中古マンションの探し方のコツ。解消できる不満とできない不満

中古マンションを購入する際は、物件探しが肝です。
しかし、中古マンションは探すのが大変で、途中で疲れてしまう方が大勢いらっしゃいます。
そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、これから中古マンションを探す方や、理想の中古マンションが見つからないとお嘆きの方へ向けて、中古マンションの探し方や、気に入らない中古マンションの不満を解消する方法をご紹介しましょう。
目次
- 1. 探す前に「理想の中古マンション像」をリストアップする
- 2. 馴染みの不動産屋を作り、掘り出し物情報を手に入れる
- 3. 購入したいマンションを決めて、不動産屋に伝える
- 4. こんな不満は解消できる!イマイチなマンションを好きになる方法
- 5. こんな不満はどうしようもない… 諦めるべき不具合
- まとめ - ときには待つことも大切
1. 探す前に「理想の中古マンション像」をリストアップする
中古マンションを購入する第一歩は、なんといっても物件探しです。
中古マンションを探す際は、築年数や管理体制など様々なことに注意すべきですが、全ての理想が叶う完璧な中古マンションを見付けるのは大変です。
よって、中古マンションを探す際は、ご自身が中古マンションに何を求めるか10個程度リストアップしつつ順位を付け、上位の3つが叶う中古マンションを優先して探すように心掛けてください。

リストアップは、駅から近い、スーパーが近い、3LDK以上、ペットが飼える、ベランダからの見晴らしが良い、静かで落ち着ける、室内がおしゃれで綺麗、2,000万円以下、毎月の管理費が1.5万円以下などと書き出すのが良いでしょう。
ご自身の中にある「理想の中古マンション像」をきちんと整理すれば、中古マンション探しがスムーズになります。
2. 馴染みの不動産屋を作り、掘り出し物情報を手に入れる
中古マンションを探す際は、アットホームなどの不動産検索サイトだけを頼りにしがちですが、ネットの情報が全てではありません。
たとえば、不動産業者はネットに公開していない中古マンションに関する情報を有していることがあります。
これは、「パッとしない物件で、ネットに広告を出すだけ無駄だと思っていた」や、「忙しくてネットに広告を出せなかった」などが理由です。
また、パソコンの操作が苦手で、メールや問い合わせフォームから連絡しても返事がない不動産業者も数多く存在します。

そのため、中古マンションを探す際は、ネットの不動産検索サイトは「入口」と考え、雰囲気が良い中古マンションの広告を出す不動産業者が見付かり次第、電話で連絡を取りつつ実店舗に出向くなどして、生の情報を積極的に仕入れるように努めてください。
それを繰り返せば、いつの間にか馴染みの不動産屋が2つ3つと増えます。
不動産業者と顔見知りになれば、売り出されて間もない中古マンションの情報をネットに広告を出すより早く知らせてくれることがあり、これが掘り出し物であることも珍しくありません。
ただし、希望する中古マンションの条件を伝えたにもかかわらず、それに該当しない中古マンションを手当たり次第に斡旋する不動産業者が存在するため注意してください。
そのような場合は、ハッキリとその中古マンションを購入する意思がないことを伝えることが大切です。
3. 購入したいマンションを決めて、不動産屋に伝える
立地条件を重視しつつ中古マンションを探す場合は、購入を希望する具体的な中古マンションを決定し、その中古マンション名を不動産業者に伝え、その中古マンションで部屋が売り出されるのを待つという方法があります。
たとえば、東京都渋谷区笹塚の「笹塚駅」の近くに住みたいと希望する場合は、笹塚駅周辺で住みたいと希望するマンションをリストアップします。
つまり、購入したい中古マンションに狙いを付けるというわけです。

そして、リストアップしたマンション名を笹塚駅周辺で営業する不動産屋に伝え、「これらのマンションで売り物件が出れば知らせて欲しい」と依頼します。
そうすれば、そのマンションで部屋が売り出され次第、ネットに広告を出すより先に情報を知らせてくれます。
ただし、この方法を用いると、希望のマンションが売り出されるまで気長に待つ必要があるため注意してください。
4. こんな不満は解消できる!イマイチなマンションを好きになる方法
先にご紹介したとおり、全ての理想が叶う中古マンションを探すのは大変です。
中古マンションを探す際は、「日当たりが悪い」「間取りが気に入らない」など、様々な不満を感じることがありますが、工夫次第で解消できることもあります。
気に入らない箇所を上手に解消すれば、購入する中古マンションが早く見付かり、探す時間を短縮できます。
ここから、気に入らない中古マンションの不満を解消する方法をご紹介しましょう。
日当たりが悪い
北向きの部屋は日当たりが悪く、洗濯物や布団が乾きにくい、お風呂にカビが生えやすいと避ける方がいらっしゃいます。
しかし、それらは工夫次第で解消することが可能です。
たとえば、日当たりが悪く洗濯物が乾きにくいのであれば、乾燥機付きのドラム式洗濯機や除湿器を導入しつつ部屋干しすれば乾きます。
また、日当たりが悪く布団が干せないと考える場合は、布団乾燥機をご使用になれば布団がよく乾き、花粉も付きません。
お風呂や洗面室のカビは、日当たりではなく風通しの悪さが原因です。
お風呂や洗面室にカビが生えやすい場合は、換気扇を活用するなどして通気性に配慮すれば良いでしょう。
日当たりが悪く憂鬱になるのではと心配する場合は、照明に配慮しつつ部屋を明るくし、天気の良い日は屋外で運動を楽しむなどして気が滅入らないように心掛けてください。
部屋が汚れている
購入を検討するものの、部屋が汚れていると躊躇する場合は、購入後にリフォームすれば解消できます。
最近のリフォーム技術は優秀で、どんな汚れた部屋も綺麗にすることが可能です。
もちろんリフォームには費用が掛かりますが、壁紙などは自分で貼り替えることが可能で、ご自身でリフォームすれば材料費だけで済み、ご家族でリフォームをすればコミュニケーション不足も解消されます。
ちなみに、私も3LDKのマンションをDIYで2LDKにリフォームしたことがあり、その際はキッチンも入れ替えましたが、合計35万円の出費で済みました。
なお、当サイトでは、リフォーム業者に依頼しつつ、中古住宅のキッチンのリフォームを100万円で済ませる方法もご紹介中で、「中古物件のキッチンを格安でリフォームする秘訣(丸ごと綺麗に!)」よりご覧いただけます。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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間取りが気に入らない
鉄筋コンクリート造りのマンションは、一部例外を除き、比較的簡単に間仕切りを撤去するリフォームが可能です。
これは、多くの鉄筋コンクリート造りのマンションはラーメン構造であることが理由であり、ラーメン構造は建物全体で耐力性を保つため、各戸の間仕切りは重要ではありません。
よって、購入を希望する中古マンションが見付かるものの間取りが気に入らないと躊躇する場合は、購入後のリフォームによる間仕切りの撤去や間取りの変更を検討するのが良いでしょう。
ただし、お風呂やキッチンなど、水道やガスの配管を必要とする設備の位置を変更するリフォームや、窓の位置や大きさを変更するリフォームは難しいため注意してください。
なお、当サイトのコンテンツである「中古住宅のリフォーム。間取りは変更はできる?(間仕切り撤去)」では、中古住宅の間仕切りの撤去に関することを詳しくご紹介中です。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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管理体制がだらしない
マンションは、そのマンションの住人が「管理組合」という組織を結成しつつ維持管理し、マンションの寿命を延ばすように努めます。
つまり、マンションはある種の「小さな自治区」というわけです。
そのため、管理組合がだらしないマンションは自治が機能せず荒れてしまい、資産価値も目減りしています。
たとえば、廊下にたくさんの荷物を置く住人が住むマンションを見かけることがありますが、管理組合が機能していないことの表われです。

そのような中古マンションは、一般的には買ってはいけないマンションとされ、販売価格も安くなっていますが、管理組合が存在するのであれば購入後に自らが理事長に立候補し、理事長になりつつ管理体制を一新することが可能です。
そのため、理想の中古マンションが見付かるものの管理体制がだらしないと購入を躊躇する場合は、自らで管理体制を正す意気込みがあれば解消できます。
管理体制がだらしない中古マンションの管理組合は、理事長のなり手がないことが多く、理事長になるのが容易です。
部屋が狭く収納が少ない
築年数が古い中古マンションは、各戸の床面積が50㎡程度(30畳程度)のことがあり、狭いと感じることがあります。
部屋が狭ければ物が置けず不便と感じがちですが、持ち物を減らせば解消できます。
購入を検討する中古マンションが見付かるものの部屋が狭いと感じる場合は、中古マンションの購入を期に持ち物を減らすのがお勧めです。
また、ホームセンターでは狭いスペースを活用できる収納グッズがたくさん販売されているため、それらを活用するのも良いでしょう
さらに、トランクルームを利用するという方法もあります。
トランクルームを利用すれば収納スペースを大幅に増やせるため、どうしても中古マンションが狭く収納が足りないと感じる場合は、レンタル倉庫などもご検討ください。
ただし、室内が50㎡未満の中古マンションは住宅ローン控除(住宅ローンを利用しつつ住宅を購入すると所得税が安くなる制度)が利用できないため注意してください。
築年数が古い
中古マンションは新築より築年数が経過しているため、建て替えを迫られる日が近くなっています。
多くのマンションは鉄筋コンクリート造りですが、鉄筋コンクリート造りの建物の法定耐用年数は47年です。
そのため、築35年の中古マンションを購入すると、建て替えまで12年しかないと感じますが、法定耐用年数は建物の耐久年数ではなく、減価償却費を求めるために用いられる税制上の耐用年数です。
そして、実際の鉄筋コンクリート造りのマンションは大規模な地震で倒壊しない限り、60年程度は住み続けることができます。
よって、理想の中古マンションが見付かるものの築年数が古いと購入を躊躇する場合は、再検討するのが良いでしょう。
ただし、築25年を超える鉄筋コンクリート造りの中古マンションは住宅ローン控除が利用できないため注意してください。
また、築年数が古い中古マンションは、どうしても修繕すべき箇所が多くなり、修繕積立金(マンションの修繕費用を賄うために毎月積み立てるお金)が高くなる傾向があるため、あわせて注意してください。
なお、当サイトのコンテンツである「中古マンションの寿命は何年?」では、様々な観点から中古マンションの耐用年数をご紹介中です。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
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5. こんな不満はどうしようもない… 諦めるべき不具合
中古マンションの室内の汚れなどは、購入後にリフォームすれば解消できます。
しかし、以下にご紹介する不満は解消することが難しいため、ぜひ注意してください。
うるさい
以前お住まいになられていた住宅で騒音に悩み、新たに中古マンションを探す場合は、中古マンションの購入自体を諦めた方が良いかもしれません。
これは、マンションは騒音が付き物であることが理由です。
たとえば、築年数が古い中古マンションは天井や床のコンクリートが薄く、上階や下階、隣室の足音はもちろん、話し声なども聞こえてきます。
また、低価格の中古マンションはGL工法で壁が仕上げられていることがあり、GL工法の壁は、遠く離れた部屋の生活音が聞こえてくることも珍しくありません。
GL工法とは、GLボンドと呼ばれる接着剤を用いて壁を仕上げる工法であり、工期を短縮しつつ工費を抑えられるため、新築時に低価格で販売された中古マンションに多く採用されています。

GL工法で仕上げられた壁は、壁内で音が反響しつつ大きくなるのが特徴で、その中古マンションの壁がGL工法か否かは、壁を指で軽く叩けば判断できます。
指でコンコンと叩き、一定の間隔で空洞のような音が聞こえ、一定の間隔で何かが詰まっているような音がする場合は、GL工法と見て間違いありません。
また、築浅で防音性が高いことを謳う中古マンションであっても、隣人の生活スタイルにより騒がしいと感じることがあるため、マンションの騒音問題は「運」ともいえます。
なお、可能な限り静かに暮らせる中古マンションをお探しの場合は、最上階の角部屋がおすすめです。
最上階は夏に室温が上がりやすいというデメリットがありますが、少なくとも上階からの騒音は聞こえてきません。
ただし、屋上で子供が遊ぶマンションは、やはり足音が聞こえてくることがあるため注意してください。
エレベーターがない
築年数が古い低層や中層建ての中古マンションは、エレベーターが設置されていないことがあります。
マンションのエレベーターは、後から設置することが可能です。
しかし、エレベーターがないマンションにエレベーターを設置するには、数千万円の費用が掛かります。
自治体が建てた団地であれば、自治体の補助でエレベーターを設置できますが、不動産業者が分譲したマンションに補助金が出ることは珍しく、出たとしても少額です。
そのため、余程足腰に自信がない限り、エレベーターがない中古マンションの購入は避けるのが無難です。
ちなみに私は、エレベーターがない5階建てのマンションの最上階の角部屋に住んだ経験がありますが、静かでありつつも階段の昇り降りが大変でした。
修繕積立金が足りない
マンションは、10年に一度などの「大規模修繕」が欠かせません。
大規模修繕とは、マンションの外壁のひび割れを修繕しつつ全塗装を施すなどの大掛かりなリフォームであり、数千万円の費用が必要です。
その費用は「修繕積立金」という名目で、管理組合が管理する口座に各住人が毎月積み立てつつ貯蓄するのが通例となっています。( ※ 各住人が毎月積み立てる金額は8,000円~1万3,000円程度が相場です)
そして、管理組合は、貯まった修繕積立金で定期的に大規模修繕を行い、マンションの維持管理を行いつつ資産価値が落ちないように努めます。
しかし、貯まっている修繕積立金が足りない場合は、大規模修繕を実施できません。
それに該当する場合、管理組合は大規模修繕の際に各住人に追加で修繕費用を出費させます。
出費させる額はマンションの傷み具合により異なりますが、安くとも50万円程度、高い場合は200万円程度になることも珍しくありません。
そのため、中古マンションを購入する際は、その時点で貯まっている修繕積立金の額と、次の大規模修繕の時期を確認することが大切です。
貯まっている修繕積立金の額が数百万円などと少なく、次の大規模修繕が近い場合は、大規模修繕時の追加の支払いを覚悟するしかありません。
追加の支払いを避けたい場合は、その中古マンションの購入を断念した方が良いでしょう。
貯まっている修繕積立金の額は、その中古マンションを仲介する不動産業者や、その中古マンションの管理組合に直接問い合わせれば確認できます。
なお、修繕積立金が毎月5千円などの中古マンションを見掛けますが、毎月の積立金が少ないマンションは、大規模修繕時の追加の支払い額が多くなる傾向があるため注意してください。
まとめ - ときには待つことも大切
中古マンションを探す方へ向けて、中古マンションの探し方のコツと、工夫次第で解消できる不満などをご紹介しました。
中古マンション探しは大変であり、途中で疲れてしまう方がいらっしゃいますが、ご紹介した内容を参考に諦めずお探しください。
いつかはきっと理想の中古マンションが見付かります。
理想の中古マンションが見付からない場合は、良い物件が出るのを待つのが良いでしょう。
人と不動産は一生の付き合いです。
焦らずじっくりと中古マンションを探し、満足できる不動産をご購入ください。
ご紹介した内容が、中古マンションを探す皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2020年6月
記事公開日:2019年4月
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