住宅ローン控除とは?条件などわかりやすく解説

住宅ローン控除とは?条件を解説

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用しつつ住宅を購入すれば、10年間、または13年間にわたり所得税から毎年最大40万円などが減税される制度です。

住宅ローンを利用しつつ住宅の購入を予定される方へ向けて、住宅ローン控除の制度の内容や、住宅ローン控除が適用される条件をわかりやすくご説明しましょう。

なお、住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」であり、住宅ローン減税と呼ばれることもあるため留意してください。

目次

1. 住宅ローン控除とは、住宅の購入に関する減税制度

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用しつつ住宅を購入すれば、その住宅に入居した翌年分からの所得税が10年間、または13年間にわたり減税される制度です。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用しつつ住宅を購入することにより所得税が減税される制度

住宅ローン控除により所得税が減税される期間は、新築を購入した場合と中古住宅を購入した場合により異なり、以下のとおりです。

新築を購入した場合、住宅ローン控除の適用期間は13年

新築を購入し、住宅ローン控除により所得税が減税される期間は13年です。

そして、減税される額の上限は、1年目から10年目、11年目から13年目で異なり、以下のとおりとなっています。

住宅ローン控除で減税される額の上限

期間 減税される額の上限
1年目から10年目 40万円を上限とする、その年の年末の住宅ローン残高の1%
11年目から13年目 「4,000万円を上限とするその年の年末の住宅ローン残高の1%」と「住宅を購入するために支払った金額-住宅を購入する際に支払った消費税(4,000万円が上限)×2%÷3」の少ない方の額

上記は減税される額の上限であり、支払った所得税以上の額は減税されない

なお、新築を購入した場合の住宅ローン控除の適用期間は13年とご紹介しましたが、令和3年1月1日以降に住宅を購入した場合は10年に短縮されるため注意してください。

新築に住宅ローン控除が適用される期間の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合」の「3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法」にてご確認いただけます。

▲ 目次に戻る

中古住宅を購入した場合、住宅ローン控除の適用期間は10年など

中古住宅は、消費税が掛かる物件と掛からない物件があります。

そして、中古住宅を購入した場合における住宅ローン控除が適用される期間は、消費税が掛かる物件を購入した場合と、掛からない物件を購入した場合によって異なります。

消費税が掛かる中古住宅を購入した場合は、住宅ローン控除が適用される期間は13年です。

そして、減税される額の上限は、1年目から10年目、11年目から13年目で異なり、以下のとおりとなっています。

消費税が掛かる中古住宅を購入した場合における住宅ローン控除の減税額の上限

期間 減税される額の上限
1年目から10年目 40万円を上限とする、その年の年末の住宅ローン残高の1%
11年目から13年目 「4,000万円を上限とするその年の年末の住宅ローン残高の1%」と「住宅を購入するために支払った金額-住宅を購入する際に支払った消費税(4,000万円が上限)×2%÷3」の少ない方の額

上記は減税される額の上限であり、支払った所得税以上の額は減税されない

消費税が掛からない中古住宅を購入した場合は、住宅ローン控除が適用される期間は10年であり、減税される額の上限は以下のとおりです。

消費税が掛からない中古住宅を購入した場合における住宅ローン控除の減税額の上限

期間 減税される額の上限
1年目から10年目 20万円を上限とする、その年の年末の住宅ローン残高の1%

上記は減税される額の上限であり、支払った所得税以上の額は減税されない

なお、消費税が掛かる中古住宅を購入した場合の住宅ローン控除の適用期間は13年とご紹介しましたが、令和3年1月1日以降に住宅を購入した場合は10年に短縮されるため注意してください。

中古住宅に住宅ローン控除が適用される期間の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.1214 中古住宅を取得した場合」の「3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法」にてご確認いただけます。

▲ 目次に戻る

2. 住宅ローン控除の条件

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用しつつ住宅を購入すれば、10年間、または13年間にわたり所得税が減税される制度ですが、適用するためには一定の条件を満たす必要があります。

また、条件は新築を購入した場合と中古住宅を購入した場合によって異なります。

ここから、新築を購入した場合における住宅ローン控除が適用される条件をわかりやすくご説明しましょう。

なお、中古住宅を購入した場合における住宅ローン控除の条件は、当サイトのコンテンツである「住宅ローン控除が受けられない!?中古住宅に必要な10個の条件」にてご紹介中です。

中古住宅を購入しつつ住宅ローン控除を適用されたい方は、同コンテンツをご覧ください。

ちなみに、新築に住宅ローン控除が適用される条件の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合」の「2 住宅借入金等特別控除の適用要件」にてご確認いただけます。

借入先に関する条件

住宅ローン控除は、金融機関や不動産業者、建築業者などから住宅ローンを借り入れた場合に限り適用されます。

たとえば、親族や知人から資金を借り入れつつ住宅を購入した場合は、住宅ローン控除が適用される条件を満たさないため注意してください。

住宅ローン控除には借入先に関する条件がある

また、金利が0.2%に満たない条件で勤務先から住宅購入資金を借り入れた場合も、住宅ローン控除が適用される条件を満たしません。

▲ 目次に戻る

住宅の取得に関する条件

住宅ローン控除を適用するためには、親族の方以外から住宅を購入する必要があります。

たとえば、親戚やご家族から住宅を譲り受けた場合などは条件を満たさず、住宅ローン控除を受けられないため注意してください。

▲ 目次に戻る

入居日に関する条件

新築を購入しつつ住宅ローン控除を適用するためには、その住宅を新築した日、または取得した日から6ヵ月以内に入居する必要があります。

また、その年の12月31日まで入居していなければ、その年分の住宅ローン控除が適用される条件を満たしません。

つまり、住宅ローンの返済中に住宅を売却するなどして引っ越しすると、その年からの住宅ローン控除は適用されないというわけです。

▲ 目次に戻る

所得に関する条件

住宅ローン控除は10年間、または13年間にわたり適用されますが、その年の所得が3,000万円を超えると、その年分の住宅ローン控除は受けられません。

▲ 目次に戻る

床面積に関する条件

新築を購入しつつ住宅ローン控除を適用するためには、取得した新築の床面積が50㎡以上である必要があります。

たとえば、小さな離れ家を建築した場合などは、住宅ローン控除を受ける条件を満たさないため注意してください。

また、築年数が古い中古マンションや部屋数が少ないマンションは、床面積が狭い傾向があります。

よって、それらのマンションを購入しつつ住宅ローン控除を受けたいと希望する場合は、床面積にご注意ください。

▲ 目次に戻る

返済期間に関する条件

住宅ローン控除を適用するためには、返済期間が10年以上の住宅ローンを組まなければなりません。

たとえば、返済期間が5年の住宅ローンなどは条件を満たさないため注意が必要です。

また、住宅ローンは繰り上げ返済も可能ですが、住宅ローン控除の適用期間内に繰り上げ返済するとローン残高が減り、それに伴い住宅ローン控除で減税される額が減ることがあるため留意してください。

住宅ローン控除は繰り上げ返済すると減税額が減ることがある

▲ 目次に戻る

居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を受けていない

居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例とは、以下の4つの特例です。

1. 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、マイホームを売却して利益を得た場合に課せられる所得税と住民税が免除される特例です。
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」とは、5年を超える期間お住まいになったマイホームを売却して得た利益に課せられる所得税と住民税が安くなる特例です。
特定の居住用財産の買換え・交換の特例
「特定の居住用財産の買換え・交換の特例」とは、マイホームを買い替えつつ出た利益に対して課せられる所得税と住民税の支払いを繰り延べられる特例です。
既成市街地等内にある土地等の買換え・交換の特例
「既成市街地等内にある土地等の買換え・交換の特例」とは、東京都や大阪府などの市街地に土地を所有する方が、マンションを建てることを目的とする建築会社に土地を売り、利益を得た場合に課せられる所得税と住民税の支払いが繰り延べられる特例です。

以上の4つが「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」であり、どの特例も所有する不動産を売却しつつ得た利益に課せられる所得税と住民税が減税される特例です。

そして、住宅を取得した年を含む前後5年間に、上記の4つのいずれかの特例を受けた場合は、住宅ローン控除が適用される条件を満たさないため注意してください。

住宅ローン控除の条件のひとつである居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の5年間とは

特に、現在お住まいになっている住宅を売却し、出た利益に課せられる税金を特例を適用させつつ節税し、新たに住宅ローンを組みつつ新居を購入したいと希望する方は要注意です。

「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を受けていない」の条件に引っ掛かり、住宅ローン控除が適用されない方が少なからずいらっしゃいます。

なお、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の詳細は、当サイトのコンテンツ「長期譲渡所得の課税の特例とは?(住宅ローン控除の落とし穴)」にて、イラスト付きでわかりやすくご説明中です。

住宅ローン控除の条件が気になる方は、是非ご覧ください。

住宅ローン控除の条件のひとつである「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を受けていない」は買い替える方が引っ掛かりやすい

▲ 目次に戻る

まとめ - 住宅ローン控除は、払った額しか返ってこない

住宅ローン控除の制度の内容や、住宅ローン控除が適用される条件をわかりやすくご説明しました。

住宅ローン控除とは、一定の条件を満たしつつ住宅ローンで住宅を購入すると、10年、または13年にわたり、住宅ローン残高の1%などが所得税から減税される制度です。

住宅ローン控除の適用を受けるためには、金融機関から資金を借り入れる、床面積が50㎡以上の住宅を購入する、長期譲渡所得の課税の特例を受けていないなどの条件を満たす必要があります。

なお、住宅ローン控除は、10年間などにわたり毎年最高40万円などの所得税が減税される制度ですが、支払った所得税以上の額は減税されないため注意してください。

たとえば、支払った所得税が20万円の場合は、減税される額は20万円です。

ご紹介した内容が、皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年3月

▲ 目次に戻る

こちらの記事もオススメです