住宅ローンを組んでから気づく『想定外の出費』

住宅ローンを組んでから気づく『想定外の出費』

住宅ローンを組むときは、毎月の返済額や金利に注目しがちです。

しかし、住宅を購入した後にかかるお金は、住宅ローンの返済だけではありません。実際に住み始めてから、「こんな出費があるとは知らなかった」と後悔する人もいます。

たとえば、変動金利で住宅ローンを組んだ場合、将来の金利上昇によって毎月の返済額が増える可能性があります。

また、新築住宅では、固定資産税の減額措置が終了し、数年後に固定資産税が大幅に増えるケースもあります。

このほかにも、住宅ローン控除の終了による税負担の増加や、外壁・屋根の修繕費、給湯器・エアコンの交換費用など、住宅を購入した後に初めて気づく出費は少なくありません。

この記事では、住宅ローンを組んだ後に「知らなかった」と後悔しやすい6つの想定外の出費について、公的機関の資料をもとにわかりやすく解説します。

住宅ローンの返済を無理なく続けるためにも、ご自身の資金計画と照らし合わせながら、ぜひ最後までご確認ください。

目次

1. 住宅ローンの変動金利上昇による返済額の増加(対象:新築住宅・中古住宅)

住宅ローンの変動金利上昇による返済額の増加

住宅ローンを利用する人の多くは、変動金利型を選んでいます。

住宅金融支援機構の調査(2026年1月)によると、住宅ローン利用者の75.0%が変動金利型を利用しているとのことです。

変動金利型とは、市場の金利動向に応じて、住宅ローンの借入後も一定の周期で適用金利が見直される金利タイプです。

変動金利型は、借入時の金利が固定金利型よりも低い傾向にあり、借入当初の返済負担を抑えやすいというメリットがあります。

一方、将来の金利上昇によって適用金利が引き上げられると、住宅ローンの利息が増え、毎月の返済額が増加する可能性があります。

住宅ローンを組んだ時点では無理なく返済できる金額でも、将来の金利上昇によって返済負担が重くなる可能性がある点には注意が必要です。

変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」がある

変動金利型の住宅ローンには、金利が上昇した際に毎月の返済額が急激に増えることを防ぐ仕組みとして、「5年ルール」と「125%ルール」が設けられていることが一般的です。

ただし、5年ルールと125%ルールが適用されるかどうかは、元利均等返済や元金均等返済などの返済方法、金融機関、住宅ローンの商品によって異なります。

元利均等返済とは、毎月の返済額が一定になるように設定する返済方法です。毎月の返済額には、元金の返済分と利息が含まれています。

多くの金融機関では、元利均等返済で変動金利型を選んだ借主に対して、5年ルールと125%ルールを適用しています。

5年ルールとは

  • 住宅ローンの適用金利は、多くの金融機関で半年ごとに見直されるものの、毎月の返済額は5年間変わらないという仕組みです。

    適用金利が上昇しても毎月の返済額はすぐに増えないため、家計への急激な影響を抑えられます。

    とはいえ、毎月の返済額が変わらなくても、金利上昇によって利息の割合が増える場合があります。その場合は、毎月返済している元金の割合が減るため、住宅ローンの残高が当初の予定よりも減りにくくなる可能性があります。

125%ルールとは

  • 5年ごとに毎月の返済額を見直す際、新しい返済額が、それまでの返済額の125%(1.25倍)を超えないようにする仕組みです。

    たとえば、見直し前の毎月の返済額が10万円であれば、見直し後の返済額は最大12万5,000円に抑えられます。

    多くの金融機関では125%(1.25倍)を上限としていますが、金融機関や住宅ローンの商品によっては、150%(1.5倍)などの異なる倍率が設定されている場合もあります。

    ご自身が利用する住宅ローンの上限倍率は、契約前に金融機関へ直接確認することをおすすめします。

一方、元金均等返済とは、毎月返済する元金を一定額にし、その元金に利息を上乗せして支払う返済方法です。

元金均等返済では、原則として5年ルールと125%ルールは適用されません。

そのため、適用金利が見直されるタイミングで金利が上昇すると、金利上昇によって増えた利息が毎月の返済額に反映されます。金利が段階的に上昇した場合は、毎月の返済額も段階的に増える可能性があります。

また、当初固定金利型を選んだ場合も、5年ルールと125%ルールは適用されません。

当初固定金利型とは、住宅ローンの返済期間のうち、あらかじめ定めた一定期間だけ金利を固定するタイプです。固定期間が終了した後の金利が借入時よりも高ければ、毎月の返済額が増える可能性があります。

さらに、元利均等返済で変動金利型を選んだ場合でも、金融機関や住宅ローンの商品によっては、5年ルールや125%ルールを採用していないことがあります。

住宅ローンを契約する前に、次の点を金融機関へ直接確認しておくことをおすすめします。

  • 5年ルールが適用されるか
  • 125%ルールが適用されるか
  • 返済額の増加を抑える上限倍率は何%か
  • 金利が上昇した場合、毎月の返済額はいつ見直されるか

金利が上昇すると、毎月の返済額はどれくらい増えるのか

変動金利が上昇すると、毎月の返済額はどの程度増えるのでしょうか。

ここでは、3,000万円を借り入れた場合を例に、金利上昇後の毎月の返済額を試算します。

前提条件

  • 借入金額:3,000万円
  • 当初の適用金利:年1.0%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済(5年ルール・125%ルールあり)

上記の条件で住宅ローンを借り入れた場合、当初の毎月の返済額は84,686円です。

借入から5年が経過した時点で、適用金利が年1.0%から0.25%ずつ上昇したと仮定します。125%ルールによる返済額の上限を考慮しない場合、金利上昇後の理論上の毎月の返済額は次のとおりです。

5年経過後の金利 当初の毎月の返済額 理論上の毎月の返済額 増加額(当初比) 増加率(当初比)
年1.00%(変化なし) 84,686円 84,686円 ±0円 ±0%
年1.25%(+0.25%) 84,686円 87,743円 約3,057円増 約3.6%
年1.50%(+0.50%) 84,686円 90,868円 約6,182円増 約7.3%
年1.75%(+0.75%) 84,686円 94,060円 約9,374円増 約11.1%
年2.00%(+1.00%) 84,686円 97,319円 約12,633円増 約14.9%
年2.25%(+1.25%) 84,686円 100,643円 約15,957円増 約18.8%
年2.50%(+1.50%) 84,686円 104,033円 約19,347円増 約22.8%

この表は、125%ルールによる返済額の上限を考慮せずに算出した、理論上の毎月の返済額を示しています。

125%ルールとは、5年ごとに毎月の返済額を見直す際、新しい返済額が見直し前の返済額の125%(1.25倍)を超えないようにする仕組みです。

今回の試算では、適用金利が年1.0%から年2.5%まで上昇しても、毎月の返済額の増加率は最大で約22.8%です。125%ルールの上限となる25%を超えていないため、この試算の範囲では125%ルールは適用されません。

したがって、借主が実際に支払う毎月の返済額は、表に記載した理論上の毎月の返済額と同じになります。

一方、金利がさらに上昇し、理論上の毎月の返済額が見直し前の返済額の125%を超えた場合は、125%ルールが適用されます。

見直し前の毎月の返済額が84,686円の場合、見直し後に支払う毎月の返済額の上限は、次のとおりです。

  • 84,686円×125%=約105,857円

理論上の毎月の返済額が約105,857円を超えても、125%ルールが適用される場合、見直し直後の毎月の返済額は約105,857円までに抑えられます。

ただし、125%ルールは、金利上昇によって増えた利息を免除する仕組みではありません。毎月の返済額が上限によって抑えられると、毎月の返済額に占める利息の割合が増え、その分だけ元金の返済が遅れる可能性があります。

金利が大幅に上昇し、毎月の返済額だけでは利息を支払いきれなくなった場合は、支払いきれなかった利息が「未払利息」として発生する可能性もあります。

125%ルールには「未払利息」という見落としがちなリスクがある

125%ルールが適用されると、金利が大幅に上昇しても、毎月の返済額が急激に増えることを防げます。

ただし、125%ルールは、金利上昇によって増えた利息を減らしたり、免除したりする仕組みではありません。

金利が大幅に上昇すると、毎月の返済額だけでは利息を支払いきれず、「未払利息」が発生する可能性があります。

未払利息とは、本来支払うべき利息よりも毎月の返済額が少なくなった場合に発生する、支払いきれなかった利息のことです。金融機関によっては「未収利息」と呼ぶ場合もあります。

たとえば、金利上昇後に毎月支払うべき利息が11万円まで増えたにもかかわらず、125%ルールによって毎月の返済額が約105,857円に抑えられたとします。

この場合、毎月の返済額だけでは利息を全額支払えません。

支払いきれなかった約4,143円は未払利息となり、住宅ローンの返済とは別に、将来支払う必要があります。

未払利息の取り扱いは、金融機関や住宅ローンの商品によって異なります。未払利息が発生した場合は、毎月の返済額に上乗せして支払うケースや、住宅ローンの返済期間が終了する時点で、残っている元金などとあわせて支払うケースがあります。

そのため、毎月の返済額が125%ルールによって抑えられていても、将来の支払いまで軽くなったとは限りません。

5年ルールと125%ルールは、毎月の返済額が急激に増えることを防ぐ仕組みです。一方、金利上昇によって増えた負担そのものをなくす仕組みではありません。

金利が上昇した場合は、毎月の返済額がすぐに増えなくても、元金の返済が遅れたり、未払利息が発生したりする可能性があります。

変動金利を選ぶ際は、「5年ルールと125%ルールがあるから安心」と考えるのではなく、金利上昇による負担が将来に持ち越される可能性も理解しておくことが大切です。

この章のまとめ
項目 内容
変動金利とは 市場金利の動向に応じて、住宅ローンの借入後も適用金利が見直される金利タイプ
5年ルールとは 金利が上昇しても、毎月の返済額を5年間変更しない仕組み
125%ルールとは 5年ごとに返済額を見直す際、新しい返済額を見直し前の125%までに抑える仕組み。ただし、金融機関や住宅ローンの商品によっては、150%など異なる上限が設定されている場合もある
ルールが適用される主な返済方法 元利均等返済。ただし、金融機関や住宅ローンの商品によっては適用されない場合もある
ルールが適用されない主な返済方法・金利タイプ 元金均等返済、当初固定金利型
注意すべきリスク 毎月の返済額が抑えられても、元金の返済が遅れる可能性がある。毎月の返済額だけでは利息を支払いきれない場合は、未払利息が発生する可能性もある
対象となる住宅 新築住宅・中古住宅を問わず、変動金利型の住宅ローンを利用する借主

▲ 目次に戻る

2. 新築住宅の固定資産税の軽減終了による増税(対象:新築住宅)

新築住宅の固定資産税の軽減終了による増税(対象:新築住宅)

新築住宅を購入すると、入居から数年後に「固定資産税が急に高くなった」と感じることがあります。

固定資産税が高くなる主な理由は、新築住宅を対象とした固定資産税の軽減措置が終了するためです。

新築住宅では、一定期間に限り、建物にかかる固定資産税が本来の2分の1に軽減されます。

しかし、軽減期間が終了すると、翌年度から建物の固定資産税が本来の税額に戻ります。その結果、住宅を購入した直後よりも固定資産税の負担が増える可能性があります。

そもそも固定資産税とはどのような税金か

固定資産税とは、土地や建物などを所有している人に対して、市町村が毎年課す税金です。

原則として、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税されます。多くの自治体では、その年の4月から6月頃に納税通知書が届きます。

固定資産税は、固定資産税評価額をもとに計算します。固定資産税評価額とは、市町村(状況によっては都道府県)が評価した建物や土地の時価です。

固定資産税の税額は、基本的に次の計算式で求めます。

  • 固定資産税=固定資産税評価額×税率

固定資産税の標準税率は1.4%です。

ただし、住宅用の土地には税負担を軽くする特例措置があります。そのため、実際の固定資産税は、固定資産税評価額に1.4%を掛けた金額よりも低くなる場合があります。

新築住宅には建物の固定資産税を半分にする軽減措置がある

新築住宅には、住宅を購入した直後の税負担を抑えるため、建物にかかる固定資産税を一定期間だけ軽減する措置があります。

軽減措置の対象となる新築住宅では、一定の床面積などの要件を満たすと、建物にかかる固定資産税が本来の税額の2分の1に軽減されます。

軽減期間は、住宅の種類によって異なります。

住宅の種類 軽減期間
戸建て住宅(一般住宅) 3年間
マンション(一般住宅) 5年間
戸建て住宅(認定長期優良住宅) 5年間
マンション(認定長期優良住宅) 7年間

たとえば、一般的な新築戸建て住宅では、建物の固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。

軽減期間が終了すると、翌年度から建物の固定資産税は本来の税額に戻ります。

新築住宅の固定資産税が数年後に高くなったように感じるのは、税率が引き上げられたからではありません。それまで適用されていた軽減措置が終了し、本来の税額を支払うことになるためです。

この軽減措置は、令和8年度の税制改正により、軽減措置の対象となる新築住宅の範囲(新築時期)が令和8年4月1日から令和13年3月31日までとして5年間延長されることが決まっています(戸建て住宅3年間、マンション5年間などの軽減期間自体は変わりません)。

認定長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性能など、国が定めた基準を満たし、長期間にわたって良好な状態で使用できる住宅として認定を受けた住宅です。

認定長期優良住宅は、一般住宅よりも固定資産税の軽減期間が2年間長く設定されています。

なお、認定長期優良住宅の軽減措置を受けるには、住宅を新築した後、市町村へ申告する必要があります。

認定長期優良住宅を購入する場合は、申告期限や必要書類を事前に市町村へ確認しておくことをおすすめします。

軽減が終了すると、税額はどのくらい増えるのか

新築住宅の軽減期間が終了すると、それまで2分の1に軽減されていた建物の固定資産税は、本来の税額に戻ります。

そのため、軽減の対象となっていた建物部分だけを見ると、固定資産税は軽減期間中の約2倍になります。

国土交通省が公開する資料「令和8年度税制改正概要」の4ページで示している試算例で確認します。

2,500万円の新築住宅では、軽減措置が適用されない場合の固定資産税は年間18.2万円です。

軽減措置が適用されている期間は、固定資産税が年間9.1万円に抑えられます。

軽減期間が終了すると、年間の固定資産税は次のように増える計算です。

  • 年間9.1万円→年間18.2万円

この試算では、軽減期間の終了によって、固定資産税の負担が年間約9.1万円増えます。

国土交通省の試算によると、新築住宅の軽減措置による3年間の負担軽減額は約27万円です。

一方、軽減期間が終了すると、それまで軽減されていた税負担が元に戻ります。住宅ローンの返済額が変わらなくても、固定資産税の支払いが年間約9.1万円増えるため、家計への負担を大きく感じる可能性があります。

一般的な新築戸建て住宅の軽減期間は3年間です。このため、軽減措置が終了した後に届く納税通知書を見て、「固定資産税が急に高くなった」と驚く人もいます。

マンションの軽減期間は5年間です。新築戸建て住宅よりも軽減期間が長いため、固定資産税の負担増を感じる時期も遅くなります。

新築住宅を購入する際は、住宅ローンの毎月の返済額だけではなく、固定資産税の軽減期間が終了した後の負担も資金計画に含めておく必要があります。

ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「固定資産税をパパっと解説」では、不動産の売買価格から固定資産税をシミュレーションするツールを公開中です。シミュレーションできるのはあくまで税額の目安ですが、ぜひ一度お試しください。

お役立ちツール
固定資産税をパパっとシミュレーション|売買価格から税額を試算

この章のまとめ
項目 内容
固定資産税とは 原則として、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に、市町村が課す税金
軽減措置の内容 新築住宅の建物部分にかかる固定資産税を、一定期間に限り2分の1に軽減する制度
軽減期間(一般住宅) 戸建て住宅:3年間、マンション:5年間
軽減期間(認定長期優良住宅) 戸建て住宅:5年間、マンション:7年間
令和8年度税制改正での変更点 軽減措置の対象となる新築住宅の範囲(新築時期)が令和8年4月1日から令和13年3月31日までとして5年間延長(軽減期間自体は変わらない)
軽減終了後の負担増の例 2,500万円の新築住宅では、年間9.1万円から年間18.2万円へ増加する試算
対象となる住宅 一定の要件を満たす新築住宅。中古住宅は対象外

▲ 目次に戻る

3. 住宅ローン控除の終了による実質負担の増加(対象:新築住宅・中古住宅)

住宅ローン控除の終了による実質負担の増加

住宅ローンを利用して住宅を購入すると、「住宅ローン控除」によって所得税や住民税の負担が軽くなる場合があります。

しかし、住宅ローン控除を受けられる期間には限りがあります。

控除期間が終了すると、それまで軽減されていた税金が本来の負担に戻ります。住宅ローンの毎月の返済額が変わらなくても、税金の負担が増えるため、家計から出ていくお金は実質的に増えることになります。

ここでは、住宅ローン控除の仕組みと、控除が終了した後に家計の負担がどのように変わるのかを解説します。

住宅ローン控除とはどのような制度か

住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入した人の税負担を軽くする制度です。

住宅ローン控除が適用されると、一定期間にわたり、所得税から控除額が差し引かれます。

所得税とは、会社員や個人事業主などが、1年間の所得に応じて国へ納める税金です。

所得税だけでは控除額を差し引けない場合は、翌年度に納める住民税の一部から差し引ける場合もあります。

住民税とは、お住まいの都道府県や市区町村へ納める税金です。

住宅ローン控除の控除額は、基本的に、その年の12月31日時点で残っている住宅ローンの残高に、控除率0.7%を掛けて計算します(参考:国税庁タックスアンサーNo.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除)。

  • 住宅ローン控除の控除額=年末の住宅ローン残高×0.7%

たとえば、年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合、計算上の控除額は次のとおりです。

  • 3,000万円×0.7%=21万円

この場合、最大21万円が所得税などから控除されます。

ただし、住宅ローン控除は、計算した控除額を現金で受け取れる制度ではありません。

控除できる金額には上限があり、住宅の種類や入居した年などによって異なります。本人が納める所得税や住民税が少ない場合は、計算上の控除額をすべて差し引けないこともあります。

住宅ローン控除を受けるには、控除期間や控除の対象となる住宅ローン残高の上限だけではなく、所得・住宅の床面積・住宅ローンの返済期間などの条件を満たす必要があります。

主な条件は、次のとおりです。

  • 年間の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅の床面積が原則として50平方メートル以上であること
  • 一定の条件を満たす場合は、住宅の床面積が40平方メートル以上であること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 住宅の引き渡し、または工事の完了から6か月以内に住み始めること
  • 住宅ローン控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること

住宅ローン控除の対象となる条件や控除できる金額は、住宅の種類や入居した年によって異なります。

ご自身が住宅ローン控除の対象になるかどうかは、国税庁や国土交通省のホームページで確認するか、税務署や税理士へ相談することをおすすめします。

控除期間と借入限度額は、住宅の省エネ性能によって異なる

住宅ローン控除を受けられる期間や、控除の対象となる住宅ローン残高の上限は、住宅の省エネ性能によって異なります。

この上限を「借入限度額」といいます。

省エネ性能とは、断熱性能やエネルギー消費量などをもとに評価される、住宅の省エネルギー性に関する指標です。

令和8年度の税制改正後は、住宅ローン控除の対象となる住宅や控除期間が、次のように定められています。

省エネ基準に適合する住宅、または省エネ基準より高い性能を持つ住宅

  • 新築住宅・中古住宅のどちらも、控除期間は原則13年間です。

    中古住宅の控除期間は、令和8年度の税制改正によって、これまでの原則10年間から13年間に延長されました。

省エネ基準を満たさない住宅

  • 新築住宅・中古住宅のどちらも、原則として住宅ローン控除の対象外です。

    ただし、住宅が建築された時期などによっては、経過措置の対象となる場合があります。

以前は、「新築住宅は13年間、中古住宅は10年間」と説明されることもありました。

しかし、令和8年度の税制改正後は、新築住宅か中古住宅かだけで控除期間が決まるわけではありません。

住宅の省エネ性能が基準を満たしているかどうかによって、住宅ローン控除の対象になるか、控除を何年間受けられるかが変わります。

住宅を購入する際は、不動産会社や金融機関に次の点を確認しておくことをおすすめします。

  • 購入する住宅が省エネ基準を満たしているか
  • 住宅ローン控除を何年間受けられるか
  • 控除の対象となる借入限度額はいくらか

住宅ローン控除には、控除の対象となる年末の住宅ローン残高にも上限があります。

たとえば、省エネ基準に適合する新築住宅の借入限度額は、原則2,000万円です。

なお、次のいずれかに該当する「子育て世帯等」は、借入限度額が3,000万円に引き上げられます。

  • 19歳未満の子どもがいる世帯
  • 夫婦のどちらかが40歳未満の世帯

住宅ローンの年末残高が借入限度額を超えている場合、借入限度額を超えた部分は住宅ローン控除の対象になりません。

具体的には、年末の住宅ローン残高が3,000万円でも、借入限度額が2,000万円であれば、控除額の計算に使用できるのは2,000万円までです。

ご自身の世帯が子育て世帯等に該当するかどうかによって、住宅ローン控除の金額が変わる可能性があります。

住宅を購入する前に、ご自身の世帯に適用される借入限度額も確認しておくことが大切です。

控除終了までの流れをシミュレーションで確認する

住宅ローン控除の金額は、控除期間中ずっと同じとは限りません。

住宅ローンを返済して年末残高が減ると、年末残高をもとに計算する控除額も少しずつ減っていきます。

ここでは、3,000万円を借り入れた場合を例に、住宅ローン控除の金額がどのように変化し、いつ終了するのかを確認します。

前提条件

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:年1.0%(返済期間中は変わらないと仮定)
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • 住宅の種類:省エネ基準に適合する新築住宅
  • 控除期間:13年間
  • 借主の世帯:子育て世帯等
  • 借入限度額:3,000万円

この試算では、借主が「19歳未満の子どもがいる世帯」または「夫婦のどちらかが40歳未満の世帯」に該当し、借入限度額が3,000万円になることを前提としています。

年末の住宅ローン残高が借入限度額を下回っているため、年末残高の全額が控除額の計算対象です。

経過年数 年末時点の住宅ローン残高 その年の控除額
1年目 約2,928万円 約20.5万円
5年目 約2,633万円 約18.4万円
10年目 約2,247万円 約15.7万円
13年目(控除の最終年) 約2,006万円 約14.0万円
14年目(控除終了後) 約1,924万円 0円

この試算では、1年目に約20.5万円の控除を受けられます。

住宅ローンの返済によって年末残高が減るため、控除額も少しずつ減少します。

13年目の控除額は約14.0万円です。

翌年の14年目には住宅ローン控除が終了するため、住宅ローンの残高が約1,924万円あっても、控除額は0円になります。

つまり、住宅ローンの毎月の返済額が変わらなくても、前年まで受けていた約14.0万円の控除がなくなります。

控除終了後は所得税や住民税の負担が本来の金額に戻るため、家計の負担が実質的に増える可能性があります。

なお、子育て世帯等に該当しない世帯では、省エネ基準に適合する新築住宅の借入限度額は原則2,000万円です。

年末の住宅ローン残高が2,000万円を超えている間は、控除額の計算対象が2,000万円までとなるため、計算上の控除額は年間最大14.0万円です。

省エネ基準に適合する中古住宅も、令和8年度の税制改正後は、控除期間が原則13年間となります。

借入金額や金利、返済期間、借入限度額などの条件が同じであれば、中古住宅でも控除額は同じように減少し、13年目を最後に住宅ローン控除が終了します。

控除終了後は「支出が増える」のではなく「家計の負担が重くなる」

住宅ローン控除が終了しても、住宅ローンの毎月の返済額が増えるわけではありません。新しい支出が発生するわけでもありません。

しかし、それまで所得税や住民税から差し引かれていた控除がなくなるため、税金の負担は本来の金額に戻ります。

その結果、控除を受けていた期間と比べて、家計で自由に使えるお金が実質的に減ることになります。

先ほどの試算では、住宅ローン控除の最終年となる13年目に、年間約14.0万円の税負担が軽減されていました。

ところが、控除が終了する14年目からは、年間約14.0万円の控除がなくなります。

年間約14.0万円を1か月あたりに換算すると、約1.2万円です。

つまり、住宅ローンの毎月の返済額が変わらなくても、家計への影響は「毎月約1.2万円の負担が増えた状態」に近くなります。

住宅ローン控除を受けている間は、控除によって税負担が軽くなっているため、その状態を前提に生活費や貯蓄額を決めてしまう人もいます。

控除が終了すると、住宅ローンの返済に加えて、軽減されていた税負担も元に戻ります。そのため、「住宅ローンの返済額は変わっていないのに、家計に余裕がなくなった」と感じる可能性があります。

住宅ローンを組む際は、控除を受けられる期間だけではなく、控除が終了した後の家計も考えておかなければなりません。

控除終了に備えるためのポイント

住宅ローン控除は、控除を受けられる期間があらかじめ決まっています。

そのため、「いつ控除が終了するのか」を早めに確認しておけば、税負担が元に戻る前に家計を見直せます。

控除終了後に慌てないため、住宅を購入した時点で次の3つを確認しておきましょう。

住宅ローン控除を何年目まで受けられるのか確認する

  • 住宅ローン控除を受けられる期間は、住宅の省エネ性能や入居した年などによって異なります。

    ご自身が購入する住宅はどの区分に当てはまるのか、控除は何年目まで受けられるのかを確認しておくことが大切です。

控除終了後を想定して、家計の予算を考える

  • 住宅ローン控除が終了すると、それまで軽減されていた所得税や住民税の負担が元に戻ります。

    控除によって年間14.0万円の税負担が軽くなっている場合、控除終了後は、家計の負担が1か月あたり約1.2万円増えた状態に近くなります。

    控除が終了しても住宅ローンの返済を無理なく続けられるよう、控除終了後の税負担も含めて家計の予算を考えておきましょう。

控除によって家計に残ったお金を使い切らない

  • 住宅ローン控除によって税負担が軽くなると、その分だけ家計に余裕が生まれます。

    その余裕を生活費の増加や大きな買い物にすべて使うと、控除終了後に家計の負担が重くなる可能性があります。

    控除によって家計に残ったお金の一部を貯蓄に回しておけば、控除終了後の負担増や、住宅の修繕費などにも備えやすくなります。

    繰上返済をする場合も、手元の貯蓄を減らしすぎないように注意が必要です。

    繰上返済とは、毎月の返済とは別に、住宅ローンの元金の一部または全部を予定より早く返済することです。
この章のまとめ
項目 内容
住宅ローン控除とは 住宅ローンの年末残高などに応じて、所得税や住民税の負担を軽くする制度。正式名称は「住宅借入金等特別控除」
控除率 0.7%
控除期間 省エネ基準に適合する新築住宅・中古住宅は原則13年間。省エネ基準を満たさない住宅は原則対象外。ただし、一部に経過措置あり
借入限度額 住宅の省エネ性能や世帯構成などによって異なる。省エネ基準に適合する新築住宅の場合は、一般世帯2,000万円、子育て世帯等3,000万円
控除終了後に起こること 住宅ローンの毎月の返済額は変わらないが、それまで軽減されていた所得税や住民税の負担が元に戻る
家計への影響 新しい支出が発生するわけではないものの、控除がなくなることで家計の負担が実質的に重くなる
試算例 省エネ基準に適合する新築住宅を子育て世帯等が購入し、3,000万円を借り入れた場合、13年目の控除額は約14.0万円、控除終了後の14年目は0円
対象となる住宅 新築住宅・中古住宅の両方(ただし省エネ基準を満たさない住宅は原則対象外)。住宅の省エネ性能や入居した年などによって、控除期間や借入限度額が異なる

▲ 目次に戻る

4. 外壁・屋根などの大規模な修繕費(対象:新築住宅・中古住宅)

外壁・屋根などの大規模な修繕費

住宅を購入した後にかかるお金は、住宅ローンの返済や税金だけではありません。

住宅を長く良好な状態に保つためには、外壁や屋根などを定期的に修繕する必要があります。

外壁や屋根の修繕では、まとまった費用が必要になる場合もあります。しかし、住宅ローンを組む時点では毎月の返済額に意識が向きやすく、将来の修繕費まで考えていない人も少なくありません。

修繕費は、新築住宅・中古住宅のどちらを購入した場合でも必要になる可能性があります。

戸建て住宅では、所有者が修繕費を準備します。一方、マンションでは、毎月支払う修繕積立金を使って、外壁や屋根などの共用部分を修繕するのが一般的です。

住宅を購入する際は、住宅ローンの返済額だけではなく、将来必要になる修繕費も考えておくことが大切です。

戸建て住宅は所有者自身が修繕費を準備する必要がある

戸建て住宅では、外壁や屋根などの修繕費を所有者自身が準備する必要があります。

マンションには、外壁や屋根、共用廊下などを住民全体で管理する共用部分があります。

一方、戸建て住宅には、マンションのように住民全体で管理する共用部分がありません。

外壁や屋根を修繕する場合は、所有者が費用を全額負担します。修繕する時期や工事を依頼する業者も、所有者自身で決める必要があります。

外壁や屋根は、毎日、日光や雨風にさらされています。

築年数が経過すると、外壁や屋根の塗装が劣化し、防水性能も少しずつ低下します。

防水性能が低下した状態を放置すると、雨水が建物の内部へ入り込む可能性があります。

雨水が建物の内部へ入り込むと、柱や壁の内部が傷み、修繕する範囲が広がるおそれもあります。

そのため、外壁や屋根は、劣化が進む前に点検や修繕を行うことが大切です。

外壁や屋根の塗り替えは、一般的に10年から15年程度が一つの目安とされています。

ただし、修繕が必要になる時期は、使用している外壁材や屋根材、塗料の種類、住宅が建っている地域の気候などによって異なります。

「築10年になったら必ず修繕する」と考えるのではなく、定期的に建物の状態を確認し、劣化の状況に応じて修繕を検討することが大切です。

戸建て住宅の修繕費用の目安

戸建て住宅の外壁や屋根を修繕する場合、数十万円から100万円を超える費用がかかることがあります。

延べ床面積30坪程度の一般的な戸建て住宅では、外壁・屋根の塗装費用の目安は次のとおりです。

工事内容 費用の目安
外壁塗装のみ 60万円〜100万円程度
屋根塗装のみ 40万円〜80万円程度
外壁・屋根を同時に塗装 80万円〜150万円程度

外壁と屋根を同時に塗装すると、工事に必要な足場を共有できます。

外壁と屋根を別々の時期に塗装するよりも、足場を設置する回数を減らせるため、工事費用を抑えられる場合があります。

ただし、外壁や屋根の劣化が進んでいる場合は、塗装だけでは対応できないこともあります。

外壁のひび割れ補修や雨どいの交換、防水工事などが必要になると、その分の費用が追加されます。

住宅ローンを返済している途中で、100万円前後の修繕費が急に必要になると、家計への負担は小さくありません。

戸建て住宅には、マンションの修繕積立金のように、将来の修繕費を住民全体で積み立てる仕組みがありません。

そのため、外壁や屋根の修繕時期を想定し、住宅ローンの返済とは別に、修繕費を少しずつ準備しておくことが大切です。

マンションでも修繕積立金の値上げや一時金の負担が発生する

マンションでは、外壁や屋根などの共用部分を修繕する際、所有者が一人で修繕の時期や工事内容を決めるわけではありません。

マンションの所有者全員で構成される「管理組合」が、長期修繕計画をもとに大規模修繕を行います。

長期修繕計画とは、マンションを長く良好な状態に保つため、次の内容をあらかじめ定めた計画です。

  • いつごろ修繕するのか
  • どの部分を修繕するのか
  • 修繕にどのくらいの費用がかかるのか

大規模修繕では、外壁の補修や塗装、屋上の防水工事などを行います。

修繕に必要な費用は、マンションの所有者が毎月支払う「修繕積立金」から支出するのが基本です。

修繕積立金とは、将来の大規模修繕に備えて、マンションの所有者全員で積み立てるお金です。

戸建て住宅では、外壁や屋根を修繕する際、所有者がまとまった費用を準備する必要があります。

一方、マンションでは、毎月支払う修繕積立金を使って大規模修繕を行うため、修繕の時期に高額な費用を急に請求される可能性を抑えられます。

しかし、修繕積立金を毎月支払っていれば、将来の追加負担が必ず発生しないわけではありません。

建築資材の価格や工事を行う人の人件費が上昇すると、当初の長期修繕計画で見込んでいた金額よりも、大規模修繕の費用が高くなる場合があります。

修繕積立金だけでは工事費を賄えない場合は、不足する費用を補うため、マンションの所有者に追加の負担が求められる可能性があります。

主な追加負担は、次の2つです。

一時金の徴収

  • 大規模修繕を行う際、毎月の修繕積立金とは別に、まとまった金額を追加で支払う方法です。

    一時金の金額は、修繕積立金の不足額やマンションの戸数などによって異なります。

毎月の修繕積立金の値上げ

  • 将来の大規模修繕に必要な費用を確保するため、毎月支払う修繕積立金を増額する方法です。

    修繕積立金が値上げされると、住宅ローンの毎月の返済額が変わらなくても、毎月の住居費は増えることになります。

「修繕積立金を毎月支払っているから、修繕費の追加負担はない」と考えていると、一時金の徴収や修繕積立金の値上げが想定外の出費になる可能性があります。

マンションを購入する際は、現在の修繕積立金だけではなく、長期修繕計画や修繕積立金の残高、将来の値上げ予定なども確認しておかなければなりません。

この章のまとめ
項目 内容
戸建て住宅の修繕費用の特徴 外壁や屋根などの修繕費を所有者自身が負担し、修繕の時期や工事を依頼する業者も所有者が決める
戸建て住宅の修繕時期の目安 外壁や屋根の塗装は、一般的に10年〜15年程度が一つの目安。ただし、建物の状態や使用している材料などによって異なる
戸建て住宅の修繕費用の目安 外壁塗装のみ:60万円〜100万円程度、屋根塗装のみ:40万円〜80万円程度、外壁・屋根の同時塗装:80万円〜150万円程度
マンションの修繕費用の特徴 管理組合が長期修繕計画をもとに大規模修繕を行い、毎月集める修繕積立金から費用を支出するのが基本
マンションで発生する可能性がある追加負担 修繕積立金だけでは工事費を賄えない場合、一時金の徴収や毎月の修繕積立金の値上げが行われる可能性がある
対象となる住宅 新築住宅・中古住宅の両方。戸建て住宅・マンションのどちらでも修繕費の負担が発生する

▲ 目次に戻る

5. 給湯器・エアコンなど住宅設備の修理・交換費用(対象:新築住宅・中古住宅)

給湯器・エアコンなど住宅設備の修理・交換費用

住宅を購入した後にお金がかかるのは、住宅ローンの返済や税金、外壁・屋根の修繕だけではありません。

給湯器やエアコンなどの住宅設備も、長く使い続けると故障したり、交換が必要になったりします。

住宅設備の修理や交換では、数万円から数十万円の費用がかかる場合があります。

さらに、給湯器やエアコンなどの交換時期が重なると、短期間にまとまった費用が必要になる可能性もあります。

新築住宅でも、住宅設備を交換せずに何十年も使い続けられるわけではありません。

住宅設備は建物本体よりも早く交換時期を迎えることが多いため、住宅ローンを返済している途中で、修理費や交換費が必要になる可能性があります。

ここでは、主な住宅設備の交換時期と、交換にかかる費用の目安を解説します。

住宅設備には、それぞれ寿命がある

住宅設備とは、住宅で快適に生活するために設置されている機器や装置のことです。

主な住宅設備には、次のようなものがあります。

  • 給湯器
  • エアコン
  • キッチン
  • トイレ
  • 浴室
  • 洗面化粧台

住宅設備は、自動車や家電製品と同じように、使用する年数が長くなるほど劣化します。

長期間使用すると、設備が故障するだけではなく、お湯が出にくくなったり、冷暖房の効きが悪くなったりするなど、性能が低下する場合もあります。

住宅設備が故障した場合は、修理で対応できることがあります。

一方、設備の劣化が進んでいる場合や、修理に必要な部品を入手できない場合は、設備本体の交換が必要になる可能性があります。

修理費や交換費は、原則として住宅の所有者が負担します。

新築住宅を購入した場合でも、住宅設備は建物本体よりも早く交換時期を迎えることがあります。

たとえば、35年の住宅ローンを組んだ場合、住宅ローンを完済するまでに、給湯器やエアコンを複数回交換する可能性もあります。

住宅ローンの返済額だけを考えて資金計画を立てると、住宅設備が故障した際に、修理費や交換費が想定外の出費になるかもしれません。

住宅を購入する際は、住宅設備にも寿命があることを理解し、将来の修理や交換に備えて費用を準備しておくことが大切です。

主な住宅設備の交換費用の目安

住宅設備は、種類によって交換時期や交換費用が異なります。

主な住宅設備の交換時期と費用の目安は、次のとおりです。

設備 交換時期の目安 交換費用の目安
ガス給湯器 約10年 10万円〜30万円程度
エコキュート 約10年〜15年 35万円〜60万円程度
エアコン 約10年 1台あたり10万円〜25万円程度
キッチン 約15年〜20年 50万円〜150万円程度
トイレ 約15年〜20年 10万円〜30万円程度
給排水管 約20年〜40年 25万円〜50万円程度(戸建て住宅の場合)

ガス給湯器とは、ガスを使ってお湯を沸かす設備です。

エコキュートとは、電気を使ってお湯を沸かし、タンクに貯めて使用する給湯設備です。

給排水管とは、住宅内へ水を届けたり、使用後の水を外へ排出したりするための配管です。交換時期は、使用されている配管の素材や劣化状況によって大きく異なります。

住宅設備は、表に記載した年数が経過した時点で、必ず故障したり交換が必要になったりするわけではありません。

使用する頻度やお手入れの状況によっては、目安より長く使える場合もあります。

一方、設備の使い方や設置されている環境によっては、目安より早く故障する可能性もあります。

複数の住宅設備が、同じ時期に故障するとは限りません。

しかし、給湯器やエアコンなどの交換時期が数年のうちに重なると、短期間で100万円を超える費用が必要になる可能性があります。

たとえば、エコキュートとキッチンを同じ時期に交換する場合、表の目安では合計85万円〜210万円程度です。

住宅ローンを返済している途中で、これだけの交換費用が必要になると、家計への負担は小さくありません。

住宅設備は故障してから急いで交換すると、製品や工事業者を比較する時間を十分に確保できない場合があります。

使用年数が交換時期の目安に近づいたら、設備の状態を確認し、交換費用を少しずつ準備しておくと、突然の故障にも対応しやすくなります。

中古住宅は設備の交換時期が早く訪れる可能性がある

新築住宅では、給湯器やエアコンなどの住宅設備も、新品の状態で使い始めるのが一般的です。

そのため、住宅を購入してから最初の交換時期を迎えるまで、ある程度の期間があります。

一方、中古住宅では、前の所有者が使用していた住宅設備をそのまま引き継ぐケースも少なくありません。

購入時点ですでに使用年数が経過している設備は、新品の設備よりも早く修理や交換が必要になる可能性があります。

たとえば、交換時期の目安が約10年の給湯器が、購入時点ですでに8年間使用されていたとします。

この場合、住宅を購入してから数年以内に給湯器が故障し、交換費用が必要になる可能性もあります。

中古住宅の購入価格が予算内に収まっていても、購入後すぐに複数の住宅設備を交換すると、想定より多くのお金が必要になるかもしれません。

中古住宅を購入する前に、給湯器やエアコンなどの設置年や交換履歴を確認しておくと、購入後に必要になる費用を予測しやすくなります。

ただし、住宅設備が古いからといって、すぐに故障するとは限りません。

設置年だけで判断せず、設備の状態や不具合の有無も確認しておく必要があります。

想定外の出費を減らすための備え方

住宅設備は、いつ故障するのかを正確に予測できません。

しかし、給湯器やエアコンなどは、長く使用すれば修理や交換が必要になる可能性があります。

交換時期や費用の目安をあらかじめ把握しておけば、突然の故障による家計への影響を抑えやすくなります。

住宅設備の修理・交換費用に備える方法は、次のとおりです。

住宅設備の設置年を確認する

  • 住宅を購入した時点で、給湯器やエアコンなどがいつ設置されたのかを確認します。

    設置年がわからない場合は、設備本体に貼られているラベルや保証書、取扱説明書などで製造年や購入時期を確認できることがあります。

    設備ごとの使用年数を把握しておけば、交換時期が近い設備を予測しやすくなります。

住宅設備の交換費用を毎月積み立てる

  • 給湯器やキッチンなどの交換では、数十万円から100万円を超える費用が必要になる場合があります。

    故障してから費用を準備するのではなく、住宅ローンの返済とは別に、住宅設備の修理・交換に備える積立枠を設けておく方法もあります。

    毎月少しずつ積み立てておけば、高額な設備を交換する際の負担を抑えやすくなります。

    積み立ては、NISAなどの投資信託を活用するのも良いでしょう。

生活への影響が大きい設備から確認する

  • すべての住宅設備を同じ時期に交換する必要はありません。

    給湯器が故障するとお湯を使えなくなり、エアコンが故障すると季節によっては生活に大きな影響が出る可能性があります。

    使用年数が長く、故障すると生活に支障が出やすい設備から、点検や交換の予定を考えておくと安心です。
この章のまとめ
項目 内容
住宅設備とは 給湯器・エアコン・キッチンなど、住宅での生活を支える機器や設備
修理・交換が必要になる主な設備 ガス給湯器、エコキュート、エアコン、キッチン、トイレ、給排水管
交換費用の目安 ガス給湯器・トイレは10万円〜30万円程度、キッチンは50万円〜150万円程度など、設備によって異なる
中古住宅で注意する点 購入時点ですでに住宅設備の使用年数が経過している場合、新築住宅よりも早く修理や交換が必要になる可能性がある
想定外の出費を減らす方法 設備の設置年や状態を確認し、交換費用を積み立て、生活への影響が大きい設備から点検・交換の予定を考える
対象となる住宅 新築住宅・中古住宅の両方

▲ 目次に戻る

6. 忘れたころにやってくる不動産取得税(対象:新築住宅・中古住宅)

忘れたころにやってくる不動産取得税

住宅を購入すると、消費税や登録免許税など、購入時に支払う税金へ意識が向きやすくなります。

登録免許税とは、土地や建物の所有権を登記する際などにかかる税金です。

しかし、住宅の購入時には支払わず、購入からしばらく経った後に納税通知書が届く税金もあります。

それが「不動産取得税」です。

不動産取得税は、住宅を購入してから納税通知書が届くまでに時間がかかる場合があります。

そのため、住宅ローンの返済が始まり、新しい生活にも慣れたころに納税通知書が届き、「まだ税金を支払う必要があるの?」と驚く人もいます。

住宅を購入する際は、物件価格や住宅ローンの返済額だけではなく、購入後に不動産取得税を支払う可能性も考えておく必要があります。

不動産取得税とはどのような税金か

不動産取得税とは、土地や建物を購入するなど、不動産を取得した人に対して都道府県が課す税金です。

毎年支払う固定資産税とは異なり、不動産を取得したときに原則として一度だけ課税されます。

不動産取得税が「忘れたころにやってくる」と言われる理由は、住宅の購入時ではなく、購入からしばらく経った後に納税通知書が届く場合があるためです。

納税通知書が届く時期は、都道府県や不動産を取得した時期などによって異なります。

住宅を購入してから数か月後に届く場合もあれば、半年以上経ってから届く場合もあります。

住宅を購入した直後は、引っ越し費用や家具・家電の購入費など、多くのお金が必要になります。

さらに、住宅ローンの返済が始まると、毎月の生活費や返済額に意識が向き、不動産取得税の存在を忘れてしまうこともあります。

そのような時期に納税通知書が届くと、事前に税金を準備していなかった人にとって、不動産取得税が想定外の出費になる可能性があります。

ただし、住宅や住宅用の土地には、不動産取得税の負担を軽くする特例措置があります。

住宅の種類や床面積などの条件を満たすと、不動産取得税が大幅に軽減されたり、税額が0円になったりする場合もあります。

不動産取得税がかかるかどうかや、軽減措置を受けるために申告が必要かどうかは、不動産がある都道府県へ確認すると安心です。

不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、住宅を実際に購入した価格をもとに計算するわけではありません。

税額の計算に使うのは、「固定資産税評価額」です。

固定資産税評価額とは、市町村(状況によっては都道府県)が評価した建物や土地の時価です。

不動産取得税は、基本的に次の計算式で求めます。

  • 固定資産税評価額×税率=不動産取得税額

不動産取得税の本来の税率は4%です。

ただし、令和9年3月31日までに取得した住宅や土地には、税率を3%に軽減する特例措置が適用されます(出典:総務省 不動産取得税)。

固定資産税評価額は、実際の購入価格と同じ金額ではありません。

一般的には、建物の固定資産税評価額は建築費よりも低く、土地の固定資産税評価額も売買価格より低くなる傾向があります。

目安として、新築住宅の建物は建築費の60%程度、土地は売買価格の70%程度と説明されることがあります。

たとえば、建築費が3,000万円の新築住宅でも、建物の固定資産税評価額が必ず3,000万円になるわけではありません。

そのため、不動産の購入価格が高くても、購入価格に税率3%をそのまま掛けた金額が不動産取得税になるわけではありません。

建物の不動産取得税の目安

ここでは、建物の固定資産税評価額を2,000万円から5,000万円まで500万円刻みで想定し、建物部分の不動産取得税を試算します。

次の表は、住宅を取得した場合の税率3%を固定資産税評価額に掛けた金額です。住宅を対象とした軽減措置は反映していません。

建物の固定資産税評価額 軽減措置を反映する前の不動産取得税
2,000万円 60万円
2,500万円 75万円
3,000万円 90万円
3,500万円 105万円
4,000万円 120万円
4,500万円 135万円
5,000万円 150万円

表を見ると、建物の固定資産税評価額が3,000万円の場合、軽減措置を反映する前の不動産取得税は90万円です。

しかし、一定の要件を満たす住宅には、不動産取得税の負担を軽くする措置があります。

軽減措置が適用されると、実際の税額は表よりも大幅に低くなる場合があります。

住宅によっては、不動産取得税が0円になるケースもあります。

軽減措置によって税額が大きく変わることがある

不動産取得税には、住宅を取得した人の税負担を軽くする措置があります。

新築住宅では、床面積などの要件を満たすと、建物の固定資産税評価額から1,200万円を差し引いて税額を計算できます。

主な床面積の要件は、原則として50平方メートル以上240平方メートル以下です。

軽減措置が適用される場合、建物の不動産取得税は次の計算式で求めます。

  • (建物の固定資産税評価額-1,200万円)×3%=建物の不動産取得税額

たとえば、建物の固定資産税評価額が2,000万円の場合は、次の計算になります。

  • (2,000万円-1,200万円)×3%=24万円

軽減措置を反映しない場合の税額は60万円ですが、1,200万円の控除を適用すると24万円になります。

この例では、軽減措置によって不動産取得税が36万円少なくなる計算です。

また、認定長期優良住宅では、一定の要件を満たすと、固定資産税評価額から差し引ける金額が1,300万円になります。

認定長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性能など、国が定めた基準を満たし、長期間にわたって良好な状態で使用できる住宅として認定を受けた住宅です。

建物の固定資産税評価額が控除額以下であれば、建物部分の不動産取得税は0円になります。

中古住宅にも、不動産取得税の負担を軽くする措置があります。

中古住宅では、建物が新築された時期に応じて、固定資産税評価額から差し引ける金額が異なります。

そのため、同じ価格で購入した中古住宅でも、建物の新築時期などによって不動産取得税が変わる可能性があります。

なお、不動産取得税の軽減措置を受けるための手続きは、都道府県によって異なります。

住宅を取得した後は、不動産がある都道府県の税事務所や公式ホームページで、次の点を確認しておくと安心です。

  • 軽減措置の対象になるか
  • 申告や書類の提出が必要か
  • 手続きの期限はいつまでか
  • どのような書類を提出するのか

納税通知書が届いてから慌てないよう、住宅を取得した後の早い段階で手続きの方法を確認しておきましょう。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、不動産の購入価格から不動産取得税をシミュレーションできるツールを公開中です。シミュレーションできるのはあくまで税額の目安ですが、ぜひご活用ください。

お役立ちツール
不動産取得税シミュレーション|売買価格から30秒で試算

この章のまとめ
項目 内容
不動産取得税とは 土地や建物を取得した人に対して、都道府県が原則として一度だけ課す税金
「忘れたころにやってくる」理由 住宅を取得してから納税通知書が届くまでに時間がかかる場合がある。届く時期は都道府県や取得時期などによって異なる
税額の計算方法 固定資産税評価額×税率。固定資産税評価額とは、市町村が評価した建物や土地の時価
住宅・土地の税率 令和9年3月31日までに取得した場合は3%
建物の不動産取得税の目安 固定資産税評価額が2,000万円の場合は60万円、5,000万円の場合は150万円。ただし、住宅を対象とした軽減措置を反映する前の金額
新築住宅の軽減措置 一定の要件を満たす場合、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除。認定長期優良住宅は1,300万円を控除
中古住宅の軽減措置 一定の要件を満たす場合、建物が新築された時期に応じた金額を固定資産税評価額から控除
手続きの注意点 軽減措置の申告や書類提出が必要かどうか、手続きの期限などを都道府県の税事務所や公式ホームページで確認
対象となる住宅 新築住宅・中古住宅の両方

▲ 目次に戻る

住宅ローンを組む前に、6つの「想定外の出費」を確認しておこう

住宅を購入した後に必要になるお金は、住宅ローンの返済だけではありません。

変動金利の上昇によって毎月の返済額が増えたり、税金の軽減や住宅ローン控除が終了したりすると、家計の負担が重くなる可能性があります。

外壁・屋根の修繕や給湯器・エアコンの交換では、数十万円から100万円を超える費用が必要になる場合もあります。

住宅ローンの毎月の返済額だけを見て「無理なく返済できる」と判断すると、住宅を購入した後に発生する費用が想定外の出費になるかもしれません。

この記事で解説した6つの想定外の出費を、最後に振り返ります。

No. 想定外の出費 家計の負担が増える主な理由 対象となる住宅
1 変動金利の上昇による返済額の増加 金利が上昇すると、毎月の返済額や利息の負担が増える可能性がある 新築住宅・中古住宅
2 固定資産税の軽減終了による税負担の増加 新築住宅の固定資産税を2分の1にする軽減措置が、一定期間で終了する 新築住宅
3 住宅ローン控除の終了による家計負担の増加 控除が終了すると、それまで軽減されていた所得税や住民税の負担が元に戻る 新築住宅・中古住宅
4 外壁・屋根などの大規模な修繕費 建物の劣化に応じて、外壁や屋根の塗装・補修などが必要になる 新築住宅・中古住宅
5 給湯器・エアコンなど住宅設備の修理・交換費用 住宅設備は使用年数とともに劣化し、修理や交換が必要になる場合がある 新築住宅・中古住宅
6 購入からしばらく後に支払う不動産取得税 住宅を取得してから時間が経った後に、納税通知書が届く場合がある 新築住宅・中古住宅

この6つの出費に共通しているのは、住宅ローンを組んだ当初の毎月の返済額(試算額)には反映されていないことです。

住宅ローンの返済額だけをもとに資金計画を立てると、税負担の増加や住宅の修繕、設備の交換などが発生した際、家計に大きな影響を与える可能性があります。

一方、将来必要になる費用をあらかじめ知っておけば、事前に準備できる出費もあります。

住宅を購入する前や住宅ローンを契約する前に、次の点を確認しておくと、購入後の負担を予測しやすくなります。

変動金利を選ぶ場合

  • 現在の金利だけではなく、将来金利が上昇した場合の毎月の返済額も試算します。

    5年ルールや125%ルールが適用される場合でも、金利上昇による負担そのものがなくなるわけではありません。

新築住宅を購入する場合

  • 固定資産税の軽減措置が何年間適用され、何年目に終了するのかを確認します。

    軽減措置が終了すると、建物の固定資産税は本来の税額に戻ります。

住宅ローン控除を利用する場合

  • ご自身の住宅がどの区分に当てはまり、住宅ローン控除を何年間受けられるのかを確認します。

    控除期間は、住宅の省エネ性能や入居した年などによって異なります。

将来の修繕や住宅設備の交換に備える場合

  • 外壁・屋根の修繕費や、給湯器・エアコンなどの修理・交換費を想定し、毎月の家計に積立枠を設けます。

    少しずつ費用を準備しておけば、まとまった支出が必要になった際の負担を抑えやすくなります。

不動産取得税に備える場合

  • 不動産取得税の納税通知書は、住宅の購入時ではなく、購入からしばらく経った後に届く場合があります。

    納税通知書が届く時期や軽減措置の手続きを都道府県へ確認し、住宅購入後も手元の資金に余裕を残しておくと安心です。

住宅ローンは、契約して終わりではありません。

住宅を購入した後は、住宅ローンを返済しながら、税金を支払い、建物を修繕し、古くなった住宅設備を交換する必要があります。

毎月の返済額だけではなく、将来発生する可能性がある費用まで含めて資金計画を立てれば、想定外の出費による家計への影響を抑えやすくなります。

この記事で解説した6つの出費を、ご自身が購入する住宅や家計の状況と照らし合わせ、住宅購入後も無理なく暮らせる資金計画に役立ててください。

著者・監修情報
誰でもわかる不動産売買(fudousan-wakaru.net)編集部。不動産の購入・売却・活用に関する情報を、はじめて不動産を検討する方にもわかりやすく伝えることを目的として運営しています。記事の作成にあたっては、国土交通省、一般社団法人 住宅性能評価・表示協会などの公的機関の情報、および極めて信頼性が高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
国税庁タックスアンサーNo.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除国土交通省 令和8年度税制改正概要住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月)総務省 不動産取得税
注意点
本記事の内容は令和8年7月時点のものです。最新の情報は国税庁、総務省、国土交通省のホームページなどでご確認ください。

こちらの記事もオススメです

▲ 目次に戻る