REITはやめとけといわれる理由

REITはやめとけといわれる理由

パンデミックや金融危機に弱く、頻繁に行われる公募増資の度に分配金が減るため、REITはやめとけといわれます。

REITはやめとけといわれる17の理由をご紹介し、不動産クラウドファンディングやインフラREIT、私募REITなど、REITと類似する不動産投資にまつわる金融商品をご紹介しましょう。

目次

1. REITの仕組み

はじめに、REIT(リート)の仕組みを簡単にご説明します。

REITを十分に理解していると自負される方も、ぜひおさらいしてください。

REITとは、不動産投資の側面を持つ金融商品であり、株と同じく価格が変動し、保有する投資家に分配金が還元される投資商品です。

REITは世界中で販売され、国によって制度が異なりますが、一般の方が日本で購入できるREITとは、日本の投資法人、または資産運用会社が発行するREITを指します。

REITとは、投資法人が発行するJ-REIT、または資産運用会社が発行するREITを指す

投資法人が発行するREITをJ-REITと呼び、投資家がJ-REITを購入すれば、その代金を受け取った投資法人は、オフィスビルやマンション、商業施設、ホテル、物流施設、ヘルスケア施設などを購入しつつ賃貸する、もしくは売却するなどして利益を得ます。

そして、得た利益を投資家に分配金として還元し、分配金が多いほど、そのJ-REITは値上がりします。

一方、資産運用会社が発行するREITとは、投資信託として販売されているREITです。

投資信託として販売されるREITとは、国内外の様々なREITがセットになったREITであり、国内型REIT、海外型REIT、ミックス型REITに分類され、詳細は以下のとおりです。

国内型REIT
国内型REITとは、複数種類のJ-REITをまとめたREITです。
海外型REIT
海外型REITとは、海外の投資法人が発行する複数種類のREITをまとめたREITです。
ミックス型REIT
ミックス型REITとは、国内型REITと海外型REITをミックスしたREITです。

上記のいずれかのREITを投資家が購入すれば、その代金を受け取った資産運用会社は、そのREITに含まれるREITを売買する、または新たなREITを買い足すなどして運用します。

そうして、利益を得れば、投資家に分配金を支払います。

日本で購入できるREITの全体像を図解でまとめると、以下のとおりです。

日本のREIT市場の全体像

REITはやめとけといわれますが、その理由はJ-REIT、国内型REIT、海外型REIT、ミックス型REITによって異なるため留意してください。

つづいて、この記事の本題である、REITはやめとけといわれる理由をご紹介しましょう。

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2. REITはやめとけといわれる理由

REITはパンデミックや金融危機、金利、為替、震災、法改正などの影響を受け、やめとけといわれます。

やめとけといわれる主な理由は、以下のとおりです。

2-1. 新型コロナなどのパンデミックに弱い

REITは、新型コロナウイルスなどのパンデミックの影響を受けつつ大きく値下がりするため、やめとけといわれます。

日本経済新聞によれば、世界初の新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2019年12月であり、2022年8月10日の時点において5億8,747万4,363人が感染したとのことです。

そして、新型コロナウイルスの感染者が確認される前である2019年11月の時点における「S&P先進国REIT指数」は約295であったものの、2020年4月には約192まで下がっています。

「S&P先進国REIT指数」とは、米国の調査会社「S&Pダウジョーンズ・インデックス社」が算出する、1989年6月30日における先進国のREITの時価総額を100として、その時々の時価総額を表した指数です。

REITはパンデミックに弱く、やめとけといわれる

その後、2022年8月には「S&P先進国REIT指数」は約279まで回復しましたが、新型コロナウイルスなどのパンデミックに弱いことが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

なお、「S&P先進国REIT指数」は無断転載が禁止されているため、ご紹介した指数は大まかな数値となっています。

正確な指数は、「S&Pダウジョーンズ・インデックス|S&P先進国 REIT指数」にて確認することが可能です。

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2-2. リーマン・ショックなどの金融危機に弱い

REITはやめとけといわれる理由のひとつが、リーマン・ショックなどの金融危機に弱いことです。

REITは金融商品だけに、リーマン・ショックなどの金融危機があれば大きく値下がりします。

リーマン・ショックとは、2008年9月に米国の投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が、60兆円もの負債を抱えつつ倒産することにより発生した金融危機です。

リーマン・ショックでは世界中の株価とREITが値下がりすると共に、国内型REITも大幅に値下がりしています。

具体的には、リーマン・ショック前である2008年5月には1,538.62であった東証REIT指数が、2008年11月には857.6まで下がりました。

東証REIT指数とは、2003年3月末時点における国内型REITの時価総額を1,000として、その時々の時価総額を表した指数あり、国内型REITの値動きを表す指標などとして活用されます。

REITは金融危機に弱く、やめとけといわれる

東証REIT指数は2022年7月には2,021.99まで回復していますが、REITはリーマン・ショックのような金融危機に弱いことが、やめとけといわれる理由のひとつです。

ただし、リーマン・ショックのような金融危機で値下がりするのは、REITに限らず、全ての金融商品が値下がりします。

そのため、金融危機などにより値下がりする虞があることを肝に銘じつつ余剰金でREITを購入すれば、根本的ではありませんが、ひとまずはこの問題を回避することが可能です。

ちなみに、投資信託として販売されているREITには「オルタナティブ型」と呼ばれる商品があります。

オルタナティブ型REITとは、金融市場に影響を受けることなく値動きするように運用されるREITです。

残念ながらリーマン・ショック時はオルタナティブ型REITも値下がりしましたが、その後様々な改良が加えられ、次回の金融危機では、オルタナティブ型REITは持ちこたえる可能性があります。

よって、オルタナティブ型REITを購入することでも、リーマン・ショックのような金融危機を回避できるかもしれません。

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2-3. J-REITは破綻し、投資信託は繰上償還する

J-REITは、不動産投資を専門とする日本の投資法人が発行しますが、投資法人は金融危機や経営不振により破綻することがあります。

2008年のリーマン・ショック時には、J-REITを発行する「ニューシティ・レジデンス投資法人」が破綻しています。

同投資法人は投資家から909億円の出資を受け、105件の賃貸用住宅を保有しつつ賃貸し、113億円を分配していましたが、資金不足を理由に2008年10月9日に破綻しました。

71,000円であった同投資法人が発行するJ-REITは、最終的には14,200円まで下落しています。

また、REITには、投資信託として販売されるREITがありますが、投資信託のREITは繰上償還されることがあります。

繰上償還とは、その投資信託の運用成績が芳しくない場合などに、発行元の資産運用会社が運用を打ち切ることです。

繰上償還されれば、その時点の価格に応じた額が投資家に償還されますが、購入時より値下がりしていれば損をすることとなります。

投資法人が破綻したり、投資信託が繰上償還されることがあるのが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

なお、J-REITを発行する投資法人は、公式ホームページにて経営状態を公開しています。

加えて、投資信託として販売されているREITは、目論見書に繰上償還される条件が記されています。

よって、それらを確認しておけば、保有するJ-REITの発行元が破綻しつつ損をしたり、保有する投資信託が繰上償還されつつ損をするリスクを回避できるかもしれません。

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2-4. 公募増資が多く、分配金が頻繁に減る

J-REITを発行する投資法人は、新たな賃貸用不動産を取得する資金を得るために公募増資を行うことがあります。

J-REITを発行する投資法人が行う公募増資とは、発行するJ-REITの口数を増やすことであり、公募増資が行われれば、発行済みのJ-REITの価格が一時的に下がりつつ分配金が減ることがあります。

J-REITを発行する投資法人は頻繁に公募増資を行う傾向があり、2021年には29回もの公募増資が行われました。

公募増資により価格や分配金が下がるリスクを「希薄化リスク」と呼び、J-REITは公募増資が多く希薄化リスクが高いことが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

ちなみに、2022年1月の時点において、J-REITを発行する61の投資法人が存在しますが、それぞれの投資法人は年に2回程度の決算期があり、決算期から3ヶ月以内に分配金を支払います。

そして、決算期は、投資法人によって異なります。

たとえば、日本ロジスティクスファンド投資法人は1月末と7月末、日本都市ファンド投資法人は2月末と8月末、ジャパンリアルエステイト投資法人は3月末と9月末などといった具合です。

よって、決算期が異なる投資法人が発行するJ-REITをまんべんなく保有すれば、毎月分配金を受け取れる可能性があります。

上手に銘柄を選べば、J-REITは毎月分配金を受け取ることができる

J-REITを発行する各投資法人の決算期は、「Jリート銘柄情報|J-REIT.jp」にて確認することが可能です。

J-REITはやめとけといわれますが、上手に保有すれば、毎月分配金を受け取れる可能性があります。

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2-5. 何に投資しているかわからない

REITは不動産投資の側面を持つ金融商品であり、REITのガイドブックを見ると「REITを購入すれば、月々10万円で不動産オーナーになれます」などと記されています。

とはいうものの、具体的にどの不動産に投資するかわかりづらく、REITはやめとけといわれます。

しかし、実はJ-REITであれば、投資する不動産を簡単に把握することが可能です。

2022年1月の時点において、J-REITを発行する61の投資法人が存在しますが、各投資法人は保有する物件の一覧を「ポートフォリオ」として公式サイトにて公開しています。

たとえば、2022年8月16日の時点において価格が64万1,000円であるJ-REITを発行する投資法人「ジャパンリアルエステイト投資法人」は、73の物件を保有しています。

そして、その一覧は「ポートフォリオ一覧|ジャパンリアルエステイト投資法人」にて確認できます。

以下は、ジャパンリアルエステイト投資法人が1,069億円で取得した、東京都港区の汐留ビルディングです。

「ジャパンリアルエステイト投資法人」が発行するJ-REITを保有すれば、汐留ビルディングの前に立って、「このビルに出資している」と言い放つことができます。

REITは何に投資しているかわかりづらく、やめとけといわれますが、J-REITであれば、何に投資しているか一目瞭然です。

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2-6. 不動産市場が悪化すれば分配金が減る

REITは投資商品だけに価格が変動しますが、不動産市場の動向によって分配金が減る、または支払われないこともあります。

たとえば、新型コロナウイルス流行時は旅行客が減少すると共にホテルの需要が落ち込みましたが、ホテルの需要が落ちれば、ホテルの賃貸を専門とする投資法人の収益が減ります。

ホテルの賃貸を専門とする投資法人の収益が減れば、その投資法人が発行するREITの分配金も減る、もしくは支払われません。

実際に、J-REITを発行するホテルの賃貸を専門とする投資法人「ジャパン・ホテル・リート投資法人」は、毎年12月末が決算期ですが、経営が悪化した2021年分の分配金は支払われませんでした。

また、今後地方では地価の下落が予想されますが、地価が下落した地域に所在する賃貸用不動産は家賃を下げざるを得ません。

家賃が下がれば、その地域に所在する賃貸用不動産を保有する投資法人の収益が減ると共に、その投資法人が発行するREITの分配金も減る、または支払われないこととなります。

不動産市場の動向によって分配金が減る、もしくは支払われない可能性があることが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

この問題は、タイプが異なる複数種類のREITを保有する、または国内外の様々なREITを保有しつつリスクを分散すれば、ある程度は解決できます。

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2-7. 金利が上がると儲からない

J-REITを含む国内型REITは、金利の影響を受けます。

金利とは、資金を借り入れる際に設定される利子の割合です。

銀行から資金を借り入れる際は必ず金利が設定され、銀行から資金を借り入れつつ返済する際は、設定された金利に応じた利子を上乗せした額を返済しなくてはなりません。

たとえば、金利が1%に設定されたローンで1,000万円を借り入れつつ1年で返済する場合は、5万4,245円の利子を上乗せした合計1,005万4,245円を返済するといった具合です。

その金利ですが、日本では日本銀行、海外では中央銀行という銀行が設定した金利が、一般の銀行に引き継がれる傾向があります。

そして、J-REIT、またはJ-REITを含む国内型REITは、日本銀行が設定した金利の影響を受けます。

具体的には、日本銀行が設定した金利が上がれば、J-REITを含む国内型REITは値下がりします。

J-REITは金利が上がると儲からない

その理由は、J-REITの仕組みにあります。

J-REITは日本の投資法人が発行しますが、投資法人が賃貸用不動産を購入する際は、銀行から資金を借り入れることがあります。

金利が上がれば、銀行から新たに資金を借り入れたり、既に借り入れた資金の返済が難しくなり、賃貸用不動産を買い足せず、事業を拡大できません。

事業を拡大できなければ家賃収入が減ると共に分配金が下がり、分配金が下がれば、そのJ-REITは値下がりします。

また、J-REITは、米国の投資家も多く保有し、米国の金利の影響も受けるという側面があります。

J-REITを保有する米国の投資家は、米国の金利が上昇すれば資金を借り入れることが難しくなり、保有する資産、すなわちJ-REITを売却しつつ資金を得ようとします。

株やJ-REITなどの金融商品は、売りに出される数が多いほど値下がりする傾向があり、米国の投資家が保有するJ-REITを一斉に売りに出せば、J-REITは値下がりします。

J-REITは日米の金利の影響を受けるため、やめとけといわれます。

この問題は、J-REITだけを購入しつつ保有することは避け、J-REITと海外型REITを保有するなどしてリスクを分散しておくことにより、ある程度は対処することが可能です。

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2-8. 為替もチェックする必要がある

REITは「国内型REIT」と「海外型REIT」「ミックス型REIT」に大きく分類されますが、海外のREITが含まれる海外型REITとミックス型REITは、為替の影響を受けます。

為替とは、円を外貨に、または外貨を円に交換する際の比率であり、「1ドル100円」であれば1ドルを手に入れるために100円が、「1ドル130円」であれば1ドルを手に入れるために130円が必要になることを意味します。

為替は日々変動し、どのような状況が円高や円安であると断言できませんが、昨年1ドル130円で今年1ドル100円であれば円高といわれます。

反対に、昨年1ドル100円であり今年1ドル130円であれば、円安といわれます。

海外型REITは、投資初心者はやめとけといわれる

そして、海外型REITやミックス型REITは、日本の資産運用会社が、海外の不動産投資を専門とする投資法人が発行する複数種類のREITを外貨で購入しつつ商品化し、円で販売しています。

この状況を簡単に表現すると「ドルで仕入れて円で売る」といった具合であり、ときには「ユーロで仕入れて円で売る」こともあります。

よって、海外型REITやミックス型REITは、為替の影響を受けます。

具体的には、円高であれば値下がりし、円安であれば値上がりします。

これを理由に、海外型REITやミックス型REITは、投資初心者は難しいからやめとけといわます。

この為替に関する問題は、為替の動向を先読みし、円高の状況で買い足す、円安の状況で売却するなどすれば対応できます。

また、海外型REITやミックス型REITは、為替の影響が価格に反映されない「為替ヘッジあり」と呼ばれる商品が販売され、それらを購入することでも対応することが可能です。

なお、繰り返しになりますが、円高になれば海外型REITやミックス型REITは値下がりし、円安になれば値上がりします。

つまり、裏を返せば、海外型REITやミックス型REITは、円高の状態で購入し、円安の状態で売却すれば儲かる可能性があるというわけです。

為替を制する者は海外型REITを制する、といえるかもしれません。

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2-9. 元本保証がない

REITは、株と同じく価格が変動する金融商品であり、安い時に買って高いときに売れば儲かります。

そして、REITは、価格が比較的安定している、損をすることがない、儲かりやすいと評判ですが、金融商品だけに値下がりしないとは限りません。

実際にREITは、新型コロナウイルスによるパンデミックの初期の頃に大きく値下がりし、REITを保有する多くの投資家が、手持ちのREITが購入時より安くなる元本割れを経験しています。

REITは金融商品だけに値下がりしつつ元本割れのリスクがあることが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

しかし、REITに限らず、全ての金融商品は元本が保証されるわけではありません。

よって、損をすることがない、儲かりやすいなどの評判を鵜呑みにせず、金融商品であり元本が保証されないことを覚悟しつつ余剰金でREITを購入すれば、この問題を解消できます。

ちなみに、金融商品における元本とは、金融商品を購入した金額を指します。

たとえば、10万円分のJ-REITを購入した場合の元本は10万円であり、そのJ-REITが値下がりしつつ10万円以下となれば元本割れとなります。

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2-10. 現物の不動産投資ほどの節税効果がない

実際の不動産投資は、上手くすれば、様々な節税効果を得られます。

たとえば、賃貸用不動産を購入すれば、その建物部分の価格は減価償却でき、減価償却しつつ会計上の赤字になれば、不動産所得に課される所得税と住民税を節税できます。

また、被相続人が現金の代わりに賃貸用不動産を相続人に相続させれば、現金より評価額が大幅に下がり、相続税を節税できます。

一方、REITは減価償却できず、被相続人が現金の代わりにREITを相続させても、相続時の価格が評価額となり、節税できるとは限りません。

実際の不動産投資のような節税効果がないことが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

なお、REITには、投資信託として販売されているREITがありますが、投資信託として販売されるREITには、NISAやiDeCoに対応した商品があります。

NISAとは、一定の期間にわたり、投資信託などの金融商品を購入することにより得た利益にかかる所得税や住民税が非課税となる制度です。

iDeCoとは、投資信託などの金融商品を購入した代金が、課税所得から控除される制度であり、iDeCoを利用すれば課税所得が減ると共に所得税と住民税が減額されます。

よって、REITに節税効果を期待する場合は、NISAやiDeCoに対応した、投資信託として販売されているREITを購入するのが良いでしょう。

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2-11. 分配金に配当控除が適用されない

株式などを保有することにより配当を受け取れば、その配当は「配当所得」とみなされ、配当所得には所得税と住民税が課されます。

その配当所得ですが、一般的な株式を保有しつつ得た配当所得には配当控除が適用され、同控除が適用されれば、配当所得から一定の額が控除されると共に、配当所得に課される所得税と住民税が減額されます。

しかし、J-REITを保有することにより受け取った分配金には、配当控除が適用されません。

その理由は、J-REITの仕組みにあります。

配当控除とは、二重課税を防ぐための控除です。

株式を発行する株式会社は、得た利益に法人税が課され、法人税を支払った残りの金銭から配当を支払います。

つまり、投資家が受け取る配当は、既に法人税の対象となった金銭であり、配当を受け取った投資家に所得税が課されれば、二重課税になるというわけです。

よって、株式会社が発行する株式を保有する投資家が受ける配当には、配当控除が適用されます。

一方、J-REITを発行する投資法人は、得た利益の90%を投資家に分配しつつ法人税を免れています。

得た利益の90%を投資家に分配することにより法人税を免れることができるのは、租税特別措置法の第六十七条の十五「投資法人に係る課税の特例」により規定されているためです。

従って、J-REITを保有する投資家が受け取る分配金には、二重課税を防ぐための配当控除が適用されません。

J-REITの分配金には配当控除が適用されないことが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

REITの分配金には配当控除が適用されず、やめとけといわれる

なお、REITには投資信託として販売されているREITがありますが、投資信託として販売されるREITの分配金にも、配当控除が適用されないことがあるため注意してください。

その投資信託として販売されているREITの分配金に配当控除が適用されるか否かは、目論見書を見ることにより確認できます。

投資信託の目論見書とは、いわゆる商品説明書であり、その投資信託を購入する際などに確認することが可能です。

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2-12. 割安感がない

REITはやめとけといわれる理由のひとつに、J-REITはNAV倍率が高く、割安感がないことが挙げられます。

NAV倍率とは、株式などの金融商品の割安感を表す指標であり、1倍や1.1倍、0.9倍などの数値で示され、1倍を超えるのであれば割高であり、その商品は買うべきではないなどといわれます。

反対に、NAV倍率が1倍未満であれば割安であり、その金融商品はお買い得などといわれます。

J-REITのNAV倍率は、以下の式で計算します。

  • そのJ-REITを発行する投資法人の資産合計額-そのJ-REITを発行する投資法人の負債合計額=NAV
  • NAV÷その投資法人が発行するJ-REITの口数=一口あたりのNAV
  • そのJ-REITの価格÷一口あたりのNAV=NAV倍率

たとえば、資産合計額が1兆5,000億円、負債合計額が6,000億円の投資法人が、価格が70万円のJ-REITを170万口発行しているとしましょう。

その場合は以下のように計算し、そのJ-REITのNAV倍率は1.32倍です。

  • 1兆5,000億円-6,000億円=9,000億円
  • 9,000億円÷170万口=529,411
  • 70万円÷529,411=1.32倍

NAV倍率が1.32倍であれば、そのJ-REITは割高と考えられます。

そして、過去10年のJ-REITの平均NAV倍率は、最近は下がり気味であるものの1.2倍です。

つまり、J-REITはNAV倍率が高く割高であり、やめとけといわれるというわけです。

J-REITはNAV倍率が高く、やめとけといわれる

ただし、先述のとおり、ここ数年のJ-REITのNAV倍率は下がり気味であり、1倍未満の銘柄が複数存在します。

よって、NAV倍率が高いことを理由にJ-REITはやめとけといわれるものの、最近はそうとうも限らないといえます。

各J-REITのNAV倍率は、「J-REIT銘柄ランキング|JAPAN-REIT.COM」にて確認することが可能です。

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2-13. 震災や台風に弱い

REITは、不動産を賃貸することにより得られた家賃収入が、投資家に還元される金融商品です。

そのため、震災や台風などにより賃貸用不動産が倒壊、または毀損すれば、REITの発行元は家賃収入を得られず、投資家へ還元される額が減り、REITは値下がりする虞があります。

これが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

この災害によるリスクは、J-REITを含む国内型REIT、海外型REIT、ミックス型REITなど、様々な国のREITを購入しつつリスクを分散することにより回避できます。

また、2022年1月の時点において、日本にはJ-REITを発行する61の投資法人が存在しますが、各投資法人は自らの公式ホームページ内にて、所有する不動産の所在地などに関する情報を「ポートフォリオ」という名目で公開しています。

そのポートフォリオを確認し、異なる地域にバランス良く賃貸用不動産を保有する投資法人が発行するJ-REITを購入することでも、震災や台風などにより所有するREITが一斉に値下がりするリスクを回避することが可能です。

なお、J-REITを発行する日本の投資法人は、一定の耐震性や強度を有する賃貸用不動産を優先して購入し、震災や台風などに備えています。

よって、J-REITは、震災や台風に強いREITといえるかもしれません。

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2-14. レバレッジが効かない

REITは実際の不動産投資と比較されることが多く、「月々1万円で不動産オーナーになれる」などといわれますが、実際の不動産投資のようにレバレッジを効かせることができません。

不動産投資におけるレバレッジとは、銀行から資金を借り入れつつ賃貸用物件を購入し、より多くの利益を得ることです。

多くの銀行は不動産投資用のローンを商品化し、不動産投資を志す投資家は、資金を借り入れつつ高額な賃貸用物件を購入し、より多くの家賃収入を得ます。

たとえば、手持ちの資金で3,000万円の賃貸用不動産を購入し、毎年200万円の家賃収入を得るよりも、1億円を借り入れつつ1億円の物件を購入し、毎年1,000万円の家賃収入を得るといった具合です。

一方、多くの銀行は、REITを購入するためのローンを商品化していません。

REITのためのローンがなければ、投資家は手持ちの資金に応じた投資しかできず、相応の利益のみを得ることとなります。

実際の不動産投資のようにレバレッジを効かせることができないのが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

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2-15. 法改正、制度変更の影響を受ける

REITは、世界各国の賃貸用不動産から得られた利益が、投資家に還元される金融商品です。

よって、REITは、世界各国の不動産や建物に関する法律が改正されることによる影響を受ける可能性があります。

たとえば、日本には「建築基準法」があります。

建築基準法とは、建物を建築する際の最低限の基準を定めた法律であり、定期的に改正され、その都度、求められる耐震性や防火性、安全性の基準が高くなります。

建築基準法が改正されつつ基準が高くなり、既存の建物への適合を求められることとなれば、多くの賃貸用不動産を保有しつつJ-REITを発行する投資法人は、大きな出費を迫られることとなります。

また、「都市の低炭素化の促進に関する法律」もあります。

都市の低炭素化の促進に関する法律とは、気候変動を防ぐために、都市部から排出される二酸化炭素の量を減らすことを目的とする法律です。

現時点において、都市の低炭素化の促進に関する法律では、既存する建物に求める基準はありません。

しかし、いつかは改正され、J-REITを発行する投資法人が保有する大規模なオフィスビルや商業施設に対して、省エネ設備の導入などを求められる可能性があります。

そのようなことがあれば、J-REITを発行する投資法人は、高額な出費を迫られます。

そして、それらの出費は、分配金が減るという形で投資家にしわ寄せがきます。

法改正や制度変更の影響を受けることが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

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2-16. アクティブ型は手数料が高い

REITには、投資信託として販売されているREITがありますが、投資信託として販売されているREITは、インデックス型とアクティブ型に大きく分類されます。

インデックス型のREITとは、REIT市場と同等の値動きをすることを目標として運用されるREITであり、他のREITが値上がりすれば値上がりし、他のREITが値下がりすれば値下がりします。

これに対して、アクティブ型のREITとは、REIT市場を上回る値動きをすることを目標として運用されるREITであり、他のREITの値動きに干渉されません。

言い方を変えれば、インデックス型は保守的でリスクが小さいREIT、アクティブ型は積極的でリスクが大きいREITと表現できます。

アクティブ型のREITは手数料が高い

そして、投資信託として販売されているREITの多くはアクティブ型であり、アクティブ型のREITは、信託報酬が高い傾向があります。

信託報酬とは、そのREITを販売する資産運用会社などに支払う手数料であり、儲かっている、儲かっていないにかかわらず支払わなければなりません。

インデックス型のREITの信託報酬は、保有するREITの残高の年率0.2%から0.6%程度です。

一方、アクティブ型のREITは、保有するREITの残高の年率1%から1.8%程度となっています。

以下は、2022年8月の時点における、人気のインデックス型REITとアクティブ型REITの信託報酬です。

インデックス型REIT

銘柄 信託報酬
eMAXIS Slim先進国リートインデックス 年率0.22%
たわらノーロード先進国リート 年率0.297%
SMTグローバルREITインデックス・オープン 年率0.605%

アクティブ型REIT

銘柄 信託報酬
ダイワUS-REITオープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 年率1.672%
フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし) 年率1.54%
パインブリッジ・グローバル・テクノロジー・インフラ・ファンド(未来インフラ) 年率1.738%

以上のように投資信託として販売されているREITは、アクティブ型の方が信託報酬が高い傾向があります。

であれば、インデックス型のREITを購入すれば良いと考えがちですが、アクティブ型のREITの方が利回りが高い傾向があり、投資家に人気です。

投資家に人気のアクティブ型のREITの手数料が高いことが、REITはやめとけといわれる理由のひとつです。

なお、信託報酬が高いのは、アクティブ型のREITに限らないため留意してください。

投資信託はREIT以外にも様々な商品が販売され、どの投資信託にもインデックス型とアクティブ型があり、アクティブ型は信託報酬が高い傾向があります。

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2-17. ついつい放置してしまう

REITはやめとけといわれる理由のひとつに「ついつい放置してしまう問題」があります。

投資家がJ-REITを購入すれば、その代金を受け取った投資法人は、賃貸用不動産を購入しつつ賃貸し、得た利益を投資家に還元します。

また、投資家が投資信託として販売されているREITを購入すれば、その代金を受け取った資産運用会社は、値上がりが期待される世界各国のREITを売買し、得た利益を投資家に還元します。

つまり、REITの運用は全てプロが行い、REITを購入した投資家は、手間要らずで資産を増やせるというわけです。

そのため、REITを保有する投資家は、購入したREITを放置しがちです。

しかし、J-REITを発行する投資法人は破綻することがあり、ひとつの投資法人が破綻すれば、その投資法人が発行したJ-REITを含め、その他の投資法人が発行したJ-REITも値下がりします。

その他の投資法人が発行したJ-REITも値下がりするのは、ひとつの投資法人が破綻することによりJ-REIT市場への信頼が失われ、全てのJ-REITの売り注文が増えることが理由です。

金融商品は、売り注文が多いほど値下がりします。

くわえて、投資信託のREITを発行した資産運用会社は、そのREITの運用成績が芳しくなければ、繰上償還します。

投資信託の繰上償還とは、資産運用会社がその投資信託の運用を打ち切り、投資家に償還する制度です。

繰上償還により投資家に償還される額は、その時点のREITの価格となりますが、購入時より下がっていれば、投資家は損をすることとなります。

REITは放置しがちですが、予期せぬこととなる場合があるため、定期的に価格や情勢をチェックしなくてはなりません。

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3. REITのメリット

REITは、パンデミックや災害に弱い、不動産市場や金利、為替の影響を受ける、節税効果がないなどを理由に、やめとけといわれます。

しかし、J-REITには「分配金が多い」「優待制度があり温泉施設の割引券が貰える」などのメリットがあり、捨てたものではありません。

ここから、J-REITのメリットをご紹介しましょう。

3-1. 分配金が多い

REITの分配金は減ることがあるため、やめとけといわれます。

しかし、J-REITの分配金は、一般的な株式会社が発行する株式の配当より高い傾向があります。

具体的には、J-REITの2013年1月から2022年1月までの平均分配金利回りは、3%から4%程度の間で推移しています。

これに対して、東証一部上場企業のうち有配会社における2013年1月から2022年1月までの平均配当利回りは、1.5%から2%程度です。

J-REITは分配金の利回りが高いというメリットがある

J-REITの分配金が多い理由は、J-REITの仕組みにあります。

J-REITは、不動産投資を専門とする日本の投資法人が発行しますが、投資家がJ-REITを購入すれば、その代金を受け取った投資法人は、オフィスビルやマンションなどの賃貸用不動産を購入しつつ賃貸する、または売却しつつ利益を得ます。

そして、得た利益から投資家に分配金を支払いますが、「租税特別措置法」の第六十七条の十五「投資法人に係る課税の特例」により、利益の90%を投資家に還元すれば、投資法人には法人税が課されないと定められています。

これを理由にJ-REITを発行する投資法人は、投資家に多くの分配金を還元し、法人税を免れます。

REITはやめとけといわれますが、J-REITは分配金が多いのが特徴です。

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3-2. 優待制度がある

REITはやめとけといわれますが、J-REITを発行する一部の投資法人は優待制度を設け、投資家は分配金以外の特典を得ることが可能です。

たとえば、多数のホテルを保有しつつ賃貸する投資法人「いちごホテルREIT投資法人」は、全国各地のホテルの利用料金が10%OFFになる優待制度を設けています。

以下は、2022年8月の時点において、優待制度を設ける投資法人の一覧です。

投資法人名 優待制度の内容
いちごホテルリート投資法人 全国各地に点在するホテルウィングインターナショナル、チョイスホテルズ、グリーンズホテルズ、スマイルホテルを10%割引などの特別優待料金で利用できる
大江戸温泉リート投資法人 大江戸温泉リート投資法人が保有する全国各地の温泉施設の宿泊料金が1,000円引きなどになる
ジャパン・ホテル・リート投資法人 全国各地に点在するHMJグループホテル、またはアコーグループホテルのホテルの宿泊料金やレストランの利用料金が10%割引になる
インヴィンシブル投資法人 東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテル「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」、または全国各地のマイステイズホテルグループのホテルが投資主優待価格で利用できる
大和ハウスリート投資法人 ロイトン札幌、または全国各地のダイワロイヤルホテルが8%割引で利用できる
投資法人みらい 全国各地のグリーンズホテルズ、チョイスホテルズ、ホテルウィングインターナショナルを会員専用料金で利用できる
ヘルスケア&メディカル投資法人 グリーンライフ株式会社、または株式会社JAPANライフデザインが経営する介護施設に無料で体験入居できる
大和証券リビング投資法人 株式会社アズパートナーズ、またはALSOK介護株式会社が経営する介護施設への入居費用が割引される
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 HITOWAケアサービス株式会社が経営する介護施設への入居月の利用料金が無料になる、または株式会社エヌエムライフが経営する介護施設への入居費用から20万円が割引される

投資家にとって優待制度は嬉しい特典であり、優待制度があることがJ-REITのメリットです。

ただし、優待制度の内容は、その投資法人の業績や方針によって定期的に変更されるため注意してください。

最新の優待制度は、J-REITを発効する各投資法人の公式サイトにて確認でき、投資法人の一覧は「銘柄情報|J-REIT.jp」に掲載されています。

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3-3. 情報の開示性が高い

REITはやめとけといわれますが、J-REITを発行する投資法人は多くの企業情報を公式サイトにて公開し、透明性が高く、投資家は安心して投資できます。

J-REITを発行する投資法人が公開する主な情報は、以下のとおりです。

  • 投資法人の概要と特徴、仕組み、戦略方針
  • 提携する資産運用会社、資産保管会社、スポンサーの詳細
  • 主な投資主
  • 保有する賃貸用不動産の一覧
  • 保有する賃貸用不動産のうち、主要なテナントの一覧
  • 保有する各賃貸用不動産の築年数、稼働率、鑑定評価額
  • 営業収益や純利益、純資産の推移
  • 1口あたりの価格、分配金、NAVの推移
  • 決算情報、および決算説明会の資料
  • 今後の営業収益や分配金の予想、増資計画
  • 発行するJ-REITを保有することにより生じるリスク

REITはやめとけといわれますが、J-REITは上記などの情報を常に開示し、投資家は様々な情報を元にJ-REITへの投資を選択できます。

透明性が高く、比較的安心して投資できることが、J-REITのメリットです。

ちなみに、REITには投資信託として販売されているREITがありますが、投資信託として販売されているREITの詳細は、目論見書にて確認できます。

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4. REITと類似する金融商品

REITとは、賃貸用不動産に投資する金融商品であり、様々な理由からやめとけといわれ、購入を断念する投資家の方が少なからずいらっしゃるようです。

REITへの投資を断念するのであれば、同じく賃貸用不動産に投資する金融商品「不動産クラウドファンディング」や「インフラファンド」などへの投資をご検討ください。

ここからは、REITと類似する3つの金融商品をご紹介しましょう。

4-1. 不動産クラウドファンディング

REITと同じく不動産投資の側面を持つ投資に「不動産クラウドファンディング」があります。

不動産クラウドファンディングとは、国土交通省から許可、または登録を受けた不動産特定共同事業者、もしくは小規模不動産特定共同事業者と呼ばれる不動産業者が、賃貸用不動産の取得資金を募る投資です。

不動産特定共同事業者、もしくは小規模不動産特定共同事業者は、インターネットなどを通じて賃貸マンションやオフィスビルなどの賃貸用不動産の取得資金の出資を募ります。

そして、一定の額が集まればその賃貸用不動産を取得し、賃貸するなどして利益を得て、得た利益を出資者に還元します。

不動産クラウドファンディングの仕組み

J-REITは投資法人が保有する多数の賃貸用不動産に投資しますが、不動産クラウドファンディングは、一部例外を除き、一棟のみの賃貸用不動産に投資することとなります。

不動産クラウドファンディングは1万円程度から出資することが可能であり、2022年8月の時点において期待利回りは2%から8%程度といわれます。

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4-2. インフラファンド

REITはやめとけといわれますが、それならば「インフラファンド」という手があります。

インフラファンドとは、太陽光発電システムや湾岸施設などのインフラ設備に投資する金融商品であり、J-REITと同じく日本の投資法人が発行し、証券会社や銀行などで購入できます。

投資家がインフラファンドを購入すれば、その代金を受け取った投資法人は、インフラ設備を購入しつつ賃貸する、または売却するなどして利益を得ます。

そして、得た利益を投資家に分配金として還元し、還元される分配金が多いほど、そのインフラファンドは値上がりします。

J-REITは賃貸用不動産に投資するのに対し、インフラファンドはインフラ施設に投資するというわけです。

2022年8月の時点において、7つの投資法人がインフラファンドを発行し、一口あたりの価格は6万9,000円から12万円程度であり、分配金利回りは5.8%から6.5%程度となっています。

同じく2022年8月の時点において、J-REITの平均分配金利回りは3.5%程度のため、インフラファンドはJ-REITより儲かる金融商品といえます。

ただし、分配金の利回りが高いということは、相応のリスクがあることを意味するため注意してください。

金融商品は、利回りが高いほどリスクが大きいことを意味し、利回りが高い金融商品は、相応の損をする可能性を秘めています。

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4-3. 私募REIT

REITと同じく賃貸用不動産に投資する金融商品に「私募REIT」があります。

私募REITとは、J-REITと同様に不動産投資を専門とする日本の投資法人が発行する金融商品です。

投資家が私募REITを購入すれば、その代金を受け取った投資法人は、賃貸用不動産を賃貸、または売買しつつ利益を得て、得た利益を投資家に還元します。

この仕組みはJ-REITと変わりませんが、私募REITは証券取引所で取り引きされず、残念ながら一般の方は購入できません。

私募REITを購入できるのは、国民年金基金や保険会社、銀行、共済組合、農協、政府系金融機関などの機関投資家のみです。

私募REITの価格は1億円程度といわれ、2022年6月の時点において、私募REITを発行する42の投資法人が存在します。

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まとめ

REITはやめとけといわれる理由をご紹介しました。

REITは新型コロナウイルスなどのパンデミック、リーマン・ショックのような金融危機に弱く、やめとけといわれます。

また、J-REITは破綻し、投資信託は繰上償還することがあるため、決してREITはリスクが低いとはいえません。

しかし、REITに限らず、全ての金融商品にリスクがあります。

よって、REITに投資したいと希望する場合は、タイプが異なるREITを複数種類購入しつつ保有し、リスクを避けるのが理想です。

たとえば、オフィスビルに特化したREITとヘルスケア施設に特化したREITを保有する、国内型REITと海外型REITを保有するなどといった具合です。

この手法は、いわゆる分散投資と呼ばれるオーソドックスな投資方法ですが、投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」などと例えられ、有効とされます。

ご紹介した内容が、REITはやめとけといわれる理由をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年8月

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