固定資産税評価額とは?調べ方や計算する方法を解説

固定資産税評価額とは?わかりやすく解説

固定資産税評価額とは、市町村によって評価された土地や家屋などの適正な時価です。

固定資産税評価額をわかりやすく解説し、土地や新築、中古住宅の固定資産税評価額が算定される仕組みなどを簡単にご紹介しましょう。

なお、ご紹介するのは土地や家屋などの不動産の固定資産税評価額の意味であり、償却資産の固定資産税評価額には該当しないためご注意ください。

目次

1. 固定資産税評価額とは、適正な時価

それでは、固定資産税評価額をわかりやすく簡単に解説しましょう。

土地や家屋などの不動産を所有すると、固定資産税が課せられます。

固定資産税とは、1月1日の時点で土地や家屋などの不動産を所有する方に課せられる税金であり、その1月1日が属する年の4月ごろに納税通知書がご自宅に届き、同封されている納付書を以て納税します。

その固定資産税の額ですが、売買価格ではなく、市町村が評価した対象となる不動産の適正な時価を基に計算されます。

たとえば、市町村が適正な時価が1,000万円であると評価する土地を所有する場合は、1,000万円に固定資産税の税率である1.4%を掛け算するなどして税額が計算されるといった具合です。

家屋も同じであり、市町村が適正な時価が1,500万円であると評価した家屋を所有する場合は、1,500万円に固定資産税の税率を掛け算するなどして税額が計算されます。

売買価格は売り主と買い主の事情や希望によって変わるため、売買価格に税率を掛け算しては公平に課税されません。

よって、不動産の固定資産税は、市町村が評価したその不動産の適正な時価を基に計算されます。

この「市町村が評価したその不動産の適正な時価」が、固定資産税評価額です。

固定資産税評価額とは市町村によって評価された不動産などの適正な時価

所有する土地や家屋の固定資産税評価額は、毎年4月ごろにご自宅に届く固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書を見れば確認できます。

固定資産税は市町村が徴収する地方税のため、課税明細書に記されている固定資産税評価額の名称が異なりますが、東京23区では「価格」という名目で記されている金額が固定資産税評価額です。

加えて、大阪市では「当該年度価格(千円)」という名目で記されている金額が固定資産税評価額となります。

その他にも「固定資産評価額」などの名称で記されていることもあり、私が住む三重県の津市では「評価額」という名称で固定資産税評価額が記されています。

固定資産税評価額とは、市町村が土地や家屋の所有者に固定資産税を課すために評価した、固定資産税の対象となる土地や家屋の適正な時価であり、課税明細書を見れば額を把握することが可能です。

固定資産税評価額は固定資産税の課税明細書に記されている

なお、課税明細書を誤って廃棄したなどを理由に、所有する不動産の固定資産税評価額を確認できない場合は、市町村役場にて固定資産課税台帳を閲覧することにより把握できます。

固定資産課税台帳とは、市町村が固定資産税を課す対象とする土地や家屋の所有者に関する情報、市町村によって評価された適正な時価、すなわち固定資産税評価額などが記された台帳であり、市町村長によって作成されます。

また、不動産を所有することにより課せられる固定資産税の額が、その不動産の適正な時価を基に計算されることは、地方税法の第三百四十九条にて規定されています。

地方税法とは、固定資産税などに関することを定めた法律であり、同法律の第三百四十九条をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

地方税法 第三百四十九条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)
土地、または家屋の所有者に課す固定資産税は、その土地や家屋の価格を基に計算する

上記の文章には価格という言葉が含まれますが、固定資産税における価格の定義は、地方税法の第三百四十一条の第一項の第五号に記され、第三百四十一条の第一項の第五号をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のようになります。

地方税法 第三百四十一条 第一項 第五号(固定資産税に関する用語の意義)
固定資産税における価格とは、適正な時価をいう

つづいて、土地、新築の家屋、中古住宅の家屋の固定資産税評価額の詳細や、固定資産税評価額が算定される仕組みをわかりやすく簡単に解説します。

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2. 土地の固定資産税評価額とは?

土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価です。

たとえば、市町村によって固定資産税評価額、すなわち適正な時価が1,000万円と評価された土地を所有するとしましょう。

その場合は、原則として固定資産税評価額である1,000万円に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した答えの14万円が固定資産税額となります。

土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価されたその土地の適正な時価

土地には売買価格がありますが、売買価格は売り急ぎや買い進みなどによって変わるため、売買価格に税率を掛け算しては均等に課税されません。

よって、土地の固定資産税は固定資産税評価額、すなわち市町村によって評価されたその土地の適正な時価を基に計算されます。

なお、土地の固定資産税は、正式には以下の式で計算します。

土地の固定資産税を計算する式
課税標準額×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=その土地の固定資産税

式には課税標準額という聞きなれない言葉が含まれますが、課税標準額とは、何かしらの税金が課せられる状況において、税率を掛け算する基となる額であり、課せられる税金の種類によって意味が異なります。

土地の固定資産税を計算する場合における課税標準額は、その土地の固定資産税評価額、すなわち市町村によって評価されたその土地の適正な時価です。

土地の固定資産税を計算する式に含まれる課税標準額とはその土地の固定資産税評価額

ただし、固定資産税が減額や軽減される措置が適用される場合は、課税標準額が固定資産税評価額とはならないため留意してください。

たとえば、住宅が建つ土地に掛かる固定資産税には「住宅用地の特例」などと呼ばれる特例が適用されます。

住宅用地の特例とは、住宅が建つ土地に掛かる固定資産税が6分の1などに減額される特例であり、住宅用地の特例が適用される場合は、課税標準額が6分の1などに減額されます。

住宅用地の特例が適用される場合と、適用されない場合の課税標準額の違いをわかりやすく簡単にご説明すると以下のとおりです。

  • 住宅用地の特例が適用されない場合の課税標準額 = 主にその土地の固定資産税評価額
  • 住宅用地の特例が適用される場合の課税標準額 = その土地の固定資産税評価額の6分の1など

上記のように、特例が適用される場合は、課税標準額が固定資産税評価額と同額になるとは限りません。

土地の固定資産税を計算する式に含まれる課税標準額は、税額が軽減される措置が適用されなければ固定資産税評価額となり、適用される場合は固定資産税評価額と異なることとなります。

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3. 新築の固定資産税評価額とは?

新築の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の適正な時価です。

その家屋の適正な時価とは、新築するために建築会社に支払った建築費や、取得するためにハウスメーカーなどに支払った購入代金ではなく再建築費を意味します。

再建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために必要となる費用です。

新築の家屋を取得すると間もなく市町村役場から固定資産評価員と呼ばれる調査員が訪れ、家屋調査を行います。

家屋調査にて固定資産評価員は、家屋を全11ヵ所などに区分し、どのような建材や設備が使用されているか、どのような工法が用いられているか各箇所を調査します。

調査が完了すれば、調査結果に基づいて各箇所に「再建築費評点数」と呼ばれる点数を付けます。

再建築費評点数は、グレードの高い建材や設備が多く使用され、高額な労務費を要する複雑な工法が用いられているほど高く採点されます。

各箇所の採点が済めば、固定資産評価員は各箇所の再建築費評点数を合計し、家屋全体の再建築費評点数を計算します。

最後に、家屋全体の再建築費評点数を円に換算します。

換算される額は1点あたり1円などですが、物価が低い市町村では1円未満に換算されることもあります。

この換算した額が再建築費であり、その家屋の新築時の固定資産税評価額となります。

新築の固定資産税評価額とは固定資産評価員によって評価された再建築費

そして、その家屋の新築時の固定資産税評価額、すなわち再建築費である適正な時価が評価されれば、固定資産税評価額に固定資産税の税率である1.4%などを掛け算します。

適用される特例や軽減措置がなければ、その答えがその家屋の新築時の固定資産税の額です。

適用される特例がある場合は、その答えから一定額が差し引かれた額が、その家屋の新築時の固定資産税の額となります。

なお、再建築評点数を用いて家屋の固定資産税評価額を評価する方法を「再建築価格方式」などと呼びます。

再建築価格方式の詳細は、総務省の告示「固定資産評価基準 第2章 家屋」の「第2節 木造家屋」の「二 部分別による再建築費評点数の算出方法」にて確認することが可能です。

また、先に「新築の固定資産税評価額は、建築会社に支払った建築費や購入代金ではない」とご紹介しましたが、新築の家屋の固定資産税評価額は、建築費や購入代金より大幅に低くなるのが通例です。

ポイント
新築の家屋の固定資産税評価額は、建築費や購入代金より大幅に低い

どの程度低くなるかは断言できませんが、一般には「新築の家屋の固定資産税評価額は建築費の6割程度」などといわれます。

ただし、私はその明確な根拠が記された公的な文章を見たことがなく、その言葉に含まれる「建築費」の具体的な定義を確認したことがないため留意してください。

とはいうものの、新築の家屋の固定資産税評価額は、建築費の6割程度になるといわれます。

ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「固定資産税をパパッと解説」では、木造家屋の家屋調査で固定資産評価員が調査するポイントをわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。

新築の固定資産税評価額が算定される仕組みにご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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4. 中古住宅の家屋の固定資産税評価額とは?

中古住宅の家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の現時点における適正な時価です。

そして、中古住宅の家屋の固定資産税は、固定資産税評価額を基に計算されます。

たとえば、その中古住宅の家屋の固定資産税評価額が500万円であれば、500万円に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した答えの7万円が固定資産税になるといった具合です。

中古住宅の家屋の固定資産税評価額とは?

ここから、市町村が中古住宅の家屋の固定資産税評価額を算定する方法をわかりやすく簡単にご紹介しましょう。

4-1. 新築時に再建築費評点数が採点される

まずは、市町村により、その中古住宅の新築時の固定資産税評価額が算定されます。

中古住宅の新築時の固定資産税評価額の算定方法も、この記事の「3. 新築の固定資産税評価額とは?」にてご紹介した、新築の固定資産税評価額を算定する方法と同じです。

具体的には、その中古住宅が新築された直後に市町村役場から固定資産評価員が訪れ、家屋調査を行います。

家屋調査にて固定資産評価員は、各箇所に使用されている建材や設備の種類、グレードや量、用いられている工法などを調査します。

調査が完了すれば、固定資産評価員は調査結果に基づいて家屋に「再建築費評点数」と呼ばれる点数を付けます。

付けられる再建築費評点数は、グレードの高い建材や設備が多く使用され、高額な労務費を要する複雑な工法が使用されているほど高く採点されます。

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4-2. 再建築費評点数に経年減点補正率を掛け算する

つぎに、市町村によって、その中古住宅の現時点における固定資産税評価額が算定されます。

具体的には、新築時の家屋調査によって採点された再建築費評点数に、築年数に応じた経年減点補正率を掛け算します。

経年減点補正率とは「築年数が経過することにより目減りした価値」であり、木造家屋、非木造家屋、延べ床面積1平方メートルあたりの再建築費評点数によって掛け算すべき率が異なります。

木造家屋の経年減点補正率は、総務省の告示「固定資産評価基準 第2章 家屋」の別表第9「木造家屋経年減点補正率基準表」にて確認できます。

マンションなどの非木造家屋の経年減点補正率は、同じく総務省の告示「固定資産評価基準 第2章家屋」の別表第13「非木造家屋経年減点補正率基準表」にて確認することが可能です。

以下は、木造家屋の経年減点補正率が記された別表第9です。

木造家屋の経年減点補正率

木造家屋の経年減点補正率

出典:総務省告示「固定資産評価基準 第2章 家屋」

表の見方が難解ですが、その木造中古住宅の新築時の1平方メートルあたりの再建築費評点数が55,120点未満であれば、表の一番左の列の経年減点補正率が適用されます。

たとえば、その中古住宅の新築時の1平方メートルあたりの再建築費評点数が5万点であり、築年数が10年であれば0.41が適用され、「その中古住宅の新築時の再建築費評点数×0.41」と計算します。

計算例を挙げると、その中古住宅の新築時の再建築費評点数が1,500万点であれば「1,500万点×0.41=615万点」となります。

経年減点補正率は、築年数が経過するほど掛け算する数値が小さくなります。

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4-3. 減点された再建築費評点数を1点あたり1円などに換算する

最後に、その中古住宅の家屋の現時点における固定資産税評価額が算定されます。

具体的には、その中古住宅の新築時の再建築費評点数に経年減点補正率を掛け算した答えを円に換算します。

換算する額は、市町村、木造家屋か非木造家屋であるかなどによって異なりますが、1点あたり1円前後です。

たとえば、再建築費評点数に経年減点補正率を掛け算した答えが615万点であれば、615万円程度に換算されるといった具合です。

この換算された額が、その中古住宅の現時点における固定資産税評価額となります。

そして、その固定資産税評価額に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した答えなどが、その中古住宅の現時点における固定資産税の額です。

中古住宅の家屋の固定資産税は、その中古住宅が新築された直後に採点された再建築費評点数に経年減点補正率を掛け算し、その答えを円に換算した額を基に計算されます。

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まとめ - 家屋の固定資産税は、新築時の20%までしか下がらない

固定資産税評価額をわかりやすく簡単にご説明しました。

固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、固定資産税が課せられる対象となる不動産などの適正な時価です。

土地や家屋などの不動産を所有すると、市町村から固定資産税が課せられます。

その税額は、市町村によって評価された、その不動産の適正な時価、すなわち固定資産税評価額を基に計算されます。

不動産には売買価格がありますが、売買価格は売り主と買い主の事情や希望によって変わるため、売買価格を基に固定資産税を計算しては公平に課税されません。

よって、不動産の固定資産税は、市町村によって評価されたその土地や家屋の適正な時価である固定資産税評価額を基に計算されます。

固定資産税評価額をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、この記事の「4. 中古住宅の家屋の固定資産税評価額とは?」にて、中古住宅の家屋の固定資産税評価額に関することをご紹介しましたが、中古住宅の家屋の固定資産税は築年数が経過することにより0円になることはなく、新築時の20%まで下がることとなります。

下がる年数は、その家屋が木造か、非木造であるかによって異なりますが、木造であれば15年から35年をかけて新築時の20%まで徐々に税額が下がり、それ以上は下がりません。

15年から35年というと開きがありますが、その家屋の1平方メートルあたりの再建築費評点数が高いほど、長い年月をかけて徐々に下がることとなります。

再建築費評点数は、高額な建材や設備が使用され、複雑な工法が用いられた家屋ほど高く採点されます。

つまり、木造家屋の固定資産税は、高額な建材や設備が使用され、複雑な工法が用いられた、床面積が小さい贅沢な家屋ほど下がりにくいというわけです。

一方、非木造家屋は、1平方メートルあたりの再建築費評点数にかかわらず、65年を掛けて新築時の20%まで固定資産税が徐々に下がります。

マンションは固定資産税が高くて下がりにくい」といわれますが、それは65年という長い年月を掛けて固定資産税が徐々に下がることが理由です。

ご紹介した内容が、固定資産税評価額をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2022年1月
記事公開日:2020年5月

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