最上階の角部屋ってどう?一戸建てより静か?イラスト付きで解説

静かな中古マンションを購入したい。最上階の角部屋ってどう?

静かに暮らしたいと希望し、中古マンションの最上階の角部屋を探す方が多くいらっしゃいます。

かくいう筆者は現在40代ですが、20代後半に賃貸マンションの最上階の角部屋で4年間生活した経験があります。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、中古マンションの最上階の角部屋をお探しになる方へ向けて、筆者の体験談を交えつつメリットやデメリット、注意すべき点、一戸建てより静かであるかなどご紹介しましょう。

目次

1. 最上階の角部屋のメリットは「ある程度は静か」なこと

まずは、マンションの最上階の角部屋のメリットとデメリットをご紹介しましょう。

メリット1. ある程度は静か

中古マンションなどマンションの最上階の角部屋は、上階と片方の隣室がないだけに「ある程度」は静かです。

「静か」ではなく「ある程度は静か」である理由は、最上階の角部屋は上階からの足音は聞こえませんが、階下の物音は思いのほか聞こえます。

たとえば、床に直接布団を敷いて寝ると下階の生活音が聞こえることがあるため、完全に静かとは言えません。

階下の住人が玄関の戸を勢いよく閉めると、その音が大きく響きます。

中古マンションの最上階の角部屋は、ある程度は静か

また、最上階の角部屋は片方の隣室がないだけに両側に隣室がある部屋よりは静かですが、お隣さんがベランダで大声で話すなどすると、やはり話し声が聞こえます。

とはいうものの、最上階の角部屋は上階と片方の隣室がないだけに、通常の部屋よりは断然静かです。

よって、完全ではないものの今より静かに暮らせる中古マンションをお探しの場合は、最上階の角部屋をお選びになるのが良いでしょう。

ただし、お時間が許すのであれば、この記事を最後までお読みになり、焦らず落ち着いてご検討ください。

メリット2. 眺めが良い

マンションの最上階の角部屋は、眺めが良好です。

筆者が入居していたのは東京の多摩川近くの5階建ての賃貸マンションでしたが、冬の早朝や夕方などは富士山のシルエットが見えて感動しました。

2. 最上階の角部屋のデメリットは「夏暑く冬寒い」こと

中古マンションなど、マンションの最上階の角部屋は通常の部屋より静かで眺めが良いのがメリットですが、夏暑く冬寒いなどのデメリットがあり、詳細は以下のとおりです。

デメリット1. 外気の影響を受けやすい

最上階の角部屋は上階や片方の隣室がないだけに、外気の影響を受けやすいのがデメリットです。

中古マンションの最上階の角部屋のデメリット

たとえば、寒い冬の日は窓や外壁、屋上の床などに冷たい北風が当たり、あっという間に室温が下がります。

私が入居した最上階の角部屋の窓は断熱性がないアルミ製のサッシであったため、冬は結露が酷く窓回りにカビが生えることも珍しくありませんでした。

また、マンションの最上階の角部屋は上階がないだけに、屋上に当たる日差しによる影響を受けやすく、夏はエアコンを付けなければ室温が35度近くまで上昇します。

さらに、私が入居した最上階の角部屋は天井に断熱材が入っていなかったため、エアコンの効きが悪く電気代が高く付きました。

天井への断熱材は、既存の天井に新たな天井を取り付けるなどのリフォームを行うことにより追加できますが、その際は50万円~100万円程度の費用が掛かり、それまでより天井が低くなることがあるため注意してください。

デメリット2. 屋上が解放されていると足音に悩まされる

私が住んでいたのは屋上が解放されていないマンションでしたが、中古マンションには屋上が解放されている物件も存在します。

最上階の角部屋であっても屋上が解放されている場合は、そのメリットを活かしきれないため注意が必要です。

たとえば、解放された屋上でお子様がボール遊びなどをすると、その足音やボールの衝撃音などが室内に伝わります。

また、近くで花火大会などがある場合は、下層階の住民が屋上で見物するなどして足音が響きます。

そのため、静かに暮らせる中古マンションの最上階の角部屋を探す際は、屋上が解放されていない物件を選ぶように心掛けてください。

なお、屋上が解放されている中古マンションであっても、購入後に管理組合に直訴すれば閉鎖できる場合があります。

よって、屋上が解放されている中古マンションの最上階の角部屋が気に入ったものの購入を躊躇する場合は、売買契約を締結する前に、そのマンションの理事長に屋上の閉鎖が可能であるか尋ねるのが良いでしょう。

3. GL工法に注意!

静かに暮らせる中古マンションをお探しの際に最も注意していただきたいのは、GL工法です。

GL工法とは、GLボンドと呼ばれる石膏系の接着剤を用いて壁を仕上げる工法であり、壁内で音が反響しつつ通常の壁より隣室や上下階からの騒音が大きくなります。

GL工法とは?

私は最上階の角部屋ではありませんが、GL工法が採用されたマンションで数年間ほど暮らした経験があります。

その際は、鉄筋鉄骨コンクリート造でありながら、お隣さんのくしゃみさえ聞こえてきました。

また、壁から上下階からの足音が聞こえることもあり、太鼓の中で暮らしているような感覚に見舞われたことを覚えています。

購入を希望する中古マンションの壁がGL工法で仕上げられているか否かは、壁を指で軽く叩けばわかります。

一定間隔で空洞の壁を叩くような音と、コンクリートが詰まった壁を叩くような音がする場合は、GL工法とみて間違いないでしょう。

GL工法の見分け方

GL工法は下地を必要とせず壁を仕上げられるため、工期を短縮しつつ建築費を抑えることができます。

そのため、コストを抑えつつ建てられた中古マンションやホテルなどでGL工法の壁をよく見かけます。

静かに暮らせる中古マンションをお探しの場合は、GL工法の物件だけは避けるように気を付けてください。

なお、GL工法は、壁内のGLボンドを撤去するリフォームを行うことにより解消することが可能です。

よって、気に入った中古マンションが見つかったもののGL工法である場合は、購入と同時にGLボンドを撤去するリフォームを行うことを検討するのが良いでしょう。

戸内の全てのGLボンドを撤去するリフォームの費用は、その物件の床面積によって異なりますが、おおむね100~200万円程度などです。

ちなみに、GL工法の画像は「Google画像検索 GL工法」にてご覧いただけます。

4. マンションの最上階の角部屋と一戸建てはどっちが静か?

静かに暮らせる物件をお探しになる場合、中古マンションの最上階の角部屋と、一戸建てのどちらが静かに生活できるか悩まれる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

マンションの最上階の角部屋は通常の部屋よりは静かですが、完全に静かというわけではありません。

完全に静かに暮らせる物件をお探しになる場合は、やはり一戸建てが理想です。

マンションは上下階や両隣からの騒音に悩まされる可能性がありますが、一戸建てであれば、少なくとも上下階からの騒音はありません。

ただし、一戸建てであっても、極端に隣家が近い住宅や、自己の住まいのすぐ近くに隣家の駐車場がある物件には注意が必要です。

隣家や駐車場が自己の住まいに近ければ、生活音や車のドアの開閉音に悩まされる虞があります。

極端に隣家が近い住宅などは注意が必要

また、築年数が古い一戸建ては、壁内に断熱材が入っていなかったり、薄く断熱性がない窓が使用されていることがありますが、断熱材や断熱窓は一定の防音効果が期待できます。

そのため、静かに暮らせる物件を探しつつ、壁内に断熱材がなく薄い窓が使われた一戸建ての中古住宅を購入する場合は、断熱材や断熱窓を導入するリフォームを検討するのが良いでしょう。

なお、静かに暮らせる物件を探す際は、焦って購入しないことが重要です。

一見したところ静かに暮らせそうな物件であっても、夜遅くや週末は環境が変わり騒がしいことがあります。

よって、購入を希望する物件が見つかれば昼夜問わず何度も見学し、現時点で静かであり、なおかつ将来も静かであると予想される物件をお選びください。

見学回数は少なくとも7~8回以上が理想であり、多いに越したことはありません。

ちなみに、誰でもわかる不動産売買では、私の体験談を交えつつ中古住宅の購入方法をご紹介するコンテンツも公開中です。

私は、一戸建ての中古住宅と中古マンションを購入した経験があり、その両方で失敗しています。

お時間のある方は、ぜひご覧ください。

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まとめ - 静かに暮らせる物件は極めて少ない

中古マンションの最上階の角部屋をお探しになる方へ向けて、筆者の体験談を交えつつメリットやデメリットなどをご紹介しました。

マンションの最上階の角部屋は、集合住宅なだけに完全に静かではありませんが、通常の部屋よりは圧倒的に静かです。

そのため、中古マンションの最上階の角部屋は、ある程度静かな物件をお探しの方にお勧めであり、完全に静かに暮らせる住宅をお探しの場合は、やはり一戸建てが理想となります。

ただし、中古マンションの最上階の角部屋や一戸建てであっても、周囲の環境が悪ければ静かに暮らせません。

よって、静かに暮らせる住宅をお探しの場合は、焦らず落ち着いて何度も物件を見学するように心がけてください。

不動産業者から「この物件は静かですよ」と言われても鵜呑みにせず、自分で確認することが大切です。

余談ですが、私は静かに暮らせる環境を求めつつ都会から田舎に移住しましたが、移住先の田舎でも引っ越しを経験しています。

日本は1億2581万もの人々が生活するため、完全に静かに暮らせる環境というのは極めて少ないのかもしれません。

最近は「ポツンと一軒家」という番組が流行っていますが、同番組で取り上げられるような物件は上水道を引き込めず、井戸水や沢水を飲料水として利用せざるを得ないため、都会育ちの私には厳しいものがあります。

ご紹介した内容が、静かに暮らせる不動産をお探しの皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2020年10月
記事公開日:2019年11月

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