住宅ローン控除の住民税の還付はいつ?

住宅ローン控除の住民税の還付はいつ?

住宅ローン控除による住民税の減額は、戻ってくるのではなく支払う住民税が減ることとなります。

そして、住民税が減るのは、住宅ローン控除の適用を受けるための確定申告をした年の6月ごろからです。

だだし、住宅ローン控除における住民税は、必ず減額されるわけではないため注意が必要です。

住宅ローン控除が適用されたものの住民税が戻ってこないと戸惑う方へ向けて、いつから住民税が減額されるか、再度確認すべき住民税が減額される条件、減額された住民税の額を確認する方法をご紹介しましょう。

目次

1. 住民税は、還付ではなく減額される

はじめに、住宅ローン控除の適用を受けつつも住民税が戻ってこないと戸惑う方へ向けて、その理由をご説明しましょう。

住宅ローン控除を受けるための確定申告を行い、住民税が減額される条件を満たせば、確定申告を行った年の6月ごろから払う住民税が減額されることとなります。

住宅ローン控除による所得税の減額は、口座に振り込まれるなどして還付されますが、住民税は戻ってこず、減額された住民税を支払います。

つまり、住民税は戻ることはなく、本来より減額されるというわけです。

住宅ローン控除による住民税は戻ってこない

給与所得者の方が住宅ローン控除の適用を希望する場合、住宅を購入しつつ入居した年の翌年の確定申告で適用を申告するのが通例です。

そして、給与所得者の方に住宅ローン控除が適用されれば、住宅を購入しつつ入居した年の収入にかかる所得税から減額が開始されます。

住宅を購入しつつ入居した年の収入にかかる所得税は、給与所得者の方であれば源泉徴収により昨年中に支払いが完了しています。

ゆえに、給与所得者の方に住宅ローン控除が適用されれば、住宅を購入しつつ入居した年の翌年の4月ごろなどに口座振り込みなどにより所得税が還付されます。

住民税も同じであり、住宅を購入しつつ入居した年の所得にかかる住民税から減額が開始されますが、昨年の所得にかかる住民税は、今年の6月ごろから天引きにより支払うこととなります。

それゆえに、給与所得者の方に住宅ローン控除が適用され、住民税が減額される条件を満たすのであれば、住宅を購入しつつ入居した年の翌年の6月ごろから天引きされる住民税の額が本来より減ることとなります。

減額される期間は来年の6月ごろまでであり、今年も住民税が減額される条件を満たすのであれば、来年の6月以降も引き続き天引きされる住民税の額が本来より減ります。

給与所得者の住宅ローン控除の住民税の還付はいつ?

また、個人事業主の方が住宅ローン控除の適用を希望する場合、住宅を購入しつつ入居した年の翌年の確定申告で適用を申告するのが通例です。

そして、個人事業主の方に住宅ローン控除が適用されれば、住宅を購入しつつ入居した年の収入にかかる所得税から減額が開始されます。

住宅を購入しつつ入居した年の収入にかかる所得税は、個人事業主の方であれば、住宅を購入しつつ入居した年の翌年に行う確定申告の直後に納付するのが通例です。

このため、個人事業主の方に住宅ローン控除が適用されれば、住宅を購入しつつ入居した年の翌年の確定申告の直後に納付する所得税が減額されます。

住民税も同じであり、住宅を購入しつつ入居した年の所得にかかる住民税から減額が開始されますが、昨年の所得にかかる住民税は、今年の6月ごろにご自宅に届く住民税の納付書を以て納税します。

このために、個人事業主の方に住宅ローン控除が適用され、住民税が減額される条件を満たすのであれば、6月ごろにご自宅に届く住民税の納付書に記されている税額が本来より減っています。

個人事業主の住宅ローン控除の住民税の還付はいつ?

ただし、給与所得者の方も個人事業主の方も、住宅ローン控除の適用を受けつつ住民税を減額するためには、一定の条件を満たさなければなりません。

よって、住民税が戻ってこない、いつ還付されると戸惑う場合は、住民税が減額される条件を満たすか再度確認する必要があります。

つづいて、住宅ローン控除により住民税が減額される条件をご紹介しましょう。

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2. 住宅ローン控除で住民税が減額される条件を再確認

ここから、住宅ローン控除の適用を受け、住民税が減額される条件をご紹介しましょう。

住宅ローン控除の適用を受けつつも住民税が戻ってこない、いつ還付されると戸惑う方がいらっしゃいましたら、住民税が減額される条件を満たすか再度ご確認ください。

新築を購入しつつ住宅ローン控除が適用されれば、毎年40万円を上限とするその年の年末のローン残高の1%の所得税が還付、または減額されます。

中古住宅を購入しつつ住宅ローン控除が適用されると、毎年40万円、または20万円を上限とするその年の年末のローン残高の1%の所得税が還付、または減額されます。

このように、住宅ローン控除は、40万円や20万円など、毎年所得税が還付、または減額される額の上限が設けられていますが、住民税が減額されるのは、所得税の額が40万円や20万円などの上限に満たない年の翌年のみです。

住宅ローン控除で住民税が減額される条件

たとえば、給与所得者の方が昨年新築を購入しつつ入居し、今年の確定申告で住宅ローン控除の適用を申告し、今年の4月ごろに所得税が還付されたとしましょう。

その場合は、昨年給与から天引きされた所得税の額が、40万円などの上限に満たない場合に限り、今年の6月ごろから納める住民税が減額されます。

また、個人事業者の方が昨年中古住宅を購入しつつ入居し、今年の確定申告で住宅ローン控除の適用を申告し、今年の2月ごろに減額された所得税を納付したとしましょう。

そうであれば、今年の2月ごろに納付した所得税が40万円や20万円などの上限に満たない場合に限り、今年の6月ごろから納める住民税が減額されます。

さらに、住民税が減額されるのは、以下の2つのうちの小さい方の額です。

所得税が還付される額の上限から、支払った所得税の額を差し引いた額
たとえば、給与所得者の方であり、所得税が還付される額の上限が40万円、昨年中に給与から天引きされた所得税の合計額が20万円であれば「40万円-20万円=20万円」と計算し、その額は20万円です。

また、個人事業主の方であり、所得税が還付される額の上限が20万円、今年の3月に納めた所得税が10万円であれば「20万円-10万円=10万円」と計算し、その額は10万円となります。
136,500円を上限とする、前年の所得にかかる所得税の課税所得金額の7%
前年の所得にかかる所得税の課税所得金額とは、昨年の収入の総額から、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などの各種控除額を差し引いた額です。

計算例を挙げると、昨年の収入の総額が600万円、所得税を計算する際に差し引いた各種控除額の合計が100万円であれば「600万円-100万円=500万円」と計算し、前年の所得にかかる所得税の課税所得金額は500万円となります。

そうであれば「500万円×7%=35万円」と計算し、前年の所得にかかる所得税の課税所得金額の7%は35万円です。

ただし、136,500円が上限のため留意してください。

なお、各種控除額の合計は、住宅ローン控除を適用するために行った確定申告書の控えを確認するなどすれば、把握できます。

住宅ローン控除が適用され、住民税が減額される条件を満たす場合において、住民税が減額されるのは以上の2つのうちの小さい方の額です。

住宅ローン控除で住民税が減額される額の上限に関する詳細は、「総務省:新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります」にてご確認いただけます。

加えて、課税所得金額を計算する方法の詳細は、「国税庁:所得税のしくみ」の下部「課税所得金額の計算について」にて確認することが可能です。

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3. 住宅ローン控除で減額された住民税を確認する方法

住宅ローン控除により還付される所得税は、給与所得がある方は口座に振り込まれ、自営業の方は支払う所得税が減るなどし、容易に減額分を確認できます。

一方、住民税は、毎月給与から天引きされる住民税の額や、請求される住民税の額が減っているだけのため、減額分を確認できず、引かれていないと戸惑う方が多くいらっしゃいます。

引かれていないと戸惑う場合は、以下の方法を用いれば住民税の減額分を確認することが可能です。

給与所得がある方

給与所得がある方は、毎年6月ごろに会社から手渡される住民税の決定通知書の控除欄を見れば、減額された住民税の額を確認できます。

なお、繰り返しになりますが、住宅ローン控除により住民税が減額されるのは、住宅ローン控除を適用するための確定申告をした年の6月ごろからです。

よって、住民税が減額された分を確認するためには、住宅ローン控除の適用を受けるための確定申告をした年の6月ごろに発行された決定通知書を見る必要があるため留意してください。

住宅ローン控除の適用を受けるための確定申告をした前の年に発行された決定通知書には、住宅ローン控除による減額分は記載されていません。

個人事業主や自営業の方

個人事業主や自営業の方は、住宅ローン控除を適用するための確定申告を行った年の6月ごろにご自宅に届く、住民税の決定通知書の控除欄を確認すれば、住宅ローン控除で減った住民税の額を把握できます。

住宅ローン控除の申告をしたにもかかわらず、住民税が引かれていないと不安に感じる場合は、住民税の決定通知書の控除欄をご確認ください。

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まとめ - 住民税を減額するための申告は不要

住宅ローン控除の適用を受けつつも住民税が戻ってこない、還付はいつと戸惑う方へ向けて、その仕組みをご紹介しました。

住宅ローン控除における住民税は、還付されるわけではなく、支払う住民税が減額されることとなります。

減額される時期は、住宅ローン控除を適用するための申告をした年の6月ごろからです。

具体的には、給与所得のある方であれば、住宅ローン控除を適用するための確定申告を行った年の6月ごろから天引きされる住民税の額が減ります。

個人事業主などの自営業者の方であれば、住宅ローン控除を適用するための確定申告を行った年の6月ごろから納付する住民税の額が減ることとなります。

前年の所得にかかる住民税は、今年の6月ごろから納付することとなるため、住民税が減額されるのは、住宅ローン控除を適用するための確定申告を行った年の6月ごろからです。

ただし、住民税が減額されるのは、所得税が減額された額が、所得税が減額される額の上限に達していない場合に限られるため注意してください。

なお、住宅ローン控除は確定申告を行うことにより適用され、所得税が還付、または減額されますが、住民税を減額するための特別な申告は不要です。

給与所得のある方であれば、勤務先から市町村役場に情報が伝わり、住民税が減額されます。

個人事業主の方や自営業の方であれば、確定申告を行った税務署から市町村役場に情報が伝わり、住民税が減額されることとなります。

ご紹介した内容が、住民税が戻ってこないと戸惑う方に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2022年2月
記事公開日:2018年7月

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