築10年の中古住宅で後悔しない!価格・費用・税金を徹底解説

築10年の中古住宅で後悔しない!価格・費用・税金を徹底解説

「築10年の中古住宅なら、新築より安く購入できて、建物の状態も比較的良いだろう」――そう考えて購入を検討している方は少なくありません。

実際に、築10年の中古住宅は耐震性・設備の状態・価格のバランスが良く、多くの方に選ばれている築年数です。

一方で、「購入価格だけを見て決めたら、諸費用や修繕費まで含めた総額は新築とほとんど変わらなかった」「引き渡し後すぐに給湯器の交換が必要になり、予想外の出費が発生した」と後悔するケースも少なくありません。

このような後悔が起こる主な理由は、購入前に価格だけでなく、建物のコンディションや税金まで含めた総費用を十分に確認できていなかったことです。

この記事では、国土交通省の2025年の実取引データをもとに、築10年前後の中古住宅の成約価格の相場を地域別に紹介します。

あわせて、固定資産税の仕組みと新築との違い、建物コンディションの確認ポイント、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減措置が適用される条件まで、築10年の中古住宅を購入する前に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること
  • 築10年の中古戸建て・中古マンションの成約価格の相場(東京・大阪・愛知、2025年実取引データ)
  • 固定資産税が新築と築10年でどう違うか(経年減点補正率と新築減額措置の仕組み)
  • 購入後10年間の総費用シミュレーション(諸費用・修繕費・固定資産税を含む)
  • 建物コンディションで後悔しないための確認ポイントとホームインスペクションの活用法
  • 住宅ローン控除・不動産取得税の軽減が受けられるかどうかの判断基準
  • 購入前チェックリスト(物件選び・内見・契約・資金計画の段階別)

本記事をお読みになれば、築10年の中古住宅を購入する前に確認すべきポイントをまとめて把握できます。そして、築10年の中古住宅がご自身に合った選択なのかを判断しやすくなります。

目次

1. 築10年の中古住宅で後悔した人がよく言うこと

築10年の中古住宅は、耐震性・設備の状態・価格のバランスが良く、多くの方に選ばれている築年数です。しかし、実際に購入した人の中には、「こんなはずではなかった」と後悔するケースもあります。

後悔した理由を整理すると、主に次の3つのパターンに分けられます。

  • 購入後に想定以上の費用がかかった
  • 建物の状態が思っていたより悪かった
  • 購入を急ぎすぎて十分に比較・確認しなかった

どの後悔も、購入前に確認すべきポイントを把握していれば避けられる可能性があります。ここからは、それぞれのパターンについて、どのような場面で後悔につながりやすいのかを詳しく解説します。

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1-1. 「費用が想定より大きかった」という後悔

築10年の中古住宅を検討するとき、多くの方は「新築より購入価格が安い」という点に魅力を感じます。実際に、同じエリアの新築と比べると、数百万円から1,000万円以上安く購入できる物件も少なくありません。

一方で、購入価格だけを基準に判断すると、購入後に想定外の費用が重なり、「最終的な支出は新築とほとんど変わらなかった」と後悔するケースがあります。

購入価格以外に必要となる代表的な費用が、仲介手数料・登記費用・住宅ローン関連費用などの諸費用です。中古住宅では、これらの諸費用は購入価格の3〜8%程度が目安とされています。たとえば、3,000万円の物件を購入した場合、諸費用だけで90万円〜240万円程度が別途必要になります。

加えて、築10年の中古住宅では、購入後にメンテナンス費用が発生しやすい点にも注意が必要です。築10年は、外壁や屋根の塗装、給湯器の交換など、さまざまな設備や外装の修繕時期が重なりやすい節目のためです(詳しくは「4.耐震面は安心なのか:1981年・2000年基準で確認する」で解説します)。

購入前には「まだ築10年だから、しばらくは修繕費はかからないだろう」と考えていても、引き渡しから数年以内に外壁塗装で100万円を超える費用が必要になるケースは珍しくありません。

築10年の中古住宅のコストを正しく比較するには、購入価格だけではなく、諸費用・修繕費・固定資産税(毎年かかる税金)まで含めた「総費用」で考えることが大切です。「購入価格が安いこと」と「総費用が安いこと」は必ずしも同じではありません。

この点については、「2.築10年の成約価格はいくら?実取引データで見る相場」と「6.購入後10年間の総費用を試算する:新築との比較で見えること」で具体的な数値を使いながら詳しく解説します。

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1-2. 「建物の状態が思ったより悪かった」という後悔

内覧(物件を実際に見て回ること)では、壁紙や床、キッチンなどの内装は確認できます。一方で、給排水管の劣化・雨漏り・シロアリ被害・基礎のひび割れといった、目に見えない部分の不具合は内覧だけでは判断できません。

そのため、引き渡し後にこうした不具合が見つかり、「もっと詳しく調べてから購入すればよかった」と後悔するケースがあります。

中古住宅の購入後に発生するトラブルの中でも、多いのがこの「隠れた不具合」です。築10年は比較的新しい築年数ですが、前の所有者がどのように建物を維持管理していたかによって状態は大きく異なります。たとえば、給排水管の内部腐食や外壁シーリング(外壁の継ぎ目を埋める防水材)の劣化が進んでいることもあります。

こうした問題を購入前に確認する方法として有効なのが、ホームインスペクション(住宅診断)です。

ホームインスペクションとは、国が認定した講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、住宅の構造上重要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分を、目視や計測などによって調査するものです。

調査費用の目安は、戸建て住宅で6万円程度からが目安とされています(出典:国土交通省 建物状況調査(インスペクション)活用の手引き)。

ホームインスペクションは、依頼するタイミングも重要です。売買契約を締結した後では、調査結果を理由に価格交渉を行ったり、購入を取りやめたりすることが難しくなるためです。

建物の状態による後悔を防ぐためには、「内覧 → ホームインスペクション → 売買契約」の順番で購入手続きを進めなければなりません。この点については、「5.築10年の中古住宅でコンディションの後悔をしないための方法」で詳しく解説します。

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1-3. 「もっと慎重に選べばよかった」という後悔

「気に入った物件が他の人に購入されてしまうかもしれません」――中古住宅を探していると、このような言葉を聞くことがあります。

その結果、十分に検討しないまま契約を決めてしまい、入居後に「日当たりが思っていたより悪かった」「道路の騒音が気になる」「駐車場が使いにくい」といった不満を感じるケースは少なくありません。

こうした後悔が起こる大きな理由の一つは、内覧の回数や時間帯が限られていることです。たとえば、昼間に1回だけ内覧した場合、朝や夕方の日当たりの変化は確認できません。

また、近くに学校がある物件では、登下校の時間帯になると想像以上に人通りや騒音が増えることもあります。このような生活環境は、1回の内覧だけでは気付きにくいポイントです。

一方で、すべての後悔が内覧不足だけで起こるわけではありません。

近年は住宅価格の上昇により、予算内で選べる物件が限られ、希望条件をすべて満たす物件が見つからないケースもあります。そのため、妥協せざるを得ない場面も少なくありません。

このように、複数回の内覧や十分な比較によって防げる後悔と、市場環境が原因で避けにくい後悔は分けて考えることが大切です。その違いを理解することが、築10年の中古住宅を購入するか否か冷静に判断するための第一歩になります。

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1-4. 後悔の多くは「事前の情報不足」が原因

築10年中古住宅で後悔するパターンの3分類と記事内の解決策への案内図

ここまで紹介した3つの後悔には、共通する要因があります。情報不足だけがすべての原因というわけではありませんが、多くのケースでは、購入前に必要な情報を十分に把握できていなかったことが主な要因です。

たとえば、費用に関する後悔は、購入価格だけでなく、諸費用・修繕費・固定資産税まで含めた総費用を事前に試算しておけば、ある程度防ぐことができます。

建物の状態に関する後悔は、売買契約を締結する前にホームインスペクションを実施することで、目に見えない不具合を事前に確認できる可能性が高まります。

また、判断プロセスに関する後悔は、内覧を複数回行い、時間帯を変えて周辺環境を確認したり、チェックリストを準備したりすることで、見落としを減らすことができます。

このように、購入前に「どこを確認するのか」「何を確認するのか」「どの順番で確認するのか」を理解しているかどうかが、購入後の満足度を大きく左右します。

引き続き、価格・固定資産税・建物コンディション・税制について、それぞれ具体的な数値や確認方法を交えながら詳しく解説します。

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2. 築10年の成約価格はいくら?実取引データで見る相場

築10年の中古住宅を購入する際は、「実際にいくらで売買が成立しているのか」を知ることが大切です。相場を把握しておけば、購入を検討している物件の価格が適正かどうかを判断しやすくなります。

不動産会社がチラシや不動産ポータルサイトで公開している売り出し価格は、売主の希望価格です。そのため、値下げ交渉などを経て実際に売買が成立した価格(成約価格)とは異なる場合があります。

この章では、国土交通省の不動産情報ライブラリに登録されている2025年の実取引データをもとに、東京・大阪・愛知の3地域について、築年数帯ごとの成約価格(実際に売買が成立した価格)の中央値を紹介します。

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2-1. 国土交通省のデータで見る築年数別の成約価格

国土交通省は、全国で実際に行われた不動産取引の価格情報を「不動産情報ライブラリ」として公開しています。ここに掲載されている価格は、売り出し価格ではなく、売主と買主が合意した成約価格です。

以下の2つの表は、2025年(第1〜第4四半期)の取引データをもとに、中古戸建てと中古マンションについて、築年数帯ごとの成約価格の中央値を集計したものです。

中央値とは、価格を低い順に並べたとき、ちょうど中央に位置する価格のことです。平均値のように一部の高額物件や低額物件の影響を受けにくいため、その築年数帯における一般的な価格水準を把握しやすいという特徴があります。

表① 築年数帯別 中古戸建て成約価格中央値(東京都・大阪府・愛知県、延床面積80〜130㎡・住宅用途、2025年、国土交通省 不動産情報ライブラリより)
築年数帯 東京都 大阪府 愛知県
築5年以内 5,900万円 4,300万円 3,700万円
築6〜10年 6,100万円 3,200万円 3,300万円
築11〜15年 5,000万円 3,000万円 2,700万円
築16〜20年 4,650万円 2,300万円 2,700万円
築21〜25年 4,300万円 2,200万円 2,300万円
築26〜30年 4,300万円 1,650万円 1,800万円
築31〜40年 3,500万円 1,100万円 1,500万円
築41〜50年 3,900万円 1,100万円 940万円
築51年以上 4,850万円 1,400万円 970万円
表② 築年数帯別 中古マンション成約価格中央値(東京都・大阪府・愛知県、専有面積50〜100㎡、2025年、国土交通省 不動産情報ライブラリより)
築年数帯 東京都 大阪府 愛知県
築5年以内 9,900万円 6,200万円 4,400万円
築6〜10年 9,200万円 5,600万円 3,900万円
築11〜15年 8,100万円 5,000万円 3,600万円
築16〜20年 7,200万円 4,000万円 2,800万円
築21〜25年 6,700万円 3,500万円 2,500万円
築26〜30年 5,300万円 2,500万円 1,800万円
築31〜40年 3,900万円 1,900万円 1,300万円
築41〜50年 3,700万円 1,700万円 940万円
築51年以上 3,300万円 1,300万円 600万円

東京都の価格が大阪府や愛知県より高いのは、土地価格が高い地域であることが主な理由です。

また、東京都の中古戸建てでは、「築5年以内(5,900万円)」より「築6〜10年(6,100万円)」の中央値が高くなっています。これは、築5年以内では都心から離れた郊外の新規分譲住宅の取引が多く含まれており、取引件数も築6〜10年より多いことが影響していると考えられます。

このように、中央値は築年数だけで決まるものではありません。立地や面積、取引された物件の構成によって変動するため、価格を比較するときは「その地域の相場感を把握するための目安」として活用する必要があります(出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(2025年第1〜第4四半期取引データ))。

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2-2. 築10年を境に価格はどれくらい下がるか

次の表は、「築6〜10年」の成約価格中央値を100とした場合に、各築年数帯の価格水準がどの程度になるのかを比較したものです。

表③ 築6〜10年を100とした場合の価格下落率(中古戸建て・中古マンション、東京都・大阪府・愛知県比較、2025年、国土交通省 不動産情報ライブラリより)
築年数帯 戸建て
東京都
戸建て
大阪府
戸建て
愛知県
マンション
東京都
マンション
大阪府
マンション
愛知県
築6〜10年 100 100 100 100 100 100
築11〜15年 82 94 82 88 89 92
築16〜20年 76 72 82 78 71 72
築21〜25年 70 69 70 73 63 64
築26〜30年 70 52 55 58 45 46
築31〜40年 57 34 45 42 34 33
築41〜50年 64 34 28 40 30 24
中古戸建て築年数帯別成約価格中央値の棒グラフ(東京・大阪・愛知比較、2025年国土交通省データ)

表を見ると、戸建て・マンションともに、「築6〜10年」から「築11〜15年」にかけて価格が下がる傾向が見られます。

戸建てでは、東京都で約18%、大阪府で約6%、愛知県で約18%下落しています。一方、マンションでは東京都で約12%、大阪府で約11%、愛知県で約8%下落しています。

このような価格差が生じる背景には、いくつかの要因があると考えられます。たとえば、築10年を超えると外壁・屋根・給湯器などのメンテナンス費用を見込む買い手が増えることなどです。

また、「築10年以内の中古住宅」を希望する購入希望者は多く、築11年になると候補から外れるケースもあります。このような需要の変化も、価格が下がる一因と考えられます。

もちろん、不動産価格は築年数だけで決まるものではありません。立地や建物の状態、周辺環境、市場動向などさまざまな要素が影響するため、ここで紹介した数値は価格の傾向を把握するための目安として活用してください。

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2-3. 東京・大阪・愛知で価格の下がり方が違う理由

先に掲載した表③を見ると、「築6〜10年」から「築11〜15年」にかけての価格下落率は、東京都・大阪府・愛知県で異なっています。この違いが生じる主な理由は、売買価格に占める土地と建物の価格の割合が地域によって異なるためです。

不動産の売買価格は、「土地の価格」と「建物の価格」を合計した金額です。建物は築年数が経過するにつれて価値が下がります(経年劣化による建物の減価)。一方、土地の価格は地価の影響を受けるため、築年数によって価値が下がることはありません。

東京都のように土地価格が高い地域では、売買価格に占める土地の割合が大きくなります。そのため、建物の価値が下がっても土地価格が全体の価格を支えやすく、築年数が経過しても価格の下落は比較的緩やかになります。

これに対し、大阪府や愛知県では、東京都と比べると土地価格が低く、建物価格の占める割合が高くなる傾向があります。その結果、建物の価値が下がる影響が売買価格に反映されやすく、東京都より価格が下がりやすい傾向があります。

たとえば、大阪府の中古戸建てでは、「築31〜40年」の成約価格は「築6〜10年」の34%水準まで下落しています。対して、東京都では57%水準となっており、土地価格の違いが価格の下がり方にも影響していることが分かります。

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2-4. 「購入価格が安い」と「お得」は別物である

ここまでのデータを見ると、「築10年の中古住宅は新築よりかなり安い」と感じる方も多いでしょう。しかし、購入価格だけで判断すると、本当の負担額を見誤ることがあります。

中古住宅では、購入時に仲介手数料(不動産会社へ支払う成功報酬)が必要になるケースが一般的です。一方、新築の建売住宅を売主から直接購入する場合は、原則として仲介手数料はかかりません。たとえば、3,000万円の中古住宅を購入した場合、仲介手数料の上限は約105万6,000円(税込)です。そのため、新築と中古住宅では、購入時の諸費用にも差が生じます。

さらに、中古住宅を購入した後は、修繕費やメンテナンス費、固定資産税(毎年かかる税金)も発生します。その結果、「購入後10年間の総費用」で比較すると、購入価格だけで感じていた割安感が小さくなるケースがあります。

実は、筆者も築10年の戸建てに住んでいます。現在は外壁と屋根の塗装を検討する時期を迎えており、建築費の高騰もあって、数十万円から150万円程度の費用がかかることを想定しています。このように、住宅は購入した後も一定の維持費が必要になるため、購入価格だけで良し悪しを判断することはできません。

築10年の中古住宅を選ぶときは、「購入価格が安い」という点だけではなく、購入後にかかる費用まで含めた総費用で比較することが大切です。

新築と築10年の中古住宅で、購入後10年間の総費用がどのくらい変わるのかは、「6.購入後10年間の総費用を試算する:新築との比較で見えること」で具体的な数値を用いて比較します。

また、築10年の中古住宅の固定資産税については、次の「3.固定資産税はいくらになるか:仕組み・新築との違い・物価高の落とし穴」で詳しく解説します。

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3. 固定資産税はいくらになるか:仕組み・新築との違い・物価高の落とし穴

固定資産税は、土地や建物を所有している人が毎年納める税金です。

「築10年の中古住宅を購入したら、固定資産税はいくらになるのか」「新築と比べて高いのか、それとも安いのか」――このような疑問は、購入後の生活費を見積もるうえで欠かせません。

しかし、固定資産税は仕組みが複雑で、「建物」と「土地」の評価額をもとに税額を計算します。また、近年は建築費の高騰により、本来なら下がるはずの建物評価額が下がらず、それに伴って、築年数が経過しても建物分の固定資産税が変わらないケースも見られます。

この章では、その点も含めて、固定資産税の仕組みを解説します。

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3-1. 固定資産税の建物評価額は「経年減点補正率」で下がる――ただし建築費高騰時は例外がある

建物にかかる固定資産税は、「再建築費」に「経年減点補正率」を掛けて求めた建物評価額をもとに計算されます。

再建築費とは、評価対象となる建物と同じ建物を、評価時点で新築すると仮定した場合に必要となる建築費です。

経年減点補正率とは、建物の築年数が経過することで生じる通常の損耗(傷みや劣化)を反映するための補正率です。築年数が増えるほど数値は小さくなります。

そのため、原則として次のようになります。

  1. 築年数が増える
  2. 経年減点補正率が下がる
  3. 建物評価額が下がる
  4. 建物分の固定資産税が安くなる

経年減点補正率は、木造住宅の場合、建物の用途と「1㎡あたり再建築費評点数」の区分によって異なります。

以下の表は、木造専用住宅のうち、1㎡あたり再建築費評点数が9万5,820点以上14万7,770点未満(一般的な戸建て住宅が多く該当する区分)の経年減点補正率を抜粋したものです。

表④ 木造専用住宅の経年減点補正率(固定資産評価基準 別表第9・1㎡あたり再建築費評点数9万5,820点以上14万7,770点未満の区分より抜粋)
経過年数(築年数) 経年減点補正率
1年 0.80
2年 0.75
3年 0.70
5年 0.65
8年 0.59
10年 0.54
12年 0.50
15年 0.43
20年 0.31
25年以上 0.20

この表を見ると、築10年の木造専用住宅では経年減点補正率は0.54です。つまり、建物評価額は築10年の時点で再建築費のおよそ54%まで下がる計算になります。

たとえば、再建築費が1,500万円の木造住宅であれば、築10年時点の建物評価額は次のようになります。

  • 1,500万円 × 0.54 = 810万円

この810万円に固定資産税の標準税率1.4%を掛けると、建物分の固定資産税は「810万円 × 1.4% = 約11万3,000円」となります(別途、都市計画税が課されることがあります)。

【注意】建物評価額が下がらないケースがある

ここまで読むと、「築年数が増えれば建物評価額は毎年下がる」と思うかもしれません。しかし、実際には例外があります。

その代表例が、建築費が高騰している状況です。再建築費は「現在、同じ建物を建てた場合に必要な建築費」であるため、建築資材費や労務費が上昇すると再建築費も高くなります。

建築費の上昇幅が経年減点補正率による減価を上回ると、新たに計算した建物評価額が前年度の建物評価額を上回ることがあります。この場合は評価額を引き上げず、前年度の建物評価額をそのまま適用する仕組みになっています。

その結果、築年数が増えていても建物評価額が下がらず、建物分の固定資産税も下がらないというケースが生じます。

近年はまさにこの状況で、建築資材費や労務費の上昇が続き、「築年数が増えているにもかかわらず建物評価額、および建物の固定資産税が下がらない」といったケースが多発しています。

築10年の中古住宅を購入する際は、「築年数が経過しているため、固定資産税はずいぶん下がっているだろう」と考えず、不動産会社や市区町村の窓口で実際の税額を確認することをおすすめします。

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3-2. 土地の固定資産税は築年数に関係しない・住宅用地の特例に注目

土地の評価額は、その土地がある地域の地価をもとに算出されます。

建物のように「築年数が増えるほど評価額が下がる」という仕組みはなく、土地の評価額は築年数とは関係ありません。そのため、地価が上昇している地域では土地の評価額が上がり、土地分の固定資産税が高くなる可能性があります。

一方、住宅が建っている土地(住宅用地)には、課税標準額(税額を計算するための基礎となる金額)を引き下げる「住宅用地の特例」があります。

住宅用地の特例とは、住宅の敷地として利用されている土地の税負担を軽減する制度です。この特例には、敷地面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2つの区分があり、それぞれ軽減割合が異なります。

小規模住宅用地とは、住宅用地のうち200㎡以下の部分です。この部分は、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1まで軽減されます。

たとえば、敷地面積が200㎡以下で、土地の固定資産税評価額が3,000万円の場合、課税標準額は次のようになります。

  • 3,000万円 × 1/6 = 500万円

この500万円に固定資産税の標準税率である1.4%を掛けると、「500万円×1.4%=7万円」となり、土地の税額は7万円になります。

住宅用地の特例が適用されなければ、3,000万円に1.4%を掛けることとなり、固定資産税は42万円にもなります。このように、住宅用地の特例によって、土地分の固定資産税は大幅に軽減されます。

これに対し、一般住宅用地とは、住宅用地のうち200㎡を超える部分です。この部分は、課税標準額が固定資産税評価額の3分の1まで軽減されます。小規模住宅用地ほど軽減割合は大きくありませんが、税負担を抑える効果があります。

具体的には、敷地面積が300㎡の一戸建て住宅(固定資産税評価額が㎡あたり一律と仮定)の場合、200㎡までは小規模住宅用地として課税標準額が6分の1になり、残りの100㎡は一般住宅用地として課税標準額が3分の1になります。つまり、1つの敷地でも、面積に応じて2つの特例が組み合わさって適用されます。

土地分の固定資産税が「思ったより安い」と感じる方が多いのは、この住宅用地の特例が適用されているためです。

また、住宅用地の特例は築年数とは関係なく適用されます。このため、築10年の中古住宅でも新築住宅でも、住宅用地として利用されており、敷地面積などの要件を満たしていれば、同じ軽減措置を受けられます。

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3-3. 「新築の固定資産税が安い」のは最初の3年間だけ

「新築は固定資産税が安い」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、この表現は正確ではありません。

正しくは、「新築住宅は最初の3年間だけ建物分の固定資産税が2分の1に軽減される」ということです。

新築住宅には、新たに固定資産税が課税されることになった年度から3年度分(3階建以上の中高層耐火住宅等は5年度分)に限り、建物分の固定資産税が2分の1に軽減される特例があります。

たとえば、2,500万円の住宅を新築した場合、特例が適用されなければ建物分の固定資産税は年間約18万2,000円です。一方、特例が適用されると年間約9万1,000円となり、3年間の負担軽減額は合計約27万円になります。

この特例は3年間(中高層耐火住宅等は5年間)が終了すると適用されません。築4年目(中高層耐火住宅等は6年目)からは本来の税額に戻るため、前年より固定資産税が大きく増えます。「急に固定資産税が高くなった」と感じる方が多いのは、この特例が終了するためです。

築10年の中古住宅を購入した場合は、この新築減額特例がすでに終了しています。そのため、購入した年から本来の税額が適用されます。

通常であれば、新築減額特例が終了した後は、「3-1.固定資産税の建物評価額は「経年減点補正率」で下がる――ただし建築費高騰時は例外がある」で説明したとおり、経年減点補正率によって建物評価額が少しずつ下がるため、建物分の固定資産税も緩やかに下がります。

このため、特例終了後の新築住宅と比べると、築10年の中古住宅のほうが建物評価額は低く、建物分の固定資産税も安くなりやすいと考えられます。

他方、近年のように建築費が高騰している局面では、建物評価額が前年度の評価額に据え置かれるケースがあります。このような場合は、築年数が増えても建物評価額が下がらず、建物分の固定資産税も思ったほど下がらないことがあります。

したがって、「築10年の中古住宅なら建物分の固定資産税は必ず新築より安い」とは言えません。購入前には、不動産会社などで実際の固定資産税額を確認することが大切です。

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3-4. 新築と築10年で固定資産税はどれくらい違うか

ここまで説明した内容をもとに、新築住宅と築10年の中古住宅で建物分の固定資産税がどのくらい変わるのかをシミュレーションしてみましょう。

なお、以下のシミュレーションは、「建築費が安定しており、建物評価額が経年減点補正率どおりに下がる」という前提で計算しています。

3-1.固定資産税の建物評価額は「経年減点補正率」で下がる――ただし建築費高騰時は例外がある」で説明したとおり、建築費高騰が続く局面では建物評価額が据え置かれる場合があるため、実際の税額はここで示す金額より高くなることがあります。あくまでも固定資産税の仕組みを理解するための目安としてご覧ください。

ここでは、木造戸建て住宅(再建築費1,500万円、延床面積100㎡、土地は200㎡以下の小規模住宅用地)を例に、新築1年目・新築4年目・築10年の3つの時点の税額を比較します。

新築1〜3年目(新築減額特例あり)

再建築費1,500万円に、1年目の経年減点補正率0.80を掛けると、建物評価額は1,200万円です。

本来の建物分の固定資産税は、1,200万円 × 1.4% = 約16万8,000円ですが、新築減額特例が適用されるため、実際の納税額は半額の約8万4,000円になります。

ちなみに、新築1年目の建物分固定資産税は約8万4,000円で、2〜3年目は経年減点補正率に応じてこれよりわずかに下がります(いずれも新築減額特例により本来の税額の2分の1に軽減されます)。

新築4年目(新築減額特例終了後)

4年目の経年減点補正率は0.68(表④の3年目0.70と5年目0.65の間を直線補間した推定値)のため、建物評価額は1,500万円 × 0.68 = 1,020万円です。

この時点では新築減額特例が終了しているため、建物分の固定資産税は1,020万円 × 1.4% = 約14万3,000円になります。

新築1〜3年目の約8万4,000円と比べると、年間の固定資産税は約6万円増える計算です。「急に固定資産税が高くなった」と感じる方が多いのは、このタイミングです。

築10年(中古住宅として購入した場合)

築10年の経年減点補正率は0.54のため、建物評価額は1,500万円 × 0.54 = 810万円です。

新築減額特例はすでに終了しているため、建物分の固定資産税は810万円 × 1.4% = 約11万3,000円となり、購入初年度からこの税額が適用されます。

表⑤ 再建築費1,500万円・木造戸建て・延床面積100㎡を想定した固定資産税(建物分)の比較(標準税率1.4%)
時点 建物評価額 建物分固定資産税 備考
新築1〜3年目 約1,200万円 約8万4,000円 新築減額特例(2分の1)適用
新築4年目 約1,020万円 約14万3,000円 特例終了・本来の税額
築10年(中古住宅として購入) 約810万円 約11万3,000円 特例なし・購入初年度から適用

このシミュレーションから分かるように、新築減額特例が適用されている新築1〜3年目は、新築住宅のほうが建物分の固定資産税は安くなります。

一方、新築減額特例が終了した新築4年目と築10年の中古住宅を比べると、建物評価額が下がっている築10年の中古住宅のほうが、建物分の固定資産税は約3万円低くなります。

ただし、建築費高騰が続く局面では建物評価額が据え置かれることがあります。その場合は、築10年の中古住宅でも建物分の固定資産税がシミュレーションほど下がらず、新築4年目との差が小さくなる可能性があります。

購入を検討している物件の固定資産税額は、売主や仲介会社に直近の納税通知書を見せてもらうことで把握できます。購入前に実際の税額を確認しておくことが、無理のない資金計画を立てるうえで重要です。

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4. 耐震面は安心なのか:1981年・2000年基準で確認する

築10年の中古住宅の購入を検討する際、「地震に耐えられる建物なのか」と不安を感じる方は少なくありません。

日本では、大きな地震が発生するたびに、その被害を踏まえて耐震基準(建物が地震に耐えられる構造であるかを定めた法律上の基準)が見直されてきました。特に重要な節目となるのが、1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)の2回の改正です。

築10年の中古住宅は、これら2つの改正後に建てられた建物に該当するため、耐震基準の面では比較的安心できる物件が多いと考えられます。ただし、耐震性は築年数だけで判断できるものではありません。建物の構造や施工状況、増改築の有無などによっても異なります。

この章では、1981年と2000年の耐震基準がどのように変わったのかを説明したうえで、築10年の中古住宅の耐震性について解説します。

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4-1. 1981年・2000年の2度の耐震基準改正を押さえる

中古住宅の耐震性を判断するうえで、まず知っておきたいのが、1981年と2000年に行われた2度の耐震基準改正です。

1981年(昭和56年)6月1日には、「新耐震基準」が施行されました。新耐震基準とは、震度6強から7程度の大地震が発生しても、建物が倒壊しないことを目標とした基準です。

それ以前の「旧耐震基準」は、震度5程度の地震を想定した内容だったため、新耐震基準では耐震性能が大きく引き上げられました。

ここで重要なのは、新耐震基準が適用されるかどうかは、「建築確認申請日」が1981年6月1日以降かどうかで判断されることです。

建築確認申請とは、建物を建てる前に、その設計が建築基準法に適合しているかどうかについて、行政または指定確認検査機関の確認を受ける手続きです。建物が完成した日(新築年月日)ではなく、建築確認申請日が基準となる点に注意してください。

続いて、2000年(平成12年)には、木造住宅の耐震基準がさらに強化されました。

具体的には、地震の揺れに耐える壁(耐力壁)の配置バランス、建物を支える基礎の仕様、柱と梁などを固定する接合金物の基準が見直されています。

この改正のきっかけとなったのが、1995年に発生した阪神・淡路大震災です。調査の結果、新耐震基準を満たしていた木造住宅でも、耐力壁の配置に偏りがあった建物や、接合金物が十分でなかった建物では大きな被害が発生していました。

この教訓を踏まえ、2000年の改正では、木造住宅の耐震性能をさらに高めるための規定が追加されました。

築10年の中古住宅は、2025年時点では2015年前後に建築された建物にあたります。そのため、1981年の新耐震基準と、2000年の木造住宅に関する基準強化の両方に対応した状態で建築されています。耐震基準という観点では、比較的安心できる建物が多いと考えられます。

ただし、この安心感は「設計どおりに施工されていること」が前提です。

【注意】施工不良があると耐震性能が十分に発揮されないことがある

耐震基準を満たした設計であっても、施工が設計図どおりに行われていなければ、本来の耐震性能を発揮できない可能性があります。

施工の良し悪しを完全に確認することは難しいものの、後述するホームインスペクション(住宅診断)を利用すれば、構造上の不具合がないかを一定程度確認できます。築10年という築年数だけで安心せず、建物の状態もあわせて確認することが大切です(出典・参考:国土交通省 既存住宅状況調査、既存住宅瑕疵保険関係資料)。

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4-2. 築10年は「第1回メンテナンス判断時期」に当たる

戸建て住宅の築年数別メンテナンス時期と費用スケジュール一覧タイムライン図

築10年の中古住宅は、耐震基準の面では比較的安心できる一方で、住宅の各部位について最初のメンテナンスを検討する時期を迎えます。

たとえば、屋根や外壁の塗装、給湯器やエアコンなどの住宅設備は、築10年前後から点検や交換を検討するケースが多くなります。複数の部位でメンテナンスの時期が重なることも珍しくありません。

そのため、耐震性に問題がないからといって、「まだ築10年だから当面は安心」と考えるのは注意が必要です。

耐震性の確認とメンテナンスの必要性は、別々に考えなければなりません。耐震性は建物の構造躯体(柱・梁・基礎など)の安全性に関するものです。一方、メンテナンスは外壁・屋根・シーリング・住宅設備など、年数の経過とともに自然に劣化する部分への対応を指します。

筆者も築10年の戸建て住宅に住んでいますが、耐震性に不安を感じることはありません。ただし、外壁や屋根の汚れが目立つようになり、塗り替えを検討する時期を迎えています。建築費が高騰していることもあり、工事を依頼するタイミングには悩んでいますが、「築10年はメンテナンスの節目になる」ということを身をもって感じています。

築10年の中古戸建てを購入する場合は、外壁や屋根の塗装費用をあらかじめ資金計画に組み込んでおくと安心です。また、すでに塗装工事が完了している物件を選べば、購入後しばらくは大きなメンテナンス費用を抑えられる可能性があります。

これに対し、築10年の中古マンションでは、専有部分だけでなく、マンション全体の大規模修繕計画も確認しておくことが大切です。大規模修繕工事にあわせて一時金の徴収が予定されていないか、購入前に管理組合の資料などで確認しておきましょう。

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4-3. 外壁・屋根:費用が大きい項目から確認する

表⑥ 築10年戸建てで想定される主なメンテナンス項目・推奨時期・費用目安一覧
メンテナンス項目 推奨実施時期(築年数) 費用目安 築10年時点での状況
外壁の再塗装 10〜15年 約80万〜120万円 検討時期に入る。前所有者の実施有無を要確認
屋根の補修・塗装 10〜20年 約70万〜150万円 同上。足場代がかかるため外壁と同時実施が経済的
シーリング(目地)の打ち替え 10〜15年 約20万〜40万円 外壁塗装と同時に行うのが一般的
バルコニー防水 10〜15年 約15万〜30万円 雨漏りに直結するため劣化があれば優先度が高い
給湯器の交換 10〜15年(設計上の標準使用年数は10年) 約15万〜30万円 交換時期が近い、または交換済みかを内見時に要確認
水回り設備(キッチン・浴室・トイレ)の交換 15〜20年 約100万〜300万円 築10年時点では現役のケースが多いが、内装の老朽化は要確認
防蟻処理(シロアリ対策) 5年ごと 約8万〜15万円 前回処理時期が不明な場合は要点検
床下・基礎・小屋組の点検 随時(劣化兆候があれば) 点検費用:約3万〜6万円(部分点検のみの場合。ホームインスペクション全体の依頼は別途6万円程度から) 目視できない箇所のため、専門家による調査が望ましい

築10年の戸建て住宅を購入する際、まず確認したいのが外壁と屋根の状態です。外壁や屋根のメンテナンスは、住宅の維持費の中でも特に費用が大きくなりやすい項目だからです。

外壁や屋根は施工面積が広いうえ、工事では足場の設置が必要になるため、工事費が高額になりやすい傾向があります。たとえば、戸建て住宅の外壁塗装には、約80万円から120万円程度の費用がかかることが一般的です。

外壁や屋根のメンテナンス時期の目安は、おおむね築10年から15年です。そのため、築10年は最初の大きなメンテナンスを検討する時期にあたります。

前の所有者がすでに外壁塗装や屋根の補修を済ませているかどうかによって、購入後に必要となる費用は大きく変わります。内見の際は、外壁や屋根の状態だけでなく、前回の塗装時期や補修履歴も確認しましょう。購入後のメンテナンス費用を見積もるうえで、重要な判断材料になります。

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4-4. 給湯器・設備:標準使用年数10年が交換の目安

築10年の中古住宅では、給湯器をはじめとする住宅設備の交換時期にも注意が必要です。

給湯器や換気扇などの住宅設備は、多くの製品で標準使用年数がおおむね10年とされています。標準使用年数とは、通常の使用環境であれば、その期間は安全に使用できると想定された年数の目安です。

そのため、築10年の物件では、給湯器や換気扇などの設備が交換時期を迎えている、または交換時期が近づいている可能性があります。給湯器の交換費用は機種や工事内容によって異なりますが、決して小さな出費ではありません。

内見の際は、給湯器やエアコンなどの設置年を確認しておきましょう。設置年は、本体に貼られている銘板(型式や製造年月などが記載されたラベル)で確認できることが多く、売主や仲介会社に尋ねれば教えてもらえる場合もあります。

設置からどれくらいの年数が経過しているかを把握しておけば、購入後に交換が必要になる時期や、交換費用をあらかじめ見積もりやすくなります。

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4-5. 床下・屋根裏・基礎:目に見えない劣化をチェックする

築10年の中古住宅でも、目に見えない部分に重大な不具合が隠れていることがあります。

たとえば、床下の基礎に生じたひび割れやアンカーボルトの緩み、屋根裏の断熱材のずれや落下、過去の雨漏りによる跡などです。こうした箇所は、一般の方が内見だけで確認することは容易ではありません。

「築10年ならまだ新しいから、見えない部分も問題ないだろう」と考える方は少なくありません。しかし、施工不良や換気不足、雨水の浸入などが原因となり、築10年程度でも劣化が進んでいることがあります。

住宅調査を専門とする「さくら事務所」が千葉大学と共同で実施した大規模研究によると、新築住宅でも30〜40%に補修を検討すべき箇所が見つかっています。さらに、築年数の経過とともにその割合は増え、築10年以上の住宅では約60%に達すると報告されています。

このような不具合は、専門知識がないと見つけることが難しいため、内見だけで判断するのは危険です。次章で解説するホームインスペクション(住宅診断)を利用すれば、専門家が床下や屋根裏なども含めて調査するため、購入前に把握しておきたいリスクを減らすことができます。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の雨漏り費用を誰が負担するか解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

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中古住宅の雨漏り修理費用は誰が払う?3つの条件から完全判定

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4-6. 修繕履歴が残っている物件は信頼性が高い

築10年の中古住宅を購入する際は、修繕履歴書(過去に行われた修繕やメンテナンスの内容を記録した書類)が残っているかどうかも確認しましょう。

修繕履歴書があれば、いつ・どのような工事が行われたのかを具体的に把握できます。そのため、次に必要となる修繕の時期や費用を見積もりやすくなり、購入後の資金計画も立てやすくなります。

一方、修繕履歴書が残っていない物件も少なくありません。その場合は、売主や仲介会社に過去のメンテナンス状況を確認することが大切です。

たとえば、「外壁塗装はいつ行いましたか」「給湯器は交換していますか」「屋根の補修歴はありますか」といった具体的な質問をすると、書類がなくても必要な情報を得られる場合があります。

それでも建物の状態に不安が残る場合は、前章で紹介したホームインスペクション(住宅診断)の利用を検討しましょう。専門家が建物の状態を客観的に調査するため、目に見えない不具合を把握しやすくなります。

修繕履歴書の有無だけで建物の状態を判断するのではなく、売主への確認やホームインスペクションも組み合わせながら建物コンディションを把握することが、購入後の後悔を防ぐポイントです。

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5. 築10年の中古住宅でコンディションの後悔をしないための方法

築10年の中古住宅で後悔しないためには、建物コンディションを購入前にしっかり確認することが大切です。

これまで説明したように、中古住宅には内見だけでは分からない不具合が隠れていることがあります。また、購入前の確認方法や確認するタイミングによっては、防げたはずのトラブルが購入後に発覚することもあります。

そのため、建物コンディションは「何を確認するか」だけでなく、「いつ確認するか」も重要です。

この章では、購入前に押さえておきたいポイントを紹介します。特に重要なホームインスペクション(住宅診断)を依頼するタイミングと、契約不適合責任の内容についても解説します。

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5-1. ホームインスペクションは「契約前」に依頼するのが鉄則

ホームインスペクション(住宅診断)とは、建物の専門知識を持つ調査員が、住宅の構造上重要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分について、目視や専用機器を使って調査するサービスです(出典:国土交通省 既存(中古)住宅の安心取引のために 建物状況調査(インスペクション)活用の手引き)。

中立的な第三者の立場から建物の状態を確認できるため、売主や仲介会社の説明だけでは分からない劣化や不具合を把握する手段として活用されています。

ホームインスペクションを利用するうえで最も重要なのは、「契約前」に依頼することです。その理由は、売買契約を締結した後では、調査結果をもとに価格や契約条件を交渉することが難しくなるためです。

たとえば、契約前であれば、ホームインスペクションで見つかった不具合をもとに、売主へ価格の値引きを求めたり、修繕を依頼したり、場合によっては購入を見送ったりすることもできます。

一方、契約を締結した後は、契約書に定められた内容が優先されるため、後から見つかった不具合を理由に自由に交渉することは容易ではありません。

そのため、購入手続きは「内見 → ホームインスペクション → 売買契約」の順番で進めることが大切です。まず内見で物件の概要を確認し、その後にホームインスペクションを依頼します。そして、調査結果を確認したうえで、購入するかどうかを最終判断するのが理想的な流れです。

ホームインスペクションの費用は、物件の規模や調査会社によって異なりますが、6万円程度からが目安です。決して安い金額ではありません。しかし、数千万円の住宅を購入することを考えれば、購入後の大きなトラブルを防ぐための費用として検討する価値があります。

【注意】ホームインスペクションは契約後では遅い場合がある

ホームインスペクションを契約後に依頼すると、調査で不具合が見つかっても、その結果を価格交渉や購入の判断に十分活用できない可能性があります。物件探しを始めた段階から、ホームインスペクションを依頼するタイミングもあわせて計画しておきましょう。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の値引き方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

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中古住宅の値引き交渉術|マンション・戸建別の相場と失敗しないコツ

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5-2. 契約不適合責任の免責特約を必ず確認する

中古住宅を購入する際は、売買契約書に記載されている「契約不適合責任」の内容を必ず確認しましょう。

契約不適合責任とは、引き渡された住宅が契約内容に適合していなかった場合に、売主が負う責任のことです。

たとえば、購入後に雨漏りやシロアリによる腐食、給排水管の不具合などが見つかった場合は、買主は売主に対して修補請求や代金減額請求、損害賠償請求などを行える可能性があります。この制度は2020年4月の民法改正で導入されたもので、それ以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。

ここで注意したいのは、売主が個人の場合です。

個人が売主となる中古住宅では、「雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合については責任を負わない」といった免責特約が設けられていることが少なくありません。

契約不適合責任に関する民法の規定は、当事者同士の合意によって内容を変更できるためです。そのため、責任の範囲を限定したり、契約不適合責任そのものを免除したりする特約が付くことがあります。

一方、売主が宅地建物取引業者(不動産会社)の場合は扱いが異なります。

宅地建物取引業法では、宅建業者が売主となる場合、契約不適合責任をすべて免除する特約は認められていません。また、契約不適合責任を負う期間についても、引き渡しの日から2年未満に短縮するなど、買主に不利になる特約は無効です。

したがって、売主が宅建業者であれば、少なくとも引き渡しから2年間は契約不適合責任が認められます。

もう一つ知っておきたいのは、免責特約があるからといって、売主の責任が必ず免除されるわけではないことです。

売主が不具合の存在を知りながら買主へ伝えなかった場合は、免責特約があっても責任を免れない可能性があります。売主による不誠実な対応まで保護する制度ではないためです。

このように、契約不適合責任の内容は、売主が個人か宅建業者かによって大きく異なります。

売買契約書を確認する際は、「契約不適合責任」に関する条項を読み、免責特約の有無だけでなく、責任の範囲や責任を負う期間まで確認しておきましょう。購入後のトラブルを防ぐための重要な確認ポイントです。

表⑦ 売主の属性別・契約不適合責任の扱いの違い(個人売主 vs 宅建業者売主)
項目 売主が個人の場合 売主が宅建業者の場合
免責特約の有効性 全部免責の特約も有効になりやすい 全部免責の特約は無効(宅建業法第40条)
責任期間の下限 法律上の明確な下限なし(当事者間の合意による) 引き渡しの日から2年以上が必要
一般的な実務の傾向 「雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合は責任を負わない」とする免責特約が付されるケースが多い 最低2年間の契約不適合責任が保証される
知りながら告げなかった不適合 免責特約があっても売主は責任を免れない 同左

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6. 購入後10年間の総費用を試算する:新築との比較で見えること

築10年の中古住宅を検討する際、多くの方が最初に注目するのは物件の購入価格です。しかし、「新築より安い」という理由だけで購入を決めると、購入後に想定外の出費が発生し、「思っていたほどお得ではなかった」と感じることがあります。

この章では、購入価格だけでなく、諸費用・修繕費・固定資産税まで含めた「購入後10年間の総費用」という視点から、新築住宅と築10年の中古住宅を比較します。

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6-1. 購入価格だけで判断すると総費用で新築との差が縮まる

築10年の中古住宅は、購入価格だけを見ると新築住宅より安いケースがほとんどです。しかし、購入時の諸費用や引っ越し費用、購入後の修繕費などを加えると、購入価格だけで感じていた割安感は大幅に小さくなります。

諸費用とは、物件価格とは別に必要となる費用の総称です。具体的には、不動産会社へ支払う仲介手数料、所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる登録免許税や司法書士報酬、住宅ローンの融資手数料、火災保険料などが含まれます。中古住宅では、これらの諸費用は購入価格の3〜8%が目安です。

特に見落としやすいのが、仲介手数料の違いです。

新築の建売住宅を売主から直接購入する場合は、不動産会社が仲介に入らないケースが多く、仲介手数料はかかりません。一方、中古住宅は、不動産会社が売主と買主の間に入って仲介するケースが一般的なため、仲介手数料が発生します。

仲介手数料の上限は、「(売買価格×3%+6万円)+消費税」という計算式で求められます。たとえば、3,000万円の中古住宅を購入する場合、仲介手数料の上限は約105万6,000円(税込)です。

このように、中古住宅は購入価格が安くても、諸費用の負担によって新築との価格差がある程度縮まります。さらに、引き渡し後に必要となる修繕費やメンテナンス費を加えると、購入価格だけで感じていた割安感は、さらに小さくなる可能性があります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅の諸費用の総額を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

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6-2. 築10年中古住宅の購入後10年間の総費用シミュレーション

ここでは、購入価格3,000万円の築10年中古戸建てと、購入価格3,500万円の新築戸建てを例に、購入後10年間の総費用を比較します。なお、下記の試算例では、仲介手数料と登記費用等諸費用の合計が購入価格の約5.5%となっており、これは前述の目安(3〜8%)の範囲内の一例です。

中古住宅は、前の所有者がどの程度メンテナンスを行っていたかによって購入後の修繕費が大きく変わります。そのため、ここでは「修繕が少なかったケース」と「修繕が多かったケース」の2パターンで試算します。

表⑨ 築10年中古住宅と新築住宅の購入後10年間の総費用比較(例)
項目 新築住宅 築10年中古(修繕少) 築10年中古(修繕多)
購入価格 3,500万円 3,000万円 3,000万円
仲介手数料 0円(売主直接) 約105万6,000円 約105万6,000円
登記費用等諸費用 約60万円 約60万円 約60万円
固定資産税(10年分・建物分+土地分) 約182万円 約183万円 約183万円
メンテナンス費用(10年分) 約30万円 約50万円 約180万円
合計 約3,772万円 約3,398万6,000円 約3,528万6,000円

この表からわかるように、購入価格だけを見ると新築住宅と築10年中古住宅には500万円の差があります。しかし、購入後10年間の総費用で比較すると、その差は小さくなります。

「修繕が少なかったケース」では総費用の差は約373万4,000円、「修繕が多かったケース」では約243万4,000円まで縮まります。中古住宅は購入価格が安くても、仲介手数料や修繕費が加わることで、新築住宅との差が小さくなるためです。

一方、新築住宅も購入後の維持費がかからないわけではありません。仲介手数料が不要なケースは多いものの、固定資産税やメンテナンス費用は継続して発生します。

固定資産税についても、「3.固定資産税はいくらになるか:仕組み・新築との違い・物価高の落とし穴」で解説したように、新築減額特例が終了する4年目以降は税額が上がるため、長期的に見ると築10年中古住宅との差はそれほど大きくありません。

なお、このシミュレーションは、あくまで一例に過ぎないため留意してください。実際の費用は、物件の所在地・規模・構造、住宅ローンの条件、過去のメンテナンス履歴などによって大きく変動します。

購入を検討している物件については、不動産会社や金融機関に相談しながら、ご自身のケースに合わせた総費用の試算を行うことをお勧めします。

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6-3. 売主の売却理由が価格の妥当性判断に直結する

築10年という比較的早いタイミングで住宅が売りに出される背景には、さまざまな事情があります。代表的な理由としては、転勤・離婚・住み替え・住宅ローンの返済が困難になったこと(ローン破綻)・相続などが挙げられます。

こうした売却理由の中でも、特に確認しておきたいのが、住宅ローンの残債が売却価格を上回っている「ローン残債超過」のケースです。

住宅ローンが残っている住宅を売却する場合、売主は、住宅ローンを完済できる金額以上で売却しなければならないことがあります。そのため、ローン残債が多い物件では、売主の事情から相場より高めの価格で売り出されているケースもあります。

もちろん、売却理由だけで物件の価格や建物の状態を判断することはできません。転勤や住み替えが理由であれば、住宅そのものには問題がないケースも数多くあります。

一方で、売却理由を知ることは、提示価格の妥当性を判断するうえで重要な材料になります。仲介会社を通じて可能な範囲で売却理由を確認しておけば、提示価格が相場に見合っているかどうかを、より客観的に判断しやすくなるでしょう。

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7. 住宅ローン控除・不動産取得税の軽減は受けられるか

築10年の中古住宅を購入する際は、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減制度を利用できるかどうかも確認しておきたいポイントです。

これらの税制優遇は中古住宅にも適用されます。ただし、新築住宅とは適用要件が一部異なるため、制度を正しく理解しておくことが大切です。

この章では、築10年の中古住宅を購入する場合の住宅ローン控除と不動産取得税の軽減制度について、わかりやすく解説します。

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7-1. 住宅ローン控除は築10年の中古住宅にも適用される

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末時点の住宅ローン残高に応じた一定額を、所得税や住民税から一定期間控除できる制度です。

この制度は中古住宅にも適用されます。ただし、適用を受けるには複数の要件を満たさなければなりません。

その中でも特に重要なのが、耐震基準に関する要件です。原則として、「昭和57年1月1日以降に新築された住宅」であれば、この要件を満たします。

これは、「4.耐震面は安心なのか:1981年・2000年基準で確認する」で解説した新耐震基準が1981年(昭和56年)6月1日に施行されたことを踏まえ、その後に新築された住宅は一定の耐震性能を備えていると考えられているためです。

なお、建築基準法上の耐震基準(新耐震基準)に適合しているかどうかは「建築確認申請日」で判断されるのに対し、住宅ローン控除や不動産取得税など税制上の耐震基準要件は、より簡易に確認できる「新築年月日」を基準に判定されます。これは、制度の目的が異なるためです。

建築基準法は建物そのものの安全性を判断するための制度であるのに対し、税制上の要件は登記事項証明書だけで機械的に確認できるようにするための簡易的な基準であるため、判定に用いる基準日にもズレが生じています。

ここで確認に使われるのが、新築年月日です。新築年月日は、登記事項証明書(不動産の所有者や構造などが記載された公的な証明書)に記載された日付で判断されます。

築10年の中古住宅は、2025年時点で考えると2015年前後に新築された住宅です。そのため、「昭和57年1月1日以降に新築された住宅」という要件を満たしています。住宅ローン控除を利用できる点は、築10年の中古住宅を選ぶメリットの一つといえるでしょう(出典:国税庁 マイホームを持ったとき)。

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7-2. 適用の鍵は「登記事項証明書の新築年月日」

中古住宅の住宅ローン控除 新築年月日と耐震基準による適用可否フローチャート

住宅ローン控除の耐震基準要件を満たしているかどうかは、登記事項証明書に記載された「新築年月日」で判断します。この点は誤解されやすいため、事前に確認しておきましょう。

混同しやすいのが、「所有権移転登記の日付」と「新築年月日」の違いです。

所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったことを法務局の登記簿に記録する手続きです。築10年の中古住宅を購入した場合、所有権移転登記の日付は購入した年(たとえば2025年)になります。

一方、住宅ローン控除で確認するのは、建物が実際に新築された年月日です。この新築年月日は、登記事項証明書の「表題部」に記載されています。

以下は、法務省が公開する建物の登記事項証明書の見本です。赤い線で囲まれた箇所に新築された年月日が記されています。

法務省が公開する建物の登記事項証明書の見本

出典:法務省

登記事項証明書の新築年月日が昭和57年1月1日以降であれば、耐震基準要件を満たしているとみなされます。そのため、耐震性を証明する追加書類を提出しなくても、住宅ローン控除を利用できます。

反対に、昭和56年12月31日以前に新築された住宅では、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類のいずれかを用意しなければなりません。

これらの書類を取得できない場合は、住宅ローン控除を受けられないため、購入前に確認しておくことが大切です。

なお、省エネ基準適合住宅・ZEH水準省エネ住宅・認定住宅(認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など)に該当する住宅は、住宅ローン控除の控除限度額が引き上げられます。

築10年の中古住宅であっても、こうした性能を備えた住宅であれば、一般的な中古住宅より有利な条件で住宅ローン控除を受けられる可能性があります。

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7-3. 築10年の中古住宅に適用できる控除額(令和7年入居分)

表⑧ 中古住宅の住宅ローン控除 区分別控除限度額・控除期間・借入限度額(令和7年入居分、国税庁)
区分 借入限度額 控除期間 各年の控除限度額(一般) 各年の控除限度額(子育て世帯等)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 3,000万円 10年 21万円 28万円
ZEH水準省エネ住宅 3,000万円 10年 21万円 28万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円 10年 21万円 28万円
一般中古住宅(上記以外) 2,000万円 10年 14万円 14万円
買取再販住宅(宅建業者による一定の増改築等を行った住宅) 区分により異なる(2,000万円〜3,000万円) 13年 ***要ファクトチェック*** ***要ファクトチェック***

一般的な築10年の中古住宅、つまり省エネ基準適合住宅などに該当しない住宅では、借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間、各年の控除限度額は14万円です。

たとえば、住宅ローンの年末残高が2,000万円ある場合は、「2,000万円×0.7%=14万円」となり、その年は最大14万円が所得税(控除しきれない場合は一部住民税)から控除されます。毎年上限額まで控除を受けられた場合、10年間の控除額は最大140万円です。

一方、省エネ基準適合住宅、ZEH水準省エネ住宅、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅に該当する築10年の中古住宅では、借入限度額が3,000万円に引き上げられます。そのため、各年の控除限度額も21万円まで拡大されます。

このように、築10年という築年数が同じでも、住宅の性能区分によって受けられる住宅ローン控除額は大きく変わります。物件を比較するときは、価格だけでなく、省エネ性能や認定の有無も確認しておきましょう。

なお、子育て世帯等(18歳以下の扶養親族がいる世帯、または本人もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の世帯)に該当する場合は、各年の控除限度額が28万円まで引き上げられる住宅もあります。条件に当てはまる場合は、忘れずに制度の適用要件を確認しましょう。

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7-4. リフォーム済み物件(買取再販住宅)は控除の扱いが異なる

買取再販住宅とは、宅地建物取引業者(不動産会社)が中古住宅を買い取り、一定の品質向上を目的とした増改築などを行ったあとに、個人へ販売する住宅のことです。「リフォーム済み中古住宅」と似た言葉ですが、住宅ローン控除では別の区分として扱われます。

結論からお伝えすると、買取再販住宅は、一般的な中古住宅とは住宅ローン控除の内容が異なります。一般的な中古住宅の控除期間は10年間ですが、買取再販住宅の控除期間は13年間です。また、一般的な中古住宅の借入限度額は2,000万円ですが、買取再販住宅は一定の条件を満たすと借入限度額が引き上げられる場合があります。

このような違いがあるのは、買取再販住宅が宅地建物取引業者によって法令で定められた基準を満たす改修工事を行った住宅だからです。一方で、一般的なリフォーム済み中古住宅は、内装や設備を新しくしただけの物件も多く、必ずしも買取再販住宅の要件を満たしているとは限りません。

そのため、「リフォーム済み」という表示だけで住宅ローン控除の優遇を受けられると判断しないよう注意が必要です。

たとえば、不動産会社の広告やパンフレットに「リフォーム済み」と記載されていても、その物件が法令上の買取再販住宅に該当するとは限りません。「リフォーム済み中古住宅」という表記だけを見て買取再販住宅と同じ住宅ローン控除を受けられると思い込むと、実際の控除額が想定より少なくなる可能性があります。

購入を検討している物件が買取再販住宅に該当するかどうかは、売買契約書や重要事項説明書で確認できます。不明な場合は仲介会社と最寄りの税務署に確認し、どの住宅ローン控除が適用されるのかを購入前に把握しておきましょう(出典・参考:埼玉県 令和7年度版マイホームと税金)。

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7-5. 不動産取得税の軽減も受けられるか

不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに、一度だけ課される税金です。毎年の所得税から一定額が控除される住宅ローン控除とは異なり、不動産取得税の軽減は住宅を取得したときに一度だけ適用されます。

中古住宅でも、一定の要件を満たせば不動産取得税の軽減特例を受けることができます。主な要件は、自己が居住するために取得した住宅であること、床面積が一定の範囲内であること、そして耐震基準に適合していることです。耐震基準については、「昭和57年1月1日以降に新築された住宅」であることなどが要件となっています。

軽減特例が適用されると、建物の固定資産税評価額から、新築された時期に応じた一定額を差し引いて不動産取得税を計算します。平成9年(1997年)4月1日以降に新築された住宅の控除額は1,200万円です。そのため、築10年の中古住宅であれば、この区分に該当し、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除できます(出典・参考:東京都主税局 不動産取得税の軽減制度について)。

たとえば、建物の固定資産税評価額が1,500万円の築10年の中古住宅を取得した場合は、まず1,500万円から1,200万円を差し引きます。課税対象となる評価額は300万円となり、これに税率3%を掛けるため、不動産取得税は9万円です。軽減特例がなければ1,500万円に税率3%を掛けた45万円が不動産取得税となるため、軽減特例によって税負担を大きく抑えられることがわかります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、不動産の売買価格から不動産取得税の目安をシミュレーションできるツールを公開中です。シミュレーションできるのはあくまで税額の目安ですが、ぜひお試しください。

お役立ちツール
不動産取得税シミュレーション|売買価格から30秒で試算

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8. 築10年の中古住宅で後悔しないための購入前チェックリスト

ここまで、築10年の中古住宅の価格、固定資産税、建物のコンディション、税制優遇について詳しく解説しました。

この章では、それらの内容を「購入前に何を、いつ確認すればよいのか」という視点で整理します。購入までの流れを「物件選び」「内見・調査」「契約・資金計画」の3つの段階に分け、それぞれで確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめました。

購入後に「確認しておけばよかった」と後悔しないためにも、ポイントを一つずつ確認してください。

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8-1. 物件選びの段階で確認すること

物件選びの段階では、内見をする前に確認しておきたいことが多数あります。あらかじめ必要な情報を集めておくと、内見や購入前の調査で確認すべきポイントが明確になり、仲介会社への質問もしやすくなります。

売却理由を仲介会社に確認する

築10年の住宅が売りに出される理由は、転勤・離婚・住み替え・住宅ローンの返済困難・相続などさまざまですが、「6-3.売主の売却理由が価格の妥当性判断に直結する」で解説したように、住宅ローンの残債が売却価格を上回っている場合は、売主が相場より高い価格を設定している可能性があります。

売却理由だけで物件の良し悪しを判断することはできません。しかし、売却理由を知ることで、価格設定が適正かどうかを判断する材料になります。仲介会社には、「現在の所有者が売却する理由は何ですか」と確認してみましょう。

修繕履歴書の有無と内容を確認する

修繕履歴書とは、これまでに行われた修繕やメンテナンスの内容を記録した書類です。外壁塗装、屋根の補修、給湯器の交換などの履歴がわかれば、購入後に必要となる修繕費用を予測しやすくなります。

修繕履歴書がない場合でも、売主へ確認できるケースがあります。たとえば、「外壁や屋根は塗装したことがありますか」「給湯器は交換済みですか」と具体的に質問すると、修繕状況を把握できる場合があります。

登記事項証明書の「新築年月日」を確認する

7-2.適用の鍵は「登記事項証明書の新築年月日」」で解説したように、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減特例を受けられるかどうかは、登記事項証明書に記載された新築年月日が重要な判断材料になります。新築年月日は耐震性能そのものを証明するものではありませんが、住宅ローン控除の耐震基準要件(税法上の簡易判定)の確認には必要です。

4-1.1981年・2000年の2度の耐震基準改正を押さえる」で説明したとおり、2000年(平成12年)以降に建築された木造住宅には、接合部の金物など耐震性に関するより厳しい基準が適用されています。築10年の中古住宅であれば通常はこの基準を満たしていますが、築年数に少しでも疑問がある場合は、登記事項証明書で新築年月日を確認しておくと安心です。

建築確認済証・検査済証の有無を確認する

建築確認済証とは、建物を建築する前に、その設計が建築基準法に適合していることを行政機関が確認した書類です。一方、検査済証とは、建物の完成後に、確認を受けた設計どおりに建築されたことを証明する書類です。

これらの書類がある物件は、建築当時の法令基準を満たしていることが公的に確認されているため、安心材料の一つになります。

一方で、建築確認済証や検査済証がない物件もあります。そのような物件は住宅ローンの審査に影響する場合があるため、購入を検討する段階で有無を確認しておくことが大切です。

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8-2. 内見・調査の段階で確認すること

内見は、物件の状態や周辺環境を自分の目で確認できる大切な機会です。1回だけの内見で購入するか否かを判断せず、さまざまな条件で確認することで後悔を防ぎやすくなります。

複数の時間帯・天候で現地を訪問する

1回の内見では、日当たりや騒音、浸水リスクなどの生活環境を十分に把握できないことがあります。朝と夕方では日当たりが大きく変わる場合がありますし、学校や幹線道路が近くにある物件では、時間帯によって騒音の大きさが異なることもあります。

また、雨の日に現地を訪れると、雨漏りの跡や敷地内の水はけの状況を確認しやすくなります。可能であれば、時間帯や天候を変えて2回以上現地を訪問することをおすすめします。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅独特の臭いを消す方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
中古住宅の臭いが消えない原因は?正しい消臭手順を経験者が解説

給湯器・エアコンの設置年を現地で確認する

4-4.給湯器・設備:標準使用年数10年が交換の目安 」で解説したように、築10年の中古住宅では、給湯器などの住宅設備が交換時期に近づいている可能性があります。

給湯器やエアコンの本体には、型式や製造年が記載された銘板(シール)が貼られています。内見時に製造年を確認すれば、設備がどれくらい使用されているかを把握できます。設置年がわかれば、購入後に交換が必要になる時期や費用も予測しやすくなります。自分で確認できない場合は、仲介会社や売主に確認を依頼しましょう。

外壁・屋根の状態と前回塗装時期を確認する

外壁や屋根の状態は、内見でもある程度確認できます。外壁に細かなひび割れがある場合や、手で触ると白い粉が付くチョーキング(塗装の劣化を示す現象)が見られる場合は、塗り替えの時期が近づいている可能性があります。

前回の塗装時期は、売主や仲介会社に確認してみましょう。すでに塗装工事が行われている物件と、まだ一度も塗装していない物件では、購入後に必要となる修繕費用や修繕時期が大きく変わります。

ホームインスペクションを「売買契約の締結前」に依頼する(最重要)

5-1. ホームインスペクションは「契約前」に依頼するのが鉄則」で解説したように、ホームインスペクション(住宅診断)は、売買契約を締結する前に依頼することが重要です。

ホームインスペクションによって補修が必要な箇所が見つかれば、その結果をもとに購入価格の交渉をしたり、売主へ修繕を依頼したりできる場合があります。一方で、売買契約を締結したあとでは、このような交渉が難しくなることがあります。

「ほかの人に購入されてしまうかもしれない」と焦って契約を急ぎたくなることもあります。しかし、多くの場合はホームインスペクションを終えてから契約しても問題ありません。「内見 → ホームインスペクション → 売買契約」の順番を守ることが、建物の状態に関する後悔を防ぐための最も重要なポイントです。

インスペクションの結果をもとに修繕費用を見積もってから購入を判断する

ホームインスペクションの結果が出れば、指摘された箇所の修繕費用を工務店などに見積もってもらい、その金額も含めて購入するかどうかを判断しましょう。

たとえば、購入価格が3,000万円でも、ホームインスペクションによって150万円の補修が必要と判明した場合、実質的な取得費用は3,150万円になります。物件価格だけで判断するのではなく、修繕費用まで含めた総額で検討することが、購入後の後悔を防ぐポイントです。

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8-3. 契約・資金計画の段階で確認すること

売買契約の締結と資金計画の最終確認は、住宅購入の中でも特に重要なステップです。確認不足があると、購入後に予想外の費用やトラブルが発生する可能性があります。契約前に次のポイントを確認しておきましょう。

売買契約書の「契約不適合責任に関する条項」を必ず確認する

5-2. 契約不適合責任の免責特約を必ず確認する」で解説したように、中古住宅の売買契約書には、売主が負う契約不適合責任の範囲が記載されています。

売主が個人の場合は、「雨漏り」「シロアリ被害」「給排水管の不具合」などについて責任を負わないという免責特約が設けられていることも少なくありません。契約書に署名・押印する前に、免責特約の有無、免責の対象となる範囲、売主が責任を負う期間を必ず確認しましょう。内容がわかりにくい場合は、遠慮せず仲介会社の担当者に説明を求めてください。

住宅ローンの事前審査で借入可能額と金利タイプを確認する

住宅ローンの事前審査は、本審査の前に行う審査で、おおよその借入可能額を確認するために利用します。

事前審査を受けないまま売買契約を締結すると、本審査で住宅ローンが承認されなかった場合に契約を解除しなければならない可能性があります。

また、住宅ローンには、返済期間中の金利が変わらない「固定金利」と、市場金利に応じて定期的に見直される「変動金利」があります。どちらを選ぶかによって毎月の返済額や返済総額が変わるため、ライフプランも考慮しながら慎重に選びましょう。

購入価格+諸費用+修繕費の合計で総費用を試算する

6.購入後10年間の総費用を試算する:新築との比較で見えること」のシミュレーションで紹介したように、住宅を購入する際は、物件価格だけでなく諸費用や修繕費も含めて検討することが重要です。

売買契約を締結する前に、購入価格へ仲介手数料や登記費用などの諸費用、ホームインスペクションで判明した修繕費を加えた総費用を試算しましょう。その総費用が無理なく支払える金額かどうかを確認してから契約することが大切です。

固定資産税の土地分・建物分を購入前に不動産会社に確認する

3.固定資産税はいくらになるか:仕組み・新築との違い・物価高の落とし穴」で解説したように、固定資産税は土地分と建物分に分かれており、それぞれ計算方法が異なります。

購入を検討している物件の固定資産税額は、売主が保管している最新の納税通知書を仲介会社経由で確認する方法や、市区町村の固定資産税担当窓口へ問い合わせる方法で確認できます。

なお、「3-1.固定資産税の建物評価額は「経年減点補正率」で下がる――ただし建築費高騰時は例外がある」で説明したように、建築費の高騰が続く状況では、建物の評価額が経年減点補正率どおりに下がっていないことがあります。そのため、「築10年だから固定資産税は安いはず」と判断せず、購入前に実際の固定資産税額を確認しておきましょう。

住宅ローン控除の適用要件を確認する

7.住宅ローン控除・不動産取得税の軽減は受けられるか」で解説したように、住宅ローン控除を受けるには、登記事項証明書の新築年月日や床面積、所得金額などの要件を満たす必要があります。

築10年の中古住宅であれば、耐震基準の要件は原則として満たしています。ただし、登記上の床面積が50㎡以上であることや、合計所得金額が2,000万円以下であることなど、ほかの要件も確認しなければなりません。

さらに、購入する物件が一般的な中古住宅なのか、省エネ基準適合住宅なのか、それとも買取再販住宅なのかによって、住宅ローン控除の内容や借入限度額などが異なります。購入前に仲介会社や税理士へ確認し、自分が受けられる住宅ローン控除の内容を把握しておきましょう(出典・参考:国税庁 マイホームを持ったとき)。

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9. 後悔しないために知っておくべきこと:まとめ

築10年の中古住宅は、耐震性や設備の状態、価格のバランスが良く、多くの人にとって有力な選択肢となる住宅です。

一方で、購入価格だけを見て判断すると、購入後に修繕費や税金などの想定外の出費が発生し、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。

この記事では、築10年の中古住宅を購入する際に知っておきたい価格、固定資産税、建物コンディションや法的リスク、税制優遇について解説しました。最後に、重要なポイントを4つのテーマに分けて振り返ります。

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9-1. 価格について

2025年の国土交通省の実取引データによると、築10年の中古戸建て(延床面積80〜130㎡)の成約価格中央値は、東京都で約6,100万円、大阪府で約3,200万円、愛知県で約3,300万円です(出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ)。

また、中古マンション(専有面積50〜100㎡)の成約価格中央値は、東京都で約9,200万円、大阪府で約5,600万円、愛知県で約3,900万円となっています。

価格の推移を見ると、「築6〜10年」から「築11〜15年」にかけて成約価格が下落する傾向があります。戸建てでは、東京都と愛知県で約18%、大阪府で約6%下落しており、マンションでも同じような傾向が見られます。

この価格差が生じる理由としては、外壁塗装などのメンテナンス費用が発生する時期に近づくことが影響していると考えられます。

一方で、購入価格が安いからといって、お得な物件とは限りません。仲介手数料、登記費用、修繕費、固定資産税などを含めた購入後10年間の総費用で比較すると、築10年の中古住宅と新築住宅の差は、購入価格だけで比較した場合より小さくなることがあります。

そのため、物件を選ぶ際は、売却理由を確認するとともに複数の物件を比較し、購入価格だけではなく総費用まで含めて判断する必要があります。

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9-2. 固定資産税について

固定資産税は、土地と建物に対して毎年かかる税金です。土地と建物では税額の決まり方が異なるため、それぞれ分けて考える必要があります。

建物の固定資産税は、一般的には築年数が経過するほど安くなります。ただし、新築住宅は最初の3年間(中高層耐火住宅等は5年間)、新築減額特例により建物分の固定資産税が2分の1に軽減されるため、この期間に限れば新築のほうが安くなります。特例が終了した新築4年目以降と比べると、築10年の中古住宅のほうが建物評価額が低く、税額も安くなりやすい傾向があります。

なお、近年は建築費が上昇している影響で、築年数が経過していても建物の固定資産税があまり下がっていないケースもあります。「築10年だから固定資産税は安いはず」と思い込まず、購入前に売主の納税通知書などで実際の税額を確認することが大切です。

一方で、土地の固定資産税には住宅用地の特例があり、多くの住宅では税負担が軽減されています。よって、土地の固定資産税は評価額から想像するより低くなることが一般的です。

固定資産税は、建物の評価額や土地の条件などによって税額が変わるため、購入前には実際にいくら課税されているのかを確認しておくことが後悔を防ぐポイントです。

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9-3. 建物コンディション・法的リスクについて

築10年の中古住宅は、耐震基準の面では安心して選びやすい年数帯です。一方で、外壁や屋根の塗装、給湯器、換気扇、シーリングなどは、交換や修繕が必要になる時期を迎えることがあります。そのため、購入後すぐにメンテナンス費用が発生するケースも少なくありません。

購入後の後悔を防ぐためには、ホームインスペクション(住宅診断)を売買契約を締結する前に依頼することが大切です。ホームインスペクションで建物の状態を確認しておけば、不具合が見つかった場合に価格交渉や修繕の相談ができる可能性があります。契約を締結したあとでは交渉が難しくなるため、「内見 → ホームインスペクション → 売買契約」の順番を守ることが重要です。

また、中古住宅では売主によって保証の内容が異なります。売主が個人の場合は、「雨漏り」「シロアリ被害」「給排水管の不具合」などについて責任を負わないという特約が付いていることがあります。これに対し、売主が不動産会社の場合は、一定期間の契約不適合責任を負うことが法律で定められています。

購入後のトラブルを防ぐためにも、売買契約書に記載されている契約不適合責任の内容や保証期間は、契約前に必ず確認しておきましょう。

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9-4. 税制・住宅ローン控除について

築10年の中古住宅は、住宅ローン控除の耐震基準を満たしていることがほとんどです。そのため、通常は耐震基準適合証明書などの追加書類を用意する必要はありません。

住宅ローン控除を利用する際は、「登記事項証明書に記載された新築年月日」を確認することが大切です。住宅ローン控除の耐震基準は、この新築年月日をもとに判断されます。住宅を購入した日や所有権移転登記の日付ではないため、混同しないよう注意しましょう。

また、住宅ローン控除の内容は、購入する住宅の種類によって異なります。一般的な中古住宅では、借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間です。一方、省エネ基準適合住宅やZEH水準省エネ住宅、認定長期優良住宅などは、借入限度額が3,000万円まで拡大されます。

さらに、不動産会社が一定の改修を行って販売する買取再販住宅は、控除期間や借入限度額が一般的な中古住宅とは異なります。購入前に、どの区分に該当する物件なのかを仲介会社や税理士へ確認しておくと安心です。

中古住宅では、不動産取得税の軽減特例を受けられる場合もあります。築10年の中古住宅であれば、多くの物件が要件を満たしており、建物の固定資産税評価額から最大1,200万円を控除できる可能性があります。住宅ローン控除とあわせて利用できる制度もあるため、利用できる税制優遇は購入前に確認しておきましょう。

著者・監修情報
誰でもわかる不動産売買(fudousan-wakaru.net)編集部。不動産の購入・売却・活用に関する情報を、はじめて不動産を検討する方にもわかりやすく伝えることを目的として運営しています。記事の作成にあたっては、国土交通省、一般社団法人 住宅性能評価・表示協会などの公的機関の情報、および極めて信頼性が高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
国土交通省 不動産情報ライブラリ国土交通省 既存住宅状況調査、既存住宅瑕疵保険関係資料国土交通省 既存(中古)住宅の安心取引のために 建物状況調査(インスペクション)活用の手引き国税庁 マイホームを持ったとき国税庁 マイホームを持ったとき総務省 固定資産評価基準第2章 家屋東京都住宅政策本部 不動産取引の手引き10東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課 宅地建物取引業法の解釈等に関して東京都に多く寄せられる問合せについて東京都主税局 不動産取得税の軽減制度について埼玉県 令和7年度版マイホームと税金
注意点
本記事の内容は令和8年7月時点のものです。最新の情報は国土交通省や国税庁のホームページなどにてご確認ください。

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