フラット35sをわかりやすく解説(返済額が安くなるのは僅か!?)

フラット35sとは? わかりやすく解説

丈夫で長持ちする住宅を購入するご予定がある方は、フラット35sの利用がお勧めです。

フラット35sとは、耐久性や耐震性に優れた住宅を取得する際に利用できる住宅ローンであり、フラット35より金利が低くなります。

フラット35sを知りたいと希望する方へ向けて、フラット35sが利用できる住宅の条件や、フラット35sとフラット35の返済総額の違いなどをわかりやすくご説明しましょう。

目次

1. フラット35sとは、フラット35から金利が引下げられたローン

それでは、フラット35sの意味をわかりやすくご紹介しましょう。

その前に、フラット35の意味を理解してください。

フラット35とは、住宅金融支援機構と金融機関(銀行)が協調しつつ貸し出す住宅ローンです。

フラット35とは住宅金融支援機構と銀行が協調しつつ貸し出す国民的な住宅ローン

フラット35は、新築の一戸建てや分譲マンション、一戸建ての中古住宅、中古マンションなどを購入する際に利用することが可能となっています。

ただし、フラット35はローンなだけに、利息を上乗せしつつ返済しなくてはならないことを留意してください。

たとえば、筆者がこの記事を書く2020年6月現在、フラット35の金利は約1.29%となっていますが、その条件で3,000万円を借り入れしつつ35年間で返済した場合、利息を含めて約3,730万円を返済する必要があります。

以上が、フラット35の意味です。

つづいて、フラット35sの意味をわかりやすくご説明しましょう。

1-1. あらためてフラット35sをわかりやすく解説

フラット35sとは、フラット35と同じく住宅金融支援機構と金融機関が協調して貸し出す住宅ローンです。

フラット35とフラット35sの違いは、金利と利用できる条件にあります。

たとえば、フラット35の金利は先にご紹介したとおり約1.29%ですが、フラット35sは返済開始から10年間、または5年間にわたり金利が0.25%引き下げられ1.04%になります。

フラット35sとフラット35の金利の違い

返済開始から10年間、または5年間だけでも金利が低くなれば、返済総額を抑えることが可能になるため、フラット35sはフラット35よりお得な住宅ローンであるといえます。

ただし、フラット35は新築や中古住宅を購入する際に利用できますが、フラット35sはより耐震性や耐久性に優れた新築、または中古住宅を購入する際のみに利用することが可能です。

フラット35sとは、耐久性や耐震性に優れた住宅を取得する際に利用できるフラット35より金利が引き下げられる住宅ローン

なお、返済開始から10年間金利が引き下げられるフラット35sを「フラット35s 金利Aプラン」、返済開始から5年間金利が引き下げられるフラット35sを「フラット35s 金利Bプラン」と呼びます。

2. フラット35sとフラット35の総返済額の違い

フラット35sとは、住宅金融支援機構と金融機関が協調して貸し出す、耐久性や耐震性に優れた住宅を購入する際に利用できる住宅ローンです。

そして、フラット35sを利用すれば、返済開始から10年間、または5年間にわたりフラット35より金利が0.25%引き下げられます。

しかし、これだけでは、フラット35sとフラット35の違いを実感できません。

そこで、3,000万円を借り入れしつつ35年で元利均等返済をした場合における、フラット35sとフラット35の返済総額を計算しつつ違いをわかりやすく比較しましょう。

フラット35sを利用し、10年間金利が引き下げられた場合の返済総額(金利Aプラン)

  当初10年間の毎月の返済額 それ以降の毎月の返済額 返済総額
フラット35s 金利プランA 8.6万円(年利1.04%) 8.8万円(年利1.29 %) 3,658万円

ボーナス返済なしで計算

フラット35sを利用し、5年間金利が引き下げられた場合の返済総額(金利Bプラン)

  当初5年間の毎月の返済額 それ以降の毎月の返済額 返済総額
フラット35s 金利プランB 8.6万円(年利1.04%) 8.9万円(年利1.29 %) 3,691万円

ボーナス返済なしで計算

フラット35を利用した場合の返済総額

  毎月の返済額 返済総額
フラット35 8.9万円(年利1.29%) 3,730万円

ボーナス返済なしで計算

フラット35s、フラット35の返済総額の比較

  返済総額
フラット35s 金利Aプラン 3,658万円
フラット35s 金利Bプラン 3,691万円
フラット35 3,730万円
フラット35s 金利Aプランとフラット35の返済総額の差 72万円
フラット35s 金利Bプランとフラット35の返済総額の差 39万円

このように、フラット35sを利用すれば、フラット35より返済総額を39~72万円安くできます。

なお、元利均等返済とは、住宅ローンの返済方法を表し、当サイトのコンテンツである「元利均等返済と元金均等返済をわかりやすく解説(図と表付き)」にてわかりやすく意味を解説中です。

お時間のある方は、是非ご覧ください。

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元利均等返済と元金均等返済をわかりやすく解説(図と表付き)

3. フラット35sの対象物件は、耐久性や省エネに優れた家

フラット35sとは、耐久性や耐震性に優れた住宅を購入する際などに利用できる、返済開始から10年間、または5年間にわたりフラット35より金利が0.25%引き下げられる住宅ローンです。

そして、10年間金利が引き下げられるフラット35sを「フラット35s 金利Aプラン」、5年間金利が引き下げられるフラット35sを「フラット35s 金利Bプラン」と呼びます。

そこで気になるのが、それぞれのプランが利用できる条件です。

ここから、フラット35sの金利Aプランや金利Bプランを利用できる新築と中古住宅の条件をわかりやすくご説明しましょう。

なお、条件の詳細は「住宅金融支援機構:フラット35sの技術基準の概要」にてご確認いただけます。

3-1. フラット35sの金利Aプランを利用できる新築の条件

まずは、返済開始から10年間金利が0.25%引き下げられる、フラット35sの金利Aプランをご利用いただける新築の条件をご紹介しましょう。

フラット35sの金利Aプランをご利用いただくためには、以下のいずれかの条件を満たした新築を取得する必要があります。

耐久性や可変性に優れた住宅
長期優良住宅に認定された通気性や換気性に優れる住宅を取得すれば、フラット35sの金利Aプランが利用できる条件を満たします。
省エネルギー性に優れた住宅
屋根や壁などに断熱材が施され、太陽光発電設備が取り付けられるなど一次エネルギー消費量等級5に認定された省エネルギー性に優れた住宅を取得すれば、フラット35の金利Aプランを利用できます。
耐震性に優れた住宅
地震に強いベタ基礎などで建築され、免震装置(地震の揺れが建物に伝わらない装置)が設置された耐震等級3に認定される耐震性に優れた住宅を取得すれば、フラット35の金利Aプランが利用できる条件を満たします。
バリアフリー性に優れた住宅
室内の段差がなく、階段の傾斜角が配慮された高齢者等配慮対策等級4以上に認定されたバリアフリー性に優れた住宅を取得すれば、フラット35の金利Aプランを利用することが可能です。
フラット35sのAプランが利用できる条件

3-2. フラット35sの金利Bプランを利用できる新築の条件

つぎに、返済開始から5年間金利が0.25%引き下げられる、フラット35sの金利Bプランをご利用いただける新築の条件をご紹介しましょう。

フラット35sの金利Bプランをご利用いただくには、以下のいずれかの条件を満たした新築を取得する必要があります。

耐久性や可変性に優れた住宅
外壁に通気層が設けられ、防腐・防蟻処理などが施された劣化対策等級3、なおかつ維持管理対策等級2に認定された耐久性や可変性に優れた住宅は、フラット35sの金利Bプランが利用できる条件を満たします。
省エネルギー性に配慮された住宅
屋根や壁、床などに断熱材が施され、断熱等性能等級4、なおかつ一次エネルギー消費量等級4に認定された省エネルギー性に配慮された住宅は、フラット35sの金利Bプランを利用することが可能です。
耐震性がある住宅
地震に強いベタ基礎などで建築され、耐震等級2以上、なおかつ免震建築物と認定された耐震性がある住宅は、フラット35sの金利Bプランを利用できます。
バリアフリー性に配慮された住宅
室内に段差がなく、高齢者等配慮対策等級3に認定されたバリアフリー性に配慮された住宅は、フラット35sの金利Bプランが利用できる条件を満たします。

3-3. 中古住宅を取得する場合

最後に、フラット35sのAプラン、またはBプランが利用できる中古住宅の条件をご紹介しましょう。

Aプラン、またはBプランが利用できる中古住宅の条件は、先にご紹介した「3-1. フラット35sの金利Aプランを利用できる新築の条件」や「3-2. フラット35sの金利Bプランを利用できる新築の条件」と同じですが、さらに以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

断熱性に優れた窓が使用されている
室内に二重サッシや複層ガラスなどの断熱性に優れた窓が使用されている中古住宅は省エネルギー性に優れていると判断され、フラット35sを利用する条件を満たします。
建設住宅性能評価を受け、省エネルギー性に優れているとの評価を受けている
建設住宅性能評価とは、国土交通大臣から認定を受けた評価機関が実施する住宅の性能を数値で評価する制度です。

建設住宅性能評価を受け断熱等性能等級2以上、または省エネルギー対策等級2以上と評価された中古住宅は、フラット35sを利用することが可能です。

また、中古マンションらくらくフラット35に登録された省エネルギー性に優れた中古マンションを取得する場合もフラット35sを利用する条件を満たします。
浴室と階段に手すりが設置されている
浴室や階段に手すりが取り付けられたバリアフリー性に優れた中古住宅は、フラット35sを利用できます。
室内に段差がない
室内に段差がないバリアフリー性に優れた中古住宅は、フラット35sを利用することが可能です。

フラット35sのAプラン、Bプランが利用できる住宅の比較

  Aプラン Bプラン 中古住宅
耐久性・可変性 長期優良住宅 劣化対策等級3、なおかつ維持管理対策等級2 Aプラン、またはBプランに準ずる
省エネルギー性 一次エネルギー消費量等級5 断熱等性能等級4、なおかつ一次エネルギー消費量等級4 建設住宅性能評価を受け省エネルギー対策等級2以上、または断熱等性能等級2以上に認定。もしくは断熱性に優れた窓が使用されているなど
耐震性 耐震等級3 耐震等級2以上、なおかつ免震建築物 Aプラン、またはBプランに準ずる
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級4以上 高齢者等配慮対策等級3以上 室内や階段に手すりが設置されている、または屋内の段差が解消されている

まとめ - フラット35sには、無理に利用するほどの価値はない

フラット35sをわかりやすくご説明しました。

フラット35sとは、耐久性や耐震性に優れた住宅を取得する際に利用できる住宅ローンであり、フラット35より金利が低くなるのが特徴です。

フラット35sが利用できれば、返済開始から10年間、または5年間にわたりフラット35より金利が0.25%引き下げられます。

そのため、ご紹介した条件に該当する優良な新築や中古住宅を取得する場合は、フラット35sの利用を検討するのが良いでしょう。

ただし、この記事でご紹介したとおり、3,000万円を借り入れしつつ35年で返済した場合におけるフラット35とフラット35sの返済総額の差は、わずか39~72万円程度となっています。

しかし、長期優良住宅、一次エネルギー消費量等級5、耐震等級3など、フラット35sが利用できる条件を満たす住宅を取得するためには、少なくともその数倍の費用の上乗せが必要です。

よって、フラット35sを利用するために予算を度外視した住宅を購入することは避け、無理のない範囲でフラット35sの利用をご検討ください。

住宅ローンは少なく借り入れし、早期に完済するのが理想です。

ご紹介した内容が、皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2020年6月
記事公開日:2018年7月

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