中古住宅の築年数と価格・耐震・ローン控除|実取引データで比較

中古住宅の築年数と価格・耐震・ローン控除|実取引データで比較

「中古住宅の狙い目は築15年がいい」「いや、築20年を超えたら底値だ」「築30年でも住宅ローン控除は使える」――このような情報を見かけたことはないでしょうか。

インターネットにはさまざまな情報があり、「結局どれが正しいのだろう」と迷ってしまう方も多いはずです。実は、これらの主張はどれも一概に間違いとはいえません。

なぜなら、それぞれ異なる「何を重視するか」という判断基準にもとづいて説明されているためです。

たとえば、価格を最優先する人にとって狙い目となる築年数と、耐震性を最優先する人にとって狙い目となる築年数は一致するとは限りません。

住宅ローン控除を利用したい人と、フラット35を利用したい人でも、重視すべき条件は異なります。これは、それぞれ適用される法律や制度が異なるためです。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の築年数が影響する場面を「①価格」「②耐震性」「③住宅ローン・税制」「④維持費・リフォーム」の4つに分け、それぞれの観点から狙い目となる築年数をわかりやすく解説します。

さらに、2025年の実際の取引データ(国土交通省不動産情報ライブラリ)をもとに、東京都・大阪府における築年数別の価格中央値も紹介します。

この記事を読むとわかること
  • 築年数という一つの数字が、価格・耐震性・住宅ローン・税制など、それぞれの場面で異なる意味を持つ理由
  • 「木造住宅は法定耐用年数22年で寿命を迎える」という広く信じられている誤解の正体と、実際のデータが示す木造住宅の平均寿命
  • 東京都・大阪府における築年数区分別の取引価格中央値(2025年第1〜4四半期の実取引データ)
  • 耐震基準が「旧耐震」「新耐震」「2000年基準」の3段階に分かれている理由と、2026年時点で各築年数がどの基準に該当するか
  • 2022年に見直された住宅ローン控除の築年数要件と、「昭和57年(1982年)1月1日以降に建築された住宅」という基準の意味
  • フラット35が築年数の古い住宅の購入で有利になるケースがある理由
  • 自分の目的(価格重視・耐震性重視・住宅ローンや税制の活用・リノベーション前提)に合った狙い目の築年数

この記事をお読みいただければ、中古住宅選びで「自分は何を優先すればよいのか」がはっきりとわかります。

ご自身にぴったりの築年数を見つけるための判断基準も身につき、自信を持って物件選びを進められるようになります。

目次

1. 中古住宅の築年数で何が変わるのか

中古住宅を探していると、「築年数」が重要だとよくいわれます。しかし、築年数という一つの数字が何を意味するのかは、実は場面によって大きく異なります。

たとえば、同じ「築30年」の中古住宅でも、価格を比較するときと、住宅ローンの利用条件を確認するときでは、築年数の見方が変わります。さらに、耐震性や将来のリフォーム費用を考える場合も、築年数が持つ意味は同じではありません。

つまり、「築30年だから良い」「築30年だから悪い」と一概に判断することはできないのです。何を重視して中古住宅を選ぶかによって、狙い目となる築年数は変わります。

そのため、中古住宅の築年数を正しく理解するには、「価格」「耐震性」「住宅ローン・税制」「維持費・リフォーム」といった、それぞれの場面ごとに考えることが大切です。

この章では、築年数がどのような場面で影響するのかを整理します。そのうえで、この記事をどのような視点で読み進めればよいのかを説明します。

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1-1. 築年数が価格・耐震・ローンに影響する理由

中古住宅の築年数が購入に影響する場面は、大きく分けて4つあります。

  • ①取引価格
  • ②耐震性の評価
  • ③住宅ローンの審査・返済期間
  • ④住宅ローン控除(税金の還付制度)の適用可否

これらは互いに関係していますが、判断基準はそれぞれ異なります。

たとえば、取引価格は市場での需要と供給によって決まります。一方、住宅ローン控除を受けられるかどうかは税法にもとづいて判断されます。

さらに、耐震性は建築基準法の改正時期が基準になります。住宅ローンの審査では、金融機関ごとの融資基準が大きく影響します。

このように、価格・耐震性・住宅ローン・税制は、それぞれ異なる法律や制度、考え方によって判断されます。そのため、同じ築年数でも、場面によって評価が大きく変わるのです。

具体例として、「築32年の木造一戸建て」を考えてみましょう。

価格の面では、建物の資産価値が低く評価される時期に入るため、比較的割安な物件が見つかりやすくなります。

耐震性の面では、2026年時点で築32年の住宅は1994年頃の竣工にあたるため、「新耐震基準」に適合している住宅です(建築確認については後ほど詳しく説明します)。

住宅ローン控除の面では、1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅であれば、築年数にかかわらず、原則として適用対象になります。ただし、省エネ基準への適合状況によって借入限度額が2,000万円または3,000万円に変わります(詳しくは「4.住宅ローン・住宅ローン控除・フラット35と築年数の関係」で説明します)。

これに対して、住宅ローンの審査では、金融機関によって「残存耐用年数」を重視する場合があります。残存耐用年数とは、法定耐用年数から現在の築年数を差し引いた年数です。この年数が短いと判断されると、希望どおりの返済期間で住宅ローンを組めなかったり、借入額が少なくなったりすることがあります。

このように、同じ「築32年」という数字でも、価格・耐震性・住宅ローン・税制では意味がまったく異なります。そのため、中古住宅を選ぶ際は、築年数だけを見るのではなく、「何を重視するのか」という視点で判断することが大切です。

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1-2. 「法定耐用年数=建物の寿命」という誤解を正す

中古住宅を検討している方が最初に誤解しやすいのが、「木造住宅の寿命は22年」「RC造(鉄筋コンクリート造)の寿命は47年」という考え方です。

確かに22年や47年という数字は実際に存在します。しかし、この数字は「建物に何年住めるか」を示しているわけではありません。

22年や47年は、税法で定められた「法定耐用年数(ほうていたいようねんすう)」です。

法定耐用年数とは、建物の取得費用を税務上どれくらいの期間で経費として計上するかを定めた基準です。この計算には「減価償却(げんかしょうきゃく)」という仕組みが使われます。

減価償却とは、建物の購入費用を一度に経費へ計上するのではなく、法定耐用年数に応じて複数年に分けて経費として計上する会計処理のことです。

つまり、法定耐用年数は「帳簿上の価値がゼロになるまでの年数」を表した数字であり、「建物が物理的に住めなくなる年数」ではありません(出典:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表)。

では、木造住宅は実際には何年くらい使われているのでしょうか。

国土交通省が公表した、早稲田大学・小松幸夫教授らの調査研究によると、2011年時点における木造専用住宅の平均寿命は65年、RC系住宅の平均寿命は68年という結果になっています。

この平均寿命は、固定資産台帳の滅失データをもとに、「建物の残存率が50%になるまでの期間」を算出したものです。そのため、建物が老朽化して住めなくなったケースだけではなく、建て替えや土地活用など経済的な理由で取り壊された建物も含まれています。

それでも、法定耐用年数である22年や47年と比べると、実際の建物ははるかに長い期間利用されていることがわかります(出典:国土交通省 中古住宅流通促進・活用に関する研究会 参考資料)。

さらに重要なのは、建物が何年住めるかを大きく左右するのは、築年数よりも「建物の状態」だという点です。

たとえば、雨漏りを長期間放置すると、5〜10年ほどで柱や梁(はり)が腐食し、建物を支える構造部分の強度が大きく低下することがあります。

シロアリの被害を放置した場合も、土台や柱が食害を受け、被害の程度によっては大規模な修繕や建て替えが必要になることがあります。

一方で、定期的に屋根や外壁、防水、設備などのメンテナンスを行っている住宅は、築50年を超えても現在まで住み続けられている事例が全国に数多くあります。

筆者自身も、築50年を超える木造戸建てを550万円で購入した経験があります。

物件価格が非常に安かったことから購入を決断しました。しかし、その後にキッチンの交換やリビングへの断熱材の施工などが必要となり、150万円以上の追加費用がかかりました。

この経験から、築年数が古い格安物件は、購入価格だけで判断しないことが大切だと実感しています。

もちろん、物件価格が550万円であれば、150万円超の追加費用を合わせた総費用でも、同エリアの新築や築浅物件より格安になるケースは多くあります。重要なのは、追加費用を把握したうえで総額で比較することです。

表① 構造別・法定耐用年数と平均寿命・期待耐用年数の目安
構造種別 法定耐用年数 平均寿命(小松教授 2011年調査) 期待耐用年数の目安(管理水準別)
木造 22年 65年 フラット35基準相当:50〜60年/劣化対策等級3:75〜90年/長期優良住宅認定:100年超
軽量鉄骨造 19〜27年(骨格材の肉厚による) ―(公的資料に数値なし)
重量鉄骨造 34〜38年(骨格材の肉厚による) ―(公的資料に数値なし)
RC造(鉄筋コンクリート造) 47年 68年 ―(参考:物理的寿命は117年との文献あり)
木造・RC造の法定耐用年数と平均寿命・期待耐用年数の比較グラフ

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1-3. 築年数で変わる4つのポイントと記事の読み方

この記事では、中古住宅の築年数が影響する場面を、「①価格」「②耐震性」「③住宅ローン・税制」「④維持費・リフォーム」の4つの視点に分けて解説しています。

中古住宅を選ぶ際に重視するポイントは、人によって異なります。そのため、気になるテーマから読み進めていただいても構いません。

できるだけ購入価格を抑えたい」という方は、「2.築年数別・中古住宅の実際の取引価格」と「5-2. 価格を最優先する場合の狙い目」をご覧ください。築年数と価格の関係や、実際の取引データをもとに狙い目を解説しています。

耐震性を重視したい」という方は、「3.耐震基準から見た築年数の選び方」と「5-3.耐震性を最優先する場合の狙い目」を読むことをおすすめします。耐震基準の違いや、築年数との関係がわかります。

住宅ローン控除やフラット35を利用できるか知りたい」という方は、「4.住宅ローン・住宅ローン控除・フラット35と築年数の関係」と「5-4.住宅ローン控除・フラット35を活用したい場合の狙い目」をご確認ください。住宅ローン控除やフラット35(住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローン)の適用条件を詳しく説明しています。

リノベーション(大規模な改修工事)を前提に購入したい」という方は、「5-5.リノベーション前提で購入する場合の狙い目」と「6.中古住宅の築年数別・購入前チェックリスト」が参考になります。築年数の古い物件を選ぶ際の注意点や、購入後にかかる費用について解説しています。

もちろん、最初から順番に読むことで、中古住宅の築年数が価格・耐震性・住宅ローン・税制・維持費にどのような影響を与えるのかを体系的に理解できます。

つづいて、それぞれのテーマについて、実際のデータや制度の内容を交えながら詳しく解説します。

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2. 築年数別・中古住宅の実際の取引価格

中古住宅の取引価格は、築年数が古くなるほど一定の割合で下がるわけではありません。

戸建てとマンションでは価格の下がり方に違いがあります。また、同じ築年数の中古住宅でも、地域(たとえば東京都と大阪府など)によって価格水準が大きく異なります。

そのため、「築20年だからこのくらいの価格」「築30年だから安い」と、築年数だけで相場を判断することはできません。中古住宅の価格を正しく把握するには、建物の種類や地域ごとの違いもあわせて確認する必要があります。

この章では、国土交通省の不動産情報ライブラリに掲載されている2025年の実際の取引・成約データをもとに、築年数ごとの価格の傾向を整理します。実際の取引価格を確認しながら、築年数と価格の関係をわかりやすく解説します。

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2-1. 建物価格と土地価格の二層構造を理解する

中古住宅の取引価格を正しく理解するには、価格が「建物価格」と「土地価格」を合計した金額であることを知っておくことが大切です。

この2つは、価格が決まる仕組みが大きく異なります。建物価格は、築年数が古くなるにつれて下がるのが一般的です。

一方、土地価格は、駅からの距離や周辺環境、地域の需要と供給などによって決まります。そのため、築年数が古くなっても、土地価格そのものは基本的に変わりません。

たとえば、駅に近い住宅では、建物が古くなって建物価格が下がっても、土地価格が高いため、取引価格全体は大きく下がらないことがあります。

このように、「建物価格は下がるが、土地価格は大きく下がらない」という二層構造を理解すると、特に中古戸建ての価格の動きがわかりやすくなります。

では、建物価格はどのように下がるのでしょうか。

不動産業界では、木造住宅の建物価格は、税法上の法定耐用年数である22年を一つの目安として年々下落し、築20〜25年を超えると、建物の評価額はほぼゼロとみなされることが少なくありません。

これは、「1.中古住宅の築年数で何が変わるのか」で説明した「法定耐用年数は建物の寿命ではない」という話と同じ考え方です。法定耐用年数は本来、税務上の基準ですが、その考え方が不動産市場における建物の評価にも影響を与えています。

ただし、ここで注意したい点があります。

「築20年を超えると建物評価がゼロになる」というのは、あくまでも建物価格の評価についての話です。

中古住宅の取引価格は、「建物価格+土地価格」で決まります。そのため、建物価格がほぼゼロと評価されても、土地価格が高ければ、取引価格は数千万円になることも珍しくありません。

つまり、「築20年を超えた中古住宅はタダ同然で買える」というわけではありません。実際の価格は、土地価格によって大きく左右されます。

以下の表②では、2025年の実際の取引・成約データをもとに、築年数区分ごとの価格中央値を紹介します。

中央値とは、取引価格を高い順または低い順に並べたとき、ちょうど中央に位置する価格のことです。一部の極端に高額な物件や格安物件の影響を受けにくいため、中古住宅の相場を把握する際によく使われる指標です。

表② 築年数区分別・中古住宅の取引価格中央値(東京都・大阪府 2025年)
築年数区分 東京都
中古戸建て
東京都
中古マンション
大阪府
中古戸建て
大阪府
中古マンション
〜5年 5,100万円 8,500万円 3,700万円 5,800万円
6〜10年 5,700万円 7,800万円 3,400万円 5,000万円
11〜15年 5,500万円 7,100万円 3,100万円 4,800万円
16〜20年 5,000万円 6,300万円 2,800万円 3,900万円
21〜25年 4,900万円 6,000万円 2,500万円 3,500万円
26〜30年 4,200万円 5,000万円 2,100万円 2,500万円
31〜35年 3,700万円 2,900万円 1,800万円 1,800万円
36〜40年 3,400万円 2,900万円 1,400万円 1,800万円
41〜50年 2,600万円 3,100万円 800万円 1,600万円
51年〜 2,100万円 2,600万円 510万円 1,100万円
築年数別の中古住宅取引価格中央値グラフ(東京都・大阪府2025年 戸建て・マンション比較)

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2-2. 戸建てとマンションで価格の下落パターンが違う理由

先にご紹介した表②を見ると、中古戸建てと中古マンションでは、築年数による価格の下がり方が大きく異なるのがわかります。

たとえば、東京都の中古戸建ては、築年数が古くなるにつれて価格が緩やかに下落しています。

一方、東京都の中古マンションは、築26〜30年の価格中央値が5,000万円であるのに対し、築31〜35年では2,900万円まで下落しています。わずか5年間で2,100万円も価格が下がっており、大きな価格差が生じています。

大阪府の中古マンションでも同じような傾向が確認できます。この違いは、前節で説明した「建物価格と土地価格の二層構造」が大きく関係しています。

中古戸建ては、建物価格が下がっても土地価格が残るため、取引価格全体の下落が緩やかになります。

一方、中古マンションは区分所有(建物の一室だけを所有する形態)のため、一戸あたりの土地の持分はわずかです。そのため、建物価格の下落が取引価格に反映されやすく、築年数が価格へ与える影響も大きくなります。

では、なぜ中古マンションは築31〜35年あたりで価格が大きく下がるのでしょうか。

インターネットでは、「旧耐震基準のマンションが混ざるから価格が下がる」と説明しているサイトもあります。しかし、この説明は事実とは一致しません。

2025年時点で築31〜35年のマンションは、1990〜1994年に竣工した建物です。これらはすべて新耐震基準の時代に建築されたマンションであり、旧耐震基準の建物ではありません。

旧耐震基準に該当するのは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物です。2025年時点では、おおむね築45年以上の建物が該当するため、築31〜35年のマンションとは時期が重なりません。

それでは、価格が急落する本当の理由は何でしょうか。主な要因は、築30年前後から維持管理にかかる費用やリスクが目立ち始めることです。

具体的には、次のような点が価格へ影響すると考えられます。

  • 大規模修繕(外壁・屋上防水・給排水設備などの大規模な修繕工事)の実施時期を迎え、費用負担が大きくなりやすいこと
  • 修繕積立金(将来の修繕工事に備えて毎月積み立てる費用)が不足しているマンションでは、一時金の徴収や積立金の値上げが行われる可能性があること
  • 管理組合(マンションの維持管理を行う所有者の組織)の運営状況や財政状態によって、資産価値に差が生じやすくなること
  • エレベーターや給排水管などの設備が更新時期を迎え、将来必要となる費用を予測しにくくなること

物件の購入希望者は、こうした将来の負担も考慮して価格交渉を行います。そのため、築30年を超えた中古マンションでは、大きな価格差が生じやすいのです。

「築30年を超えたから安い=旧耐震だから」という理解は正しくありません。実際には、耐震性ではなく、維持管理コストや修繕リスクが価格へ大きく影響しているケースも少なくありません。

また、東京都の中古マンションでは、築41〜50年の価格中央値が3,100万円となっており、築31〜35年および36〜40年の中央値(いずれも2,900万円)を上回っています。一見すると不自然な結果に思えます。

これは、築40年を超えるマンションの中に、都心の好立地にある高額物件が一定数含まれているためと考えられます。

たとえば、同じ築45年でも、渋谷区や港区などの人気エリアにあるマンションと郊外のマンションでは価格が大きく異なります。そのため、築41〜50年の価格中央値は、都心の高額物件の影響を受けて押し上げられている可能性があります。

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3. 耐震基準から見た築年数の選び方

中古住宅を選ぶ際、「地震に強い家かどうか」は多くの方が気になるポイントです。

耐震性を判断する際の手がかりの一つになるのが築年数です。日本では大地震が発生するたびに建築基準法が見直され、住宅に求められる耐震性能が段階的に引き上げられてきました。

そのため、築年数を確認すれば、おおよその耐震基準を推測することはできます。ただし、「築年数だけを見れば耐震性がわかる」と考えるのは危険です。

実際の耐震基準は、建物が完成した時期ではなく、「建築確認」を受けた時期によって判断されます。そのため、同じ築年数の中古住宅でも、適用される耐震基準が異なる場合があります。

中古住宅の耐震性を正しく判断するには、築年数だけではなく、建築確認の時期や耐震基準の変遷も理解しておくことが重要です。

この章では、耐震基準がどのように変わってきたのかを整理したうえで、中古住宅の耐震性を確認する際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

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3-1. 耐震基準は「旧耐震・新耐震・2000年基準」の三段階がある

日本の住宅に適用される耐震基準は、「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の3段階に分けられます。これらは、大地震の発生を受けて建築基準法が改正されるたびに、住宅へ求められる耐震性能が引き上げられてきたためです。

まず、第1段階が「旧耐震基準」です。

旧耐震基準は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認申請が行われた建物へ適用されていました。

建築確認申請とは、建物を建てる前に、その設計が建築基準法などの法令に適合しているかを行政へ確認してもらう手続きです。

旧耐震基準では、「震度5強程度の地震で倒壊・崩壊しないこと」が求められていました。一方、震度6強〜7程度の大地震に対する性能基準は設けられていませんでした。2026年時点では、旧耐震基準の建物は、おおむね築45年以上に該当します。

次に、第2段階が「新耐震基準」です。

新耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認申請が行われた建物へ適用されるようになりました。

この改正では、「震度6強〜7程度の大地震でも倒壊・崩壊しないこと」という性能目標が新たに加えられ、耐震性能が大きく向上しました。2026年時点では、新耐震基準に該当する建物は、おおむね築26〜44年です。

第3段階が「2000年基準」です。

2000年基準は、2000年(平成12年)6月1日以降に建築確認申請が行われた木造住宅へ適用された基準です。

この改正では、耐力壁の配置や柱・梁・土台などを接合する金物の仕様、地盤調査などに関する基準が強化され、木造住宅の耐震性がさらに向上しました。

2026年時点では、2000年基準に適合する木造住宅は、おおむね築25年以下に該当します。

ここで、実務上もっとも重要なポイントがあります。耐震基準を判断する基準は、「建物が完成した年(竣工年)」でも、「登記した年」でもありません。判断基準になるのは、「建築確認申請日」です。

たとえば、1981年(昭和56年)4月に建築確認申請を行い、同年11月に建物が完成した住宅を考えてみましょう。

この住宅は1981年に竣工していますが、建築確認申請は1981年5月31日以前に行われています。そのため、新耐震基準ではなく、旧耐震基準の建物として扱われます。

つまり、「1981年竣工だから新耐震基準」と判断するのは誤りです。

建築確認申請日を確認するには、確認済証(建築確認が完了したことを証明する書類)を見る方法があります。書類が残っていない場合は、自治体が保管している建築確認台帳などで確認できる場合があります。

中古住宅の耐震性を判断する際は、築年数だけではなく、建築確認申請日まで確認することが大切です。

表③ 耐震基準の変遷と2026年時点の築年数対応・主な強化内容
基準名 建築確認申請日の区分 2026年時点の目安 主な強化内容 住宅ローン控除の原則的な適用可否
旧耐震基準 1981年5月31日以前 築45年以上 震度5強程度での倒壊防止 原則対象外(耐震基準適合証明書等の取得で適用できる場合あり)
新耐震基準 1981年6月1日〜2000年5月31日 築26〜44年 震度6強〜7クラスでの倒壊・崩壊防止を追加 1982年(昭和57年)1月1日以降建築なら原則○
2000年基準 2000年6月1日以降 築25年以下 地盤調査の義務化・接合部金物の仕様指定・耐力壁の配置バランス計算を追加(木造)
旧耐震・新耐震・2000年基準の変遷と2026年時点の築年数対応年表

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3-2. 旧耐震基準(築45年以上)の住宅を買う場合の注意点

旧耐震基準の住宅とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認申請が行われた住宅です。このような住宅を購入する場合は、いくつか確認しておきたいポイントがあります。

重要なのは、「旧耐震基準だから購入してはいけない」と考えるのではなく、追加で必要になる費用や手続きを理解したうえで判断することです。

まず確認したいのが、耐震診断を受ける必要があるかどうかです。耐震診断とは、建物の現在の耐震性能を建築士などの専門家が調査・評価するものです。

木造一戸建ての場合、一般診断法(主に目視で行う診断)の費用は、おおむね10万円〜40万円が目安になります。一方、旧耐震基準の木造住宅については、自治体が耐震診断費用を補助しているケースも多くあります。

市区町村によっては無料で診断を受けられることもあるため、購入を検討している住宅がある自治体へ事前に確認することをおすすめします。

耐震診断の結果、耐震性能が不足していると判断された場合は、住宅ローン控除を利用するために「耐震基準適合証明書」が必要になることがあります。

耐震基準適合証明書とは、その住宅が現在の耐震基準を満たしていることを建築士などが証明する書類です。この証明書を取得するには、耐震改修工事が必要になるケースが少なくありません。

国土交通省と一般財団法人日本建築防災協会の調査によると、木造一戸建て(平屋・2階建て)の耐震改修工事は、100万円〜150万円で実施されるケースが最も多くなっています。建物の劣化状況や工事内容によっては、200万円を超える費用がかかる場合もあります。

なお、耐震改修工事を行ったとしても、必ず耐震基準適合証明書を取得できるとは限りません。建物の状態によっては、改修後も現行の耐震基準を満たせず、証明書が交付されないケースもあります。

そのため、工事を始める前に、建築士へ取得の見込みを確認しておくことが大切です。

なお、旧耐震基準の住宅でも、過去に耐震改修工事が行われ、すでに耐震基準適合証明書を取得している物件もあります。そのような住宅であれば、新たに耐震改修工事を行わなくても住宅ローン控除を利用できる場合があります。

旧耐震基準の住宅を検討する際は、まず売主や不動産会社へ耐震改修工事の実施履歴や、耐震基準適合証明書の有無を確認することが重要です(出典・参考:国土交通省 住まいの耐震化日本建築防災協会 耐震改修工事費の目安)。

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3-3. 新耐震基準(1981年6月〜)と2000年基準(2000年6月〜)の違い

新耐震基準は、「震度6強〜7程度の大地震でも倒壊・崩壊しないこと」を目標として導入された耐震基準です。

旧耐震基準と比べると、住宅に求められる耐震性能は大きく向上しました。しかし、新耐震基準にも、後になって明らかになった課題がありました。その一つが、木造住宅の接合部に関する基準です。

接合部とは、柱と梁(はり)、柱と土台など、建物の骨組みをつなぐ部分を指します。地震が発生すると、この部分には大きな力が集中します。

新耐震基準では、耐力壁(地震の横揺れに抵抗する壁)の量については基準が強化されました。

一方、耐力壁を柱や土台へどのような金物で固定するかについては、具体的な仕様が義務付けられていませんでした。

この課題が明らかになったのが、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災です。この地震では、新耐震基準の適用後に建てられた木造住宅の中にも倒壊した建物がありました。

調査の結果、倒壊した住宅の多くでは、柱と土台をつなぐ接合部が引き抜かれるように外れたことが原因の一つと考えられています。

つまり、「新耐震基準に適合している=十分に安全」と単純に考えることはできないことが、この震災で明らかになりました。

こうした教訓を踏まえ、2000年(平成12年)に建築基準法が改正され、新たに「2000年基準」が導入されました。2000年基準では、木造住宅について次の3つが義務化されています。

  • 地盤調査を実施し、地盤の強さに応じた基礎を設計すること
  • 柱の引き抜きを防ぐホールダウン金物など、接合部に使用する金物の種類や仕様を具体的に定めること
  • 耐力壁(地震の横揺れに抵抗する壁)の配置バランスを計算し、一方向へ壁が偏らないようにすること

このような改正により、2000年基準の木造住宅は、新耐震基準の木造住宅よりも耐震性能がさらに向上したと考えられています。

なお、2000年基準が適用されるのは木造住宅です。

RC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)のマンションなどには、それぞれ別の構造基準が適用されます。そのため、「2000年基準」という考え方は、主に木造一戸建てを購入する際に確認したいポイントといえます。

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3-4. 耐震性から見た狙い目の築年数

耐震性を最優先して中古住宅を選ぶ場合は、耐震基準ごとの特徴を踏まえて築年数を判断することが大切です。

最もおすすめなのは、2000年基準が適用された木造住宅です。2026年時点では、おおむね築25年以下の木造住宅が該当します。

2000年基準では、地盤調査の実施、接合部に使用する金物の仕様、耐力壁の配置バランスが義務化されています。そのため、現在の木造住宅の耐震基準の中では、最も信頼性が高い水準と考えられています。

次におすすめなのが、新耐震基準が適用された住宅です。2026年時点では、おおむね築26〜44年の住宅が該当します。

新耐震基準は、旧耐震基準と比べて耐震性能が大きく向上しています。ただし、木造住宅では接合部の仕様に関する基準が現在ほど厳しくなかったため、購入前に耐震診断を受けることをおすすめします。

耐震診断の結果、必要と判断された場合は耐震改修工事を行うことで、2000年基準に近い耐震性能まで高められるケースもあります。

旧耐震基準に該当する築45年以上の住宅は、慎重な確認が必要です。「3-2.旧耐震基準(築45年以上)の住宅を買う場合の注意点」で説明したように、耐震診断を受けたうえで、必要に応じて耐震改修工事を行い、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかを確認してから購入を判断することが基本になります。

ただし、耐震性を判断する際に最も重要なのは、「築年数だけで判断しないこと」です。

たとえば、築40年の木造住宅でも、耐震改修工事が適切に行われ、耐震基準適合証明書を取得していれば、安心して購入を検討できる場合があります。

反対に、築15年の住宅であっても、施工不良や建物の劣化があれば、耐震性に問題が生じる可能性があります。つまり、築年数は耐震性を判断するための目安にすぎません。

実際の耐震性能は、どの耐震基準で建てられた住宅なのか、耐震改修工事が実施されているか、そして建物の状態が良好かどうかによって決まります。

中古住宅の耐震性を確認する際は、まず建築確認申請日を確認し、どの耐震基準が適用されている住宅なのかを把握することが第一歩となります。

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4. 住宅ローン・住宅ローン控除・フラット35と築年数の関係

中古住宅を購入する際は、築年数が住宅ローンや税制にどのような影響を与えるのかも確認しておきたいポイントです。

ただし、「築何年なら利用できる」「築何年を超えると利用できない」というように、一つの基準だけで判断できるわけではありません。

住宅ローンの審査や返済期間、住宅ローン控除の適用条件、フラット35の利用条件は、それぞれ異なる制度にもとづいて決められているためです。

たとえば、住宅ローンでは、金融機関が建物の資産価値や返済能力などをもとに審査を行います。一方、住宅ローン控除は税法の要件によって適用の可否が決まります。

さらに、フラット35は住宅金融支援機構が定める技術基準を満たす必要があり、一般的な住宅ローンとは確認するポイントが異なります。

このように、同じ築年数でも、住宅ローン・住宅ローン控除・フラット35では判断基準が異なります。この章では、それぞれの制度について、築年数がどのように関係するのかをわかりやすく解説します。

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4-1. 住宅ローンの返済期間と築年数の関係

住宅ローンを利用する際、多くの方が気になるのは毎月の返済額です。

しかし、中古住宅では、その前に「何年間の住宅ローンを組めるか」という返済期間が問題になることがあります。これは、新築住宅にはあまり見られない、中古住宅ならではの特徴です。

一般の民間金融機関では、住宅ローンの返済期間を決める際に、「残存耐用年数」を参考にすることがあります。

残存耐用年数とは、税法で定められた法定耐用年数から、現在の築年数を差し引いた年数です。たとえば、木造住宅の法定耐用年数は22年です。

そのため、築20年の木造住宅では、「22年-20年=2年」となり、残存耐用年数は2年になります。金融機関によっては、この残存耐用年数を返済期間の目安としている場合があります。

そのような金融機関では、築年数が古い住宅ほど長期間の住宅ローンを組みにくくなることがあります。具体的には、築20年の木造住宅では30年や35年といった長期返済が難しくなる場合があります。

築25年になると、計算上の残存耐用年数はマイナスとなるため、審査がさらに厳しくなるケースもあります。ただし、この考え方は、すべての金融機関で共通ではありません。

残存耐用年数を重視する金融機関もあれば、建物や土地の担保価値、購入者の年収や返済能力などを総合的に判断し、築年数が古い住宅でも長期間の住宅ローンを認める金融機関もあります。

つまり、一つの金融機関で希望どおりの融資を受けられなかったとしても、別の金融機関では審査に通る可能性があります。

築年数の古い中古住宅を購入する場合は、一つの金融機関だけで判断せず、複数の金融機関へ相談して条件を比較することが重要です。これが、希望する返済期間や借入額を実現するためのポイントになります。

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4-2. 住宅ローン控除の築年数要件は2022年に大きく変わった

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入したり増改築したりした場合に、年末の住宅ローン残高に応じた一定額が所得税や住民税から控除される制度です。

正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。中古住宅では、この制度を利用できるかどうかが購入後の負担に大きく影響します。

以前は、住宅ローン控除を受けるために「築年数」の条件を満たす必要がありました。

2021年までの制度では、木造住宅は築20年以内、RC造(鉄筋コンクリート造)などの耐火建築物は築25年以内であることが原則的な要件でした。

この築年数を超える住宅では、耐震基準適合証明書などを取得しなければ住宅ローン控除を利用できませんでした。

しかし、2022年の税制改正によって、この築年数要件は大きく見直されました。

現在は、「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅」であれば、築年数にかかわらず、原則として住宅ローン控除を利用できます。

ここで注意したいのは、「1982年1月1日以降に建築された住宅」という基準と、「3.耐震基準から見た築年数の選び方」で説明した耐震基準の判断基準は同じではないという点です。

住宅ローン控除では、「建築された日(新築年月日)」が基準になります。一方、旧耐震基準か新耐震基準かを判断する際に基準となるのは、「建築確認申請日」です。

似たような日付ですが、確認する対象が異なるため混同しないようにしましょう。住宅ローン控除で確認する新築年月日は、登記事項証明書に記載されています。

1981年(昭和56年)12月31日以前に建築された住宅は、原則として住宅ローン控除の対象になりません。ただし、次のいずれかの書類を取得できれば、住宅ローン控除を利用できる場合があります。

  • 耐震基準適合証明書
  • 建設住宅性能評価書の写し
  • 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書

登記上の建築年が1981年12月31日以前の住宅を購入する場合は、これらの書類を取得できるかどうかを事前に確認することが重要です。

もう一つ確認しておきたいのが、省エネ基準への適合状況です。2022年以降の住宅ローン控除では、省エネ基準を満たしているかどうかによって、控除の対象となる借入限度額が変わります。

省エネ基準適合住宅(断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上)の場合は、借入限度額が3,000万円です。

一方、省エネ基準を満たしていない中古住宅では、借入限度額は2,000万円になります。どちらも控除率は年末の住宅ローン残高の0.7%、控除期間は10年間です。

中古住宅では、省エネ基準を満たしていない物件がまだ多く、借入限度額2,000万円、年間最大14万円の控除となるケースが一般的です。

反対に、省エネ基準適合住宅であれば、借入限度額は3,000万円となり、年間最大21万円まで控除を受けられます。

省エネ基準への適合状況は、住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書で確認できます。購入前に確認しておくと、利用できる住宅ローン控除の金額を把握しやすくなります。

表④ 住宅ローン控除の適用要件まとめ(2022年改正後・中古住宅)
物件の区分 建築年の条件 省エネ基準適合 控除率 控除期間 借入限度額 主な必要書類
省エネ基準適合の中古住宅 1982年1月1日以降建築 あり 年末残高×0.7% 10年 3,000万円(最大21万円/年) 住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書の写し
上記以外の中古住宅 1982年1月1日以降建築 なし 年末残高×0.7% 10年 2,000万円(最大14万円/年) 特になし(建築年の確認のみ)
登記上の建築年が1981年12月31日以前の中古住宅 1981年12月31日以前建築 問わず 年末残高×0.7% 10年 2,000万円(最大14万円/年) 耐震基準適合証明書等のいずれか1点
住宅ローン控除の築年数要件・2022年改正前後の比較図(中古住宅の適用条件と省エネ基準)

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4-3. 中古マンションの住宅ローン控除で特に注意すること

中古マンションで住宅ローン控除を利用する場合は、一戸建てにはない注意点があります。

まず確認したいのが、マンションの建築年です。1981年(昭和56年)12月31日以前に建築されたマンションは、原則として住宅ローン控除の対象になりません。

このような登記上の建築年が1981年12月31日以前のマンションで住宅ローン控除を利用するには、耐震基準適合証明書などの必要書類を取得する必要があります。

ただし、中古マンションでは、この証明書を取得することが一戸建てより難しい場合があります。

その理由は、耐震基準適合証明書が「専有部分(購入する部屋)」ではなく、「マンション全体(1棟)」について耐震基準を満たしていることを証明する書類だからです。

そのため、管理組合がマンション全体の耐震診断や耐震改修を実施していない場合は、耐震基準適合証明書を取得できないケースもあります。

登記上の建築年が1981年12月31日以前の中古マンションを購入する際は、住宅ローン控除を利用できるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

もう一つ注意したいのが、築年数の古いマンションにおける建替えや管理の問題です。

マンションは、多くの区分所有者が共同で所有する建物です。そのため、老朽化しても、一戸建てのように所有者だけの判断で建て替えることはできません。

区分所有法により、マンションの建替えには区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要と定められています。

この条件を満たすことは簡単ではなく、大規模マンションでは合意形成に長い時間がかかったり、建替え自体が実現しなかったりするケースもあります。

建替えが進まないまま老朽化が進行すると、修繕費の負担が増えたり、資産価値が下がったりする可能性があります。

そのため、特に築40年を超える中古マンションを購入する場合は、建物だけではなく管理状況も確認することが大切です。具体的には、次のような項目を事前に確認すると安心です。

  • 建替えについての検討状況や将来の方針
  • 修繕積立金の残高
  • 長期修繕計画の内容
  • 管理組合の運営状況や財政状態

好立地にもかかわらず、相場より大幅に安い中古マンションが売りに出ている場合は、建替え問題や管理組合の財政状況、修繕積立金の不足などが価格へ影響していることがあります。

価格だけで判断せず、マンション全体の管理状況まで確認することが、後悔しない中古マンション選びにつながります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、築30年のマンションの修繕積立金の目安を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
築30年マンション修繕積立金の相場は?適正額の確認方法を解説

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4-4. フラット35で中古住宅を買う場合の築年数条件

フラット35(正式名称:【フラット35】)は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年の長期固定金利型住宅ローンです。

中古住宅を購入する際、フラット35は一般的な住宅ローンと大きく異なる点があります。それは、返済期間を決める際に「残存耐用年数」を基準としていないことです。

4-1.住宅ローンの返済期間と築年数の関係」で説明したように、多くの民間金融機関では、残存耐用年数を参考にして返済期間を決める場合があります。そのため、築年数が古い住宅では35年などの長期ローンを組みにくくなるケースがあります。

一方、フラット35では、残存耐用年数だけで利用の可否や返済期間を判断しません。

フラット35で中古住宅を利用できるかどうかは、「適合証明検査」と呼ばれる物件検査で、住宅が技術基準を満たしているかどうかによって判断されます。この物件検査では、主に次のような項目を確認します。

  • 耐震性
  • 建物の劣化状況
  • 住戸面積(戸建ては70㎡以上、マンションは30㎡以上)
  • 接道状況 など

これらの技術基準を満たしていれば、築年数が古い中古住宅でもフラット35を利用できる可能性があります。

たとえば、旧耐震基準の住宅であっても、耐震改修工事などによって技術基準を満たしていると判断されれば、フラット35を利用できるケースがあります。

ただし、築年数が古くなるほど建物の劣化が進んでいる可能性が高くなるため、物件検査で不適合と判断されるリスクは高くなります。そのため、「旧耐震基準の住宅でも必ずフラット35を利用できる」というわけではありません。

もう一つ混同しやすいのが、「フラット35」と「フラット35S」の違いです。

フラット35Sは、省エネ性や耐震性など、一定の性能基準を満たした住宅を取得する場合に、一定期間金利が引き下げられる制度です。省エネ基準への適合が必要になるのは、このフラット35Sを利用する場合です。

一方、通常のフラット35では、省エネ基準への適合は基本的な利用条件ではありません。

そのため、「フラット35を利用するには省エネ基準を満たさなければならない」という情報を見かけることがありますが、それはフラット35Sの条件と混同しているケースが多いといえます。

住宅金融支援機構の2024年度の調査によると、フラット35を利用した中古住宅の平均築年数は、中古戸建てが築23.3年、中古マンションが築30.3年となっています。

この結果からも、フラット35は築年数だけで利用の可否を判断する制度ではなく、幅広い築年数の中古住宅で利用されていることがわかります(出典:住宅金融支援機構 2024年度フラット35利用者調査)。

表⑤ 住宅ローン控除とフラット35の中古住宅への適用条件比較
制度名 築年数に関する条件 判定基準の主な内容 必要書類(主なもの) 返済期間の上限 省エネ要件の有無 主な注意点
住宅ローン控除 1982年1月1日以降建築(登記上の新築年月日が基準) 建築年・省エネ基準適合の有無 省エネ基準適合の場合:住宅省エネルギー性能証明書等。旧耐震の場合:耐震基準適合証明書等 制度上の規定なし(金融機関が設定) あり(借入限度額に影響) 建築年が1981年以前は耐震基準適合証明書等が必要
フラット35 築年数による一律制限なし 現況の物件検査(耐震性・劣化状況・住戸面積・接道等) 適合証明書(登録住宅性能評価機関等が発行) 最長35年(残存耐用年数による制限なし) なし(フラット35S取得時のみ必要) 現況検査で不適合となる場合あり。フラット35Sの金利引き下げには別途省エネ要件が必要

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、フラット35のデメリットと共に、後悔しない住宅ローンの選び方を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
フラット35のデメリットを総点検|後悔しない判断基準

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4-5. 税制・ローンから見た狙い目の築年数

住宅ローンや税制の優遇を重視して中古住宅を選ぶ場合は、築年数だけではなく、建築年や住宅の性能もあわせて確認することが大切です。

まず、住宅ローン控除をできるだけ手続きの負担なく利用したい場合は、「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅」であることが最も重要なポイントです。

登記事項証明書に記載されている新築年月日がこの日以降であれば、原則として耐震基準適合証明書などを追加で取得しなくても、住宅ローン控除の対象になります。

住宅ローン控除の借入限度額を3,000万円まで引き上げたい場合は、省エネ基準適合住宅を選ぶ必要があります。省エネ基準適合住宅とは、断熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上を満たす住宅です。

一般的には築年数が新しい住宅ほど省エネ基準を満たしている可能性が高くなります。ただし、2025年時点では、築10〜15年前後の住宅でも省エネ基準に適合していないケースがあります。

そのため、築年数だけで判断せず、住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書などで、省エネ基準への適合状況を確認することが重要です。

一方、1981年(昭和56年)12月31日以前に建築された住宅でも、住宅ローン控除を利用できる可能性があります。

耐震基準適合証明書など、「4-2.住宅ローン控除の築年数要件は2022年に大きく変わった」で紹介した必要書類を取得できれば、住宅ローン控除の対象となる場合があります。

また、「3.耐震基準から見た築年数の選び方」で説明したように、耐震改修工事を行うことで、これらの書類を取得できるケースもあります。

築年数の古い中古住宅で、民間金融機関の住宅ローンでは返済期間が短くなることを心配している場合は、フラット35も有力な選択肢です。

フラット35は、残存耐用年数を返済期間の判断基準としていません。そのため、物件検査で技術基準を満たしていれば、築年数が古い住宅でも長期固定金利の住宅ローンを利用できる可能性があります。

税制や住宅ローンを重視して中古住宅を選ぶ場合は、「築年数」だけを見るのではなく、「建築年」「省エネ基準への適合状況」「耐震基準への適合状況」もあわせて確認することが、自分に合った住宅を選ぶポイントになります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の売買価格から不動産取得税の目安をシミュレーションできるツールを公開中です。ぜひお試しください。

お役立ちツール
不動産取得税シミュレーション|売買価格から30秒で試算

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5. 目的別・狙い目の築年数まとめ

ここまで、築年数が価格、耐震性、住宅ローン・税制にどのような影響を与えるのかを、それぞれの視点から解説してきました。

ここで重要なのは、「狙い目の築年数」は一つではないということです。価格を重視する方と、耐震性を重視する方では、選ぶべき築年数が異なります。住宅ローン控除やフラット35を活用したい場合も、確認すべきポイントは変わります。

つまり、自分が何を優先するかによって、最適な築年数は変わるということです。

この章では、これまで解説した内容を目的別に整理し、それぞれのケースで狙い目となる築年数や確認したいポイントをまとめます。ご自身の希望に近い項目から確認すると、物件選びの判断基準がわかりやすくなります。

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5-1. なぜネットには「狙い目の築年数」に関するさまざまな情報があるのか

この記事の冒頭でもお伝えしたように、インターネットには「築15年」「築20年」「築25年」「築30年」など、中古住宅の狙い目の築年数に関するさまざまな情報があります。

「どれが正しいのだろう」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。結論からいえば、どれも間違いではありません。なぜなら、それぞれの年数は「重視するポイント」が異なるためです。

たとえば、価格を重視する場合は、建物価格がほぼ下がりきる築20〜35年程度が狙い目と考えられます。耐震性を最優先する場合は、2000年基準が適用された築25年以下の木造住宅が有力な選択肢になります。

住宅ローン控除を重視する場合は、築年数よりも「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅」であることが重要になります。

また、リノベーション(大規模な改修工事)を前提に購入する場合は、物件価格が大きく下がる築30〜40年以上の住宅を選び、リフォームで性能を高めるという考え方もあります。

このように、狙い目の築年数は一つではありません。

価格を優先するのか、耐震性を重視するのか、それとも住宅ローンや税制を有利に利用したいのかによって、最適な築年数は変わります。

つまり、「正しい築年数」を探すのではなく、「自分の目的に合った築年数」を選ぶことが大切です。以下の表⑥、および次項では、目的ごとに狙い目となる築年数を整理して解説します。

表⑥ 目的別・狙い目の築年数一覧
購入目的 推奨築年数の目安 主な理由 注意点
価格を抑えたい(戸建て) 築20〜35年 建物評価がゼロに近づき取引価格が下がりやすい リフォーム費用を含めた総費用で比較が必要
価格を抑えたい(マンション) 築26〜30年 大規模修繕費増大が顕在化する前の値ごろ感の時期 修繕積立金の残高・大規模修繕計画の確認が必須
耐震性を重視したい 築25年以下(2000年基準) 地盤調査・接合部金物・耐力壁バランスの義務化あり 建築確認申請日で確認(竣工年・登記年と異なる場合あり)
住宅ローン控除を使いたい 1982年1月1日以降建築 建築年を問わず原則適用可(旧耐震は書類取得が必要) 省エネ基準の有無で借入限度額が2,000万円・3,000万円で異なる
フラット35を使いたい 築年数による制限なし 残存耐用年数による返済期間制限がないため築古物件でも長期ローンを組みやすい 現況の物件検査(適合証明検査)に適合することが条件
リノベーション前提 築30〜40年超 取引価格が低く、リノベーション費用を含めた総額でも割安になりやすい 構造躯体の状態確認が最重要。旧耐震の場合は耐震改修費も考慮が必要
目的別・中古住宅の狙い目築年数診断フローチャート(価格・耐震・住宅ローン控除・フラット35・リノベ対応)

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5-2. 価格を最優先する場合の狙い目

購入価格をできるだけ抑えたい場合は、築年数による価格の下がり方を理解しておくことが大切です。ただし、戸建てとマンションでは価格が下がる仕組みが異なるため、同じ築年数でも狙い目は変わります。

中古戸建てでは、建物の価値が築年数とともに下がっていきます。一方で、土地の価値は立地条件によって決まるため、築年数が古くなっても大きく下がらないケースが一般的です。

そのため、建物価格がほぼ下がりきる築20〜35年前後になると、価格面で魅力のある物件が増えてきます。

一方、中古マンションは土地の持分が小さいため、建物の価値の変化が価格に反映されやすい特徴があります。さらに、築30年前後になると、大規模修繕や設備更新、修繕積立金の増額などが意識され始めるため、価格が大きく下がるケースも少なくありません。

ただし、価格が安いという理由だけで築年数の古い物件を選ぶことはおすすめできません。

戸建てではリフォーム費用、マンションでは修繕積立金や管理状況など、購入後にまとまった費用が必要になる可能性があるためです。価格を重視して中古住宅を選ぶ場合は、購入価格だけではなく、購入後に必要となる費用も含めた総額で比較する必要があります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅のお得な購入方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
中古住宅のお得な買い方|相場・交渉・税制で差がつく節約の全技術

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戸建て:築20〜35年が価格割安圏

価格を最優先して中古戸建てを選ぶ場合は、築20〜35年程度が狙い目の目安になります。

2.築年数別・中古住宅の実際の取引価格」で説明したように、木造住宅では築20〜25年を超えると、建物価格はほぼ評価されなくなるという市場慣行があります。

そのため、この時期を境に、取引価格の下落は緩やかになる傾向があります。

2025年の東京都の実取引データでも、中古戸建ての価格中央値は、築21〜25年が4,900万円、築26〜30年が4,200万円となっています。その後も、築31〜35年は3,700万円、築36〜40年は3,400万円と下落していますが、下落幅は徐々に小さくなっています。

ただし、「購入価格が安い=お得な物件」とは限りません。

築20年を超える戸建てでは、給排水設備の更新や外壁・屋根の補修、断熱性能の改善など、大規模なリフォームが必要になるケースがあります。

そのため、物件価格だけで判断するのではなく、リフォーム費用も含めた総額で比較することが重要です。「購入価格+想定されるリフォーム費用」と、「同じエリアにある築年数が新しい物件の価格」を比較することで、本当にコストパフォーマンスの高い物件かどうかを判断しやすくなります。

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マンション:築26〜30年が値ごろ感の出る時期

中古マンションでは、「2.築年数別・中古住宅の実際の取引価格」で説明したように、築31〜35年で価格が大きく下がる傾向があります。

この価格差は、旧耐震基準のマンションが増えることが原因ではありません。主な要因は、大規模修繕費用の増加や修繕積立金の不足、管理組合の財政状況など、維持管理に関するリスクが意識され始めることです。

そのため、この価格差が生じる直前にあたる築26〜30年は、価格と建物の状態のバランスが取りやすい時期と考えられます。

この時期のマンションは、大規模修繕が1〜2回程度実施されているケースが多く、設備も比較的良好な状態を維持している物件が少なくありません。

ただし、築26〜30年のマンションでも安心とはいえません。修繕積立金が不足していたり、長期修繕計画に問題があったりすると、購入後に修繕積立金の値上げや一時金の負担が発生する可能性があります。

中古マンションを購入する際は、修繕積立金の残高、直近の大規模修繕の実施状況、次回の修繕予定、長期修繕計画の内容などを確認したうえで判断する必要があります。

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5-3. 耐震性を最優先する場合の狙い目

耐震性を最優先して中古住宅を選ぶ場合は、2000年基準が適用された木造住宅を第一候補にすることをおすすめします。2026年時点では、おおむね築25年以下の木造住宅がこれに該当します。

3.耐震基準から見た築年数の選び方」で説明したように、2000年基準では、地盤調査の実施、接合部に使用する金物の仕様、耐力壁の配置バランスなどが義務化されています。そのため、木造住宅の耐震基準としては、現在もっとも信頼性が高い水準と考えられています。

次におすすめなのが、新耐震基準が適用された住宅です。2026年時点では、おおむね築26〜44年の住宅が該当します。

新耐震基準は、旧耐震基準と比べて耐震性能が大きく向上しています。ただし、木造住宅では接合部に関する基準が現在ほど厳しくなかったため、購入前に耐震診断を受けることをおすすめします。

耐震診断の費用は、おおむね10万円〜40万円が目安です。旧耐震基準の木造住宅を対象として、多くの自治体が補助制度を設けていますが、新耐震基準の住宅は補助の対象外となることもあるため、利用できる制度は事前に確認しておきましょう。

旧耐震基準に該当する築45年以上の住宅は、慎重に検討する必要があります。耐震診断を実施したうえで、必要に応じて耐震改修工事を行い、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかを確認してから購入を判断することが基本です。

いずれの築年数でも共通していえるのは、「築年数だけで耐震性を判断しないこと」が重要だという点です。

耐震基準を確認する際は、建物が完成した年ではなく、建築確認申請日を確認する必要があります。登記事項証明書に記載されている新築年月日や竣工年だけを見て、「新耐震基準の住宅だ」と判断すると誤る可能性があります。

中古住宅の耐震性を確認する際は、まず建築確認申請日を確認し、どの耐震基準が適用されている住宅なのかを把握しなければなりません。

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5-4. 住宅ローン控除・フラット35を活用したい場合の狙い目

住宅ローン控除やフラット35を重視して中古住宅を選ぶ場合は、築年数だけではなく、建築年や住宅の性能もあわせて確認することが大切です。

住宅ローン控除を追加書類なしで利用したい場合は、「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅」を選ぶことが最も確実な方法となります。

登記事項証明書に記載されている新築年月日が1982年1月1日以降であれば、原則として耐震基準適合証明書などを取得しなくても住宅ローン控除を利用できます。2026年時点では、この条件を満たす住宅は、おおむね築44年以下に該当します。

住宅ローン控除の借入限度額を3,000万円まで利用したい場合は、省エネ基準適合住宅を選ぶ必要があります。省エネ基準適合住宅であれば、年間最大21万円の控除を受けられます。

一方、省エネ基準を満たしていない中古住宅では、借入限度額は2,000万円となり、年間の控除額は最大14万円です。一般的には築年数が新しい住宅ほど省エネ基準に適合している可能性が高くなります。

ただし、築10年前後の住宅でも、省エネ基準を満たしていないケースがあります。

そのため、住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書などで、物件ごとに確認することが重要です。

1981年(昭和56年)12月31日以前に建築された住宅でも、住宅ローン控除を利用できる可能性があります。

耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書のいずれかを取得できれば、旧耐震基準の住宅でも住宅ローン控除の対象になる場合があります。

また、築年数の古い中古住宅で、民間金融機関では希望する返済期間の住宅ローンを組みにくい場合は、フラット35も有力な選択肢です。

フラット35は、残存耐用年数を返済期間の判断基準としていません。適合証明検査に合格すれば、築年数が古い住宅でも最長35年の長期固定金利で住宅ローンを利用できる可能性があります。

住宅金融支援機構の2024年度調査では、フラット35を利用した中古住宅の平均築年数は、中古戸建てが築23.3年、中古マンションが築30.3年となっています。

この結果からも、フラット35は築年数だけで利用の可否を判断する制度ではなく、幅広い築年数の中古住宅で活用されていることがわかります。

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5-5. リノベーション前提で購入する場合の狙い目

リノベーション(既存の建物を大規模に改修・改造すること)を前提に中古住宅を購入する場合は、価格が大きく下がる築30〜40年以上の物件が有力な候補になります。

物件価格を抑えられるため、リノベーション費用を加えても、新しい中古住宅より総費用が安くなるケースがあります。

ただし、リノベーションの費用は工事の内容によって大きく変わります。住宅リフォーム推進協議会の「2024年度住宅リフォームに関する消費者実態調査」によると、一戸建てのリフォーム費用の平均は約506万円です。

内装や設備、間取りまで全面的に改修するフルリフォームでは、坪40万〜80万円程度が目安とされています。一般的な25〜30坪の木造一戸建てでは、工事費用が1,000万円を超えるケースも少なくありません。

さらに、外壁や屋根の更新、窓サッシの交換まで行うスケルトンリノベーション(建物の骨格だけを残して全面改修すること)では、2,000万円以上かかることもあります。

リノベーションを前提に中古住宅を購入する場合は、「リフォーム済み物件」と「未リフォーム物件」のどちらを選ぶかも重要なポイントです。リフォーム済み物件は、そのまま入居しやすいというメリットがあります。

一方で、リフォーム費用が販売価格に含まれていることが多く、どの部分をどのように工事したのかがわかりにくいケースもあります。

未リフォーム物件であれば、自分の希望に合わせて工事内容を決められます。工事の優先順位や予算を自分で調整できるため、総費用を抑えやすいこともメリットです。

また、旧耐震基準の住宅をリノベーションする場合は、内装よりも建物の構造を優先して確認することが重要です。特に、柱や梁、基礎などの構造躯体(建物の骨格となる構造部材)に問題がないかを確認しましょう。

屋根や外壁の劣化、雨漏り、シロアリ被害などがある場合は、見た目がきれいでも大きな修繕費用が必要になる可能性があります。

必要に応じて耐震改修工事も計画に組み込むことで、安全性を確保しながらリノベーションを進めることができます。

リノベーション前提で中古住宅を選ぶ場合は、価格の安さだけで判断せず「購入価格+リノベーション費用」の総額と、建物の状態をあわせて比較してください。

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6. 中古住宅の築年数別・購入前チェックリスト

ここまで、価格、耐震性、住宅ローン、税制という4つの視点から、中古住宅の築年数について解説してきました。しかし、これらの条件を満たしていても、「この物件を安心して購入できるか」は、実際の建物の状態を確認しなければ判断できません。

同じ築年数でも、適切にメンテナンスされてきた住宅と、長期間手入れがされていない住宅では、状態に大きな差があります。そのため、築年数だけで購入を決めるのではなく、現地で建物を確認し、必要な書類にも目を通すことが大切です。

この章では、内覧時に自分で確認したいポイントと、専門家へ依頼したほうがよい調査、購入前に確認しておきたい書類について整理します。

戸建てとマンションでは確認すべき項目が異なるため、それぞれ分けて解説します。

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6-1. 内覧時に自分で確認できるポイント

内覧は、部屋の広さや間取り、内装のデザインを確認するだけの場ではありません。建物の状態を自分の目で確認し、安心して購入できる住宅かどうかを判断する大切な機会でもあります。

築年数が古くなるほど確認したい項目は増えますが、不動産の専門知識がなくても確認できるポイントは数多くあります。

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一戸建てのチェックポイント(構造・躯体・設備)

一戸建ての内覧では、内装のきれいさよりも、建物の構造躯体(柱・梁・基礎など建物を支える骨格)の状態を優先して確認しましょう。

壁紙や床材などの内装は、リフォームで比較的簡単に交換できます。一方、構造に関わる部分の不具合は修繕費が高額になりやすいため、購入前に確認することが重要です。

まず確認したいのが、床の状態です。室内を歩いたときに床が傾いていたり、きしんだり、ふかふかと沈むような感覚がある場合は、床下の構造材(根太や大引きなど)の劣化や、シロアリ被害、木材の腐朽が進んでいる可能性があります。

続いて、建物の外周から基礎を確認します。

基礎にひび割れがある場合は、その大きさや方向にも注意してください。特に、幅0.3mm以上の横方向のひび割れや、基礎を貫通しているひび割れは、建物の構造に影響する可能性があります。

外壁も重要な確認ポイントです。

外壁のコーキング(外壁材のつなぎ目を埋めるゴム状の材料)がひび割れていたり、剝がれていたりすると、雨水が建物内部へ入り込む原因になることがあります。

また、軒裏(屋根が外壁より張り出した部分の裏側)にシミや変色がある場合は、雨漏りが発生している可能性があります。雨漏りを長期間放置すると、柱や梁が腐食し、建物の強度が低下することもあるため、軒裏は忘れずに確認しましょう。

水回りでは、キッチン、浴室、洗面台、トイレの排水状況と臭いを確認します。排水が極端に遅かったり、異臭がしたりする場合は、給排水管の詰まりや老朽化が進んでいる可能性があります。

あわせて、ドアや窓サッシがスムーズに開閉できるかも確認してください。開閉しにくい場合は、建物のゆがみや不同沈下などが影響していることがあります。

フルリノベーションを予定している場合は、壁紙や床材などの内装を過度に気にする必要はありません。その代わり、屋根、外壁、基礎など、建物の構造に関わる部分は重点的に確認しましょう。

これらに大きな不具合があると、リノベーション費用とは別に多額の修繕費が必要になる可能性があります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の値引き交渉術を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
中古住宅の値引き交渉術|マンション・戸建別の相場と失敗しないコツ

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マンションのチェックポイント(専有部・共用部・管理状況)

マンションの内覧では、自分が購入する専有部(部屋の内側)だけを確認すればよいわけではありません。共用部(廊下・エレベーター・駐車場など)の状態や、マンション全体の管理状況も、購入後の住みやすさや資産価値に大きく影響します。

専有部では、天井や壁のクロス(壁紙)の浮きやシミ、水回り周辺の床の変色やふかふか感がないかを確認しましょう。天井のシミは上階からの漏水、水回り付近の床が柔らかい場合は、防水性能の低下や水漏れが原因となっている可能性があります。

共用部の状態も忘れずに確認してください。廊下やエレベーターホール、自転車置き場、ゴミ置き場などが清潔に保たれているマンションは、日頃から適切に管理されている可能性が高いと考えられます。

エレベーターの点検記録も確認できれば安心です。定期的に点検が行われているかどうかは、管理体制を判断する一つの目安になります。

管理状況では、大規模修繕工事の履歴と修繕積立金の状況を必ず確認しましょう。直近の大規模修繕工事の実施時期や次回の予定、修繕積立金の月額、積立金の残高などは、不動産会社を通じて確認できます。

購入後すぐに大規模修繕工事が予定されていたり、修繕積立金が不足していたりすると、多額の一時金を負担しなければならない場合があります。

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築古マンション特有のリスク(建替え問題)

築40年以上のマンションを購入する場合は、建物の老朽化だけでなく、将来の建替えについても確認しておきましょう。

マンションは、一戸建てのように所有者が単独で建て替えを決めることはできません。区分所有法の第62条では、マンションを建て替えるために、区分所有者(各住戸の所有者)の5分の4以上の賛成が必要と定められています。

大規模なマンションほど、多くの所有者の合意を得ることが難しく、老朽化が進んでも建替えが実現しないケースがあります。

建替えが進まない場合は、設備の更新が難しくなったり、管理状態が悪化したりすることがあります。その結果、資産価値が下がり、将来売却しにくくなる可能性もあります。

相場より大幅に安い築古マンションを見つけた場合は、建替えの課題や、管理組合の財政状況が価格に影響していることも考えられます。

購入を検討するときは、管理組合の総会議事録や長期修繕計画を確認し、建替えや大規模修繕についてどのような話し合いが行われているかを確認しておくと安心です。

表⑦ 築年数別・購入前チェック優先度リスト(一戸建て・マンション別)
確認項目 築20年未満 築20〜30年 築30〜40年 築40年超 備考
床の傾き・きしみ・ふかふか感 戸建て優先。シロアリ・腐朽のサイン
基礎のひび割れ 戸建て。横ひび・貫通ひびに特に注意
外壁コーキングのひび・軒裏のシミ 戸建て。雨漏りのサイン
ドア・サッシの開閉具合 戸建て。建物の歪みの指標
給排水管の流れと臭い 戸建て・マンション共通
天井・壁のシミ・浮き マンション優先。水漏れのサイン
共用部の清潔さ・管理状態 マンション。管理組合の意識の指標
修繕積立金の残高・大規模修繕の予定 マンション。一時金請求リスクの確認
建替え問題・管理組合の議事録 マンション。特に築40年超で重要
中古住宅の内覧チェックポイント図解(一戸建て・マンション別・築年数ごとの確認優先箇所)

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6-2. 専門家に依頼すべきこと

内覧で確認できることには限界があります。床下や天井裏、壁の内部、配管の状態などは、専門的な知識や専用の機材がなければ正確に確認できません。見た目には問題がないように見えても、建物の内部で劣化や不具合が進んでいることもあります。

そのため、中古住宅を購入する際は、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)の利用をおすすめします。ホームインスペクションとは、国の登録を受けた「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が、住宅の状態を調査する制度です。

基礎や外壁など建物を支える重要な部分や、雨漏りにつながる箇所について、目視や計測によって劣化や不具合の有無を確認します。

2018年4月1日に施行された改正宅地建物取引業法では、不動産会社にホームインスペクションに関する説明が義務付けられました。媒介契約を結ぶ際や重要事項説明の際には、ホームインスペクションの制度について説明を受けることになります。

ホームインスペクションの費用は、住宅の種類や調査内容によって異なります。

中古一戸建て(30坪程度)の基本調査では、おおむね5万円〜7万円が目安です。中古マンション(70㎡程度)の専有部調査では、おおむね4万円〜6万円が目安になります。

床下や屋根裏への進入調査など、より詳しい調査を追加する場合は、9万円〜12万円程度かかることもあります。

さらに安心して中古住宅を購入したい場合は、「既存住宅売買瑕疵保険」も検討するとよいでしょう。既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の検査と保証を組み合わせた保険制度です。

住宅瑕疵担保責任保険法人に登録された検査事業者の検査に合格した住宅だけが加入できます。

この保険に加入している住宅では、引渡し後に建物の基本的な性能に関わる欠陥が見つかった場合、補修費用などに対して保険金が支払われます。対象となるのは、構造耐力上主要な部分や、雨水の侵入を防止する部分などです。

築年数の古い中古住宅を購入する場合は、ホームインスペクションとあわせて既存住宅売買瑕疵保険も確認すると、購入後の不安を軽減しやすくなります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の雨漏りの修理費用を誰が負担するか解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
中古住宅の雨漏り修理費用は誰が払う?3つの条件から完全判定

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6-3. 必ず確認すべき書類

中古住宅を購入する前には、建物の状態だけでなく、関係書類も確認しましょう。書類には、建物の構造や修繕履歴、法的な手続きなど、内覧だけではわからない情報が記載されています。建物の状態と書類の内容をあわせて確認することで、購入後のトラブルを防ぎやすくなります。

まず確認したいのが、設計図書(設計図面一式)です。

設計図書には、建物の構造や仕様が記載されています。リノベーションや耐震改修を予定している場合は、工事内容を検討するうえで重要な資料になります。

次に確認したいのが、確認済証と検査済証です。

確認済証とは、建築前に建築基準法の基準を満たしていることを行政が確認した書類です。一方、検査済証とは、建物の完成後に、実際に建築基準法へ適合していることを行政が確認した書類です。

これらの書類が残っていない場合は、過去の増改築が適法に行われたかどうかを確認しにくくなるため、注意が必要です。

修繕履歴やメンテナンス記録も確認しておきましょう。

外壁塗装、屋根補修、給排水管の交換などの記録が残っている住宅は、定期的に維持管理が行われてきた可能性が高くなります。修繕履歴やメンテナンス記録は、今後必要になる修繕費用を予測する際にも役立ちます。

旧耐震基準の住宅を購入する場合は、耐震診断報告書があるかどうかも確認してください。耐震診断を実施していれば、現在の耐震性能や、必要な耐震改修工事の内容を把握しやすくなります。

確認済証や検査済証が見当たらない場合でも、あきらめる必要はありません。建築確認台帳を確認することで、建築確認の日付や内容を調べられる場合があります。建築確認台帳は、市区町村の建築指導担当窓口などで確認できます。

【注意】個人売主から購入する場合の契約不適合責任

個人が売主となる中古住宅では、「契約不適合責任を負わない」という特約が付いていることがあります。契約不適合責任とは、引き渡された住宅に契約内容と異なる欠陥や不具合があった場合に、売主が負う責任のことです。

不動産会社(宅地建物取引業者)が売主の場合は、宅地建物取引業法によって、引渡しから2年以上は契約不適合責任を負う内容より買主に不利な特約を設けることはできません。

一方、個人が売主の場合は、この規制が適用されません。

そのため、「引渡し後の不具合について売主は一切責任を負わない」という免責特約が有効になる場合があります。

このような物件では、引渡し後に雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが見つかっても、売主へ補修や損害賠償を求められない可能性があります。

築年数が古い住宅ほど、個人が売主となるケースは多くなります。そのため、免責特約が付いている場合は、ホームインスペクションを利用し、関係書類も十分に確認したうえで購入を判断することが大切です(出典・参考:不動産ジャパン 不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと)。

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7. よくある質問(FAQ)

ここからは、中古住宅の築年数に関するよくある質問とその答えをまとめます。

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中古住宅は築何年まで住めますか?

法定耐用年数(木造22年)は税務上の基準であり、住める年数を示すものではありません。国土交通省が公表した調査研究によると、木造住宅の平均寿命は65年です。適切なメンテナンスを続ければ、これを大きく上回るケースもあります。

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築30年の中古住宅を買っても大丈夫ですか?

築30年は「新耐震基準(1981年6月以降建築確認)」の範囲内であり、旧耐震基準の建物とは性質が異なります。建物状態・メンテナンス履歴・修繕積立金(マンションの場合)の確認を前提とすれば、購入できるケースは十分にあります。購入前のホームインスペクション受診をご検討ください。

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築年数が古い住宅(1981年以前建築)は住宅ローン控除を使えませんか?

登記事項証明書の新築年月日が1981年(昭和56年)12月31日以前の住宅は、原則として住宅ローン控除の対象外ですが、耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書の写し・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかを取得することで適用できる場合があります。まず建築士や不動産会社に相談することをおすすめします。

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フラット35は築年数の古い中古住宅でも使えますか?

フラット35には築年数による一律の制限はなく、現況の物件検査(適合証明検査)の結果で判断されます。一般の金融機関では残存耐用年数の問題で長期ローンが組みにくい木造築22年超の物件でも、フラット35なら最長35年の長期固定金利ローンを組める場合があります。

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中古マンションを選ぶとき、築年数以外に何を見ればよいですか?

修繕積立金の残高・大規模修繕の直近の実施時期と次回予定・管理組合の議事録の内容が重要です。築40年を超えるマンションでは、区分所有法上の建替え決議(区分所有者の5分の4以上の賛成が必要)が困難なケースも多く、資産価値への影響を事前に確認することをおすすめします。

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8. 中古住宅の築年数に関する5つのポイントと購入前の確認事項

ここまで、中古住宅の築年数と価格、耐震性、住宅ローン、税制、維持管理の関係について解説してきました。この記事でお伝えしたかった最も重要なポイントは、「狙い目の築年数」は一つではないということです。

価格を重視するのか、耐震性を優先するのか、住宅ローン控除やフラット35を活用したいのかによって、選ぶべき築年数は変わります。

また、同じ築年数でも、建物の状態や維持管理の状況によって資産価値や住みやすさには大きな差があります。そのため、築年数だけで購入を判断することはおすすめできません。

最後に、この記事の内容を踏まえて、中古住宅を選ぶ際に押さえておきたい5つのポイントと、購入前に確認したい事項を整理します。本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。

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8-1. この記事で伝えたかった5つのポイント

ポイント①:法定耐用年数は建物の寿命ではない

木造住宅22年、RC造(鉄筋コンクリート造)47年という法定耐用年数は、税務上の減価償却のために定められた年数であり、「建物に住める年数」を示すものではありません。

国土交通省が公表した調査研究では、木造住宅の平均寿命は65年、RC系住宅は68年という結果が示されています。適切なメンテナンスを続ければ、さらに長く住み続けられる住宅も少なくありません。

中古住宅を選ぶ際に重視すべきなのは、築年数だけではなく建物の状態です。「築22年を超えたら価値がなくなる」という考え方は誤解といえます。

ポイント②:耐震基準は「建築確認申請日」で判断する

旧耐震基準・新耐震基準・2000年基準の区分は、「建築確認申請日」を基準に判断します。登記簿に記載されている新築年月日や竣工年とは一致しない場合があります。

たとえば、1981年4月に建築確認申請を行い、1981年11月に完成した建物は、完成した年が1981年でも旧耐震基準の建物です。耐震基準を正しく確認したい場合は、建築確認申請日を確認済証や建築確認台帳で確認しましょう。

ポイント③:住宅ローン控除の築年数要件は2022年に大きく変わった

2021年までの住宅ローン控除では、「木造は築20年以内」「RC造は築25年以内」という築年数の条件がありました。

2022年の制度改正により、「昭和57年(1982年)1月1日以降に建築された住宅」であれば、築年数に関係なく原則として住宅ローン控除を利用できます。

ただし、省エネ基準を満たす住宅かどうかによって借入限度額は2,000万円または3,000万円に分かれます。また、この基準は建築確認申請日ではなく、登記事項証明書に記載された新築年月日で判断する点にも注意が必要です。

ポイント④:狙い目の築年数は目的によって変わる

インターネットで「中古住宅の狙い目は築○○年」という情報が錯綜しているのは、それぞれ重視しているポイントが違うためです。

価格を重視するなら、戸建ては築20〜35年、マンションは築26〜30年が目安になります。耐震性を重視するなら、2000年基準が適用された築25年以下の木造住宅が有力な選択肢です。

住宅ローン控除を重視する場合は1982年以降に建築された住宅かどうかを確認し、築古住宅で長期ローンを利用したい場合はフラット35も選択肢になります。まずは「何を最も優先したいのか」を整理することが、物件選びの第一歩です。

ポイント⑤:築年数だけで購入を判断しない

築年数は物件を比較する際の目安の一つにすぎません。

建物の状態、メンテナンス履歴、マンションの修繕積立金の状況、契約不適合責任の免責特約の有無など、築年数だけでは判断できない要素が購入後の費用や住みやすさに大きく影響します。

同じ築30年の住宅でも、適切に維持管理されてきた住宅と、長期間メンテナンスされていない住宅では、購入後に必要となる修繕費が大きく異なります。

築年数だけに目を向けるのではなく、建物の状態や管理状況を含めて総合的に判断することが、中古住宅選びで最も重要なポイントです。

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8-2. 購入を決める前に確認すべき事項リスト

中古住宅を購入する前には、次の4つの項目を確認しましょう。最後のチェックリストとして活用してください。

書類の確認

  • 建築確認申請日を確認する(竣工年や登記上の新築年月日ではなく、確認済証または建築確認台帳で確認)
  • 確認済証・検査済証が残っているか確認する
  • 修繕履歴やメンテナンス記録が保管されているか確認する
  • 旧耐震基準の建物では、耐震診断報告書の有無を確認する
  • マンションでは、修繕積立金の残高、長期修繕計画、大規模修繕の実施履歴、管理組合の議事録(直近数年分)を確認する

建物状態の確認

  • ホームインスペクション(住宅診断)を利用する(費用の目安は中古一戸建てで5万〜7万円程度、中古マンションで4万〜6万円程度)
  • 既存住宅売買瑕疵保険への加入を検討する(検査に合格した住宅が対象)
  • シロアリ被害、雨漏り、基礎のひび割れなど、建物の構造に関わる部分を確認する
  • マンションでは、共用部の管理状態を確認する
  • 築40年を超えるマンションでは、建替えの検討状況や管理組合の運営状況も確認する

資金計画の確認

  • 購入価格だけでなく、リフォーム費用を含めた総額で比較する
  • 住宅ローンの返済期間が制限される可能性を考え、複数の金融機関へ相談する
  • 住宅ローン控除を利用できるか、省エネ基準への適合状況によって借入限度額が2,000万円または3,000万円になることを確認する
  • 築古住宅を購入する場合は、フラット35を利用できるか確認する

契約内容の確認

  • 個人が売主の場合は、契約不適合責任の免責特約が付いていないか確認する
  • 免責特約が付いている場合は、引渡し後に不具合が見つかっても売主へ補修や損害賠償を請求できない可能性があるため、ホームインスペクションと関係書類の確認を特に丁寧に行う
中古住宅の築年数別・価格・耐震・住宅ローン控除・フラット35・リフォーム割安感の総合比較マトリクス
著者・監修情報
誰でもわかる不動産売買(fudousan-wakaru.net)編集部。不動産の購入・売却・活用に関する情報を、はじめて不動産を検討する方にもわかりやすく伝えることを目的として運営しています。記事の作成にあたっては、国土交通省、一般社団法人 住宅性能評価・表示協会などの公的機関の情報、および極めて信頼性が高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
国土交通省の不動産情報ライブラリ国土交通省 中古住宅流通促進・活用に関する研究会 参考資料国土交通省土地・建設産業局 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について国土交通省 住まいの耐震化国土交通省 令和8年度税制改正概要国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表国税庁 マイホームを持ったとき建築基準法区分所有法日本建築防災協会 耐震改修工事費の目安東日本レインズ 不動産市場動向近畿レインズ 不動産市場動向住宅リフォーム推進協議会の「2024年度住宅リフォームに関する消費者実態調査」住宅金融支援機構 2024年度フラット35利用者調査
注意点
本記事の内容は令和8年6月時点のものです。最新の情報は国土交通省や国税庁などが公開する資料でご確認ください。

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