既存住宅売買瑕疵保険とは?付保証明書ってなに?図解で解説!

既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅専用の保険であり、引き渡された物件に重大な欠陥が発見された場合、修繕費用が保険金として支払われます。
既存住宅売買瑕疵保険をわかりやすく解説し、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書の意味、引き渡し後の中古住宅が加入できるか、保険料の相場などをご紹介しましょう。
なお、既存住宅売買瑕疵保険の読み方は「きそんじゅうたくばいばいかしほけん」であり、付保証明書は「ふほしょうめいしょ」となっています。
目次
- 1. 既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の保険
- 2. 既存住宅売買瑕疵保険の詳細
- 3. 付保証明書とは?再発行できる?
- 4. 既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡し後も加入できる?
- まとめ - 既存住宅売買瑕疵保険の保険料は、5~6万円からなど
1. 既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の保険
冒頭でご紹介したとおり、既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の保険です。

住宅の保険と聞くと、東京海上日動など大手保険会社の商品をイメージしますが、既存住宅売買瑕疵保険を商品化するのは、国土交通大臣が指定した以下の5つの保険法人のみとなっています。
既存住宅売買瑕疵保険を商品化する保険法人
既存住宅売買瑕疵保険に加入する中古住宅を購入すれば、引き渡し後5年以内などに発見された瑕疵(欠陥)に対して保険法人から保険金が支払われ、それを以て修繕されます。
ただし、保険金が支払われるのは、壁紙の剥がれやフローリングの傷、建付けの悪さなどの軽度な瑕疵ではなく、耐力性の欠如や雨漏りなど、重大な欠陥に限られるため留意してください。
また、中古住宅を保険に加入させるためには、保険法人、もしくは保険法人と提携する検査会社による現場検査が必要であり、一定の品質を満たす物件のみが加入することが可能です。
なお、売りに出されている中古住宅は、以下の2つに大きく分類されます。
売りに出されている中古住宅の種類
- 1. 不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅
- 2. 不動産業者が直接販売する中古住宅
そして、既存住宅売買瑕疵保険の詳細は、1を購入する場合と2を購入する場合によって異なります。
つづいて、それぞれの中古住宅を購入する場合における、既存住宅売買瑕疵保険の詳細をわかりやすくご紹介しましょう。
2. 既存住宅売買瑕疵保険の詳細
既存住宅売買瑕疵保険とは、国土交通大臣が指定した保険法人が取り扱う中古住宅の保険です。
そして、既存住宅売買瑕疵保険の詳細は、「不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅」を購入する場合と、「不動産業者が直接販売する中古住宅」を購入する場合によって異なります。

ここから、それぞれの場合における、既存住宅売買瑕疵保険の詳細をご説明しましょう。
なお、売りに出されている中古住宅の多くは、「不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅」となっています。
不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅を購入する場合
不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅を購入する場合における既存住宅売買瑕疵保険は、原則として売り主が加入を申し込みますが、買い主が申し込みしても構いません。
ただし、買い主の希望により、引き渡し前の中古住宅を既存住宅売買瑕疵保険に加入させるためには、売り主の承諾が必要となるため留意してください。
既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには現場の検査が必要であるため、瑕疵の発覚を恐れ、売り主が同保険への加入を拒否することもあります。
また、既存住宅売買瑕疵保険は、国土交通大臣が指定した保険法人のみが取り扱う保険ですが、不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅が売買される場合における保険への加入は、保険法人が提携する検査会社に申し込みます。
保険法人が提携する検査会社は、「既存住宅売買瑕疵保険を商品化する保険法人」にてご紹介した、各保険法人のホームページからお調べいただけます。
そして、保険に加入する中古住宅を購入すれば、引き渡し後5年以内などに発見された重大な瑕疵に対して、保険法人から検査会社に保険金が支払われ、その保険金を以て瑕疵が修繕されます。
検査会社が倒産している場合は、保険法人から買い主に直接保険金が支払われ、その保険金で修繕することが可能です。
不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す中古住宅を購入する場合における、既存住宅売買瑕疵保険への加入と保険金が支払われる流れを図でまとめると以下のようになります。

不動産業者が直接販売する中古住宅を購入する場合
不動産業者が直接販売する中古住宅を購入する場合における既存住宅売買瑕疵保険は、不動産業者が加入を申し込みます。
申し込み先は、「既存住宅売買瑕疵保険を商品化する保険法人」にてご紹介した、国土交通大臣が指定した保険法人です。
そして、保険に加入する中古住宅を購入しつつ、引き渡し後5年以内などに重大な瑕疵が発見されれば、保険法人から不動産業者に保険金が支払われ、その保険金を以て瑕疵が修繕されます。
不動産業者が倒産している場合は、保険法人から中古住宅の買い主に直接保険金が支払われ、買い主の方は、支払われた保険金を以て修繕することが可能です。
不動産業者が直接販売する中古住宅を購入する場合における、既存住宅売買瑕疵保険への加入と保険金が支払われる流れを図でまとめると以下のようになります。

3. 付保証明書とは?再発行できる?
住宅ローン控除やすまい給付金などの必要書類を確認すると、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書との記載があります。
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅専用の保険であり、引き渡し後5年以内などに重大な欠陥が発見されれば修繕費用が保険金として支払われます。( ※ 同保険の詳細は、この記事の「1. 既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の保険」にてご確認いただけます )
そして、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書とは、その中古住宅が既存住宅売買瑕疵保険に加入することを証明する書面です。

付保証明書は、既存住宅売買瑕疵保険に加入する中古住宅が引き渡される際に、その物件の売り主から手渡されるのが通例です。
また、中古住宅を既存住宅売買瑕疵保険に加入させるためには現場の検査が必要であり、その検査を行った検査会社から、付保証明書が物件の買い主に直接交付されることもあります。
そして、付保証明書をなくしたなどの理由で紛失した場合は、再発行を希望することが可能です。
売りに出されている中古住宅は、「不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す物件」と、「不動産業者が直接販売する物件」の2つに大きく分類されますが、再発行の申し込み先は、購入した物件により異なり、以下のとおりとなっています。
付保証明書の再発行の申し込み先
- 不動産業者を仲介させつつ個人が売りに出す物件を購入した場合
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入するために必要となる現場調査を実施した検査機関に申し込むことにより再発行が可能です。検査機関がわからない場合は、中古住宅の売り主に問い合わせることにより判明する可能性があります。
- 不動産業者が直接販売する物件を購入した場合
- 不動産業者、または不動産業者が既存住宅売買瑕疵保険への加入を申し込んだ保険法人に申し込むことにより再発行が可能です。不動産業者が同保険への加入を申し込んだ保険法人は、不動産業者に問い合わせることにより判明します。
なお、付保証明書の見本は、既存住宅売買瑕疵保険を取り扱う保険法人である日本住宅保証検査機構(通称:JIO)が公開する資料にてご確認いただけます。
同資料には、同保険法人が発行した付保証明書の再発行に関する情報も掲載されています。
4. 既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡し後も加入できる?
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の保険であり、同保険に加入する中古住宅には付保証明書が発行され、付保証明書は住宅ローン控除やすまい給付金の必要書類などとして活用できます。
そのため、引き渡し後の中古住宅を既存住宅売買瑕疵保険に加入させることはできないかとお調べになる方がいらっしゃいますが、残念ながらできません。
理由は、既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡される前の中古住宅が対象であり、同保険に加入するためには、引き渡し前の現場検査が必要となるためです。
既存住宅売買瑕疵保険の相談窓口となる「一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会」のホームページ内に設けられたQ&A「既存住宅売買のかし保険|売り主が個人の場合のよくある質問」と「既存住宅売買かし保険|売り主が宅建業者の場合のよくある質問」には、その記述があります。
引き渡し後の中古住宅が既存住宅売買瑕疵保険に加入できない記述を大まかにまとめると以下のとおりです。
質問:既存住宅売買瑕疵保険には、いつ申し込むべきですか?
答え:引き渡し後ではなく、買い主に引き渡される前に申し込み、検査に合格する必要があります。予めお申し込みください。
まとめ - 既存住宅売買瑕疵保険の保険料は、5~6万円からなど
既存住宅売買瑕疵保険や、同保険の付保証明書の詳細、引き渡し後の中古住宅が同保険に加入できるかなどをわかりやすく解説しました。
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅専用の保険であり、同保険に加入する物件を購入し、引き渡し後5年以内などに瑕疵(欠陥)が発見されれば、修繕費用が保険金として支払われます。
ただし、保険金が支払われる瑕疵は、耐力性の欠如や雨漏りなど、重大な欠陥に限られるため注意してください。
同保険に加入する中古住宅を購入すれば、保険法人から付保証明書が交付され、付保証明書は住宅ローン控除やすまい給付金の必要書類などとして活用できます。
付保証明書を紛失した場合は、発行した保険法人や、保険法人と提携する検査機関、中古住宅を販売した不動産業者に依頼することにより再発行が可能です。
また、引き渡し後の中古住宅を既存住宅売買瑕疵保険に加入させることはできないため留意してください。
なお、既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、現場の検査が必要とご紹介しましたが、検査には検査料が掛かり、同保険に加入するためには保険料も必要です。
それらの費用の目安は、国土交通大臣が指定する保険法人である住宅保証機構が公開する資料などからご確認いただけ、中古住宅の床面積や保険期間などによって異なるものの、おおむね検査料が2~3万円程度、保険料は5~6万円程度となっています。
費用の負担者は、中古住宅の買い主と売り主が協議しつつ決定しますが、既存住宅売買瑕疵保険への加入を希望する者が負担するのが通例です。
ご紹介した内容が、既存住宅売買瑕疵保険をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2020年8月
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