中古住宅を購入したい。火災保険に入るタイミングはいつ?

中古住宅を購入しつつ火災保険に入るタイミングは、住宅ローンで購入する場合と、現金で購入する場合により異なります。
住宅ローンで購入する場合は融資が実行される際などで、現金で購入する場合は売買契約の前後などです。
これから中古住宅を購入する方へ向けて、火災保険に入るタイミングや、火災保険料がいくらになるか、地震保険の必要性などをご紹介しましょう。
目次
- 1. 火災保険に入るタイミングは中古住宅の購入方法により異なる
- 1-1. 中古住宅をローンで購入する場合
- 1-2. 中古住宅を現金で購入する場合
- 2. 火災保険に加入するための必要書類は、基本的にはない
- 3. 中古住宅の火災保険料はいくら?
- 4. 地震による火災は、地震保険でしか補償されない
- まとめ - 地震保険は、単体では加入できない
1. 火災保険に入るタイミングは中古住宅の購入方法により異なる
冒頭でご紹介したとおり、中古住宅を購入しつつ火災保険に入るタイミングは、住宅ローンや現金など、中古住宅を購入する方法により異なります。

以下に、中古住宅を住宅ローンで購入する場合と現金で購入する場合における、火災保険に入る具体的なタイミングをご紹介しましょう。
1-1. 中古住宅をローンで購入する場合
中古住宅を住宅ローンで取得する場合は以下の流れで購入し、融資が実行される際に火災保険に加入するのが通例であり、火災保険への加入は義務付けられています。
- 1. 購入したい中古住宅を探す
- 2. 購入を希望する中古住宅が決まり次第、中古住宅を仲介する不動産業者を通して売主に購入申込書を提出する
- 3. 中古住宅を仲介する不動産業者と媒介契約を締結する
- 4. 不動産業者から重要事項説明を受け、重要事項説明書に署名捺印する
- 5. 売り主と売買契約を締結しつつ手付金を支払う
- 6. 金融機関に事前審査(仮審査)を申し込む
- 7. 金融機関に本審査を申し込む
- 8. 本審査に通れば融資が実行される
- 9. 融資が実行された直後に売り主に残金を、不動産業者に仲介手数料を支払い、火災保険に加入する
- 10. 中古住宅の引き渡しと返済期間の開始
※ 上記は一般的な流れであり、中古住宅を仲介する不動産業者などにより順序が前後する場合がある
以上が住宅ローンで中古住宅を購入する流れであり、火災保険は融資が実行された直後の「9」のタイミングで加入します。
火災保険料を支払うタイミングは金融機関により異なり、火災保険に加入する際や、融資が実行される数日前に支払うのが通例です。
また、フルローンで中古住宅を購入する場合は、融資額から火災保険料が差し引かれるなど支払い方法が多岐にわたるため、詳しくは住宅ローンを利用する金融機関にお問い合わせください。

1-2. 中古住宅を現金で購入する場合
中古住宅を現金で取得する場合は以下の流れで購入し、中古住宅の引き渡し日から保険期間が開始されるように調整しつつ、売買契約の直後(場合によっては1~2週間前)に火災保険に加入するのが通例です。
なお、中古住宅を現金で購入する場合は、火災保険の加入は任意となっています。
- 1. 購入したい中古住宅を探す
- 2. 理想の中古住宅が見つかり次第、中古住宅を仲介する不動産業者を通して売主に購入申込書を提出する
- 3. 中古住宅を仲介する不動産業者と媒介契約を締結する
- 4. 不動産業者から重要事項説明を受ける
- 5. 重要事項説明から1~2週間後などに売主と売買契約を締結し、手付金を支払いつつ中古住宅の引き渡し日などを調整する
- 6. 中古住宅の引き渡し日に保険期間が開始されるように設定しつつ、火災保険に申し込む
- 7. 売買契約の締結から1~2週間後などに売主に残金を支払う
- 8. 中古住宅の引き渡しと保険期間の開始
※ 上記は一般的な流れであり、中古住宅を仲介する不動産業者などにより順序が前後する場合がある
以上が現金で中古住宅を購入する一般的な流れであり、中古住宅の引き渡し日から保険期間が開始されるように設定しつつ、売買契約の締結後である「6」のタイミングなどで、中古住宅の買い主が保険会社に火災保険への加入を直接申し込むのが通例です。
なお、不動産業者によっては、中古住宅を現金で購入する場合は手付金の支払いを省き、売買契約の締結と同時に売り主に一括で代金を支払わせ、その場で中古住宅が引き渡されることがあります。
それに該当する場合は、売買契約の締結日の1~2週間前に、中古住宅の引き渡し日から保険期間が開始されるように設定しつつ、保険会社に火災保険への加入を申し込むのが良いでしょう。
火災保険会社や代理店にその旨を伝えつつ申し込めば、フレキシブルに対応してくれるはずです。
火災保険料を支払うタイミングは、加入する保険会社により異なりますが、保険期間が開始された1~2ヶ月程度後などに、銀行口座からの引き落としなどで支払うのが一般的となっています。

2. 火災保険に加入するための必要書類は、基本的にはない
中古住宅を購入して火災保険に申し込むタイミングは、融資が実行される際や、売買契約が締結された直後などです。
申し込みは、申込書に必要事項を記入しつつ行い、保険会社によって異なりますが、申し込み時に必要となる書類は基本的にはありません。

とはいうものの、申込書には、購入する中古住宅の住所、床面積、構造などを記入する必要があるため、重要事項説明書が手元にあると申込書の作成が容易です。
重要事項説明書とは、購入する中古住宅の仕様などが記載された書類で、売り主と売買契約を締結する1~2週間前などに不動産業者から手渡されます。
重要事項説明書がない状況で申込書を作成する必要がある場合は、購入する中古住宅を仲介する不動産業者に問い合わせれば、中古住宅の住所、床面積、構造などを確認することが可能です。
なお、購入する中古住宅が耐火建築物や準耐火建築物などである場合は保険料が割引されます。
割引を適用させるためには、中古住宅が耐火建築物や準耐火建築物であることを証明する書類を申込書に添付する必要があるため注意してください。
中古住宅が耐火建築物や準耐火建築物であることは、以下の書類で証明できます。
中古住宅が耐火建築物などであることを証明できる書類
書類名 | 入手先 |
---|---|
中古住宅の建築確認申請書 | 中古住宅の売主 |
中古住宅の設計仕様書や設計図面 | 〃 |
中古住宅が新築時に分譲された際に配られたパンフレット | 〃 |
購入する中古住宅が耐火建築物や準耐火建築物などであり、売主が割引を適用させつつ火災保険に加入していた場合は、その保険証券 | 〃 |
フラット35を利用しつつ中古住宅を購入する場合は、独立行政法人住宅金融支援機構が発行したフラット35の融資が実行されたことが証明できる書類 | 住宅金融支援機構、または、フラット35を利用した金融機関 |
※ 契約する保険会社により必要書類が異なる
※ 全ての書類を添付する必要はなく、いずれか1通で構わない
3. 中古住宅の火災保険料はいくら?
中古住宅を購入して火災保険に加入する際は、保険料がいくらか気になりますが、契約する保険会社や補償内容、中古住宅の構造、床面積などにより変動するものの年間3~4万円程度になるのが通例です。
また、火災保険は契約期間を選択することが可能で、10年契約で保険料を一括で支払えば、10年間で20~30万円程度などに割引されることもあります。
さらに、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は、金融機関が火災保険を斡旋することがあり、その火災保険に加入すれば団体割引が適用されつつ保険料が安くなる場合もあります。
火災保険は保険会社により多種多様な保険が用意され、それぞれの保険で保険料が異なります。
よって、火災保険に加入する際は、可能であれば複数の保険会社から見積もりを取り、ご希望に合った火災保険を探すのが良いでしょう。
ちなみに、火災保険料を支払うタイミングは、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は融資実行時や融資実行日の数日前、現金で中古住宅を購入する場合は火災保険に加入してから1~2ヶ月後などとなっています。
4. 地震による火災は、地震保険でしか補償されない
中古住宅は、住宅ローンで購入しても現金で購入しても地震保険への加入は任意です。
しかし、火災保険だけでは地震で起きた火災による損失は補償されません。
また、地震により隣家が火事になり、ご自宅に飛び火し損害を受けた場合も火災保険だけの加入では補償されません。よって、中古住宅を購入した場合は、可能であれば火災保険と共に地震保険に加入するのが良いでしょう。
地震保険料は中古住宅が所在する都道府県や、中古住宅が耐火建築物であるかなどにより異なり、保険金額(災害時に支払われる金額)1,000万円あたりの年間の保険料は以下のとおりとなっています。
保険金額1,000万円あたりの年間の地震保険料
都道府県名 | 非耐火建築物 | 耐火建築物、準耐火建築物など |
---|---|---|
北海道、青森県、新潟県、岐阜県、京都府、兵庫県、奈良県 | 13,500円 | 7,800円 |
岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、富山県、石川県、福井県、長野県、滋賀県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県 | 11,600円 | 7,100円 |
宮城県、山梨県、香川県、大分県、宮崎県、沖縄県 | 19,700円 | 10,700円 |
福島県 | 17,000円 | 8,500円 |
茨城県 | 32,000円 | 15,500円 |
埼玉県 | 32,000円 | 17,800円 |
千葉県、東京都、神奈川県、静岡県 | 38,900円 | 25,000円 |
愛知県、三重県、和歌山県 | 24,700円 | 14,400円 |
大阪府 | 22,400円 | 12,600円 |
徳島県、高知県 | 36,500円 | 15,500円 |
愛媛県 | 22,400円 | 12,000円 |
※ 保険料は定期的に見直される
なお、地震保険料は保険会社に支払いますが、保険会社は保険料を政府に預け、預けられた保険料は政府が運用しつつ管理し、災害時に保険契約者に保険金を支払います。
よって、地震保険の保険料は、保険会社による差額はありません。
また、地震保険の保険金は、火災保険の保険金が1,000万円に設定されている場合は半分の500万円など、半額しか支払われないため注意してください。
つまり、1,000万円の保険金が設定された火災保険と共に地震保険に加入している最中に、地震で火事になった場合は、保険金は500万円しか支払われないというわけです。

地震保険の保険金が火災保険の半額しか支払われないのは、大規模な震災で火事が頻発した際に、政府が全ての保険契約者に保険金を支払いきれないことが理由です。
まとめ - 地震保険は、単体では加入できない
中古住宅の購入を希望する方へ向けて、火災保険に入るタイミングや火災保険料の相場、地震保険の必要性などをご紹介しました。
火災保険に入るタイミングは、住宅ローンや現金など、中古住宅を購入する方法などにより異なり、住宅ローンで購入する場合は融資実行時、現金で購入する場合は売買契約締結前後となっています。
火災保険料は中古住宅の構造や床面積などにより異なり、1年契約の場合は3~4万円程度、10年契約の場合は20~30万円程度が相場です。
また、火災保険だけでは地震による火事は補償されず、隣家が地震で火事になりご自宅に飛び火した場合も補償されないため、地震保険への加入も検討するのが良いでしょう。
なお、地震保険は単体では加入できず、火災保険と共に加入する必要があるためご注意ください。
ご紹介した内容が、中古住宅の購入を希望する皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2020年6月
記事公開日:2019年5月
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