登記済証や登記済み権利証とは?登記簿謄本との違いなど解説
登記済証とは、平成17年3月6日以前などに発行された不動産の権利証です。
登記済証をわかりやすく解説し、登記済権利証や登記簿謄本との違い、紛失した場合の代替手段などをご説明しましょう。
なお、権利証は権利書とも呼びますが、この記事では「権利証」で統一させていただきます。
目次
- 1. 登記済証とは、不動産の権利証のこと
- 1-1. あらためて登記済証をわかりやすく解説
- 2. 登記済み権利証とは?
- 3. 登記済権利証と登記簿謄本の違い
- まとめ - 登記済証は紛失しても再発行されないが代替手段がある
1. 登記済証とは、不動産の権利証のこと
それでは、登記済証をわかりやすく解説しましょう。
その前に、登記済証という不動産用語の冒頭にある 登記の意味を理解してください。
登記の意味をご存じの方は、次の項目である「1-1. あらためて登記済証をわかりやすく解説」まで読み飛ばしていただいて構いません。
登記とは、法務省の地方支部局である法務局が管理する登記簿という公の帳簿に、自らが所有する不動産の情報を記す行為です。
土地や建物などの不動産は、品物のように記名できません。
よって、不動産を取得した方は、その不動産の所有者が自分であることなどの情報を登記簿に記します。
その不動産の所有者が自分であることなどの情報を登記簿に記せば、不動産の持ち主は所有権を主張できるようになり、他人が勝手に名義を書き換えるなどの不正を防ぐことが可能です。
以上が登記済証という不動産用語に含まれる登記の意味です。
つづいて、登記済証の意味をわかりやすく簡単にご説明しましょう。
1-1. あらためて登記済証をわかりやすく解説
登記済証とは、以下のような登記済みという赤い印が押された、登記申請書の写しです。
この記事の「1. 登記済証とは、不動産の権利証のこと」にてご紹介しましたが、不動産を取得した方は、その不動産の所有者が自分であることなどの情報を登記簿に記す登記を行います。
そして、登記が完了することにより、その不動産の所有権を主張できるようになりますが、登記を行う際は、登記簿を管理する法務局に必要書類を添付した申請書を提出しなくてはなりません。
申請が通れば、法務局が申請書の写しに先の画像の「登記済み」の判を押し、申請者に返還します。
この返還された申請書が登記済証であり、登記済証は権利証となります。
ただし、登記済証が発行されるのは、主に平成17年3月6日までの申請であり、それ以降の申請には登記識別情報通知が発行されるため留意してください。
平成17年3月7日に不動産登記法という法律が改正され、原則として登記済証は廃止され登記識別情報通知に置き換えられました。
登記識別情報通知とは、登記を申請した者のみに知らされる12ケタの暗号が記された書面であり、登記済証に代わる不動産の権利証となります。
なお、誰でもわかる不動産売買では、登記済証に代わる権利証である登記識別情報をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。 お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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2. 登記済み権利証とは?
登記済み権利証、または登記済権利証、登記権利書などの不動産用語を見聞きしますが、それらは、この記事の「1. 登記済証とは、不動産の権利証のこと」でご紹介した登記済証の別名であり、不動産の権利証です。
また、登記済証や登記識別情報通知、登記簿の写しである登記簿謄本、登記事項証明書、全部事項証明書などがまとめられた以下のような小冊子を登記済み権利証や登記済権利証書、登記権利書と呼ぶこともあります。
登記済み権利証
登記権利書
上記の小冊子にまとめられた登記済み権利証や登記済権利証書、登記権利書も、登記済証や登記識別情報通知が挟まれていれば権利証として利用することが可能です。
3. 登記済権利証と登記簿謄本の違い
登記済権利証とは、登記済証とも呼ばれる、以下のような登記済みという赤い印が押された登記申請書の写しです。
登記済権利証は登記済証とも呼ばれますが、登記済証の詳細は、この記事の「1. 登記済証とは、不動産の権利証のこと」にて解説中です。
登記済権利証は不動産の権利証として活用することが可能であり、登記済権利証が存在する不動産を譲渡する際は法務局に提供しなくてはなりません。
これに対して登記簿謄本とは、登記簿の内容を写した書面です。
登記簿とは、その不動産の登記情報が記された、法務局に設置されている公の帳簿であり、その写しが登記簿謄本となります。
登記済権利証は権利証として利用できますが、登記簿謄本は権利証にはならず、登記簿の内容を写しただけの書面です。
なお、登記済証とも呼ばれる登記済権利証は、平成17年3月7日以降などに取得した不動産には発行されず、代わりに登記識別情報通知が発行されます。
また、最近の登記簿謄本は、登記事項証明書 と呼ばれる書面に差し替えられているため留意してください。
誰でもわかる不動産売買では、登記簿謄本と登記事項証明書の違いをわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。 お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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まとめ - 登記済証は紛失しても再発行されないが代替手段がある
登記済証の意味をわかりやすく解説し、登記済権利証と登記簿謄本の違いなどもご紹介しました。
登記済証とは登記済権利証とも呼ばれる、登記済みという赤い印が押された登記申請書の写しであり、権利証として活用できます。
平成17年3月6日以前などに取得した不動産を売却する際は、法務局に登記済証の提供を求められるため留意してください。
なお、登記済証は紛失しても再発行されません。
理由は、ひとつの不動産に複数の権利証が存在すると、他人が勝手に名義を書き換えるなどの不正が行われる可能性があるためです。
よって、登記済証は紛失しないように細心の注意を払うべきですが、紛失していることを理由に不動産を売却できないことはありません。
登記済証がない場合は、司法書士に本人確認証明情報という書面を作成してもらうことにより登記済証の代わりとなります。
また、法務局と郵便を交わしつつ、その不動産の所有者であることを証明する「事前通知」という制度を利用することでも登記済証を提供する代わりとすることが可能です。
事前通知の詳細は、法務局が公開する資料である「登記済証(権利証)を紛失したのですが,どうしたらよいのですか?」の「4 登記制度における代替措置」にてご確認いただけます。
なお、事前通知を利用する際は少額の手数料で済みますが、司法書士に本人確認証明情報の作成を依頼する場合は、5~6万円などの報酬を支払う必要があるため留意してください。
ご紹介した内容が、登記済証をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2020年9月
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