中古住宅の瑕疵担保責任の範囲はどこまで?わかりやすく解説

中古住宅を購入しつつ引き渡しを受けた後に、売買契約時に気づかなかった隠れた瑕疵(欠陥や不具合)が見つかった場合は、買主は売主に対して修繕などを請求できます。
これを瑕疵担保責任と呼び、瑕疵担保責任があることにより、買主は安心して中古住宅を購入できます。
とはいうものの、瑕疵担保責任は一筋縄ではいかず、適用される範囲や期間があるため油断は禁物です。
中古住宅の購入を予定される方へ向けて、瑕疵担保責任がどこまで適用されるか、瑕疵担保責任の注意点などをご紹介しましょう。
目次
1. 瑕疵担保責任が適用されるのは、隠れた重大な瑕疵
瑕疵担保責任が適用される範囲は、売買契約時に既に発生していた、買主が気づかない、その中古住宅に住み続けることができなくなるような重大な欠陥に限られます。
瑕疵担保責任が適用され、売主に修繕などを請求できる主な範囲は以下のとおりです。
- 屋根や壁などからの雨漏り
- 壁内の柱の腐朽
- シロアリによる床下の食害
- 地盤沈下による建物の傾き
- 敷地内に埋まる廃棄物などによる土壌汚染
- 水道管や排水管の破損
- 過去の事故や火災などによる心理的瑕疵
- 騒音や異臭などによる環境的瑕疵
上記のような重大な欠陥が瑕疵担保責任が適用される範囲で、壁紙の一部が剥がれていたり、洗面室の隅にカビが生えていたなど、軽度な瑕疵には範囲が及ばないため注意してください。
買主が請求できるのは、修繕だけではない
瑕疵担保責任が適用されるような欠陥が見つかった場合、買主が売主に対して請求できるのは修繕だけではありません。
たとえば、地盤沈下により建物が大きく傾くなどして、修繕も住み続けることもできない場合は、買主は売主に対して売買契約そのものの解除を請求できます。
また、過去に火災などによる事故があり、それを売主が買主に知らせずに物件が売買された場合なども、買主は売主に対して売買契約の解除を請求することが可能です。
なお、実際に中古住宅を購入し、売主の瑕疵担保責任を問えるような重大な欠陥が見つかった場合は、その中古住宅を仲介した不動産業者を通しつつ、売主に修繕や契約の解除などを請求します。

2. 瑕疵担保責任が適用される期間は、おおむね2~3ヵ月程度
瑕疵担保責任が適用されるのは、民法により買主が瑕疵を発見した日から1年以内と期間が定められています。
しかし、それでは、引き渡しから10年後に見つかった瑕疵であっても、売主は修繕費用を請求される虞があるため、安心して中古住宅を売却できません。
そのため、瑕疵担保責任が適用される期間は、売買契約により、中古住宅の引き渡し後2~3ヵ月以内などに設定されるのが通例です。
なお、売りに出されている中古住宅の中には、不動産業者が直接販売する物件が存在し、それに該当する中古住宅は、最低でも2年以上の瑕疵担保責任の期間が設けられます。

まとめ - とはいうものの、瑕疵担保責任は一筋縄ではいかない
中古住宅の購入を希望する方へ向けて、瑕疵担保責任が適用される範囲や期間をご紹介しました。
瑕疵担保責任が適用される範囲は、売買契約時に既に発生していた、買主が気づかない、建物に住み続けることができなくなるような重大な瑕疵です。
また、瑕疵担保責任は適用される期間があり、個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す一般的な中古住宅は2~3ヵ月程度、不動産業者が直接販売する中古住宅は2年以上となっています。
そして、瑕疵担保責任が適用される期間内に、売主の瑕疵担保責任を問えるような欠陥が発見された場合は、買主は売主に対して、修繕や売買契約の解除などを請求できます。
そのため、中古住宅は、ある程度は安心して購入することが可能です。
しかし、売主が修繕などに応じないことが多々あり、その場合は、裁判沙汰になることも珍しくありません。
一般財団法人不動産適正取引推進機構で不動産売買に関する判例を検索すると、瑕疵担保責任に関する判決が多数ヒットし、買主の請求が棄却された事例も多く見受けられます。
つまり、瑕疵担保責任は、一筋縄ではいかないというわけです。
そのため、中古住宅を購入する際は、売主の瑕疵担保責任は保険と考え、状況が許されるのであればインスペクションなどを実施し、自己防衛しつつ瑕疵がない、もしくは、高額な修繕費用を要する瑕疵がない物件を選ぶことが大切です。
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記事公開日:2019年10月
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