区分所有者や区分所有の意味をイラスト付きで解説
区分所有者とは、マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者を指します。
イラストと図解を用いて区分所有者をわかりやすく解説し、区分所有者と共に見聞きすることが多い「不在区分所有者」「占有者」も簡単に解説しましょう。
目次
- 1. 区分所有者とは、マンションなどの一戸を所有する者
- 1-1. 区分所有者は「区分所有法」で定義されている
- 1-2. 不在区分所有者とは?
- 1-3. 占有者とは?区分所有者と占有者の違い
- 2. 区分所有とは?わかりやすく解説
- まとめ - 専有部分、共有部分、敷地利用権とは?
1. 区分所有者とは、マンションなどの一戸を所有する者
区分所有者とは、マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者です。
たとえば、201号室は佐藤さん、202号室は鈴木さん、203号室は高橋さん、204号室は田中さん、205号室は伊藤さんが所有者であるマンションがあったとしましょう。
であれば、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、伊藤さんの全員が区分所有者です。
また、101号室がトランプ大統領、102号室がイーロン・マスク、103号室がビル・ゲイツ、104号室が孫正義さん、105号室がクリスティアーノ・ロナウドが所有者であるオフィスビルがあったとしましょう。
そうであれば、トランプ大統領、イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、孫正義さん、クリスティアーノ・ロナウドの全員が区分所有者です。
このように区分所有者とは、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者を指します。
なお、マンションには賃貸マンション、ビルには賃貸ビルがあり、それらの不動産は各戸に借り主が存在しますが、借り主は区分所有者ではないため注意してください。
区分所有者は、その戸の所有者であり借り主ではありません。
つづいて、ご説明した区分所有者の意味の根拠と、区分所有者と共に見聞きすることが多い不動産用語「不在区分所有者」と「占有者」をわかりやすく簡単に解説しましょう。
1-1. 区分所有者は「区分所有法」で定義されている
区分所有者をわかりやすく解説すると、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者ですが、その意味は「建物の区分所有等に関する法律」にて定義されています。
「建物の区分所有等に関する法律」とは、複数の戸で構成された建物の管理に関することを定めた法律です。
マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物を「区分所有建物」などと呼びます。
区分所有建物は、各戸に異なる区分所有者が存在するため、それぞれの区分所有者が協力して建物を維持管理しなければなりません。
それぞれの区分所有者が協力して建物を維持管理するためには、一定のルールが必要です。
ルールがなければ、各戸の区分所有者の足並みが揃わず、建物の維持管理が滞ります。
よって、同法律では、マンションやビルなど、各戸に異なる区分所有者が存在する区分所有建物の維持管理に関するルールが定められています。
同法律に記されている区分所有者の定義をわかりやすく簡単にご紹介すると、以下のとおりです。
建物の区分所有等に関する法律 第二条(定義)2項
区分所有者とは、マンションやビルなど、いくつもの戸で構成された建物の中に存在する各戸の所有者を指す
ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、「建物の区分所有等に関する法律」をわかりやすく簡単に解説するコンテンツも公開中です。
マンションやビルの一戸を所有しつつ区分所有者の意味をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
区分所有法とは? わかりやすく解説
1-2. 不在区分所有者とは?
区分所有者と共に見聞きすることが多い不動産用語に「不在区分所有者(ふざいくぶんしょゆうしゃ)」があります。
不在区分所有者とは、マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者であるものの、その建物に居住していない区分所有者を指します。
たとえば、201号室は佐藤さん、202号室は鈴木さん、203号室は高橋さん、204号室は田中さん、205号室は伊藤さんが区分所有者である「マンションA」があったとしましょう。
しかし、202号室の区分所有者である鈴木さんは、202号室を渡辺さんに貸し、自らは他の建物に居住しています。
であれば、202号室の鈴木さんは不在区分所有者です。
また、203号室の区分所有者である高橋さんもマンションAには居住せず、203号室は空き家となっています。
そうであれば、203号室の高橋さんも不在区分所有者です。
不在区分所有者とは、区分所有者であるものの、その建物に居住していない者を指します。
1-3. 占有者とは?区分所有者と占有者の違い
区分所有者と共に見聞きすることが多い不動産用語に「占有者(せんゆうしゃ)」があります。
占有者とは、区分所有者の家族や、区分所有者からその戸を借りる者などであり、区分所有者ではないものの区分所有建物を使用する者を指します。
たとえば、マンションの201号室を所有する佐藤さんがいらっしゃったとしましょう。
佐藤さんは201号室の区分所有者であり、妻と子と共に201号室を使用しています。
であれば、妻と子が占有者です。
また、マンションの202号室を所有する鈴木さんがいらっしゃったとしましょう。
鈴木さんは202号室の区分所有者ですが、他人である渡辺さんに部屋を貸し、202号室は渡辺さんが使用しています。
そうであれば、渡辺さんが占有者です。
区分所有者は区分所有建物(マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物)の各戸の所有者であるのに対し、占有者は区分所有者ではないものの区分所有建物を使用する者という違いがあります。
占有者の意味は、区分所有者の意味と同じく「建物の区分所有等に関する法律」にて定義されています。
同法律のその部分をわかりやすく簡単にご紹介すると、以下のとおりです。
建物の区分所有等に関する法律 第六条(区分所有者の権利義務等)3項
区分所有者ではないが、区分所有建物の各戸を使用する者を占有者という
「建物の区分所有等に関する法律」では、区分所有者は自分以外の区分所有者の利益に反する行為(迷惑になる行為)をしてはならないと規定しています。
そして、同法律では、その規定は占有者にも適用されると定めています。
つまり、区分所有者の家族や、区分所有者からその戸を借りる者(すなわち占有者)は、他の区分所有者の迷惑になる行為をしてはならないというわけです。
2. 区分所有とは?わかりやすく解説
ここからは「区分所有者」という不動産用語に含まれる「区分所有」をわかりやすく簡単に解説しましょう。
区分所有とは、マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物内に所在する戸を所有することです。
マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物を「区分所有建物」などと呼びます。
区分所有建物は複数の戸で構成され、一定の対価を支払えば、その建物内に所在する戸を所有することが可能です。
たとえば、戸数が100であり、全ての戸の販売価格が3,000万円のマンションがあったとしましょう。
そのマンションの一戸を佐藤さんが購入しつつ所有するとします。であれば、佐藤さんはマンションを区分所有することとなります。
このように複数の戸で構成された区分所有建物内に所在する戸を所有することが区分所有です。
なお、区分所有はマンションやビルに限らず、店舗や事務所、倉庫なども可能です。
たとえば、複数のお店で構成されたショッピングセンターのような建物があったとしましょう。
その建物に含まれる店舗を所有する場合も区分所有するといえます。
また、複数の倉庫で構成された建物があったとしましょう。
その建物に含まれる倉庫を所有する場合も区分所有するといえます。
ただし、各店舗や各倉庫がきちんと区分けされず、移動できる簡易的な壁などで仕切られている場合などは、区分所有しているとはいえないため注意してください。
区分所有とは、区分けされた各部分が独立して使用できる、一棟の建物内に所在する戸を所有することです。
区分所有できる建物の詳細は「建物の区分所有等に関する法律」に記され、その部分をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のようになります。
建物の区分所有等に関する法律 第一条
構造により区分けされた一棟の建物内に、独立して使用できる住居、店舗、事務所、倉庫などがある場合は、それらの部分を区分所有できる
まとめ - 専有部分、共有部分、敷地利用権とは?
イラストと図解を用いて区分所有者、不在区分所有者、占有者をわかりやすく簡単に解説しました。
マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物を区分所有建物などと呼び、区分所有建物は各戸に所有者が存在しますが、その所有者が区分所有者です。
不在区分所有者とは、区分所有者であるものの、その区分所有建物に居住しない者を指します。
占有者とは、区分所有者ではないものの区分所有建物の各戸を使用する者であり、区分所有者の家族や、区分所有者から区分所有建物の各戸を借りる者などを指します。
区分所有者の意味を調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
ちなみに、マンションなどの区分所有建物の規約には「専有部分」「共用部分」「敷地利用権」などの不動産用語が記されています。
専有部分とは、区分所有建物内に存在する、各区分所有者が単独で使用する部分であり、主にバルコニーを除く各戸内を指します。
共用部分とは、区分所有建物内に存在する、各区分所有者が共同で使用する部分であり、主に廊下や階段、エントランス、エレベーターなどを指します。
敷地利用権とは、区分所有建物が建つ敷地を利用する権利であり、各区分所有者が少しずつ分け合って所有しています。
最後に、本記事でご紹介した不動産用語の意味を表でまとめましょう。
本記事で解説した不動産用語のまとめ
不動産用語 | 意味 |
---|---|
区分所有者 | マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物の各戸の所有者 |
区分所有建物 | マンションやビルなど、複数の戸で構成された建物 |
不在区分所有者 | 区分所有建物の区分所有者であるものの、その区分所有建物に居住しない者 |
占有者 | 区分所有者を除く、区分所有建物の各戸の使用者 |
区分所有 | 区分所有建物の各戸を所有すること |
専有部分 | 区分所有建物内に存在する、各区分所有者が単独で使用する部分であり、主にバルコニーを除く各戸内を指す |
共用部分 | 区分所有建物内に存在する、各区分所有者が共同で使用する部分であり、主に廊下や階段、エントランス、エレベーターを指す |
敷地利用権 | 区分所有建物が建つ敷地を利用する権利であり、各区分所有者が少しずつ分け合って所有している |
ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2025年1月
記事公開日:2020年6月
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