味は民法から察することができます。

つづいて、地上権の詳細をわかりやすく簡単にご紹介しましょう。

1-1. 地上権を取得する際は、土地所有者に代金を支払うのが通例

地上権は、地上権設定契約を結びつつ土地が貸し借りされることにより、土地の借り主が取得しますが、地上権設定契約が結ばれる際は、必ずではないものの、借り主が土地所有者に一定の代金を支払うのが通例です。

支払われる代金は、高ければその土地の実勢価格の7割、安ければ2割が相場などといわれますが、借り主と土地所有者が協議しつつ決定します。

地上権を取得する際は、土地所有者に代金を支払う

なお、地上権は、地上権設定契約を結びつつ土地が貸し借りされることにより土地の借り主が取得しますが、相続などによって取得することもあります。

たとえば、地上権を有する親が亡くなれば、その子供が地上権を相続しつつ取得するなどです。

地上権は相続することが可能であり、地上権を相続した相続人は、その権利を引き継ぎます。

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1-2. 地上権は、土地が貸し借りされる期間を自由に設定できる

地上権設定契約によって土地を貸し借りする際は、土地の借り主と土地所有者が協議をしつつ、土地を貸し借りする期間を自由に定めることができます。

たとえば、10年に限り土地を貸し借りすることや、永久に貸し借りすることとし、その取り決めを含めた地上権設定契約を結ぶことができるといった具合です。

地上権は、土地が貸し借りされる期間を自由に設定できる

土地の借り主と土地所有者が、土地を貸し借りする期間を自由に設定できるのは当然と感じますが、実は地上権ならではの特性です。

地上権と同じく、土地の借り主が有する権利に「借地権(しゃくちけん)」があります。

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を使用する権利です。

地上権は工作物と竹木を所有するために他人の土地を使用する権利ですが、借地権は建物を所有するためのみに他人の土地を使用する権利を指します。

借地権は、土地の所有者と借り主が「借地契約」という契約を結びつつ土地を貸し借りすることにより、土地の借り主が取得します。

そして、借地権は「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」という法律により、土地を貸し借りする期間は最低でも30年と規定され、借地契約によってそれより短い期間が設定されたとしても無効とされます。

最低でも30年にわたり土地が貸し借りされるのは、借りた土地に建物を建てつつ使用する借り主を保護するためです。

借地権を有する土地の借り主は、借地権を行使しつつ借りた土地に建物を建てて使用できますが、建物を建てた途端、土地の所有者から立ち退きを請求されては困ります。

よって、借地権は借地借家法により、土地が貸し借りされる期間は最低でも30年と定められています。

これに対して、地上権は、土地を貸し借りする期間を自由に設定できます。

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1-3. 地上権は、土地所有者の承諾なしで譲渡できる

地上権とは、工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利ですが、地上権を有する土地の借り主は、土地の所有者の承諾を必要とせず、地上権を第三者に譲渡(じょうと)したり賃貸(ちんたい)できます。

譲渡とは有償無償問わず譲り渡すことであり、賃貸とは賃料を取りつつ貸すことです。

ただし、地上権設定契約に「地上権者(地上権を有する土地の借り主)は、地上権を譲渡したり賃貸することはできない」などの取り決めが含まれている場合は、地上権者は地上権を譲渡したり賃貸できません。

なお、先述のとおり、地上権と同じく土地の借り主が有する権利に「借地権」があります。

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を使用する権利です。

そして、借地権を譲渡する際は、原則として土地の所有者の承諾が必要であり、承諾を得ずに譲渡すると、土地所有者は契約を解除できます。

つまり、土地の借り主からすれば、借地権で土地を借りるより、地上権で土地を借りる方が立場が強いというわけです。

一方、土地の所有者からすれば、借地権で土地を貸すより、地上権で土地を貸す方が立場が弱くなります。

これを理由に、土地所有者が土地を貸す際は、地上権ではなく借地権が採用されるのが通例です。

地上権は、土地所有者の承諾なしで譲渡や賃貸できる

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1-4. 地上権設定契約は、地代を定めずとも締結できる

地上権設定契約を結びつつ土地を貸し借りする際は、地代(土地の借り賃)を必ず定める必要はありません。

地代を定めなくとも地上権設定契約は成立します。

もちろん、地代を定めた地上権設定契約を結ぶこともでき、土地の借り主と土地所有者が合意すれば、地代を定めることが可能です。

地代を定める場合は、借り主と土地所有者が協議しつつ額を決定しますが、固定資産税と都市計画税の合計額の3倍から5倍程度が相場といわれます。

たとえば、その土地の固定資産税と都市計画税の合計が毎年10万円であれば、地代は年間30万円から50万円になるといった具合です。

固定資産税とは、1月1日の時点で土地や建物などを所有する方に課される地方税(市町村が徴収する税金)であり、土地や建物を所有し続ける場合は、毎年固定資産税が課されます。

都市計画税とは、1月1日の時点で市街化区域に位置する土地や建物を所有する方に課される目的税(特定の経費を賄うために徴収される地方税)であり、市街化区域に位置する土地や建物を所有し続ける場合は、固定資産税と同じく毎年課されます。

地上権設定契約は、地代を設定せずとも契約できる

なお、地上権と同じく土地の借り主が有する権利に「賃借権(ちんしゃくけん)」かあります。

賃借権とは、「賃貸借契約(ちんたいしゃくけいやく)」という契約を結びつつ土地や建物が貸し借りされることにより、土地や建物の借り主が取得する権利です。

そして、賃貸借契約を結びつつ土地を貸し借りする際は、必ず地代(賃料)を定めなくてはなりません。

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1-5. 地上権者には「登記請求権」がある

地上権者(地上権を有する土地の借り主)は、土地の所有者に、自分が地上権を有することを登記するために必要となる手続きに協力するように請求する権利を有します。

地上権者は、登記をすることにより、第三者が同じ土地の地上権者になることなどを防ぐことが可能です。

難解ですが、たとえ話を用いてこれをわかりやすく簡単にご説明しましょう。

土地の借り主であり地上権者である「Aさん」と、Aさんに土地を貸す土地所有者の「Cさん」がいらっしゃいました。

Aさんが借りた土地に建物を建てつつ使おうとしたところ、土地所有者のCさんが「Bさん」と地上権設定契約を結び、その土地をBさんにも貸してしまいました。

これでは、Aさんは満足に土地を使用できません。

地上権者は、土地所有者に地上権設定登記を請求できる

そのような事態になることを防ぐために、土地の借り主であるAさんは「地上権設定登記」という登記をすることができます。

登記とは、法務省の地方支部局である「法務局」に設置されている登記簿という帳簿に、不動産に関する何かしらの権利を有することを記す行為です。

日本にはたくさんの土地や建物などの不動産が存在し、それぞれの不動産には所有権などの権利を有する者が存在しますが、それらの権利を有する者は、権利を有することを登記簿に記します。

登記簿に記せば、権利を有することを第三者に主張できるようになり、他人が勝手に自分の土地を使用するなどの行為を防ぐことができるためです。

これを理由に登記簿には、日本全国各地の土地や建物などの不動産の権利を有する者に関する情報が多数記されています。

登記簿には不動産の権利を有する者に関する情報が記されている

そして、地上権者(地上権を有する土地の借り主)は、自らがその土地の地上権を有することを登記簿に記すことが可能であり、登記簿に記せば、第三者が同じ土地の地上権者になることを防ぐことができます。

また、地上権者が、自らがその土地の地上権を有することを登記簿に記せば、その土地の所有者が代わったとしても、新たな所有者にも地上権を有することを主張でき、立ち退きを請求されることなどを防ぐことが可能です。

地上権者が、その土地の地上権を有することを登記簿に記す行為を「地上権設定登記」と呼びます。

地上権者が地上権設定登記を行う際は、土地所有者の印鑑証明などが必要となりますが、提供するように請求する権利を有します。

これを「登記請求権」と呼び、地上権者には登記請求権があります。

なお、地上権者は、借りた土地に建物を建て、その建物の所有権を有することを登記することでも、第三者が同じ土地の地上権者になることなどを防ぐことが可能です。

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2. 区分地上権とは?

地上権と共に見聞きする不動産用語に「区分地上権(くぶんちじょうけん)」があります。

区分地上権とは、トンネルや送電線などの工作物を所有するために、他人の土地の地下や上空を使用する権利です。

ここからは、区分地上権をわかりやすく解説しましょう。

その前に、地上権の意味をおさらいします。

地上権とは、建物や道路、駐車場、太陽光発電設備などの工作物や、樹木や竹などの竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

地上権は、土地の借り主と土地所有者が「地上権設定契約」を結びつつ土地が貸し借りされることにより、土地の借り主が取得します。

地上権を取得した土地の借り主は、住宅などの工作物を建てつつ居住したり、竹木を植えつつ育成するなどして、その土地を使用する権利を有します。

地上権とは、工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利

一方、区分地上権は、他人の土地そのものではなく、他人の土地の地下や上空を使用できる権利を意味します。

区分地上権は、他人の土地の地下や上空を使用したいと希望する者と、土地の所有者が「区分地上権設定契約」を結ぶことにより、他人の土地の地下や上空を使用したいと希望する者が取得します。

他人の土地の地下や上空を使用したいと希望する者とは、トンネルを通したいと希望する国や都道府県、地下鉄を通したいと希望する鉄道会社、高圧電線を架設したいと希望する電力会社などです。

他人の土地を使用する権利が「地上権」であるのに対し、他人の土地の地下や上空を使用できる権利が「区分地上権」です。

また、地上権は工作物と竹木を所有するために他人の土地を使用できる権利ですが、区分地上権は工作物のみを所有するために他人の土地を使用する権利となります。

区分地上権とは、トンネルや送電線などの工作物を所有するために、他人の土地の地下や上空を使用できる権利

つづいて、区分地上権の詳細を簡単にご紹介しましょう。

2-1. 区分地上権設定契約時は、土地所有者に補償金が支払われる

地上権は、土地の借り主と土地所有者が「地上権設定契約」を結びつつ土地が貸し借りされることにより、土地の借り主が取得します。

土地の借り主が地上権を取得する際は、本記事の「1-1. 地上権を取得する際は、土地所有者に代金を支払うのが通例」にてご紹介したように、土地所有者に一定の代金を支払うのが通例です。

これに対して、区分地上権は、土地の地下や上空の使用を希望する者と土地所有者が、「区分地上権設定契約」を結ぶことにより、地下や上空の使用を希望する者が取得します。

そして、地上権設定契約の際は、土地の地下や上空の使用を希望する者が、土地所有者に対して「補償金」という名目で一定の代金を支払うのが通例です。

補償金の額は、その土地の実勢価格や現状、その土地の地下や上空が使用されることにより土地所有者が制限される行為の程度によって異なり、実勢価格が高く、土地所有者が制限される事項が多いほど高額になります。

国土交通省関東地方整備局が公開する資料の7ページには、国土交通省関東地方整備局と東京都によって実施される「東京外かく環状道路(関越~東名)事業」による区分地上権の取得に関する補償金の算定方法が記されています。

区分地上権の補償金の算定方法が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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2-2. 土地所有者は、ひとつの土地に地上権と区分地上権を設定できる

他人の土地を使用できる権利が地上権であり、他人の土地の地下や上空を使用できる権利が区分地上権ですが、土地所有者は、ひとつの土地に地上権を持つ者と、区分地上権を持つ者を混在させることができます。

たとえば、Aさんと地上権設定契約を結びつつ土地をAさんに貸し、鉄道会社と区分地上権設定契約を結びつつ土地の地下を鉄道会社に貸し、電力会社と区分地上権設定契約を結びつつ土地の上空を電力会社に貸すといった具合です。

土地所有者は、ひとつの土地に地上権と区分地上権を設定できる

ただし、土地所有者がひとつの土地を用いて地上権設定契約と区分地上権設定契約を結び、複数の者に土地を貸す際は、利害関係者の承諾を得なければなりません。

例を挙げると、Aさんと地上権設定契約を結んだ後に、国と区分地上権設定契約を結ぶ際は、Aさんの承諾が必要になるといった具合です。

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2-3. 区分地上権設定契約後は「区分地上権設定登記」が行われる

この記事の「1-5. 地上権者には「登記請求権」がある」にてご紹介したとおり、地上権設定契約を結びつつ土地の借り主が地上権を取得すれば、そのことを登記することにより、第三者が同じ土地の地上権を取得することなどを防ぐことができます。

その登記を「地上権設定登記」と呼びます。

これは、区分地上権設定契約が結ばれた場合も同じであり、区分地上権設定契約を結びつつ区分地上権を取得した者は、そのことを登記することにより、第三者が同じ土地の同じ部分の区分地上権を取得することなどを防ぐことが可能です。

その登記は「区分地上権設定登記」と呼びます。

たとえば、土地所有者のAさんがいらっしゃったとしましょう。

Aさんは、国と区分地上権設定契約を結び、その土地の地下を国に使用させることとしましたが、その後、鉄道会社とも区分地上権設定契約を結び、同じくその土地の地下を鉄道会社にも使用させることとしました。

これでは、国は思うように土地の地下を使用できません。

そのようなことになることを防ぐために、区分地上権を取得した者は、自らがその土地の区分地上権を有することを登記簿に記す「区分地上権設定登記」を行います。

登記簿とは、法務省の地方支部局「法務局」に設置されている、日本全国各地の土地や建物の権利を有する者に関する情報が記された公の帳簿です。

区分地上権を取得した者が区分地上権設定登記を行えば、その土地の所有者が、第三者とその土地の同じ部分(地下または上空)の区分所有権設定契約を結ぶことを防ぐことができます。

また、その土地の所有者が代わったとしても、新たな所有者に、自らが区分所有権を有することを主張することが可能です。

国土交通省関東地方整備局が公開する資料には、区分地上権設定登記が行われた登記簿の見本が掲載されており、その部分を抜粋すると以下のとおりです。

区分地上権設定契約後は「区分地上権設定登記」が行われる

出典:国土交通省関東地方整備局

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3. 法定地上権とは?

地上権と共に見聞きする不動産用語に「区分地上権」がありますが、「法定地上権(ほうていちじょうけん)」という言葉もあります。

法定地上権とは、建物や土地を担保(借金の形)として提供しつつ資金を借り入れ、返済を滞らせることにより建物や土地が競売にかけられつつ競落され、建物と土地の所有者が異なる状況が発生した場合において、建物の所有者に与えられる地上権です。

上記の文章を読む限りこの上なく難解ですが、「3つのステップ」で法定地上権をわかりやすく簡単に解説しましょう。

3-1. まずは「抵当権」を理解する

まずは、「抵当権(ていとうけん)」という不動産用語を理解しましょう。

抵当権とは、土地や建物を担保として提供されつつ資金を貸し出した者が、資金の借り主が返済を滞らせた際に、担保として提供された不動産を不動産競売にかけ、競落人(けいらくにん)から支払われた物件代金を受け取る権利です。

ここでいう担保とは「借金の形(かた)」であり、不動産競売とは「不動産オークション」、競落人とはヤフーオークションでいうところの「落札者」を意味します。

  • 担保とは? … 借金の形
  • 不動産競売とは? … 地方裁判所が実施する不動産オークション
  • 競落人とは? … 不動産競売で不動産を落札した者

たとえば、住宅ローンを利用し、銀行から住宅購入資金を借り入れつつ住宅を購入したAさんがいらっしゃったとしましょう。

この状況において銀行は、資金を貸し出す代わりに、Aさんが購入する住宅と土地を担保(借金の形)に取り、抵当権を取得します。

先述のとおり抵当権とは、資金の借り主が返済を滞らせた際に、担保に取った建物や土地を不動産競売にかけ、競落人から支払われた物件代金を受け取る権利です。

抵当権を取得した銀行は、Aさんが返済を滞らせれば、抵当権を行使しつつ担保に取った住宅と土地を不動産競売にかけ、競落人から支払われた物件代金を受け取ります。

これにより銀行は、貸し倒れを防ぐことができます。

抵当権者は抵当権を行使することにより貸し倒れを防ぐことができる

また、資金の借り入れを希望するBさんがいらっしゃったとしましょう。

Bさんは住宅と土地を所有し、その土地のみをCさんに担保(借金の形)として提供しつつ資金を借り入れ、Cさんは土地の抵当権を取得しました。

その状況においてCさんは、Bさんが返済を滞らせれば土地を不動産競売にかけ、落札者から支払われた物件代金を受け取る権利を有します。

抵当権の意味は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開するコンテンツにてよりわかりやすく解説中です。

抵当権の詳細をお知りになりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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3-2. つぎに「地上権」をおさらいする

つぎに、本記事のテーマである「地上権」の意味をおさらいします。

地上権とは、工作物や竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

工作物とは建物や電柱、道路、駐車場、太陽光発電設備などであり、竹木とは樹木や竹などを指します。

地上権の詳細は、この記事の「1. 地上権とは?」にてご確認いただけます。

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3-3. 最後に「法定地上権」を理解する

最後に、法定地上権を理解しましょう。

資金の貸し主が抵当権を行使し、建物や土地を不動産競売にかければ、建物と土地の所有者が異なる状況が発生することがあります。

たとえば、住宅と、その住宅が建つ土地を所有し、資金の借り入れを希望するAさんがいらっしゃったとしましょう。

Aさんは、Bさんに土地のみを担保として提供し、Bさんから資金を借り入れ、Bさんは土地の抵当権を取得しました。

この状況においてAさんが返済を滞らせれば、Bさんは担保に取った土地を不動産競売にかけ、競落人から支払われた物件代金を受け取る権利を有します。

しかし、土地のみが競落されつつ他人の所有物になれば、資金の借り主であるAさんは、その土地に建つ住宅は以前と変わらず所有するものの、事実上その住宅を使用できなくなります。

そのような状況において資金の借り主が自動的に取得するのが、法定地上権です。

法定地上権を取得した資金の借り主は、地上権を有する者と同じく、その土地を使用する権利を有します。

これにより、建物のみを所有することとなったAさんは、以前と変わらず建物を使用し続けることが可能です。

法定地上権とは、抵当権により建物と土地の所有者が異なる状況が発生した場合において与えられる地上権

また、法定地上権は、抵当権を行使しつつ不動産競売にかけられた建物を競落し、建物のみを所有することとなった競落人にも与えられます。

建物は土地と一対ですが、建物のみを所有することとなった競落人は法定地上権を取得し、その土地を使用できる地上権を得て、建物を使用できるようになります。

なお、法定地上権は、抵当権が行使されつつ建物や土地が不動産競売にかけられ、建物と土地の所有者が異なる状況が発生した場合において、建物の所有者に与えられるため留意してください。

ただ単に、建物のみを購入した場合などは、法定地上権は与えられません。

法定地上権の詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開するコンテンツにてよりわかりやすく解説中です。

法定地上権をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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4. 地上権と賃借権の違い

地上権と同じく不動産の借り主が有する権利に「賃借権(ちんしゃくけん)」があり、多くの方がその違いに戸惑います。

地上権は「物権」という権利であるのに対し、賃借権は「債権」という権利であるという大きな違いがあり、それに伴う不動産の貸し主の修繕義務、借り主の登記請求権、借り主がその権利を譲渡や転貸できる条件などが違います。

ここからは、地上権と賃借権の違いをわかりやすく簡単に解説しましょう。

まずは、地上権の意味をおさらいします。

地上権とは、建物や駐車場などの工作物や、樹木や竹などの竹林を所有するために他人の土地を使用する権利であり、地上権設定契約を結びつつ土地を借りた者が取得します。

地上権を取得した土地の借り主は、借りた土地に建物を建てるなどして使用する権利を有します。

一方、賃借権とは、賃貸借契約(ちんたいしゃくけいやく)を結びつつ土地や建物などが貸し借りされることにより、その借り主が取得する権利です。

賃貸借契約が結ばれれば、土地や建物の貸し主は、借り主が土地や建物を使用する、または使用しつつ収益を上げることを承諾したこととなります。

また、賃貸借契約が結ばれれば、土地や建物の借り主は、契約期間中は賃料を支払い、契約が完了すれば、借りた土地や建物を貸し主に返還することを約束したこととなります。

つまり、賃借権を取得した土地や建物の借り主は、賃料を支払い、契約が完了すれば借りた土地や建物を返還することを条件として、借りた土地や建物を使用する権利を有するというわけです。

地上権と賃借権の違い

地上権 賃借権
どんな権利? 工作物や竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利 賃貸借契約を結びつつ借りた土地や建物を使用する権利
誰がどうやって取得する? 地上権設定契約を結びつつ土地を借りた者が取得する 賃貸借契約を結びつつ土地や建物を借りた者が取得する

つづいて、地上権と賃借権の違いをもう少し詳しくご紹介しましょう。

4-1. 地上権と賃借権は、土地や建物の貸し主の修繕義務が違う

地上権と賃借権は、土地や建物の貸し主の修繕義務が違います。

地上権を有する者に土地を貸す者は、その土地を修繕する義務を負いません。

これに対して、賃借権を有する者に土地や建物を貸す者は、一部例外を除き、その土地や建物を修繕する義務を負います。

たとえば、地上権を有する者に土地を貸す者は、その土地の一部が崩れたとしても修繕する必要はありません。

一方、賃借権を有する者に土地や建物を貸す者は、その土地や建物が満足に使用できなくなれば、修繕しなくてはなりません。

この地上権と賃借権の違いは、民法において地上権は「物権(ぶっけん)」という権利であるのに対し、賃借権は「債権(さいけん)」という権利であることが理由です。

物権とは、なにかしらの物を支配する権利であり、物権である地上権を有する土地の借り主は、借りた土地を支配する権利を有するため、借りた土地に不備があれば、自らが修繕をしなくてはなりません。

債権とは、人に対して一定の行為を請求できる権利であり、債権である賃借権を有する土地や建物の借り主は、その土地や建物に修繕が必要な場合は、それを貸し主に請求できます。

地上権と賃借権は、土地や建物の貸し主の修繕義務が違う

なお、不動産の賃貸借契約には、住宅を貸し借りするための「居住用賃貸借契約」と、店舗や事務所などの事業用不動産を貸し借りするための「事業用賃貸借契約」があります。

そして、「事業用賃貸借契約」である場合は、貸し主は修繕義務を必ずしも負わないため留意してください。

「事業用賃貸借契約」である場合は、その契約内容によって貸し主が修繕する義務を負うか否か決定します。

居住用賃貸借契約は居住者を保護するために貸し主が修繕義務を負うが、事業用賃貸借契約は商売を志す事業者同士の取り決めによって詳細が決定される、といった具合です。

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4-2. 地上権と賃借権は、権利を譲渡や転貸できる条件が違う

地上権と賃借権は、その権利を第三者に譲渡(じょうと)や転貸(てんたい)できる条件が違います。

譲渡とは有償無償問わず何かしら譲り渡すことであり、転貸とはいわゆる又貸しです。

土地の借り主が、自らが有する地上権を譲渡や転貸する際は、土地所有者の承諾は不要です。

これに対して、土地や建物の借り主が、自らが有する賃借権を譲渡や転貸する際は、土地や建物の所有者の承諾を得なければなりません。

これも前述のように、地上権は物権であるのに対し、賃借権は債権であることが理由です。

物権(なにかしらの物を支配する権利)である地上権は賃借権より権利が強く、地上権を有する土地の借り主は、土地所有者の承諾を必要とせず地上権を譲渡や転貸できます。

一方、債権(人に対して一定の行為を請求する権利)に留まる賃借権は地上権より権利が弱く、賃借権を有する土地や建物の借り主は、土地や建物の所有者の承諾を得なくては、賃借権を譲渡や転貸できません。

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4-3. 地上権と賃借権は、借り主の登記請求権の有無が違う

地上権と賃借権は、借り主の登記請求権の有無が違います。

地上権を有する土地の借り主には登記請求権がありますが、賃借権を有する土地や建物の借り主は登記請求権がありません。

地上権や賃借権における登記請求権とは、地上権を有する土地の借り主または賃借権を有する土地や建物の借り主が、自らが地上権もしくは賃借権を有することを登記することに協力するように、土地や建物の貸し主に請求できる権利です。

注釈
登記とは、土地や建物に関する何かしらの権利を有することを、法務省の地方支部局である「法務局」に設置されている「登記簿」という帳簿に記す行為です。

土地や建物の所有権を持つ者は、その土地や建物の所有権を有することを登記すれば、その土地や建物の所有権を有することを第三者に主張できるようになります。

これにより土地や建物の所有者は、第三者がその土地や建物を勝手に使用するようなことを防ぐことが可能です。

地上権などの権利を持つ者も同じであり、権利を有することを登記すれば、自らが権利を有することを第三者に主張できるようになります。

この記事の「1-5. 地上権者には「登記請求権」がある」にてご紹介したとおり、地上権を有する土地の借り主は、土地所有者に「地上権設定登記(自らがその土地の地上権を有することの登記)」に必要な手続きに協力するように請求する権利を有します。

地上権を有する者が「地上権設定登記」を行えば、土地所有者が同じ土地を第三者に貸すことなどを防ぐことが可能です。

これに対して、賃借権を有する土地や建物の借り主は、「賃借権設定登記(自らがその土地や建物の賃借権を有することの登記)」はできるものの、土地や建物の所有者に登記に必要な手続きに協力するように請求する権利を有しません。

地上権設定登記も賃借権設定登記も、登記の際は土地、または建物の所有者の印鑑証明などが必要となります。

しかし、賃借権を有する土地や建物の借り主は、それらを提供するように土地や建物の所有者に請求する権利がないというわけです。

地上権と賃借権は、借り主の登記請求権の有無が違う

ただし、賃借権を有する土地の借り主は、その土地に建物を建て、自らがその建物の所有権を有することの登記を行えば、その土地の賃借権を有することを第三者に主張できるようになります。

また、賃借権を有する建物の借り主は、建物の引き渡しを受けることにより、その建物の賃借権を有することを第三者に主張できるようになります。

これにより、賃借権を有する土地や建物の借り主は、借りている最中の土地や建物が第三者に貸し出されることを防ぐことが可能です。

くわえて、賃借権を有する土地や建物の借り主は、借りている最中の土地や建物の所有者が変わり、新たに所有者となった者から立ち退きを請求されるような事態になることを防ぐこともできます。

なお、先に「賃借権を有する者は登記請求権がない」とご紹介しましたが、賃貸借契約に「借り主が賃借権設定登記を行う場合は、貸し主は協力しなくてはならない」などの特約が含まれている場合は、その限りではないため留意してください。

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5. 地上権と借地権の違い

地上権と同じく土地を借りる者が有する権利に「借地権(しゃくちけん)」があり、地上権と借地権は違いがわかりにくいという特徴があります。

地上権と借地権は、土地の使用目的、権利の存続期間、権利を譲渡や転貸できる条件、地代を設定する必要性などが違います。

ここからは、地上権と借地権の違いをわかりやすく簡単に解説しましょう。

まずは、地上権の意味の復習です。

地上権とは、工作物や竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

工作物とは、建物や道路、駐車場、電柱、高架線、地下鉄や自動車が走るトンネルなどを指し、竹木とは樹木や竹を指します。

これに対して、借地権とは、建物を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

つまり、地上権は建物を含む工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利であるのに対し、借地権は建物を所有するためのみに他人の土地を使用する権利であるというわけです。

地上権と借地権の違いは、土地の使用目的にある

その他にも地上権と借地権にはいくつかの違いがあり、詳細は以下のとおりです。

5-1. 地上権と借地権は、土地が貸し借りされる期間が違う

地上権と借地権は、土地が貸し借りされる期間が違います。

地上権を有する者(土地の借り主)が土地を借りる期間は、借り主と土地所有者が協議しつつ決定することが可能です。

「10年に限り土地が貸し借りされる」や「永久に土地が貸し借りされる」など、自由に設定できます。

これに対して、借地権を有する者(土地の借り主)が土地を借りる期間は、最低でも30年です。

借地権は「借地契約」という契約を結びつつ土地を貸し借りすることにより、土地の借り主が取得します。

そして、借地契約に「土地が貸し借りされる期間は10年である」など、30年に満たない期間が設定されていたとしても無効であり、最低でも30年にわたり土地が貸し借りされます。

30年に満たない時点で借地契約を解除しつつ土地を返還したい、または返還を受けたい場合は、借り主と土地所有者が協議し、合意した場合に限り解除することが可能です。

ちなみに、借地権を有する者を「借地権者(しゃくちけんしゃ)」と呼び、借地権者に土地を貸す者を「借地権設定者(しゃくちけんせっていしゃ)」と呼びます。

一方、地上権を有する者は「地上権者(ちじょうけんしゃ)」と呼びますが、地上権者に土地を貸す者を「地上権設定者」と呼ぶことは稀です。

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5-2. 地上権と借地権は、権利を譲渡や転貸できる条件が違う

地上権と借地権は、土地の借り主が、有する権利を譲渡(じょうと)や転貸(てんたい)できる条件が違います。

譲渡とは有償無償問わず何かしらを譲り渡すことであり、転貸とは又貸しです。

地上権を有する土地の借り主は、土地所有者の承諾を得ずとも、地上権を譲渡や転貸できます。

これに対して、借地権を有する土地の借り主は、土地所有者の承諾がなければ借地権を譲渡したり転貸できません。

ただし、借地権者が借地権を譲渡、または転貸することにより土地所有者に不利益が生じないにもかかわらず、借地権者が借地権を譲渡や転貸することを土地所有者が承諾しない場合は、この限りではありません。

不利益が生じないにもかかわらず承諾しない場合は、借地権を有する土地の借り主は、裁判所に「土地の賃借権譲渡許可」の申し立てをすることができます。

申し立てをすれば、裁判所によって土地所有者に不利益が生じないか審議され、生じないと判断されれば、裁判所が土地所有者に代わって譲渡、または転貸する許可を出します。

許可が出れば、借地権を有する土地の借り主は、土地所有者の承諾を得ることができなくとも、借地権を譲渡や転貸することが可能です。

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5-3. 地上権と借地権は、権利の価値が違う

地上権と借地権は、その権利の価値が違います。

先にご紹介したとおり、地上権を有する土地の借り主は、土地所有者の承諾を得ずとも、その権利を譲渡や転貸できます。

これに対して、借地権を有する土地の借り主は、原則として土地所有者の承諾がなければ、その権利を譲渡や転貸できません。

つまり、借地権を有する土地の借り主より、地上権を有する土地の借り主の方が立場が強いというわけです。

これにより、地上権や借地権が譲渡される際は、必ずではありませんが、立地条件などが同じであれば地上権の方が高く譲渡される傾向があります。

地上権と借地権は、権利の価値が違う

なお、先述のとおり、地上権は土地所有者の承諾を必要とせず譲渡や転貸が可能であり、借地権は原則として土地所有者の承諾がなければ譲渡や転貸できません。

その状況を土地所有者の立場から見れば、地上権で土地を貸すより借地権で貸す方が立場が強いこととなります。

よって、土地が貸し借りされる際は、地上権ではなく借地権が用いられることが多く、アットホームなどの不動産検索サイトで借り地を検索すると、その多くは借地権となっています。

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6. 地上権と地役権の違い

地上権と共に知っておきたい不動産用語に「地役権(ちえきけん)」があり、GoogleやYahoo!で地上権と地役権の違いをお調べの方が少なからずいらっしゃるようです。

地役権とは、自分の土地をより便利に使用する、または自分の土地の価値をより高めるために、他人の土地を利用できる権利です。

地上権と地役権は、その性質、土地所有者が土地を使用できる権利などが違います。

ここからは、地上権と地役権の違いをわかりやすく解説しましょう。

まずは、地上権の意味をおさらいします。

地上権とは、建物や電柱、高架線、道路、駐車場、太陽光発電設備、地下鉄が走るトンネルなどの工作物や、樹木や竹などの竹木を所有するために、他人の土地を使用する権利です。

一方、地役権とは、自分が所有する土地の利便性などを高めるために、他人の土地を利用できる権利を指します。

たとえば、道路に接していない「土地A」を所有するAさんがいらっしゃったとしましょう。

土地Aは接道していませんが、お隣の「土地B」は接道しています。

その状況においてAさんは、道路から自分の土地である「土地A」に出入りするために「土地B」を通行できる権利を有し、その権利が地役権です。

地役権により利便性が高まる土地を「要役地(ようえきち)」、地役権によって利用される土地を「承役地(しょうえきち)」と呼びます。

地役権とは、自分の土地の価値を高めるために、他人の土地を利用する権利

つづいて、地上権と地役権の違いを簡単にご紹介しましょう。

6-1. 地上権と地役権は、土地所有者の権利が違う

地上権と地役権は、土地所有者の権利が違います。

地上権を有する者に土地を貸す土地所有者は、貸している最中の土地を利用する権利がありません。

これに対して、承役地(地役権を有する者が利用する土地)の所有者は、地役権を有する者の行為を制限しない範囲で、承役地に設置された建物などの工作物を使用できます。

ただし、承役地の所有者は、その承役地を所有する限り、承役地に設置された工作物の保存や修繕に必要となる費用を負担しなくてはなりません。

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6-2. 地上権と地役権は、一筆の土地に設定される権利の数が違う

地上権と地役権は、一筆の土地に設定される権利の数が違います。

地上権は、原則として一つの土地に一つだけ設定できますが、地役権は、一つの土地にいくつも設定することが可能です。

たとえば、地上権を有するAさんが借りる「土地A」があったとしましょう。

土地Aを使用できるのは原則としてAさんのみであり、一つの土地に、地上権を有する複数の者が存在することはありません。

これに対して地役権は、一つの土地にいくつも設定できます。

例を挙げると、複数の要役地(地役権を有する者の土地)のそれぞれの所有者が、一つの承役地(地役権を有する者が利用する土地)を利用しつつ道路から出入りするなどです。

一つの承役地は、地役権を持つ複数の者が利用できます。

この地上権と地役権の違いを「排他性の違い」などと呼びます。

地上権と地役権は排他性が違う

なお、地上権には「普通地上権」と「区分地上権」があり、一つの土地に普通地上権と区分地上権を設定することはできるため留意してください。

普通地上権とはいわゆる一般の地上権であり、区分地上権とは、トンネルや高架線などの工作物を所有するために、他人の土地の地下や上空を使用する権利です。

区分地上権の詳細は、本記事の「2. 区分地上権とは?」にてご確認いただけます。

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まとめ

地上権や区分地上権、法定地上権をわかりやすく解説し、地上権と賃借権、借地権、地役権との違いをご紹介しました。

地上権とは、工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利です。

区分地上権とは、工作物を所有するために、他人の土地の地下や上空を使用する権利を指します。

法定地上権とは、抵当権が設定された土地や建物が不動産競売にかけられることにより、土地と建物の所有者が異なる状況が発生した場合において、建物の所有者に与えられる地上権です。

地上権と賃借権は、物権であることと債権であることに大きな違いがあり、それに伴う土地や建物の所有者の修繕義務などが違います。

地上権と借地権は、土地が貸し借りされる期間、その権利を譲渡や転貸できる条件、権利の価値などが違います。

地上権と地役権は、土地所有者が土地を使用できる権利、排他性などが違います。

地上権や区分地上権、地上権と賃借権、借地権、地役権の違いをお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2023年2月
記事公開日:2020年4月

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