住宅ローンの諸費用はいくら?

住宅ローンを利用する際は、借り入れ金額の1%から5%などの諸費用が必要です。
住宅ローンの利用を希望する方へ向けて必要となる諸費用の種類をご紹介し、各諸費用がいくらになるか目安をご案内しましょう。
目次
- 1. 種類と目安
- 1-1. 事務手数料
- 1-2. 保証料
- 1-3. 火災保険料
- 1-4. 抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬
- 1-5. 抵当権の設定登記の登録免許税
- 1-6. 金銭消費貸借契約書の印紙税
- まとめ - 諸費用も借り入れできる
1. 種類と目安
まずは、住宅ローンを利用する際に必要となる諸費用の種類をご紹介しましょう。
住宅ローンを利用する際は、融資事務手数料、保証料、火災保険料、抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬、抵当権の設定登記に課せられる登録免許税、金銭消費貸借契約書に課せられる印紙税などの諸費用が必要です。
諸費用の合計は利用する住宅ローンや借り入れ金額によって異なるためいくらになると断言できませんが、借り入れ金額の1%から5%程度になるのが通例となっています。
住宅ローンの諸費用の種類と金額の目安をまとめると以下のとおりです。
住宅ローンの諸費用はいくら?
諸費用の名目 | 金額の目安 |
---|---|
事務手数料 | 33,000円から借り入れ金額の2.2%など |
保証料 | 0円から60万円など |
火災保険料 | 10万円から40万円など |
抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬 | 5万円から10万円など |
抵当権の設定登記の登録免許税 | 3万円から12万円など |
金銭消費貸借契約書の印紙税 | 2万円など |
合計 | 83万円からなど (2,000万円を借り入れた場合は全体の約4.2%、3,000万円を借入れた場合は全体の約2.8%、5,000万円を借入れた場合は全体の約1.7%) |
以上が住宅ローンを利用する際に必要となる諸費用の種類と金額の目安です。
諸費用には事務手数料や保証料、登録免許税、印紙税など聞きなれない言葉が含まれています。
つづいて、各諸費用の詳細や注意点、いくらになるかなどをわかりやすくご説明しましょう。
1-1. 事務手数料
事務手数料とは、住宅ローンを貸し出す金融機関に支払う住宅ローンを利用するための手数料です。
事務手数料は「融資事務手数料」などとも呼ばれ、利用する住宅ローンによって大きく金額が異なり、安ければ消費税込み33,000円程度、高い場合は借り入れ金額の2.2%などとなっています。
5,000万円を借り入れた場合における2.2%は110万円、3,000万円を借り入れた際の2.2%は66万円、1,500万円を借り入れた場合の2.2%は33万円と高額ですが、事務手数料が安い住宅ローンは金利が高い場合があるため注意してください。
金利が高ければ総支払額が多くなり、事務手数料が安い意味がありません。
1-2. 保証料
住宅ローンの諸費用における保証料とは、保証会社に支払う保証料を意味します。
保証会社とは、住宅ローンの借り主が返済を滞らせた際に肩代わりする会社です。
住宅ローンを利用する際は保証人が必要と考えがちですが、一部例外を除き不要であり、保証会社に保証料を支払いつつ保証人を代行させることとなります。
保証料には住宅購入資金が貸し出される際に料金を支払う「前払い型」と、金利に保証料が上乗せされる「金利上乗せ型」があり、前払い型は外枠方式、金利上乗せ型は内枠方式などとも呼ばれます。
前払い型における保証料は借り入れ金額と返済期間によって異なり、借り入れ金1,000万円あたりの保証料は以下のとおりです。
借り入れ金1,000万円あたりの保証料
返済期間 | 保証料 |
---|---|
5年 | 45,800円などから |
10年 | 85,440円などから |
15年 | 119,820円などから |
20年 | 148,340円などから |
25年 | 172,540円などから |
30年 | 191,370円などから |
35年 | 206,110円などから |
以上が借り入れ金1,000万円あたりの保証料であり、3,000万円を借り入れつつ30年で返済する場合は「191,370円×3(3,000万円÷1,000万円)=574,110円」と計算し、保証料は574,110円などとなります。
金利上乗せ型を選択した場合は保証料が金利に上乗せされることとなりますが、上乗せされる金利は住宅ローンによって異なるものの0.2%などです。
たとえば、元利均等返済、ボーナス割合10%、金利0.470%で3,000万円を借り入れつつ30年で返済する場合における総支払額は3,255万円などですが、金利上乗せ型を選びつつ金利が0.670%に上がった場合の総支払額は3,367万円などであり、支払う保証料は実質112万円(3,367万円-3,255万円=112万円)となります。

なお、住宅ローンは、住宅金融支援機構と銀行が提携しつつ資金を貸し出すフラット35と、銀行が独自に商品化する住宅ローンに大きく分類されますが、フラット35は保証料が不要です。
よって、保証料が高いと感じる場合は、フラット35をお選びになれば良いでしょう。
ただし、フラット35は銀行が独自に商品化する住宅ローンより金利が高く設定されているため注意してください。
筆者がこの記事を作成する2021年5月現在、りそな銀行が独自に商品化する住宅ローンの金利は0.470%などですが、フラット35は1.360%などとなっています。
また、銀行が独自に商品化する住宅ローンの中にも保証料が不要の商品がありますが、保証料が不要の商品はこの記事の「1-1. 事務手数料」でご紹介した融資事務手数料が高くなる場合があるため注意してください。
保証料が安い、または不要の商品は目を惹きますが、結局は別の名目で支払うこととなります。
1-3. 火災保険料
住宅ローンを利用しつつ不動産を購入する際は、必ず火災保険に加入しなくてはなりません。
火災保険料は契約年数と契約内容により大きく異なり、10万円から40万円程度など様々です。
なお、火災保険は、地震で火事になった場合は保険金が支払われません。
これは、お隣さんが地震で火事になり、その火が我が家に飛び火した場合も同じです。

よって、住宅ローンを利用する際は、予算が許すのであれば地震保険にも加入しておくのが良いでしょう。
地震保険の保険料は住宅が所在する都道府県などによって異なり、木造住宅であれば保険金1,000万円あたりにつき年間12,300円から42,200円程度、鉄筋鉄骨コンクリート造であれば年間7,400円から27,500円程度となっています。
地震保険料の詳細は、「財務省|地震保険の基本料率(令和3年1月1日以降保険始期の地震保険契約)」にて確認することが可能です。
1-4. 抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬
住宅などの不動産を取得すると登記が必要です。
登記とは、その不動産の権利を有する者に関する情報を登記簿と呼ばれる公の帳簿に記す行為です。
たとえば、住宅を購入したAさんがいらっしゃったとしましょう。
Aさんは代金を支払いつつ住宅を購入しましたが、それだけではその不動産の所有者になったことを第三者に主張できません。
その不動産の所有者になったことを登記することにより、第三者に所有権を主張できるようになります。

そして、住宅ローンを利用しつつ住宅を購入した場合も登記することとなりますが、その際は資金を貸し出した者の情報も登記簿に記します。
これを「抵当権の設定登記」と呼び、同登記は資金を貸し出した銀行が斡旋する司法書士に報酬を支払いつつ手続きをさせるのが通例です。
この抵当権の設定登記の手続きを行う司法書士に支払う報酬が、住宅ローンの諸費用のひとつとなります。
報酬は司法書士によって異なるものの、おおむね5~10万円などです。
1-5. 抵当権の設定登記の登録免許税
この記事の「1-4. 抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬」にてご紹介したとおり、住宅ローンを利用しつつ不動産を購入すると抵当権の設定登記が必要ですが、登記の際は登録免許税という税金が課せられます。
この登録免許税が諸費用のひとつであり、住宅ローンの借り入れ金額に税率を掛け算しつつ税額が決定され、具体的な計算式は以下のとおりです。
抵当権の設定登記に課せられる登録免許税の計算式
住宅ローンの借り入れ金額×税率=登録免許税
上記が抵当権の設定登記に課せられる登録免許税の計算式であり、式に含まれる税率は原則として0.4%です。
たとえば、3,000万円を借り入れた場合は「3,000万円×0.4%=12万円」と計算し、登録免許税は12万円となります。
ただし、令和4年3月31日までに一定の条件を満たす住宅を購入するための資金を借り入れつつ抵当権の設定登記を行う場合は、税率が0.1%に軽減されます。
これを「住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減」と呼び、軽減税率が適用される条件は以下のとおりです。
軽減税率の適用条件
- 個人が使用する床面積が50㎡以上の住宅を購入するための資金を借り入れた
- 中古住宅を購入する場合は築25年以内の鉄筋コンクリート造、または築20年以内の木造住宅を購入するための資金を借り入れた(購入する住宅が一定の耐震基準を満たす場合はこの限りではない)
抵当権の設定登記に課せられる登録免許税が軽減されることの詳細は「国税庁タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表」の「(3)住宅用家屋の軽減税率」、または「財務省|登録免許税に関する資料」の「住宅に係る登録免許税の軽減措置」にてご確認いただけます。
1-6. 金銭消費貸借契約書の印紙税
住宅ローンを利用する際は、住宅購入資金を貸し出す銀行と金銭消費貸借契約を結びます。
金銭消費貸借契約とは借り入れ金の返済を約束する契約であり、金銭消費貸借契約書(いわゆる借用書)に署名捺印することにより完了します。
そして、金銭消費貸借契約書に署名捺印する者には印紙税という税金が課せられ、印紙税が住宅ローンを利用する際に必要となる諸費用のひとつです。
印紙税は借り入れ金額によって異なり、500万円超から1,000万円以下の場合は1万円、1,000万円超から5,000万円以下は2万円、5,000万円超から1億円以下は6万円となっています。
印紙税の一覧
借り入れ金額 | 印紙税額 |
---|---|
100万円超500万円以下 | 2千円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
金銭消費貸借契約にかかる印紙税の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.7141 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」に記されている「第1号文書から第4号文書までの印紙税額の一覧表」の「1」の「消費貸借に関する契約書」にてご確認いただけます。
まとめ - 諸費用も借り入れできる
住宅ローンの諸費用がいくらかご紹介しました。
住宅ローンを利用する際は諸費用が必要であり、その合計は借り入れ金額の1%から5%などです。
1%から5%というと開きがありますが、利用する住宅ローンによって異なり、諸費用が安い住宅ローンは金利が高く設定されていることがあるため注意してください。
住宅ローンは諸費用だけではなく、諸費用と金利を含めた総支払額を計算しつつ商品を選ぶことが大切です。
なお、ご紹介した諸費用は資金が貸し出される直前などに支払う必要がありますが、商品によっては借り入れできます。
たとえば、フラット35は融資事務手数料、火災保険料、司法書士への報酬、登録免許税、印紙税などを含めた借り入れを希望することが可能であり、借り入れできる諸費用の詳細は「住宅金融支援機構|借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?」にてご確認いただけます。
ただし、フラット35で諸費用などを含めた住宅購入資金の9割を超える借り入れを希望すると審査の基準が厳しくなり、金利も高くなるためご注意ください。
その根拠は「住宅金融支援機構|融資率とは?」に記されている以下の文章にて確認できます。
住宅金融支援機構の記述
借り入れ金額が住宅購入金額の9割を超える場合は、9割以下の場合と比較してご返済の確実性などをより慎重に審査し、金利を一定程度高く設定させていただきます
また、フラット35以外の住宅ローンも諸費用を借り入れることが可能ですが、商品によっては「諸費用ローン」などの名目で住宅ローンとは別のローンを組まなければならない場合があります。
諸費用ローンは住宅ローンより金利が高く設定されているのが通例であり、多くの商品は住宅ローンと同時に返済をしなくてはなりません。
よって、住宅ローンを利用する際は、可能であれば諸費用だけは用意しておくのが理想です。
とはいうものの、状況によって人は頭金が少ない状態で住宅ローンを申し込みせざるを得ない場合があります。
その場合は、諸費用の借り入れをご検討ください。
ご紹介した内容が、住宅ローンの諸費用がいくらかお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2021年5月
記事公開日:2020年3月
こちらの記事もオススメです