土地の贈与を他人から受け、贈与税がかからない条件

土地をタダでもらう、無償で譲渡されるなどの贈与を受けると贈与税がかかります。
その税額が気になりますが、価額が110万円以下の土地であれば贈与税はかかりません。
他人から土地の贈与を受けるご予定がある方へ向けて、贈与税がかからない条件や税額を計算する方法、一目で贈与税額がわかる早見表をご紹介しましょう。
目次
- 1. 価額が110万円以下の土地には贈与税がかからない
- 1-1. 田舎など郊外の土地
- 1-2. 市街地の土地
- 2. 他人から土地をもらうと税金はいくら?
- 3. 贈与税の早見表
- まとめ - 贈与税がかかる場合は申告が必要
1. 価額が110万円以下の土地には贈与税がかからない
冒頭でご説明したとおり、110万円以下の土地の贈与を受ける場合は贈与税がかかりません。
これは、贈与税には暦年(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与に対して110万円の基礎控除が設けられていることが理由です。
よって、他人から暦年に110万円以下の土地の贈与を受けた場合は、贈与税がかからず申告も不要です。
参考リンク
暦年の受贈額(贈与を受けた額)が110万円以下の場合に申告が不要であることの根拠は、「国税庁タックスアンサーNo.4402 贈与税がかかる場合」の「1 暦年課税」にてご確認いただけます。
ただし、暦年に複数の他人から贈与を受けるなどして、その年の受贈額の合計が110万円を超える場合は、贈与税がかかるため注意してください。
たとえば、暦年に1人の他人から110万円以下の土地のみを受贈した場合は、贈与税はかかりません。
これに対して、暦年に複数の他人から贈与を受けるなどして、その年の受贈額の合計が110万円を超える場合は贈与税がかかります。
贈与税の基礎控除は、受贈者(贈与を受けた者)1人につき110万円です。

なお、110万円以下の土地とは、売買価格が110万円以下の土地ではないため留意してください。
110万円以下の土地とは、価額(かがく)が110万円以下の土地を意味します。
価額が110万円以下の土地とは、実勢価格(売買価格)が135~140万円以下などの土地であり、郊外や市街地など、その土地が位置する場所によって価額の求め方が異なります。
ここから、郊外の土地の価額を求める方法と贈与税がかからない状況、市街地の土地の価額を求める方法と贈与税がかからない状況をご説明しましょう。
1-1. 田舎など郊外の土地
田舎など、郊外に位置する土地の価額は、固定資産税評価額の1.1倍になるのが通例です。
固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額とは、その不動産の固定資産税を算出するために市区町村役場が評価した不動産の価格
たとえば、固定資産税評価額が100万円の土地の価額は、その1.1倍の110万円といった具合です。
そして、贈与税には毎年110万円の基礎控除があるため、暦年(1月1日から12月31日まで)に110万円以下の贈与を受けた場合は、贈与税はかかりません。
そのため、固定資産税評価額が100万円以下の土地の贈与を他人から受けた場合は、おおむね贈与税がかかりません。
固定資産税評価額が100万円以下の土地と聞くと具体的な土地をイメージできませんが、実勢価格で表すと140万円程度以下の土地となります。
土地の固定資産税評価額は、実勢価格の70%程度になるのが通例です。
よって、140万円程度以下で売りに出される土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税はかからないとお考えになれば良いでしょう。

また、固定資産税は、市区町村によって異なりますが、おおむね固定資産税評価額の1.4%です。
固定資産税とは?
固定資産税とは、その不動産を1月1日の時点で所有する者に課せられる、その不動産が所在する地域を管轄する市区町村に納める地方税
たとえば、固定資産税評価額が100万円の土地の固定資産税は、その1.4%の1万4,000円といった具合です。
これにより、固定資産税が1万4,000円以下の土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税はかからないと考えることもできます。
贈与を受ける土地の固定資産税評価額や固定資産税は、その土地の所有者に問い合わせることにより確認することが可能です。
1-2. 市街地の土地
市街地に位置する土地の価額は、路線価から計算します。
路線価とは?
路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために毎年7月ごろに国税庁が公表する、日本全国各地の市街地に位置する宅地(建物を建てるための土地)の1㎡あたりの価額
路線価から土地の価額を計算する方法は複雑ですが、路線価から計算した土地の価額は、おおむね実勢価格の80%程度になるのが通例です。
たとえば、実勢価格が135万円の土地の価額は、その80%である108万円程度(135万円×80%=108万円)といった具合です。
そして、贈与税には110万円の基礎控除が設けられているため、暦年(1月1日から12月31日まで)に受けた110万円以下の贈与には、贈与税はかかりません。
よって、市街地に位置する、135万円程度以下で売りに出される土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税がかからないとお考えになれば良いでしょう。

2. 他人から土地をもらうと税金はいくら?
実勢価格が135~140万円以下など、価額が110万円以下の土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税はかかりません。
反対に、それを超える土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税がかかります。
そこで気になるのが、他人から土地の贈与を受けた場合における贈与税の額ですが、以下の式で計算します。
土地の贈与税の計算式
(贈与を受ける土地の価額-基礎控除額)× 税率 - 控除額 = 贈与税
繰り返しになりますが、上記の式に含まれる「贈与を受ける土地の価額」は、実勢価格ではないため注意してください。
贈与を受ける土地の価額は、郊外に位置する土地と市街地に位置する土地によって求め方が異なり、この記事の「1-1. 田舎など郊外の土地」と「1-2. 市街地の土地」にてご紹介した方法で算出することが可能です。
また、式に含まれる基礎控除額は110万円であり、税率と控除額は「贈与を受ける土地の価額-基礎控除額」の答えによって異なり、以下のとおりです。
他人から土地の贈与を受けた場合における贈与税の税率と控除額
贈与を受ける土地の価額-基礎控除額の答え | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
※ 贈与税の税率は「国税庁タックスアンサーNo.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」の「一般贈与財産用」にて確認できる
他人から土地の贈与を受けた場合に課せられる贈与税の税率と控除額は、上記のとおりです。
たとえば、他人から価額が250万円の土地の贈与を受けた場合は以下のように計算し、贈与税額は14万円となります。
計算例
(250万円-110万円=140万円)×10%(税率)-0円(控除額)=14万円(贈与税額)
また、他人から価額が350万円の土地の贈与を受けた場合は以下のように計算し、贈与税額は26万円です。
計算例
(350万円-110万円=240万円)×15%(税率)-10万円(控除額)=26万円(贈与税額)
以上が、他人から土地の贈与を受けた場合に課せられる贈与税を計算する方法と計算例です。
つづいて、他人から土地の贈与を受けた場合にかかる贈与税額が一目でわかる早見表をご紹介しましょう。
贈与税を計算する方法が難しいと感じた方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
3. 贈与税の早見表
実勢価格が135~140万円程度以下である、価額が110万円以下の土地の贈与を他人から受けた場合は、贈与税はかかりません。
反対に、それを超える土地の贈与を他人から受ければ、贈与税がかかります。
他人から土地の贈与を受けた場合に課せられる贈与税の計算方法は、この記事の「2. 他人から土地をもらうと税金はいくら?」にてご紹介しました。
しかし、その計算方法は複雑であり、土地の実勢価格から価額を算出し、基礎控除額を差し引きつつ税率を掛け算するなど大変です。
そこで、田舎など郊外に位置する土地と、市街地に位置する土地の贈与を他人から受けた場合にかかる、贈与税額の早見表をご紹介しましょう。
他人から土地の贈与を受けるご予定の方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、早見表でご紹介する贈与税の額は、あくまで試算した税額です。
正確な贈与税額は、固定資産税評価額や路線価から贈与を受ける土地の価額をきちんと計算しなければ判明しません。
よって、早見表でご紹介する贈与税額は、目安としてお考えください。
他人から郊外の土地の贈与を受けた場合にかかる贈与税の早見表
実勢価格 | 価額 | 課税価格 | 贈与税額 |
---|---|---|---|
140万円程度以下 | 107万8,000円以下 | 0円 | 概ねかからない |
200万円 | 154万円 | 44万円 | 4万4,000円 |
250万円 | 192万5,000円 | 82万5,000円 | 8万2,500円 |
300万円 | 231万円 | 121万 | 12万1,000円 |
350万円 | 269万5,000円 | 159万5,000円 | 15万9,500円 |
400万円 | 308万円 | 198万円 | 19万8,000円 |
450万円 | 346万5,000円 | 236万5,000円 | 25万4,750円 |
500万円 | 385万円 | 275万円 | 31万2,500円 |
550万円 | 423万5,000円 | 313万5,000円 | 37万7,000円 |
600万円 | 462万円 | 352万円 | 45万4,000円 |
650万円 | 500万5,000円 | 390万5,000円 | 53万1,000円 |
700万円 | 539万円 | 429万円 | 63万7,000円 |
750万円 | 577万5,000円 | 467万5,000円 | 75万2,500円 |
800万円 | 616万円 | 506万円 | 86万8,000円 |
850万円 | 654万5,000円 | 544万5,000円 | 98万3,500円 |
900万円 | 693万円 | 583万円 | 109万9,000円 |
950万円 | 731万5,000円 | 621万5,000円 | 123万6,000円 |
1,000万円 | 770万円 | 660万 | 139万 |
※ 価額は実勢価格の70%×1.1倍として計算
※ 他人から土地が贈与された場合の税額であり、直径直属から贈与された場合の税額とは異なる
他人から市街地の土地の贈与を受けた場合にかかる贈与税の早見表
実勢価格 | 価額 | 課税価格 | 贈与税額 |
---|---|---|---|
135万円程度以下 | 108万円以下 | 0円 | 概ねかからない |
200万円 | 160万円 | 50万円 | 5万円 |
250万円 | 200万円 | 90万円 | 9万円 |
300万円 | 240万円 | 130万円 | 13万円 |
350万円 | 280万円 | 170万円 | 17万円 |
400万円 | 320万円 | 210万円 | 21万5,000円 |
450万円 | 360万円 | 250万円 | 27万5,000円 |
500万円 | 400万円 | 290万円 | 33万5,000円 |
550万円 | 440万円 | 330万円 | 41万円 |
600万円 | 480万円 | 370万円 | 49万円 |
650万円 | 520万円 | 410万円 | 58万円 |
700万円 | 560万円 | 450万円 | 70万円 |
750万円 | 600万円 | 490万円 | 82万円 |
800万円 | 640万円 | 530万円 | 94万円 |
850万円 | 680万円 | 570万円 | 106万円 |
900万円 | 720万円 | 610万円 | 119万円 |
950万円 | 760万円 | 650万円 | 135万円 |
1,000万円 | 800万円 | 690万円 | 151万円 |
※ 価額は実勢価格の80%として計算
※ 他人から土地が贈与された場合の税額であり、直径直属から贈与された場合の税額とは異なる
まとめ - 贈与税がかかる場合は申告が必要
他人から土地の贈与を受けるご予定がある方へ向けて、贈与税がかからない条件や贈与税額を計算する方法、贈与税の早見表をご紹介しました。
贈与税には、毎年110万円の基礎控除が設けられています。
そのため、価額が110万円以下の土地の贈与を他人から受ける場合は、贈与税はかかりません。
価額は、実勢価格(売買価格)ではないため留意してください。
郊外の土地の価額は、その土地の固定資産税評価額の1.1倍になるのが通例であり、固定資産税評価額は実勢価格の70%程度などです。
また、市街地の土地の価額は路線価から算出した価額であり、実勢価格の80%程度などになります。
固定資産税評価額や路線価など難解な不動産用語がたくさん登場しましたが、簡単にまとめると、価額が110万円以下の土地とは実勢価格が135~140万円程度以下の土地です。
実勢価格が135~140万円程度以下の土地の贈与を他人から受ける場合は、おおむね贈与税がかかりません。
なお、贈与税がかからない土地の贈与を受けた場合は申告は不要ですが、贈与税がかかる土地の贈与を受ければ税務署への申告が必要です。( ※ 申告が必要となる根拠は「国税庁タックスアンサーNo.4402 贈与税がかかる場合」の「3 申告と納税」にてご確認いただけます )
申告は、土地の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に行う必要があり、申告の方法は「国税庁 贈与税の申告」にてご確認いただけ、国税庁が公開する贈与税の申告書の見本は以下のとおりです。
贈与税の申告書の見本

ご紹介した内容が、土地の贈与を受けるご予定がある皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2021年1月
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